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6章 波乱のヴェルトーガ
132 ヴェルトーガ2階層
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「それじゃ打ち合わせ通りにな。
リーン、ふわわ、つらら。ハルを頼む。ハルは指示がない限りその場で待機。
なるべく目を逸らさずに戦闘を見てくれれば充分だ。
シン。トルネ。俺たちで殲滅するぞ」
「了解」「はい」
3人同時に地を蹴った。
2階層では新たに5種類の魔物が追加される。
1階層進んだだけで探索の難易度が跳ね上がるのがヴェルトーガの特徴か。
グケ!
声がしたほうを見ると、牛くらいありそうなカエルが大口をこちらに向けている。
刹那、口から弾丸のような速さで舌が伸びてくる。
かなりの速度だが、それでもハロイツァの尻尾よりは大分遅い。
体を横に逸らして舌先を回避。舌が戻る前に瞬間加速を使ってロングソードで舌を斬り飛ばす。
グゲゲゲ!?
舌を斬られてうろたえている所を距離を詰めて一刀両断。
横に隠れて機を窺っていたフィールドスネークも仕留めておく。
このでかい蛙は『汚染蛙』。巨体による押し潰しと舌の高速射出、大口を開けての丸呑みが攻撃手段だ。
消化能力はさほど高くないので、丸呑みにされても救出が間に合わないケースは少ない。
押し潰しと舌による高速の打撃が脅威で、まぁまぁの事故率を誇る。
また皮膚から毒性のある粘液が分泌していて、死ぬような毒ではないが、触れるとそれなりの痛みが走ることから汚染蛙と呼ばれている。
そういえば子供の頃、蛙を触ったあとに目を擦ってめちゃくちゃ痛かった記憶がある。
あれ以来、外で遊んだら手を洗うようになったなぁ。
舌の攻撃はリーチも長く速度も威力もかなり高い。2階層では優先して仕留めるべき魔物といえる。
ドロップ品は『蛙の油』。ガマじゃないのか。魔法薬の材料で単価30リーフ。
「はぁ!」
トルネが槍で見覚えのある泥の巨体の頭部を吹き飛ばしている。ベイク12階層で出現したマッドゴーレムだ。
ベイクと同じ魔物ではあるが、沼地に擬態して突然襲ってくることがあるらしく、ヴェルトーガではかなり嫌われている。
まぁ魔力探知に引っかかるので脅威はない。
……つうか、打撃に強いはずのマッドゴーレムの頭部を、刺突で易々とふっ飛ばしているあの槍怖いんだけど。
「ストーンバレット!」 ギイイイ!
シンが攻撃魔法でアーマーラットと茶色いワニのような魔物を巻き込んで吹き飛ばしている。
流石のアーマーラットも、攻撃魔法に耐えることは出来ないようだ。
あのワニっぽい魔物は『汚泥蜥蜴』。ベイク7階層にでるフレアリザードの属性違いみたいな魔物だ。
噛み付きと尻尾による打撃、殺傷力は低いが行動の阻害効果の高いマッドブレスを吐いてくる。
マッドブレスに触れるとちょっと痛い上に、沼地の泥のような粘性を持っていて、まさに足手纏いになってこちらの行動を抑制してくる。
ある意味ファイアブレスよりも厄介と思えるのだが、なんとこのマッドブレス、洗浄で消してしまえることが判明。消し去るにはまぁまぁの魔力消費だったが、これでマッドブレスはなにも怖くなくなってしまった。
ドロップアイテムは『胡椒』。リザード系は調味料で攻めるのかな?単価50リーフ。
これまた見覚えのある巨大な蜘蛛をロングソードで斬り殺す。
ベイク10階層の魔物、ポイズンスパイダーだ。
蛙と蛇と蜘蛛って捕食関係になかったっけ?それらが一緒に襲ってくるあたりに異世界を感じる。
「っと」
魔力感知に反応。ロングソードを盾にすると衝撃が走る。まぁまぁの威力。
攻撃してきたのは泥で出来た馬のような外見の『沼魔精霊』。
水属性の魔物で、水を高速で打ち出してきて攻撃してくる。ただし攻撃魔法ではなく魔法型スキルのため、ウォータースフィアと比べて威力はかなり低い。代わりに速度と射程距離が向上している感じか。
反撃のために距離を詰めるが、クールタイムも短いようで、到達前にもう一度攻撃を許してしまった。
ただ、スキル発動前にケルピーの頭部付近に魔法陣が現れ、その魔法陣が発光し、水が発射されるという流れなので、水弾の速度は速いが発射のタイミングがモロバレだ。躱すのはそこまで難しくない。
ドロップ品は『精霊の鬣』。家具や衣料品に利用される。50リーフ。
グギィ! ギャバ!
リーンがスネークソードでスカイジャベリンを迎撃している。
俺から見ると既にリーンはスネークソードを使いこなしているように見えるのだが、ホムロによると、鞭のように使うのはさほど難しくなく、戦闘中に自在に形状を操ってこそ進化が発揮される武器、なのだそうだ。
熟練者にもなると、動作を伴わずに魔力操作だけで武器を動かせるようになるとか。
「みんな怪我は無いな?リーンはそのまま警戒しててくれ」
全ての魔物を掃討し、ドロップアイテムを回収する。
1階層の魔物に加えて、新しく追加された魔物5種類中4種類が中・長距離攻撃持ちってのはなかなか嫌なエリアだなぁ。
残った一体はマッドゴーレム。耐久力が高く盾役にぴったりだ。
全員が戦えるなら何の問題もないが、ハルを護衛しながらと考えると気が抜けない階層だ。
合間を縫うように襲ってくる、フィールドスネークとスカイジャベリンも悪辣だ。
「トーマ。私のSPが3になってるわ!」
お、いいね。難易度が高い分、得られる経験値も高いようだ。
出来れば今日中に19Pまで稼いで、明日の朝一でスキルを覚えさせたいな。
まぁその為には夜間探索が必須になるんだけど。
2階層は問題ないけど、3階層にはハルがスキルを覚えるまで進まない方が良さそうだ。
この分だと3階層は、ベイク迷宮の20階層を越える難易度でも不思議じゃなさそうだからなぁ。
リーン、ふわわ、つらら。ハルを頼む。ハルは指示がない限りその場で待機。
なるべく目を逸らさずに戦闘を見てくれれば充分だ。
シン。トルネ。俺たちで殲滅するぞ」
「了解」「はい」
3人同時に地を蹴った。
2階層では新たに5種類の魔物が追加される。
1階層進んだだけで探索の難易度が跳ね上がるのがヴェルトーガの特徴か。
グケ!
声がしたほうを見ると、牛くらいありそうなカエルが大口をこちらに向けている。
刹那、口から弾丸のような速さで舌が伸びてくる。
かなりの速度だが、それでもハロイツァの尻尾よりは大分遅い。
体を横に逸らして舌先を回避。舌が戻る前に瞬間加速を使ってロングソードで舌を斬り飛ばす。
グゲゲゲ!?
舌を斬られてうろたえている所を距離を詰めて一刀両断。
横に隠れて機を窺っていたフィールドスネークも仕留めておく。
このでかい蛙は『汚染蛙』。巨体による押し潰しと舌の高速射出、大口を開けての丸呑みが攻撃手段だ。
消化能力はさほど高くないので、丸呑みにされても救出が間に合わないケースは少ない。
押し潰しと舌による高速の打撃が脅威で、まぁまぁの事故率を誇る。
また皮膚から毒性のある粘液が分泌していて、死ぬような毒ではないが、触れるとそれなりの痛みが走ることから汚染蛙と呼ばれている。
そういえば子供の頃、蛙を触ったあとに目を擦ってめちゃくちゃ痛かった記憶がある。
あれ以来、外で遊んだら手を洗うようになったなぁ。
舌の攻撃はリーチも長く速度も威力もかなり高い。2階層では優先して仕留めるべき魔物といえる。
ドロップ品は『蛙の油』。ガマじゃないのか。魔法薬の材料で単価30リーフ。
「はぁ!」
トルネが槍で見覚えのある泥の巨体の頭部を吹き飛ばしている。ベイク12階層で出現したマッドゴーレムだ。
ベイクと同じ魔物ではあるが、沼地に擬態して突然襲ってくることがあるらしく、ヴェルトーガではかなり嫌われている。
まぁ魔力探知に引っかかるので脅威はない。
……つうか、打撃に強いはずのマッドゴーレムの頭部を、刺突で易々とふっ飛ばしているあの槍怖いんだけど。
「ストーンバレット!」 ギイイイ!
シンが攻撃魔法でアーマーラットと茶色いワニのような魔物を巻き込んで吹き飛ばしている。
流石のアーマーラットも、攻撃魔法に耐えることは出来ないようだ。
あのワニっぽい魔物は『汚泥蜥蜴』。ベイク7階層にでるフレアリザードの属性違いみたいな魔物だ。
噛み付きと尻尾による打撃、殺傷力は低いが行動の阻害効果の高いマッドブレスを吐いてくる。
マッドブレスに触れるとちょっと痛い上に、沼地の泥のような粘性を持っていて、まさに足手纏いになってこちらの行動を抑制してくる。
ある意味ファイアブレスよりも厄介と思えるのだが、なんとこのマッドブレス、洗浄で消してしまえることが判明。消し去るにはまぁまぁの魔力消費だったが、これでマッドブレスはなにも怖くなくなってしまった。
ドロップアイテムは『胡椒』。リザード系は調味料で攻めるのかな?単価50リーフ。
これまた見覚えのある巨大な蜘蛛をロングソードで斬り殺す。
ベイク10階層の魔物、ポイズンスパイダーだ。
蛙と蛇と蜘蛛って捕食関係になかったっけ?それらが一緒に襲ってくるあたりに異世界を感じる。
「っと」
魔力感知に反応。ロングソードを盾にすると衝撃が走る。まぁまぁの威力。
攻撃してきたのは泥で出来た馬のような外見の『沼魔精霊』。
水属性の魔物で、水を高速で打ち出してきて攻撃してくる。ただし攻撃魔法ではなく魔法型スキルのため、ウォータースフィアと比べて威力はかなり低い。代わりに速度と射程距離が向上している感じか。
反撃のために距離を詰めるが、クールタイムも短いようで、到達前にもう一度攻撃を許してしまった。
ただ、スキル発動前にケルピーの頭部付近に魔法陣が現れ、その魔法陣が発光し、水が発射されるという流れなので、水弾の速度は速いが発射のタイミングがモロバレだ。躱すのはそこまで難しくない。
ドロップ品は『精霊の鬣』。家具や衣料品に利用される。50リーフ。
グギィ! ギャバ!
リーンがスネークソードでスカイジャベリンを迎撃している。
俺から見ると既にリーンはスネークソードを使いこなしているように見えるのだが、ホムロによると、鞭のように使うのはさほど難しくなく、戦闘中に自在に形状を操ってこそ進化が発揮される武器、なのだそうだ。
熟練者にもなると、動作を伴わずに魔力操作だけで武器を動かせるようになるとか。
「みんな怪我は無いな?リーンはそのまま警戒しててくれ」
全ての魔物を掃討し、ドロップアイテムを回収する。
1階層の魔物に加えて、新しく追加された魔物5種類中4種類が中・長距離攻撃持ちってのはなかなか嫌なエリアだなぁ。
残った一体はマッドゴーレム。耐久力が高く盾役にぴったりだ。
全員が戦えるなら何の問題もないが、ハルを護衛しながらと考えると気が抜けない階層だ。
合間を縫うように襲ってくる、フィールドスネークとスカイジャベリンも悪辣だ。
「トーマ。私のSPが3になってるわ!」
お、いいね。難易度が高い分、得られる経験値も高いようだ。
出来れば今日中に19Pまで稼いで、明日の朝一でスキルを覚えさせたいな。
まぁその為には夜間探索が必須になるんだけど。
2階層は問題ないけど、3階層にはハルがスキルを覚えるまで進まない方が良さそうだ。
この分だと3階層は、ベイク迷宮の20階層を越える難易度でも不思議じゃなさそうだからなぁ。
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