218 / 580
7章 更なる強さを求めて
閑話020 神様はドジっ子? ※?視点
しおりを挟む
「異世界で第二の人生を歩んでは見ませんか?
異世界で生きていけるように、1つだけで願いを叶えて差し上げましょう」
これはあれだな?
いわゆる1つの異世界転移って奴だ。
どうやって死んだのかは覚えていないが、俺は日本での生を終えたらしい。
サブカルチャーは人並みに嗜んでいたけど、まさか自分が異世界に行くなんて、誰が想像できるってんだ?
叶えてもらえる願いはたった1つ。堅実な能力を選ぶべきか。尖った能力を選ぶべきか。
異世界転移?いや一度死んでるから転生か。
異世界転生を持ちかけてきた神様は、思ったよりも親切で融通の利く相手だった。
願いは1つしか叶えてもらえないけれど、質問すれば大概のことには答えてくれた。
なんせこれから行くのは異世界だからな。事前の情報収集は欠かせないぜ。
異世界転生を持ちかけられて、やっぱり参考にしたのは異世界転移、転生作品の数々だった。
主人公が爽快に無双するチート物も好きだったし、スローライフ物も好きだった。
そんな中でも俺が一番好きなジャンルは、ダンジョン運営系の作品だ。
ダンジョンを運営してまったり引き篭もりのスローライフ。うん、これで行こう。
冒険者にも憧れはあるんだけど、30手前のアラサーが、これから戦闘をこなしていくってのはハードルが高そうだからな。
「それでは神様。俺はダンジョンマスターになりたい!」
「申し訳ありません。ダンジョンマスターとはなんなのか、もう少し具体的に教えていただけますか?
どのような能力を与えればいいのか説明していただけますか?」
あ、そうだった。これから行く世界のダンジョンには主が居ないんだっけ。
存在していない者を用意しろって言われても、神様だって困っちまうか。
えっと、どう説明すればいいんだ?
「えっと、ダンジョンマスターっていうのは、つまりあれだよ。ダンジョンを自分の意のままに操れる存在ってことだよ!」
「なるほど!分かりやすい説明を感謝致します。それでは貴方には、迷宮を操る能力を授けましょう。宜しいでしょうか?」
「こっちこそありがとう!神様。俺立派なダンジョンマスターになって、異世界スローライフを満喫してみせるよ!」
「それがどうしてこうなったかなぁ……」
異世界に来て、2週間くらい経っただろうか。俺は結局冒険者になって、毎日馬車馬の如く働く羽目になっている。
ダンジョンを意のままに操る能力って、そうじゃない。そうじゃないんだって神様さぁ!
そういえば最近の異世界物には、うっかりミスとかドジとか無能な神様の作品も結構あるよな。
あの神様、ぶっちゃけハズレなんじゃね……?
ただあの神様、親切だったのは間違いなくて、事前に確認した情報に嘘はなかった。
おかげで能力が使えなくてもなんとか生き延びられている。
俺は他人様に迷惑をかけるのはあまり好きじゃないんだよな。
貰った能力は、神様には悪いけど封印するしか無さそうだ。
しかしこの世界はいいな。確かリンカーズって言ってたっけ。
働けば働いた分だけお金が稼げるし、気が乗らなければ休んだって文句は言われない。
ま、その日の収入はなくなるんだけどな。
全部が自己責任で完結してるから、日本と比べて楽でいい。
それに、この世界は新たに創造された影響なのか、女性の美人率高いと思うんだよなぁ。
金さえあれば一夫多妻でも全然問題ないみたいだし、お金を稼ぐ気にもなるってもんだ。
始めは無理だと思った冒険者も思ったより楽しいし、貰った能力だけは残念だったけど、神様には感謝してもいいかもな。
「失礼します。ちょっとお時間宜しいですか?」
そんな自由気ままな冒険者ライフを満喫していた俺に、やたらと身なりが良さそうな男が尋ねてきた。
冒険者には見えねぇな?初対面だと思うけど。
「単刀直入にお聞きします。貴方はこの国の外から来た方で間違いないでしょうか?」
……んん???
まぁ異世界から来たとは言えないが、この国の外から来たことには間違いないよな。
なんて答えるかな。もし突っ込まれたら、ここはテンプレに倣って、遠い遠い東の国から来たとでも言っておけばいいか。
「出身がどこかは言えないけど、この国の外から来たのは間違いないぜ。それがどうかしたか?」
「おお!それはそれはよう御座いました。実は我が主は国の外の話が大好きでして。
もしも外からきた人が居たら、ぜひとも話を伺いたいと言っているのですよ。
もちろん無理強いは致しません。もし応じていただけるのなら報酬もちゃんとお支払い致します」
ふぅん?話し相手になって欲しいってことか?
貴族っぽい相手と会話するのは肩が凝りそうだけど、この人も腰が低くて強引なところもないし、信用してもいいかな?
「俺は自由気ままな冒険者だからよ。高貴な方に対する礼儀なんか持ち合わせてねぇぞ?
アンタの主さんとやらの不興は買いたくねぇんだが」
「ご安心ください。我が主は高貴なお方ではなく、少々商才があっただけの商人で御座いますから。
普段から冒険者との交流も頻繁ですし、我が主も高貴な方々の相手はあまり好きではないので。きっと御二人は気が合うと思いますよ。
流石に今すぐ返事をしてもらう必要はありません。後日また参りますので、その時にお返事いただければと思います。
それではまたお会いしましょう」
なるほど。商人なのか。まぁ男の感じからして、かなりの大商人なんだろうな。
商人なら国の外に感心が向いてもおかしくない。情報ってのは商売人には重要だろう。
そういえば異世界物では、偶然大商人と知り合う作品って多いよな。
おいおい。俺もとうとう主人公になる流れか?
まったく勘弁してくれよ。俺の能力は気軽に使えるもんじゃねぇってのによ。
ま、神様が言うには、簡単に他人のステータスを覗く方法はないって話だったからな。
俺が黙っている限り、特殊な能力を持っていることがバレることはないだろ。
ただまぁ、大商人を満足させられる話題なんかねぇんだよな。
ま、使用人の感じも良かったし、一度くらい会ってみるのも悪かぁねぇかな?
異世界で生きていけるように、1つだけで願いを叶えて差し上げましょう」
これはあれだな?
いわゆる1つの異世界転移って奴だ。
どうやって死んだのかは覚えていないが、俺は日本での生を終えたらしい。
サブカルチャーは人並みに嗜んでいたけど、まさか自分が異世界に行くなんて、誰が想像できるってんだ?
叶えてもらえる願いはたった1つ。堅実な能力を選ぶべきか。尖った能力を選ぶべきか。
異世界転移?いや一度死んでるから転生か。
異世界転生を持ちかけてきた神様は、思ったよりも親切で融通の利く相手だった。
願いは1つしか叶えてもらえないけれど、質問すれば大概のことには答えてくれた。
なんせこれから行くのは異世界だからな。事前の情報収集は欠かせないぜ。
異世界転生を持ちかけられて、やっぱり参考にしたのは異世界転移、転生作品の数々だった。
主人公が爽快に無双するチート物も好きだったし、スローライフ物も好きだった。
そんな中でも俺が一番好きなジャンルは、ダンジョン運営系の作品だ。
ダンジョンを運営してまったり引き篭もりのスローライフ。うん、これで行こう。
冒険者にも憧れはあるんだけど、30手前のアラサーが、これから戦闘をこなしていくってのはハードルが高そうだからな。
「それでは神様。俺はダンジョンマスターになりたい!」
「申し訳ありません。ダンジョンマスターとはなんなのか、もう少し具体的に教えていただけますか?
どのような能力を与えればいいのか説明していただけますか?」
あ、そうだった。これから行く世界のダンジョンには主が居ないんだっけ。
存在していない者を用意しろって言われても、神様だって困っちまうか。
えっと、どう説明すればいいんだ?
「えっと、ダンジョンマスターっていうのは、つまりあれだよ。ダンジョンを自分の意のままに操れる存在ってことだよ!」
「なるほど!分かりやすい説明を感謝致します。それでは貴方には、迷宮を操る能力を授けましょう。宜しいでしょうか?」
「こっちこそありがとう!神様。俺立派なダンジョンマスターになって、異世界スローライフを満喫してみせるよ!」
「それがどうしてこうなったかなぁ……」
異世界に来て、2週間くらい経っただろうか。俺は結局冒険者になって、毎日馬車馬の如く働く羽目になっている。
ダンジョンを意のままに操る能力って、そうじゃない。そうじゃないんだって神様さぁ!
そういえば最近の異世界物には、うっかりミスとかドジとか無能な神様の作品も結構あるよな。
あの神様、ぶっちゃけハズレなんじゃね……?
ただあの神様、親切だったのは間違いなくて、事前に確認した情報に嘘はなかった。
おかげで能力が使えなくてもなんとか生き延びられている。
俺は他人様に迷惑をかけるのはあまり好きじゃないんだよな。
貰った能力は、神様には悪いけど封印するしか無さそうだ。
しかしこの世界はいいな。確かリンカーズって言ってたっけ。
働けば働いた分だけお金が稼げるし、気が乗らなければ休んだって文句は言われない。
ま、その日の収入はなくなるんだけどな。
全部が自己責任で完結してるから、日本と比べて楽でいい。
それに、この世界は新たに創造された影響なのか、女性の美人率高いと思うんだよなぁ。
金さえあれば一夫多妻でも全然問題ないみたいだし、お金を稼ぐ気にもなるってもんだ。
始めは無理だと思った冒険者も思ったより楽しいし、貰った能力だけは残念だったけど、神様には感謝してもいいかもな。
「失礼します。ちょっとお時間宜しいですか?」
そんな自由気ままな冒険者ライフを満喫していた俺に、やたらと身なりが良さそうな男が尋ねてきた。
冒険者には見えねぇな?初対面だと思うけど。
「単刀直入にお聞きします。貴方はこの国の外から来た方で間違いないでしょうか?」
……んん???
まぁ異世界から来たとは言えないが、この国の外から来たことには間違いないよな。
なんて答えるかな。もし突っ込まれたら、ここはテンプレに倣って、遠い遠い東の国から来たとでも言っておけばいいか。
「出身がどこかは言えないけど、この国の外から来たのは間違いないぜ。それがどうかしたか?」
「おお!それはそれはよう御座いました。実は我が主は国の外の話が大好きでして。
もしも外からきた人が居たら、ぜひとも話を伺いたいと言っているのですよ。
もちろん無理強いは致しません。もし応じていただけるのなら報酬もちゃんとお支払い致します」
ふぅん?話し相手になって欲しいってことか?
貴族っぽい相手と会話するのは肩が凝りそうだけど、この人も腰が低くて強引なところもないし、信用してもいいかな?
「俺は自由気ままな冒険者だからよ。高貴な方に対する礼儀なんか持ち合わせてねぇぞ?
アンタの主さんとやらの不興は買いたくねぇんだが」
「ご安心ください。我が主は高貴なお方ではなく、少々商才があっただけの商人で御座いますから。
普段から冒険者との交流も頻繁ですし、我が主も高貴な方々の相手はあまり好きではないので。きっと御二人は気が合うと思いますよ。
流石に今すぐ返事をしてもらう必要はありません。後日また参りますので、その時にお返事いただければと思います。
それではまたお会いしましょう」
なるほど。商人なのか。まぁ男の感じからして、かなりの大商人なんだろうな。
商人なら国の外に感心が向いてもおかしくない。情報ってのは商売人には重要だろう。
そういえば異世界物では、偶然大商人と知り合う作品って多いよな。
おいおい。俺もとうとう主人公になる流れか?
まったく勘弁してくれよ。俺の能力は気軽に使えるもんじゃねぇってのによ。
ま、神様が言うには、簡単に他人のステータスを覗く方法はないって話だったからな。
俺が黙っている限り、特殊な能力を持っていることがバレることはないだろ。
ただまぁ、大商人を満足させられる話題なんかねぇんだよな。
ま、使用人の感じも良かったし、一度くらい会ってみるのも悪かぁねぇかな?
1
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる