異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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5章 カルネジア・ハロイツァ

097 準備完了

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 なんとかオーサン相手に、勝利を収めることが出来た。
 音魔法のフェイントの有用性を確かめられたこと、瞬間加速を使わずに勝てたことも大きい。
 瞬間加速は模擬戦では使いにくいということもあったけれど、アレは少し特殊な能力なので、俺の地力としてカウントしにくい部分がある。


「ったく、トーマも強くなっちまったもんだぜ」


 オーサンは、思ったよりもなんともなさそうな態度だ。
 もう少し悔しがったり、驚いたりするかな、と思っていたんだけど。


「おうガキ共!今俺を負かしたこのトーマだが、冒険者になってからまだ100日も経ってねぇ!
 そして始めは2階層のネズミにすらビビって、ひたすら1人で1階層回ってるような奴だったんだぜ?」


 ビビってたのは認めるけど、1階層回れっつったのはオーサンだろうが!


「それが今や5等級の俺を倒しちまうくらい強くなった!それはどうしてだと思う?
 理由は勿論、この指導訓練を受け続けたからだ!」


 えっ!?そこに持ってくの!?


「勿論、トーマ本人の努力の積み重ねがあってこそ、今の強さになったのは間違いない。
 だがコイツは、このベイクの誰よりも熱心に、この指導を受けに来ていた。
 どんな努力だって、決して無駄にはならない。
 しかし、正しい指導の下に正しい知識で行われた努力は、その効果を何倍にも高めてくれるんだ。
 この指導はお前達に、正しい努力の仕方を教えるものだと思って欲しい。
 もし、今回限りで指導を受けに来なくなったとしても、今日教わったことは、常に覚えておいて欲しい」


 な、なんか綺麗にまとめやがった……!


「つうわけで、俺も怪我無く終れたし、続きをすっか。
 流石に、もう負けてやるつもりはねぇからな?」


 そうして他のメンバーも、オーサンと手合わせをする。



 流石にオーサンに勝てる奴はいなかったが、シンとリーンも簡単にはやられなくなっている。
 武器さえ使われずに、一撃で沈められていた頃もあったのだと思うと、中々感慨深い。

 トルネは速度では良い勝負だったのだが、速度だけで勝てるほど甘い相手ではなかったようだ。
 オーサンとトルネを比べると、立ち回りというか、咄嗟の反応の引き出しの数が違うと感じる。まさに年季の違いというヤツだ。


「よし。これで本日の戦闘技能指導を終了する。ガキ共は俺が案内に戻ってきてやるまでここで待ってろ。
 トーマたちは悪いけど先に行って、クリリクの手伝いをしてくれ。
 この人数分の夕食の準備は、流石にクリリク1人じゃ大変だろうからな」

「相変わらず愛妻家なこって。まぁオードルとも会いたいし任されたよ」


 そういって移動しようとしたとき「トーマ」とオーサンに呼び止められる。


「お前は本当に強くなった。だけど3等級は、俺如きじゃ束になっても勝てねぇ連中だ。
 ……俺に出来ることはもうねぇが、絶対に油断すんじゃねぇぞ」


 言うだけ言って、そそくさと去っていった。

 ……バトル漫画のライバルキャラみたいなこと言うの、止めて欲しいんだけど?
 変なフラグ立ってないだろうな?


 言われたとおり、先にオーサン宅へ行き、クリリクさんの手伝いをする。
 トルネとは初対面なので軽く紹介。料理が出来ないことも伝えておく。

 別に料理が出来なくても、余計なことさえしなければ、手伝えることなんていくらでもある。


 シンとリーンの2人は単独で出歩けないので、調理補助。
 俺とトルネは家具を借りてきたりと、お使い担当だ。

 なんかこれだと、俺も料理出来ないっぽく見えない?気にしすぎか。


 流石に、俺たち4人+オーサン夫婦2名+子供達18人+3匹の天使達が家に入ると狭すぎるので、表に椅子とテーブルを出して、外での夕食会にするようだ。

 そういえばこの世界で雨に降られたことって、今のところないんだよね。
 でも雑貨屋や衣料品店に、雨具っぽいものが置いてあったのは確認している。

 日本みたいに不安定で変わりやすい天気なのではなくて、雨季・乾期みたいに一定期間中に降ったりするのかもしれないな。
 マニュアルには書いてないんだよなぁ。
 痒いところに手の届かないマニュアルに意味はあるのだろうか。

 いや初日は助かったけどさ。



「「「いただきまーす!!」」」」


 夕食会が始まって、訓練に参加した子供達みんな、遠慮もせずにガツガツ食べている。
 さっきまで、立ってるのもやっとなくらい疲れ果ててた癖に、食い物を目の前にすると目が覚めるのは、シンとリーンも同じだったな。懐かしい。


「ふふふ、賑やかになったねぇ。覚えるのが大変そう」

「準備お疲れ様でした。
 まぁ3回目くらいからは、子供達も準備を手伝えるようになると思うよ。多分」

「トーマさんも始めはああだったわねぇ。いつのまにかすっかり逞しくなっちゃってぇ」


 美人な人妻に逞しいと言われたいだけの人生だった。
 まぁこの人は人妻っていうか、もうお婆ちゃんらしいけど。俺と同年代ですけどね、けっ!


「オーサンにもクリリクさんにも感謝してるよ。
 2人がいなかったらとっくに死んでたか、まだ3階層あたりでヒィヒィ言ってたと思う」

「それはどうかしらねぇ。1人でも、どんどん先に進んでたんじゃないかしらぁ?」


 それは無いな。そもそも6階層以降は、オーサンが進めって言うから進み始めたわけだし。


「あの人は詳しく教えてくれなかったけど……。トーマさん、またなにか起こってるんでしょう?
 私達に出来ることがあったら、なんでも言ってねぇ?」


 ん?今なんでもって、ってこれトルネの時に既にやったな。


「2人には感謝してるって言ったでしょ。もう最大限に協力してもらってるよ。
 あとは俺たちが乗り切れるかどうか、って段階だと思う。
 ここまで漕ぎ着けられたのは、間違いなく2人のおかげだよ」


 今日までに出来る事は、最大限にやってきた。
 巻き込める人は巻き込んで。

 
 すでにいつハロイツァが現れてもおかしくない。

 今こうしている瞬間にも現れるかもしれない。


 明日からはまた迷宮攻略だ。

 ハロイツァがいつどこで襲ってくるかは分からないが、今回の件で関わってくれた人たちに顔向けできなくなるような結果には、したくないよな。
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