異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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4章 2人のために出来ること

閑話005 とある人物の会話② ※?視点

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「…………今、なんて言った?もう一度言ってみろ」


 睨みつけた相手は視線を泳がせ、小刻みに震えている。
 なかなか返答しないコイツに、段々イラつきが募ってくる。


「もう一度言ってみろっつってんだろうがっっ!!!」

「ひゃっ、ひゃいっ!済みませんっ!目標の確保に失敗しましたっ!」


 やはり聞き間違いではなかったらしいなぁ。
 全く、目の前の相手の無能さには頭痛がする思いだ。


「オイオイ冗談だろぉ?俺がお前に言い付けた仕事って、そんなに難しかったっけなぁ?
 ……おい、俺はお前にどんな仕事を与えたんだ?言ってみろよ」


 もはやコイツを許す気などないが、黙っている方が余計に俺を怒らせることくらいは分かっているらしい。
 今度は間をおかず話しだした。


「自分は旦那様より、ベイクの商館から本日売りに出される、犯罪奴隷の購入を命じられました!」


 おうおう、覚えていたみたいで何よりだなぁ?


「そうかそうか。俺の記憶違いじゃなかったようで何よりだ。
 で?その仕事って失敗するような仕事なのかぁ?
 ……テメェはお使いの1つも、まともにこなせねぇのかぁっ!!?」


 胸倉を掴んで持ち上げてやる。
 信じられねぇ使えなさだ。なんでこんなヤツがウチにいるんだ?


「も……うし、わけ、ありませ……」


 なんか無能のくせに、いっちょ前に息苦しそうに苦しんでやがらぁ。
 呼吸させるのさえ勿体無いくらいの無能だってのによぉ。

 ……ち、このまま首の骨をぶち折ってやりたいくれぇだが、最期に報告ぐらいは聞いてやるとするか。

 もしかしたら、失敗しても仕方ねぇような理由があるかもしれねぇしな?
 無ぇようだったら改めて殺しゃあいい。


 胸倉を掴んだままで、部屋の入り口まで投げ捨てる。

 なんだか酷く咳き込んでいるようだが、テメェの都合に俺が付き合ってやる義理もねぇ。


「言いたいことがあればさっさと話せ。一瞬でも長く生きていたいならな」


 無能なゴミは、一度大きく咳払いをして口を開いた。


「……はい。私は夜明けと同時に商館に向かい、目標の購入を求めました。
 しかし目標は開店前に売却されて、移動された後でした。
 同じく犯罪奴隷を購入しに来た者たちがいたので確認したところ、彼らも購入できなかったとのことで、商館内を改めましたが、やはり移動されたあとでした」


 少し待ってみたが続きは無かった。
 どうやらこれで報告は終わりらしいな。馬鹿馬鹿しい。


「おいおいおいおいおいおい、冗談だろぉ?
 奴隷を購入した相手は?俺とは別に商館を訪れた相手は?奴隷の行方は?
 まさか何もせずに、ノコノコ帰ってきやがったのかテメェは?」

「は、はは、はいっ!何よりも報告を優先するべぐぇ!」


 これじゃあ、せっかく殺さずに話を聞いてやった俺が、バカみてぇじゃねぇか。
 つい衝動的に、鳩尾の辺りを蹴り上げてしまった。


「ったくよぉ。俺がどれだけ苦労したのか、テメェ分かってんのか?
 最近ちょっとばかしハメを外しすぎて、女を壊しすぎたせいで、厄介な連中に目をつけられそうでな?
 仕方ねぇから一手間かけて、犯罪奴隷をでっち上げてまで用意した女なのによぉ。
 手間も金も時間もかけて、周到に準備して、ようやく用意した女だってのによぉ。
 まさか最後の最後でこんなケチが付くとは、流石の俺だって予想できねぇってもんだよなぁ?」


 蹲っている無能の頭を掴んで、顔を強制的に上げさせる。
 怯えきった表情を見て少しだけ溜飲が下がる思いだが、そもそもコイツのせいで気分が悪いのだと、すぐに怒りの方が上回る。


「じゃあお前さ。さっさと戻って目標連れて来てくれよ。そうしたら許してやる」

「そそ、そ、それは、それは難しいです!犯罪奴隷取引は国の監視も厳しく、今動いたら確実に……!」

「ん~?それは俺が聞きたい答えじゃないなぁ?」


 頭を掴んでいる手に力を込めながら、満面の笑顔を向けてやる。


「ただ、ちに!直ちに目標のか、かかか確保にむかい、ます……!」

「うんうん、それが聞きたかったんだ」


 頭を解放してやる。
 大袈裟に痛がってやがるなぁ?撫でた程度だろうこんなもん。


「誰かいるか」

「はい」


 ドアに向かって声をかけると、返事と共にドアが開いた。
 床に転がっているゴミを外に蹴り出してやる。いい加減目障りだからな。


「かふっ」


 ちっ、ドアが開いた瞬間を狙って蹴り出したのに、簡単に避けやがって。
 まぁこんなもん当たる方がおかしいか。


「ああ、別に怖かったら逃げても構わねぇから好きにしろ。
 俺から逃げ切る自信があるならなぁ」


 言い切るタイミングでドアが閉められる。
 けっ、憎たらしいくらいに有能なヤツだ。


「お呼びですか?」

「ああ、さっき捨てたゴミなんだが、女の確保に失敗したらしいんでな。
 当分女に手を出すのは不味いって言われた手前、他の女に手を出すわけにもいかねぇんだろ。
 ちょっくら魔物相手に暴れてくる。女が来たら呼びに来い」

「畏まりました」

「あ、あとさっき遊んだ女がベッドに転がってるから、捨てといてくれ」

「…………旦那様?」

「お前に言われる前に声かけておいた女だから、ノーカンだ。
 お前の言うことを無視する気はねぇ」


 コイツに逆らうと後が怖いからな。
 全く俺としたことが、コイツにだけは頭があがらねぇ。


「……処理しておきます。お戯れは程々にお願い申し上げます」

「わかったわかった。壊すのが魔物なら良いんだろ?後は頼んだぜ」

「いってらっしゃいませ」


 人族の女は壊れやすくってしかたねぇ。

 今度の女は亜人ってぇから期待してたのによぉ。
 クソのおかげで予定がすっかりパーだ。


 愛用の装備に着替え、俺はこの怒りを解消するために迷宮に足を向けるのだった。
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