異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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5章 カルネジア・ハロイツァ

099 vsカルネジア・ハロイツァ①

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「それで?なんでテメェがそこにいるんだ?」


 一瞬のうちにハロイツァは、トルネの目の前に移動していた。
 ちっ、音、熱、魔力の複合センサーで動きを捉えることだけは出来たが、反応は出来なかった。 
 集中しろ!

 トルネは一瞬固まったものの、直ぐに距離を取り直して武器を構えた。


「ハロイツァ!貴方に怯えて暮らす日々はもう沢山よ!
 逃げるのも従うのも、もう絶対にイヤ!
 貴方から逃げることが出来ないのなら、打ち倒すまでよ!」


 言い切ると共に、トルネはハロイツァに切りかかる。
 一方ハロイツァは、背中に背負った大剣を抜いてすらいない。


「へぇ?卑屈で雑魚だったテメェにしては、少しはカルネジアらしいことを言うようになったみてぇだなぁ?
 まぁ、出来るかどうかは別問題だけどな!……っと」


 ハロイツァがトルネの鳩尾に拳を打ち込もうとしたタイミングで、スリングショットで頭部を狙ってみたのだが、全く余裕を持って、あっさりと避けられてしまった。
 スリングショットはまともに撃っても、当てられそうもないな。


「今のタイミングは悪くねぇぜ?
 相手が俺じゃ、なかったらなァ!」


 一瞬で目の前まで迫ってきやがる!
 顔面を殴りに来ていたので、頭部を守るために腕を交差!


「ぐぁっ……!」


 魔装術の乗ったアームガードの上からだってのに、なんて威力だよ!くそ!

 受けきれずに、勢い良く後ろに吹っ飛ばされてしまう。


「おうおう?反応も悪くねぇじゃねぇか。
 くっだらねぇ用事かと思っていたが、ちったぁ楽しめるか?」

「せぃ!」「はぁ!」「やぁ!」


 暢気に俺の批評をしているハロイツァの背後から、3人が同時に襲いかかる。
 ハロイツァは反撃すらせずに、涼しい顔をして避け続けてる。

 ちっ、まるで前回の襲撃と、立場が入れ替わったみたいだ!


「まだまだガキだが……、多少は鍛えられてるみてぇだな。
 その辺の女よりは壊れにくそうで、手間暇かけた甲斐があったってトコか?
 おい女ぁ。お前はなるべく傷つけたくねぇからよ。痛い目見たくなければ、隅っこでガタガタ震えてろぉ」

「ふざけないでっ!誰がお前なんかの女になるか!
 傷つけたくないですって!?お前が私達にしたことを、お前はなんとも思っていないのかっ!!!」


 リーンの武器に、怒りが乗り始める。
 まだ動きに乱れは見られないが。


「あ~?なんのこと言ってるのかわかんねぇが、不満があるなら強くなりゃいい。
 俺に不満があるなら、強くなって俺から奪えばいい。
 他人から一方的に奪われるのぁ、お前らが弱いのがわりぃんだよ」

「僕たちは悪くない!僕たちは間違ってない!
 僕たちに起こった全ては、貴様が悪いんだろうが!!
 貴様の不始末を、僕たちに押し付けただけだろうがぁーーっ!!!」

「あぁ?誰だお前?
 いきなり口挟んでくるんじゃねぇよ、っと」


 シンに反撃するタイミングを狙って、ハロイツァにロングソードで切り掛かるも、やはりあっさり回避される。
 ちっ、腐るな俺。コイツが武器を抜かないうちに、少しでも動きに慣れておくべきだ。
 力量差が絶望的なのは、最初からわかってたことだろ!


「ちょっとワンパターンではあるが、踏み込みもタイミングも悪くねぇぞお前。
 出来るだけ俺を楽しませてくれたら、ラクに死なせてやってもいいぜぇ?」


 言いつつバックブロー気味に拳が飛んでくる。
 瞬間加速で掻い潜れ!


「おお!?マジかよお前!今のを避けるか!いいぜいいぜ!その調子だ!
 せめて俺が武器を抜くぐらいまでは、頑張ってくれよぉ!?」

「ごは!」


 咄嗟にバックステップしたが間に合わず、鳩尾にボディブローを貰ってしまう。
 でけぇ図体しやがって、俺らより早く動いてんじゃねぇよ、くそが……!

 魔装術のおかげで、なんとか骨と内臓は大丈夫そうだが、いくら相手が素手でも、こんなの何度も食らってられねぇぞ!

 熱魔法で患部の熱を出来るだけ下げて、無理矢理痛みを誤魔化し、戦線に戻る。
 風魔法で呼吸補助まで出来れば良かったんだけどな……!


「俺の一撃を喰らって倒れない耐久力と、すぐに戦線に戻ってこれる意志の強さ。
 いいじゃねぇかいいじゃねぇか!カスのクセに、最後に良い仕事したじゃねぇかお前!」

「かっ……!」


 トルネが腹を蹴られて、吹き飛ばされる。


「ぐぁ!」


 シンが腹を殴られ、吹き飛ばされる。


「あっ!?」


 リーンが顔を鷲掴みにされ、思い切り放り投げられる。


「く……そが!」


 顔面への一撃を躱きれず、左肩に被弾。

 ……ッテェな、くそ!

 追撃の横蹴りに合わせて、ロングソードでカウンタ「ぐへぇ!!」

 瞬時に蹴り足を戻されて、逆側の足で背中を蹴られて、思い切り吹っ飛ばされる。

 くっそがぁ!!


 数メートルは吹っ飛ばされて、地面を転がる。
 あーもう、全身漏れなくイッテェわ!

 起き上がりつつ、自分の体を確かめる。

 ……大丈夫、まだ動ける。


 リンカーズに、HPなんて概念はない。攻撃を受ければ体を痛め、動きがどんどん悪くなっていく。
 体が動くうちに、なんとしてもハロイツァの速度域に慣れるしかない。


「ハァーーーーハッハッハッハーーーー!楽しいじゃねぇかオイ!
 俺とりあって、これだけ生きていられる奴は久しぶりなんだぜぇ!?
 いやぁ、ベイクなんざにわざわざ足を運んだ甲斐があるってもんだぁ!」


 じゃあ上機嫌のまま、家に帰ってくれないっすかねぇ!


「お前ら自慢していいぜ!?本気じゃないにしても、手加減なんかしてねぇからよ?
 全力で殺しにいってるのに、お前らは生き残った!たいしたもんだ!
 褒美に武器は抜かずにいてやるよ!精々足掻いて、長生きするこったぁ!」



 けっ、親切なことで。

 言われなくてもテメェの破滅を見るまでは、死んでやるつもりなんかねぇんだよ!
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