146 / 580
6章 波乱のヴェルトーガ
128 開放型迷宮
しおりを挟む
「……そうか。ヴェルトーガに来たんだったな」
目を開けると知らない天井。最近は自宅の天井見慣れたからなぁ。
とりあえず目に入った色々なものに洗浄をかけて、身支度を始める。
朝食の準備は宿に任せられるので、もうちょっと二人は寝かせてあげててもいいかな。
二人のことは愛しているけど、毎日二人がかりで来られると普通に大変だ。
こればっかりは生活魔法でどうにかできるものでもないし。
精力強化とかそういうスキル生えてないかな?生えてないな。当たり前か。
しかし夜の行為って消音しながらやってるから、何気に音魔法の制御訓練にはなってるんだよねぇ。
肉体的にも意識的にも、極限の状態で音魔法を精密に制御する訓練。
流石に二人に伝えたらぶん殴られそうだから言わないけど。
言わないけど、消音しないとそれはそれで怒られるんだよなぁ。恥ずかしいとかで。
身支度を整えてからもう一度ベッドに戻り、二人の寝顔を見ながら頭を撫でる。
もう出すものも残ってないので、ただただ愛おしいな。
まさか俺がこんな可愛い子達と結婚することになるなんてなぁ。
「ん、トーマぁ?もう起きたの……?」
「んん、おはようございますトーマ」
この二人は毎回ほぼ同時に起きるんだよな。というかリーンの起床に合わせてトルネが目覚めてる感じだ。
トルネは元々眠りは深くないそうで、むしろ俺たちと一緒に寝るようになってからのほうがぐっすり眠れているらしい。
まぁカルネジア家に居た頃は、安心して休めなかったんだろうなぁ。
二人と朝の口付けを交わす。
こういうとき洗浄魔法先生に感謝せずにはいられない。
おっさんの寝起きとか、絶対口臭やばいだろうし。
洗浄魔法先生。いつもありがとうございます。
「むー。トーマだけもう身支度済ませてるー」
「トーマ。明日からは私達が起きるまで待ってるか、私達も一緒に起こしてくれません?」
「ふふ、分かったよ。明日からは二人が起きるまでのんびり待つさ」
それはそれで楽しそうだ。
身支度を済ませ、俺はシンを、二人がハルを呼びに行き、食堂で合流する。
ハルは不安からかぐっすりは眠れなかったようで、二人が呼びに行ったときには心底安心したそうだ。
いや流石に、寝てる間に置いていくとか鬼畜過ぎる事はしないっての。
冒険者ギルドで迷宮の地図を購入する。
なんと1階層だけで。5枚もの地図を購入することになった。
しかも価格が地図1つに銀貨2枚。
1階層の地図揃えたら金貨が飛んでいくとかマジかよ。
1階層からかなり広い。
開放型迷宮。
かなり勝手が違うらしいな。
「6等級なら心配要らないと思うがね。
ベイクとは勝手が違うから油断するんじゃないよ!」
ウサギさんの激励を受けて、ヴェルトーガの迷宮に向かった。
ヴェルトーガの迷宮は、入り口からしてベイクと違う。
ベイクの入り口は下り階段だったが、ヴェルトーガの迷宮入り口は祠のような建物で、中に魔法陣が設置してある。
「ヴェルトーガの迷宮は初めてだな?
その魔方陣に乗ると迷宮の1階層に転移するぞ。
全員同じ場所に出るから安心していい。
魔法陣には一人ずつ乗るようにしてくれ。転移事故防止のためにな。
まぁ今まで問題が起きたことはないんだが、念のためだ」
入り口を警備してる兵士に簡単な説明を受けた。
「よし、じゃあ行こうか。
入り口に敵がいるとは思わないけど、一応俺から行くか。
ハルは2番目な。最後にすると不安だろうし」
よし、これからヴェルトーガの迷宮の攻略開始だ。
魔方陣に乗ると、すぐに魔法陣が光りだす。
っと思ったときには、目の前が開けた草原に変わっていた。
思わず振り返ると、まるで世界の境界線のように続く岩の壁と、恐らく帰還用の魔法陣が設置されていた。
そしてハルが転移してきて、恐らく俺と同じように、目の前の光景に驚愕している。
俺とハルが驚いている間に、仲間も全員転移してきた。
「これは……、すごいね。ベイクとは全く違う」
「なんで迷宮に入ったのに空があるの?」
「この草原も屋外にしか思えませんね。風も感じられます」
「これが異世界のダンジョン……。常識では考えられないわね……」
迷宮によってここまで勝手が違うとなると、ベイクに集中するよりも、色んなダンジョンを回ったほうが対応力が身につきそうだ。
ベイクの迷宮は、狭い、暗いだったけど、ヴェルトーガの迷宮は、広くて明るい。
階層を進めば暗くなっていくんだろうか?
「よし、ここで呆けていても仕方ないからな。進んでみよう。
ハルは魔物が現れてもパニックにならないようにな。
これでも俺たちはそれなりに戦えるから、下手に動かれる方が危険だから気をつけて」
「は、はい!
そうよね、魔物が出るのよね。絶対指示には従うわ」
「リーン、案内頼みたいけど、この草原に地図って意味あるのか?」
「うん。地図を見ると目印が幾つもあるみたい。
それに草原も果てしなく続いているように見えて、実は近付くと入り口の壁みたいなのが見えるんだって。
屋外にしか見えないんだけど、間違いなく迷宮の内部なんだ、って地図に載ってるー」
「本当にベイクの迷宮とは勝手が違うね……。
まずは開放型迷宮に慣れることが大切そうだね」
同じ迷宮でここまで勝手が違うとは思わなかったけど、流石に1階層でビビッてる訳にも行かない。
ハルに無理のないペースで、ヴェルトーガ迷宮の攻略スタートだ。
目を開けると知らない天井。最近は自宅の天井見慣れたからなぁ。
とりあえず目に入った色々なものに洗浄をかけて、身支度を始める。
朝食の準備は宿に任せられるので、もうちょっと二人は寝かせてあげててもいいかな。
二人のことは愛しているけど、毎日二人がかりで来られると普通に大変だ。
こればっかりは生活魔法でどうにかできるものでもないし。
精力強化とかそういうスキル生えてないかな?生えてないな。当たり前か。
しかし夜の行為って消音しながらやってるから、何気に音魔法の制御訓練にはなってるんだよねぇ。
肉体的にも意識的にも、極限の状態で音魔法を精密に制御する訓練。
流石に二人に伝えたらぶん殴られそうだから言わないけど。
言わないけど、消音しないとそれはそれで怒られるんだよなぁ。恥ずかしいとかで。
身支度を整えてからもう一度ベッドに戻り、二人の寝顔を見ながら頭を撫でる。
もう出すものも残ってないので、ただただ愛おしいな。
まさか俺がこんな可愛い子達と結婚することになるなんてなぁ。
「ん、トーマぁ?もう起きたの……?」
「んん、おはようございますトーマ」
この二人は毎回ほぼ同時に起きるんだよな。というかリーンの起床に合わせてトルネが目覚めてる感じだ。
トルネは元々眠りは深くないそうで、むしろ俺たちと一緒に寝るようになってからのほうがぐっすり眠れているらしい。
まぁカルネジア家に居た頃は、安心して休めなかったんだろうなぁ。
二人と朝の口付けを交わす。
こういうとき洗浄魔法先生に感謝せずにはいられない。
おっさんの寝起きとか、絶対口臭やばいだろうし。
洗浄魔法先生。いつもありがとうございます。
「むー。トーマだけもう身支度済ませてるー」
「トーマ。明日からは私達が起きるまで待ってるか、私達も一緒に起こしてくれません?」
「ふふ、分かったよ。明日からは二人が起きるまでのんびり待つさ」
それはそれで楽しそうだ。
身支度を済ませ、俺はシンを、二人がハルを呼びに行き、食堂で合流する。
ハルは不安からかぐっすりは眠れなかったようで、二人が呼びに行ったときには心底安心したそうだ。
いや流石に、寝てる間に置いていくとか鬼畜過ぎる事はしないっての。
冒険者ギルドで迷宮の地図を購入する。
なんと1階層だけで。5枚もの地図を購入することになった。
しかも価格が地図1つに銀貨2枚。
1階層の地図揃えたら金貨が飛んでいくとかマジかよ。
1階層からかなり広い。
開放型迷宮。
かなり勝手が違うらしいな。
「6等級なら心配要らないと思うがね。
ベイクとは勝手が違うから油断するんじゃないよ!」
ウサギさんの激励を受けて、ヴェルトーガの迷宮に向かった。
ヴェルトーガの迷宮は、入り口からしてベイクと違う。
ベイクの入り口は下り階段だったが、ヴェルトーガの迷宮入り口は祠のような建物で、中に魔法陣が設置してある。
「ヴェルトーガの迷宮は初めてだな?
その魔方陣に乗ると迷宮の1階層に転移するぞ。
全員同じ場所に出るから安心していい。
魔法陣には一人ずつ乗るようにしてくれ。転移事故防止のためにな。
まぁ今まで問題が起きたことはないんだが、念のためだ」
入り口を警備してる兵士に簡単な説明を受けた。
「よし、じゃあ行こうか。
入り口に敵がいるとは思わないけど、一応俺から行くか。
ハルは2番目な。最後にすると不安だろうし」
よし、これからヴェルトーガの迷宮の攻略開始だ。
魔方陣に乗ると、すぐに魔法陣が光りだす。
っと思ったときには、目の前が開けた草原に変わっていた。
思わず振り返ると、まるで世界の境界線のように続く岩の壁と、恐らく帰還用の魔法陣が設置されていた。
そしてハルが転移してきて、恐らく俺と同じように、目の前の光景に驚愕している。
俺とハルが驚いている間に、仲間も全員転移してきた。
「これは……、すごいね。ベイクとは全く違う」
「なんで迷宮に入ったのに空があるの?」
「この草原も屋外にしか思えませんね。風も感じられます」
「これが異世界のダンジョン……。常識では考えられないわね……」
迷宮によってここまで勝手が違うとなると、ベイクに集中するよりも、色んなダンジョンを回ったほうが対応力が身につきそうだ。
ベイクの迷宮は、狭い、暗いだったけど、ヴェルトーガの迷宮は、広くて明るい。
階層を進めば暗くなっていくんだろうか?
「よし、ここで呆けていても仕方ないからな。進んでみよう。
ハルは魔物が現れてもパニックにならないようにな。
これでも俺たちはそれなりに戦えるから、下手に動かれる方が危険だから気をつけて」
「は、はい!
そうよね、魔物が出るのよね。絶対指示には従うわ」
「リーン、案内頼みたいけど、この草原に地図って意味あるのか?」
「うん。地図を見ると目印が幾つもあるみたい。
それに草原も果てしなく続いているように見えて、実は近付くと入り口の壁みたいなのが見えるんだって。
屋外にしか見えないんだけど、間違いなく迷宮の内部なんだ、って地図に載ってるー」
「本当にベイクの迷宮とは勝手が違うね……。
まずは開放型迷宮に慣れることが大切そうだね」
同じ迷宮でここまで勝手が違うとは思わなかったけど、流石に1階層でビビッてる訳にも行かない。
ハルに無理のないペースで、ヴェルトーガ迷宮の攻略スタートだ。
1
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。
情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。
アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる