206 / 580
7章 更なる強さを求めて
182 懸念
しおりを挟む
予定通り50階層を探索する。グランドドラゴンが毎回出てくるので戦闘時間はかなり伸びているけど、安定して戦うことは出来ている。
不意の事故にだけ気をつけながら戦闘をこなしていく。トラップに気付かず踏んでしまったりとかしたら、一気に戦線が崩れかねない。
魔力感知でトラップを発見することに慣れてきたけど、どうやらトラップは魔物が触れても作動してくれないんだよな。トラップを利用して魔物を倒す、みたいなことは出来ないらしい。
延々と荷物がいっぱいになるまで戦闘を続ける。耐久力の低い魔物を狙ってハルも弓で参戦し始めている。
ハルはメインウェポンを弓に設定しているけど、近接戦闘を捨てるわけじゃない。異風の旋律は少人数パーティだし、近接戦闘は全員がある程度こなせないといけない。
弓が得意、なら問題ないけど、弓しか使えないのは困る。弓使いでも攻撃魔法使いでも、いざという時のための最低限の身のこなし方は覚えるべきだ。
荷物が一杯になったので帰還する。
戦闘中にも魔力の消費が多いので、今までよりもスキップの負担が激しい。49階層までは戦闘中でも魔力を節約して、帰る頃にはかなり回復できていただけに、グランドドラゴンが追加されただけで、どれほど難易度が上がってるかという証明になる。あいつだけ飛び抜けて強い気がするわ。
50階層のみを回った結果、1度の探索でSPが380くらい増えてる。3度の探索を行えば、1日で1000以上のSPを獲得できるわけだ。そりゃ50階層に来る前に色々スキル獲得してる想定になるよなぁ。
チート能力者が経験値にならないのがほんと、割りに合わないってレベルじゃねーぞ!
オーサンは俺たちが強くなるのが早すぎるとか言っていたけど、少人数だからSPの獲得量が多いって理由はあるかもしれない。
例えば栄光の運び手は、元々5~8人くらいの3つの団体がまとまって18人になったパーティだ。5人で潜っている俺たちと比べて、1人当たりのSP獲得量は、3分の1以下になってしまうと思われる。
逆に言うと、速水や内田のような攻撃系チート能力者がソロで迷宮を攻略した場合、俺たちの5倍以上のスピードでSPを獲得できる計算になる。ふわわとつららへの経験値分配は今イチよく分からないけど。
冒険者ギルドで換金を済ませ、朝に寄れなかった商工ギルドに移動する。他のメンバーは俺の魔力回復を待つ間も冒険者ギルドで訓練するらしい。カンパニー参加者もまだ訓練を続けていたし、交流したいのかもね。
「ポポリポさんこんちゃーす。朝来れなくてごめんごめん」
「ああトーマさん。別に約束があるわけじゃないし気にしないでいいのよ。
とりあえず紹介だけなら何件もあるけど、トーマさんが既に購入した物件に近い建物を抜粋してみたのさ。早速案内させてもらうよ」
案内してもらった物件は2つ。自宅近くの少し広めな平屋と、宿舎の近くの元商店のなかなか広い平屋だ。2階建ての建物って珍しくはないけど比較的少ないんだよな。ジーンさんとリンシアさんは、若い頃結構苦労したんじゃなかろうか。
2軒とも購入を決める。2つで563万リーフと、4つ同時購入した宿舎よりも高額だった。ベイクでの不動産の価値は広さが基本で、両方ともそこそこ広い物件なのでお高くなっている。宿舎4つの合計なら宿舎のほうが広いのに不思議なもんだ。
「ポポリポさんありがとね。物件探しはとりあえず終わりでいいよ。これ以上買っても住む人が足りなくなりそうだ。今回買った物件はそこそこ広いしね」
「予算的な理由での中断じゃないってのが恐ろしいねぇ。でも商工ギルド的にもかなり儲かったから、私としてもホクホクだよ。
ここだけの話、商工ギルドはトーマさんのカンパニーの話を聞いて、トーマさんを3等級に上げるかどうか検討してるんだ。カンパニーの参加者からお金を取っているんだろ?それを商売とみなすかどうか、ってことだね」
「ああ、確かに商売に見えなくもないな。でもまぁ俺としてはどっちでもいいよ。あくまで冒険者のほうがメインだからね」
商工ギルドを出て、一旦自宅に戻る。
自宅は正に増改築の真っ最中で、大工さんたちが忙しく動き回っている。
ジーンさんは大工さんへの対応、リンシアさんとリーネは読み書きの授業をしているようだ。
一旦3人を連れ出して今回購入した物件に案内。3人で建物内を洗浄してもらう。覚えたてとはいえ燃費の良い生活魔法。2軒の洗浄が完了しても、3人が魔力切れを起こすことは無かった。
「とりあえず鍵はジーンさんが持っておいて。入居者が決まったら渡してね。急に付き合わせてごめんね」
3人と別れ、冒険者ギルドの訓練場で仲間と合流する。
「トーマ。用事は終わったのー?」
「まぁね。それでカンパニーの新規参加者はどんな感じ?」
「ん~、特に問題は起きてないよー。みんな素直に言うことを聞いてくれるねー。
私達のほうが等級的にも上だし、大人の人たちも真面目に訓練に参加してくれてるかなー」
なるほど。等級は社会的信用に直結するのか。なら希望者には昇級試験受けさせてもいいかもなぁ。
カンパニーのみんなに、日没後俺たちが戻ったら自宅に案内して夕飯を用意を配給、カンパニー参加料金は明日からで、今日の分はサービスということにした。俺もユリンさんには食事をサービスしてもらったもんな。
その後2回探索をこなし、今日の探索を終了した。
朝に色々あったせいで、日没を過ぎてしまったな。
夕飯が遅れてしまってちょっと申し訳なかった。
不意の事故にだけ気をつけながら戦闘をこなしていく。トラップに気付かず踏んでしまったりとかしたら、一気に戦線が崩れかねない。
魔力感知でトラップを発見することに慣れてきたけど、どうやらトラップは魔物が触れても作動してくれないんだよな。トラップを利用して魔物を倒す、みたいなことは出来ないらしい。
延々と荷物がいっぱいになるまで戦闘を続ける。耐久力の低い魔物を狙ってハルも弓で参戦し始めている。
ハルはメインウェポンを弓に設定しているけど、近接戦闘を捨てるわけじゃない。異風の旋律は少人数パーティだし、近接戦闘は全員がある程度こなせないといけない。
弓が得意、なら問題ないけど、弓しか使えないのは困る。弓使いでも攻撃魔法使いでも、いざという時のための最低限の身のこなし方は覚えるべきだ。
荷物が一杯になったので帰還する。
戦闘中にも魔力の消費が多いので、今までよりもスキップの負担が激しい。49階層までは戦闘中でも魔力を節約して、帰る頃にはかなり回復できていただけに、グランドドラゴンが追加されただけで、どれほど難易度が上がってるかという証明になる。あいつだけ飛び抜けて強い気がするわ。
50階層のみを回った結果、1度の探索でSPが380くらい増えてる。3度の探索を行えば、1日で1000以上のSPを獲得できるわけだ。そりゃ50階層に来る前に色々スキル獲得してる想定になるよなぁ。
チート能力者が経験値にならないのがほんと、割りに合わないってレベルじゃねーぞ!
オーサンは俺たちが強くなるのが早すぎるとか言っていたけど、少人数だからSPの獲得量が多いって理由はあるかもしれない。
例えば栄光の運び手は、元々5~8人くらいの3つの団体がまとまって18人になったパーティだ。5人で潜っている俺たちと比べて、1人当たりのSP獲得量は、3分の1以下になってしまうと思われる。
逆に言うと、速水や内田のような攻撃系チート能力者がソロで迷宮を攻略した場合、俺たちの5倍以上のスピードでSPを獲得できる計算になる。ふわわとつららへの経験値分配は今イチよく分からないけど。
冒険者ギルドで換金を済ませ、朝に寄れなかった商工ギルドに移動する。他のメンバーは俺の魔力回復を待つ間も冒険者ギルドで訓練するらしい。カンパニー参加者もまだ訓練を続けていたし、交流したいのかもね。
「ポポリポさんこんちゃーす。朝来れなくてごめんごめん」
「ああトーマさん。別に約束があるわけじゃないし気にしないでいいのよ。
とりあえず紹介だけなら何件もあるけど、トーマさんが既に購入した物件に近い建物を抜粋してみたのさ。早速案内させてもらうよ」
案内してもらった物件は2つ。自宅近くの少し広めな平屋と、宿舎の近くの元商店のなかなか広い平屋だ。2階建ての建物って珍しくはないけど比較的少ないんだよな。ジーンさんとリンシアさんは、若い頃結構苦労したんじゃなかろうか。
2軒とも購入を決める。2つで563万リーフと、4つ同時購入した宿舎よりも高額だった。ベイクでの不動産の価値は広さが基本で、両方ともそこそこ広い物件なのでお高くなっている。宿舎4つの合計なら宿舎のほうが広いのに不思議なもんだ。
「ポポリポさんありがとね。物件探しはとりあえず終わりでいいよ。これ以上買っても住む人が足りなくなりそうだ。今回買った物件はそこそこ広いしね」
「予算的な理由での中断じゃないってのが恐ろしいねぇ。でも商工ギルド的にもかなり儲かったから、私としてもホクホクだよ。
ここだけの話、商工ギルドはトーマさんのカンパニーの話を聞いて、トーマさんを3等級に上げるかどうか検討してるんだ。カンパニーの参加者からお金を取っているんだろ?それを商売とみなすかどうか、ってことだね」
「ああ、確かに商売に見えなくもないな。でもまぁ俺としてはどっちでもいいよ。あくまで冒険者のほうがメインだからね」
商工ギルドを出て、一旦自宅に戻る。
自宅は正に増改築の真っ最中で、大工さんたちが忙しく動き回っている。
ジーンさんは大工さんへの対応、リンシアさんとリーネは読み書きの授業をしているようだ。
一旦3人を連れ出して今回購入した物件に案内。3人で建物内を洗浄してもらう。覚えたてとはいえ燃費の良い生活魔法。2軒の洗浄が完了しても、3人が魔力切れを起こすことは無かった。
「とりあえず鍵はジーンさんが持っておいて。入居者が決まったら渡してね。急に付き合わせてごめんね」
3人と別れ、冒険者ギルドの訓練場で仲間と合流する。
「トーマ。用事は終わったのー?」
「まぁね。それでカンパニーの新規参加者はどんな感じ?」
「ん~、特に問題は起きてないよー。みんな素直に言うことを聞いてくれるねー。
私達のほうが等級的にも上だし、大人の人たちも真面目に訓練に参加してくれてるかなー」
なるほど。等級は社会的信用に直結するのか。なら希望者には昇級試験受けさせてもいいかもなぁ。
カンパニーのみんなに、日没後俺たちが戻ったら自宅に案内して夕飯を用意を配給、カンパニー参加料金は明日からで、今日の分はサービスということにした。俺もユリンさんには食事をサービスしてもらったもんな。
その後2回探索をこなし、今日の探索を終了した。
朝に色々あったせいで、日没を過ぎてしまったな。
夕飯が遅れてしまってちょっと申し訳なかった。
1
あなたにおすすめの小説
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる