異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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5章 カルネジア・ハロイツァ

098 カルネジア・ハロイツァ来襲

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 いつもの時間に目を覚ます。
 いつも通り引っ付いている2人をぺいっと剥がして、いつも通り朝食の準備をする。

 規則正しい生活は一種のルーティンとなって、心を穏やかにしてくれる効果がある、と何かで聞いた覚えがある。
 いつ現れるか分からない、どっかの3等級冒険者のことを考えると不安しかないが、今から怯えていても始まらない。
 万全の態勢で迎えるべき格上の相手を前に、戦う前から調子を崩すようなことがあってはいけない。

 勿論警戒は続けるが、必要以上に怯えすぎないのは大切なことだと思う。



 さて、ハロイツァが襲ってくるとして、実際どこで襲われるかは分からない。

 強硬手段でリーンを強奪していく場合は、やはり迷宮内がもっとも都合が良いと思われる。
 ただトルネの件でも痛感したが、リンカーズでの迷宮の出入りは、思った以上にしっかりと管理されている。
 迷宮内であったとしても、そう軽々しく犯罪行為は行えないはずなのだ。普通は。

 俺たちと一緒に迷宮に入ったリーンが、全然違う奴と出てきたら、間違いなく止められるだろう。
 それとも貴族様は、そのくらい問題にしない権力があるんだろうか?


 色々揉み消せる程度の権力があるならば、どこで襲ってきても不思議じゃないんだよなぁ。
 街中で襲ってくる可能性もあるし、下手するとこの家に突撃してくる可能性すらある。




「それでも襲ってくるのは迷宮だと思うよ」


 みんなにも話題を振ってみたところ、まずはシンが迷宮に1票を投じた。


「ハロイツァは国に、監視までは行かない程度だけど、目をつけられている状態。
 そして僕とリーンは、正規の取引で奴隷契約を行って売却された、犯罪奴隷だ。
 多少強引に物事を進められる権力があったとしても、街中で多数の目撃者が居ては、通る無茶も通らなくなるかもしれない」

「それにトーマが私の時にしたように、目撃者さえ居なければ、ある程度話を作ってしまうことも出来ます。
 そして多少強引な話であっても、貴族家の子息で3等級冒険者の言葉の方が、公には信用されると思われます」

「トルネの時みたいに、私がハロイツァの話に協力するわけは無いけど、犯罪奴隷と3等級冒険者の発言力は比べるのもバカらしいと思う。
 やっぱり迷宮が一番危ないんじゃないかな」


 なるほど。やっぱり迷宮内が一番可能性が高そうだ。
 まぁそれならこっちにも都合が良い。周囲を巻き込む心配もしなくて良いしな。

 単純に戦闘力で圧倒されたら、救援も期待できないってことでもあるけど。


「ふむ。じゃあ俺たちがやることに変わりはないな。
 いつも通り迷宮攻略を進めつつ、ハロイツァが出たら返り討ちにする。
 実にシンプルな作戦だな」

「いくつか作戦は考えたとはいえ、結局地力が違いすぎるのは間違いないだろうからね。
 実際に戦う前に、少しでも強くなっておきたいところだけど……」

「強くなるために迷宮攻略を進めるって話でしょー!
 あとはもう考えても仕方ないよ、兄さん!」

「私がどれだけ力になれるかわかりませんが……。
 例え殺されることになろうとも、あの男に従う理由はもうありません!」


 ふむ。まぁ概ね皆いつもの調子かな。
 まぁ3人が3人とも、結構な修羅場を経験してきたからなぁ。


「よし、それじゃ迷宮に行こう。
 っと訓練明けだけど、みんな体調に不安は無いよな?」

「そういえばそうだね。
 今まで訓練明けはまともに動けなかったのに、今日はなんともないや」

「だねー!私も今日は筋肉痛もないかなっ」

「私のほうも大丈夫ですね。問題ありません」


 俺たちもそろそろ『駆け出し冒険者』は卒業なのかもな。

 カズラさんの所に寄って、完成していた上級回復力促進ポーションを受け取る。
 あくまで回復力を高める効果しかないので、命に関わるような怪我に使っても、効果は薄いらしい。
 全治30日の怪我を3日で治すくらいの効果だと言われる。
 ふむ?普通に凄い気がするけど、治療魔法を見た後だと、確かに効果が低く感じられるかもね。
 
 ポーションを仕舞い、迷宮に向かう。


「それじゃあ今日は11階層に行ってみようか。
 現れる魔物は『迷宮狼ブラックウルフ』。素早い動きと鋭い爪と牙、高度な連携を仕掛けてくるらしい。常に集団だとも言っていたな。
 それと11階層ではあまりないらしいが、ここからは『迷宮罠トラップ』が発生する可能性がある。
 一度見て、どんなものかが分かれば全員警戒できると思うけど、初回の発見はトルネに期待してる。
 ……2階層でも5階層でも、レアケースに遭遇してるからな。注意だけはしておこうぜ」


 くっ、これ自体がフラグっぽくて言いたくなかったけど、注意喚起するのは大事だし?
 仮にトラップ発生したら、トルネに丸投げしてやるわ。

 そう思って迷宮に足を踏み入れた。


 ……?
 なんか道中の魔物との遭遇が少ない気がするな?まぁ誤差レベルだけど。

 いつも通り、各階層は最短距離で通り過ぎ、11階層へと続く道へと進む。


 10階層の最奥、11階層に続く階段の前。


 ……あー、なんか階段の前に、でけぇ影が見えるわ。

 ここで来るか。
 まぁ想定はしてあったけどさ。


 なんで毎回、10階層より先に進めないんだろうね?
 ひょっとして俺って、10階層の呪いとかかけられてたりする?


 顔は獅子、TVで見たライオンみたいな感じだね。なんか可愛さがないな。

 全身は炎を思わせるような、真っ赤な体毛に覆われている。流石は火の精霊家。

 身長でけぇな。2メートルの半ばくらいあるんじゃねぇのか?

 家柄も良くライオン顔で高身長。黙ってても、女は寄ってきそうなのになぁ。


「よぉよぉ。待ちくたびれちまったぜぇ。
 俺が待ってやってんだから、とっとと現れやがれってんだ」


 知るかよ。ならアポを取れアポを。社会人の常識だぞ。


「俺の名はカルネジア・ハロイツァだ。まぁそこのカスがいるからもう知ってるか?
 あーあー、お前らの名前には興味無ぇぞ?
 俺ぁ殺す相手の名前を覚える趣味はねぇ」


 さて気合入れないとな。
 どうやらコイツを撃退できないと、11階層に進むことも出来ないっぽいし。

 とりあえず、いぬねこコンビは離脱してもらおう。


 しっかし階段の前で待ってるとか、階層ボスか何かなのお前?
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