異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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7章 更なる強さを求めて

閑話020 神様はドジっ子? ※?視点

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「異世界で第二の人生を歩んでは見ませんか?
 異世界で生きていけるように、1つだけで願いを叶えて差し上げましょう」


 これはあれだな?
 いわゆる1つの異世界転移って奴だ。

 どうやって死んだのかは覚えていないが、俺は日本での生を終えたらしい。

 サブカルチャーは人並みに嗜んでいたけど、まさか自分が異世界に行くなんて、誰が想像できるってんだ?


 叶えてもらえる願いはたった1つ。堅実な能力を選ぶべきか。尖った能力を選ぶべきか。


 異世界転移?いや一度死んでるから転生か。
 異世界転生を持ちかけてきた神様は、思ったよりも親切で融通の利く相手だった。

 願いは1つしか叶えてもらえないけれど、質問すれば大概のことには答えてくれた。
 なんせこれから行くのは異世界だからな。事前の情報収集は欠かせないぜ。


 異世界転生を持ちかけられて、やっぱり参考にしたのは異世界転移、転生作品の数々だった。
 主人公が爽快に無双するチート物も好きだったし、スローライフ物も好きだった。

 そんな中でも俺が一番好きなジャンルは、ダンジョン運営系の作品だ。

 
 ダンジョンを運営してまったり引き篭もりのスローライフ。うん、これで行こう。

 冒険者にも憧れはあるんだけど、30手前のアラサーが、これから戦闘をこなしていくってのはハードルが高そうだからな。


「それでは神様。俺はダンジョンマスターになりたい!」

「申し訳ありません。ダンジョンマスターとはなんなのか、もう少し具体的に教えていただけますか?
 どのような能力を与えればいいのか説明していただけますか?」


 あ、そうだった。これから行く世界のダンジョンには主が居ないんだっけ。
 存在していない者を用意しろって言われても、神様だって困っちまうか。

 えっと、どう説明すればいいんだ?


「えっと、ダンジョンマスターっていうのは、つまりあれだよ。ダンジョンを自分の意のままに操れる存在ってことだよ!」

「なるほど!分かりやすい説明を感謝致します。それでは貴方には、迷宮を操る能力を授けましょう。宜しいでしょうか?」

「こっちこそありがとう!神様。俺立派なダンジョンマスターになって、異世界スローライフを満喫してみせるよ!」





「それがどうしてこうなったかなぁ……」


 異世界に来て、2週間くらい経っただろうか。俺は結局冒険者になって、毎日馬車馬の如く働く羽目になっている。

 ダンジョンを意のままに操る能力って、そうじゃない。そうじゃないんだって神様さぁ!

 そういえば最近の異世界物には、うっかりミスとかドジとか無能な神様の作品も結構あるよな。
 あの神様、ぶっちゃけハズレなんじゃね……?

 ただあの神様、親切だったのは間違いなくて、事前に確認した情報に嘘はなかった。
 おかげで能力が使えなくてもなんとか生き延びられている。


 俺は他人様に迷惑をかけるのはあまり好きじゃないんだよな。
 貰った能力は、神様には悪いけど封印するしか無さそうだ。


 しかしこの世界はいいな。確かリンカーズって言ってたっけ。
 働けば働いた分だけお金が稼げるし、気が乗らなければ休んだって文句は言われない。
 ま、その日の収入はなくなるんだけどな。

 全部が自己責任で完結してるから、日本と比べて楽でいい。

 それに、この世界は新たに創造された影響なのか、女性の美人率高いと思うんだよなぁ。
 金さえあれば一夫多妻でも全然問題ないみたいだし、お金を稼ぐ気にもなるってもんだ。


 始めは無理だと思った冒険者も思ったより楽しいし、貰った能力だけは残念だったけど、神様には感謝してもいいかもな。




「失礼します。ちょっとお時間宜しいですか?」


 そんな自由気ままな冒険者ライフを満喫していた俺に、やたらと身なりが良さそうな男が尋ねてきた。

 冒険者には見えねぇな?初対面だと思うけど。


「単刀直入にお聞きします。貴方はこの国の外から来た方で間違いないでしょうか?」


 ……んん???
 まぁ異世界から来たとは言えないが、この国の外から来たことには間違いないよな。

 なんて答えるかな。もし突っ込まれたら、ここはテンプレに倣って、遠い遠い東の国から来たとでも言っておけばいいか。


「出身がどこかは言えないけど、この国の外から来たのは間違いないぜ。それがどうかしたか?」

「おお!それはそれはよう御座いました。実は我が主は国の外の話が大好きでして。
 もしも外からきた人が居たら、ぜひとも話を伺いたいと言っているのですよ。
 もちろん無理強いは致しません。もし応じていただけるのなら報酬もちゃんとお支払い致します」


 ふぅん?話し相手になって欲しいってことか?
 貴族っぽい相手と会話するのは肩が凝りそうだけど、この人も腰が低くて強引なところもないし、信用してもいいかな?


「俺は自由気ままな冒険者だからよ。高貴な方に対する礼儀なんか持ち合わせてねぇぞ?
 アンタの主さんとやらの不興は買いたくねぇんだが」

「ご安心ください。我が主は高貴なお方ではなく、少々商才があっただけの商人で御座いますから。
 普段から冒険者との交流も頻繁ですし、我が主も高貴な方々の相手はあまり好きではないので。きっと御二人は気が合うと思いますよ。
 流石に今すぐ返事をしてもらう必要はありません。後日また参りますので、その時にお返事いただければと思います。
 それではまたお会いしましょう」


 なるほど。商人なのか。まぁ男の感じからして、かなりの大商人なんだろうな。
 商人なら国の外に感心が向いてもおかしくない。情報ってのは商売人には重要だろう。


 そういえば異世界物では、偶然大商人と知り合う作品って多いよな。


 おいおい。俺もとうとう主人公になる流れか?
 まったく勘弁してくれよ。俺の能力は気軽に使えるもんじゃねぇってのによ。

 ま、神様が言うには、簡単に他人のステータスを覗く方法はないって話だったからな。
 俺が黙っている限り、特殊な能力を持っていることがバレることはないだろ。


 ただまぁ、大商人を満足させられる話題なんかねぇんだよな。
 ま、使用人の感じも良かったし、一度くらい会ってみるのも悪かぁねぇかな?
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