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7章 更なる強さを求めて
164 旋律の運び手
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「ちなみにお前らって全員パーティ組んでる?」
「うん!『栄光の運び手』って名前なんだ!かっこいいでしょ!」
「ポーターの仕事がなかったら、俺たちまだずっと大変だったと思うんだ。だから運び屋って意味を入れたかったんだよ!」
「どうかなどうかな?トーマは良い名前だって思う?」
良い名前っつうか恥ずかしいわ!俺にとってはただの運び屋を頼んだだけだったんだけど、ここまで大袈裟に捉えられてるとは……。
今さら駄目な名前とか言えねえだろぉぉ!?いや悪いとは思わないけども!
「ウン、イイナマエダトオモウヨ。
って話を戻すと、冒険者パーティってお互いに協力関係になれる制度あるの知ってる?
……俺が誘ったらお前ら、うちのパーティの下に付く気とかある?」
明確に下に扱うつもりはないが、うち主導でカンパニーを運営していくのだから、他の冒険者の実質的な扱いは傘下になるだろう。ここは誤魔化さずに伝えるべきだよな。
「え、勿論参加するよ!?」 「またポーターすればいいのかな!?」 「今度は何階層に行くの!?」
……え、そんな簡単に決めちゃうの?
っていうかまだ何にも話してないのに。危なっかしくない?
「ちょい待ち。そんな即答しなくていいっつうの。ちゃんと説明するからそれ聞いてから判断してくれよ」
全肯定されるとかえって不安になることってあるよね。
「なに言ってるの?俺たちはトーマが居なかったらとっくに死んでたかもしれないんだ。そのトーマの協力が出来るっていうならなんだってするよ!」
「なんでも言って!」 「今度も頑張るよー!」 「僕もやるよ!」 「私も!」
えぇ……、実際困窮してたタイミングで破格の報酬だったのかも知れないけど、100%の信用って逆に重いというか辛いというか……。
「トーマ?毎回トーマは自分のやったことを軽く考えすぎなんだよー?トーマが気にしなくったって、相手が気にしないとは限らないんだからねっ!」
「この子たちって、僕とリーンの購入資金を稼いだときに協力してくれたポーターなんだよね?僕はみんなの気持ちが分かるよ。トーマって本当に、周囲に無頓着だよねぇ」
「どうでもいいような顔して、あっさりと手を差し伸べてきますからね。トーマ本人は本当にどうでもいいと思ってるのが、ほんっとうにタチが悪いんですよ!」
「うん。私のときも金貨とか普通に出してくれたしね。なんかトーマって色々やらかしてる気がしてきたわ」
あかん。完全にアウェーだ。ってかハルまでそっち側に回ってるのおかしいだろ!
「ふむ。お前らに仕事を頼むっちゃ頼むけど、甘やかす気はないぞ?金だって取るし。
それとお前らだけじゃなくて、金がなくて困ってる子供をなるべく参加させるつもりだ。お前らはあくまで第一陣ってだけだ。それでも参加する意志は変わらないか?」
「「「うん!」」」 「「「はい!」」」 「「「ああ!」」」
うーん……。
ま、いっか。面倒見るって決めたしな。
「シン、こいつら1階の店舗スペースに泊めてやってもいいかな?商工ギルドで物件探してみるけど、見つかるまでの間ってことで」
「いやいや、あの家はトーマの物なんだから好きにしてもいいって。ただベッドを18個も置くと狭いし、18個で終らないとも思うから、床に雑魚寝してもらう方がいいんじゃないかな」
「なるほど。ちなみにベイクに困窮してる年少冒険者ってどのくらい居ると思う?どの程度の建物を用意すべきかな?」
「んー、正直読めないかなー。救貧院にお世話になってる子と、追い出されたばかりの子だけで考えるなら、50人くらいかなって思うけどー。追い出された後も困窮してる人は少なくないと思うよー」
「んー100人はいると思わないと駄目か……。
あ、そうだハル。2度目の探索が終ったらこいつらと一緒に祝福の儀を受けようと思ってる。ハルのSPがどの程度溜まってるかは分からないけど、300は超えてくるはずだからな」
「うん。今250くらいだね。殆ど戦ってないから申し訳ないけど、ありがたく受けさせてもらうね」
「とりあえずお前ら、オーサンのところ行くぞ。詳しい話はそれからしてやるから」
魔力もまだ回復し切ってないくらいの短時間で話が決まってしまったわ。
「お、話がまとまったのか?とりあえず身分証とスクロールは返しておく」
各スクロールには名札がつけてあるので、間違う心配もない。
「どうもどうも。そんで俺たちと栄光の運び手でカンパニーを作ろうと思う。手続き頼むわ」
「おう。じゃあトーマとセンタルは身分証を貸してくれ。一応確認だが、異風の旋律が設立パーティ扱いで構わねぇんだよな?」
『センタル』は俺に始めに話しかけてきた少年のことだ。因みに弟の名前は『ヨロート』。
「それで頼むよ。あとカンパニー作ると専用の口座が作れるんだっけ?」
「ああ、商工ギルドじゃないと無理だけどな。金を運用できる人間を設定できるんだ。振り込むのは誰でも可能だけどな。
さてと、カンパニーの名前を設定せにゃならんのだが、もう決めてあるのか?」
あー名前かぁ。正直適当で良いと思うんだけど、一応みんなにも聞いてみるか。
「カンパニーの名前どうしよう?俺的には俺たち異風の旋律と、栄光の運び手を適当に組み合わせて終わりで良いと思ってるんだけど」
「トーマ?名前は大切だからもっとしっかり考えてよ。と言っても、なんとなく良い響きになりそうな気がするね。異風の運び手……?栄光の旋律……?いや、旋律の運び手とか?」
「あ、それいいね!流石兄さん!」
「私も良いと思います。なんだかこれから広がっていきそうな名前ですし」
「うん。変な威圧感も感じないし、結構いいんじゃない?」
うちのメンバーには好評と。
「お前らも旋律の運び手で大丈夫か?なにか希望あれば聞くけど」
「良いに決まってる!まさかこっちの名前まで使ってくれるなんて!いいよなみんな!」
うん!とか、もちろん!とか、みんな思い思いの返事をしているけど、どうやら反対者はいないみたいだ。
「じゃあオーサン。『旋律の運び手』で登録頼むよ」
「了解だ。旋律の運び手の諸君。お前達の更なる活躍を期待する!」
さてさて。勢いだけでカンパニー作っちゃったけど、これからどうやっていこうかな。
とりあえず、俺が居なくても回るようにだけはしないとね。
「うん!『栄光の運び手』って名前なんだ!かっこいいでしょ!」
「ポーターの仕事がなかったら、俺たちまだずっと大変だったと思うんだ。だから運び屋って意味を入れたかったんだよ!」
「どうかなどうかな?トーマは良い名前だって思う?」
良い名前っつうか恥ずかしいわ!俺にとってはただの運び屋を頼んだだけだったんだけど、ここまで大袈裟に捉えられてるとは……。
今さら駄目な名前とか言えねえだろぉぉ!?いや悪いとは思わないけども!
「ウン、イイナマエダトオモウヨ。
って話を戻すと、冒険者パーティってお互いに協力関係になれる制度あるの知ってる?
……俺が誘ったらお前ら、うちのパーティの下に付く気とかある?」
明確に下に扱うつもりはないが、うち主導でカンパニーを運営していくのだから、他の冒険者の実質的な扱いは傘下になるだろう。ここは誤魔化さずに伝えるべきだよな。
「え、勿論参加するよ!?」 「またポーターすればいいのかな!?」 「今度は何階層に行くの!?」
……え、そんな簡単に決めちゃうの?
っていうかまだ何にも話してないのに。危なっかしくない?
「ちょい待ち。そんな即答しなくていいっつうの。ちゃんと説明するからそれ聞いてから判断してくれよ」
全肯定されるとかえって不安になることってあるよね。
「なに言ってるの?俺たちはトーマが居なかったらとっくに死んでたかもしれないんだ。そのトーマの協力が出来るっていうならなんだってするよ!」
「なんでも言って!」 「今度も頑張るよー!」 「僕もやるよ!」 「私も!」
えぇ……、実際困窮してたタイミングで破格の報酬だったのかも知れないけど、100%の信用って逆に重いというか辛いというか……。
「トーマ?毎回トーマは自分のやったことを軽く考えすぎなんだよー?トーマが気にしなくったって、相手が気にしないとは限らないんだからねっ!」
「この子たちって、僕とリーンの購入資金を稼いだときに協力してくれたポーターなんだよね?僕はみんなの気持ちが分かるよ。トーマって本当に、周囲に無頓着だよねぇ」
「どうでもいいような顔して、あっさりと手を差し伸べてきますからね。トーマ本人は本当にどうでもいいと思ってるのが、ほんっとうにタチが悪いんですよ!」
「うん。私のときも金貨とか普通に出してくれたしね。なんかトーマって色々やらかしてる気がしてきたわ」
あかん。完全にアウェーだ。ってかハルまでそっち側に回ってるのおかしいだろ!
「ふむ。お前らに仕事を頼むっちゃ頼むけど、甘やかす気はないぞ?金だって取るし。
それとお前らだけじゃなくて、金がなくて困ってる子供をなるべく参加させるつもりだ。お前らはあくまで第一陣ってだけだ。それでも参加する意志は変わらないか?」
「「「うん!」」」 「「「はい!」」」 「「「ああ!」」」
うーん……。
ま、いっか。面倒見るって決めたしな。
「シン、こいつら1階の店舗スペースに泊めてやってもいいかな?商工ギルドで物件探してみるけど、見つかるまでの間ってことで」
「いやいや、あの家はトーマの物なんだから好きにしてもいいって。ただベッドを18個も置くと狭いし、18個で終らないとも思うから、床に雑魚寝してもらう方がいいんじゃないかな」
「なるほど。ちなみにベイクに困窮してる年少冒険者ってどのくらい居ると思う?どの程度の建物を用意すべきかな?」
「んー、正直読めないかなー。救貧院にお世話になってる子と、追い出されたばかりの子だけで考えるなら、50人くらいかなって思うけどー。追い出された後も困窮してる人は少なくないと思うよー」
「んー100人はいると思わないと駄目か……。
あ、そうだハル。2度目の探索が終ったらこいつらと一緒に祝福の儀を受けようと思ってる。ハルのSPがどの程度溜まってるかは分からないけど、300は超えてくるはずだからな」
「うん。今250くらいだね。殆ど戦ってないから申し訳ないけど、ありがたく受けさせてもらうね」
「とりあえずお前ら、オーサンのところ行くぞ。詳しい話はそれからしてやるから」
魔力もまだ回復し切ってないくらいの短時間で話が決まってしまったわ。
「お、話がまとまったのか?とりあえず身分証とスクロールは返しておく」
各スクロールには名札がつけてあるので、間違う心配もない。
「どうもどうも。そんで俺たちと栄光の運び手でカンパニーを作ろうと思う。手続き頼むわ」
「おう。じゃあトーマとセンタルは身分証を貸してくれ。一応確認だが、異風の旋律が設立パーティ扱いで構わねぇんだよな?」
『センタル』は俺に始めに話しかけてきた少年のことだ。因みに弟の名前は『ヨロート』。
「それで頼むよ。あとカンパニー作ると専用の口座が作れるんだっけ?」
「ああ、商工ギルドじゃないと無理だけどな。金を運用できる人間を設定できるんだ。振り込むのは誰でも可能だけどな。
さてと、カンパニーの名前を設定せにゃならんのだが、もう決めてあるのか?」
あー名前かぁ。正直適当で良いと思うんだけど、一応みんなにも聞いてみるか。
「カンパニーの名前どうしよう?俺的には俺たち異風の旋律と、栄光の運び手を適当に組み合わせて終わりで良いと思ってるんだけど」
「トーマ?名前は大切だからもっとしっかり考えてよ。と言っても、なんとなく良い響きになりそうな気がするね。異風の運び手……?栄光の旋律……?いや、旋律の運び手とか?」
「あ、それいいね!流石兄さん!」
「私も良いと思います。なんだかこれから広がっていきそうな名前ですし」
「うん。変な威圧感も感じないし、結構いいんじゃない?」
うちのメンバーには好評と。
「お前らも旋律の運び手で大丈夫か?なにか希望あれば聞くけど」
「良いに決まってる!まさかこっちの名前まで使ってくれるなんて!いいよなみんな!」
うん!とか、もちろん!とか、みんな思い思いの返事をしているけど、どうやら反対者はいないみたいだ。
「じゃあオーサン。『旋律の運び手』で登録頼むよ」
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