227 / 580
7章 更なる強さを求めて
198 ヴェルトーガ再訪
しおりを挟む
「ま、今日のところは帰るよ。マーサも頭ぐちゃぐちゃだろ?」
失恋した女性は落としやすいとか聞いたことあるけど、もう嫁を増やす気も無いしな。放置するに限る。
「ああ、実際私も今日すぐにここを出るってワケにはいかねぇからな。この街で育った職人として、ちゃんと筋は通さなきゃなんねぇ。
わりぃけど、また明日来てくんねえかな。できれば早い時間の方がいい。
それまでに話つけとくからよ」
「一応確認しておくか。話をつける相手って、どこに話をつけに行くんだ?」
「ああ?挨拶にジジイのところに顔出して、商工ギルドで職人等級を返上してくるんだよ。
これをすっと、もう素材を卸して貰えなくなるんだがよ。今だって素材が回ってこねぇんだから同じだ。
どっちにしてもトーマにゃあ自力で素材を集めさせることになっちまってわりぃんだけどな」
「それは気にしなくていいよ。俺の作業量としては変わらないわけだし。
じゃあもしも明日尋ねてきた時にマーサが居なかった場合は、トレポール工房だったかと、商工ギルドのどっちかに居ると思えばいいんだな?」
「不穏なことを言うんじゃねぇよ。まぁそのどっちかに居るだろうぜ」
明日また来るということで、今日のところは退散することにした。
いやはや、まさかこんな展開になるとは、おっさんびっくりだよ。
なんかなぁ。さっきの話を聞いてしまうと、今までは気持ちよく聞いていた金槌の音も気分悪くなっちゃうよ。消音しちゃおう。
こんな街に長居してもしゃーないな、もうとっととゲート使ってみっか。実は初使用だしな。
ゲートを発動する。
うおおおお!?
これってゲートが開くまで結構時間かかるのに、その間ずっと魔力が消費され続けんのかよ!?
多分もつとは思うけど、結構な消費量じゃねぇのかこれは。
ゲートが開く。まぁ気持ち悪さを感じる手前くらいで開いたな。スキップ2回以上の魔力消費な気がする。
ここから更に通過するほど魔力減るってマジ?
意を決してゲートを通過する。
あ、あれ?思ったほどの消費じゃないな。攻撃魔法1発分以下だ。
確か通行人数が増えるほどに魔力消費も増えるんだったな。
1人で移動するのは問題なかったけど、パーティで移動するのはどうなんだろうなぁ……。
ま、そんなこんなでヴェルトーガに到着しました。
いきなりタイデリア家を訪れるのは失礼にあたりそうだからな。冒険者ギルドにいって連絡取ってもらうのがいいか。
「おお、トーマじゃねぇか!また来いよたぁ言ったけどよ。来るの早すぎだろ!」
がっはっは!と豪快に笑うピリカトさんに、タイデリア家への伝言を頼むことにしよう。
「ちょっと用事があってね。出来ればタイデリア家に連絡を取りたいんだ。訪問の約束を取り付けてもらえないかな?」
「その必要はありませんよトーマさん」
唐突な返事に目を向けると、なんとスカーさんが出てくるではないか。
センサーに引っかからないのはもういいとして、タイミング良過ぎだろ。
絶対監視されてたんだろうな。多分ターミナルに出た人間をチェックしてるんだろう。
「どうもスカーさん。ちょっとディオーヌ様にお願いがあってね。出来れば会う約束を取り付けたいんだけど、大丈夫かな?」
「シンくんが一緒じゃないと嫌がりそうではありますけどね。一応先に、どのようなご用件か伺っても?」
「ああ、ちょっと王国中の魔物素材を集める必要性が出てきてね。魔物の種類や分布に詳しい、研究者とか学者みたいな人を紹介してもらえないかなぁと思ってさ。
俺の知り合いの中では、ディオーヌ様が間違いなく一番顔が広いだろうって思ってね」
「魔物素材が必要ならば、ミルズレンダに行けば良いのでは?あそこには王国全土から最高級の素材が集まりますよ」
「いやいやそれがさぁ。聞いてくれる?」
スカーさんにマーサの話を簡単に説明する。
最高峰の腕を持っているのに、街に嫌われて素材を卸してもらえない一流の職人が居ると。
ちなみにスキルのためだとは言わない。
「そんな話があるのですねぇ……。
まぁ普通の冒険者なら自力での素材集めなんて無謀すぎますけど、トーマさんはゲートが使えますからね。むしろ欲しい素材があれば、入荷するよりも狩りに行った方が効率が良いかもしれませんね。
それではこれから一緒に屋敷へ参りましょうか」
「へ?流石に今日いきなり会えるとは思ってなかったんだけど?」
「いやそれがですね。トーマさん、ベイクで何かやってるでしょう?ディオーヌ様が関心を持っておられましてね。機会があればお話を伺いたいと仰っていたんですよ。
それに……、ちょっとトーマさんの耳に入れておいたほうが良さそうな情報もありまして」
最後の一言だけ、露骨に声を潜めて伝えてくる。
「うっへぇ……。絶対異邦人絡みの厄介事っしょ。
ただまぁ、俺が来るまで待ってたって事は緊急性は無いのかな?
ま、ディオーヌ様に会えるならこっちもありがたいし、お願いしていいかなスカーさん」
「ええ、まだ何かが起こっているという話ではありませんからね。私たちのほうで調査をしているという段階ですので、多分に予想も含まれる情報ですから。
現段階でトーマさんに動いて欲しい訳ではないですし、どう動いてもらうべきかも分かりませんから。
ですが一応、お耳にだけは入れておくべきかな、と。
では表に馬車がおりますので、早速向かいましょう」
連行する気満々じゃねーか!だったら普通にそっちから声かけてくればいいじゃんもう!
はぁ~なに聞かされるんだろうなぁ……。
馬車に乗る前にもう1回ジェネレイトかけ直しとこ。
バフが切れないように、無駄に上書きしまくるバッファーっているよね。俺です。
失恋した女性は落としやすいとか聞いたことあるけど、もう嫁を増やす気も無いしな。放置するに限る。
「ああ、実際私も今日すぐにここを出るってワケにはいかねぇからな。この街で育った職人として、ちゃんと筋は通さなきゃなんねぇ。
わりぃけど、また明日来てくんねえかな。できれば早い時間の方がいい。
それまでに話つけとくからよ」
「一応確認しておくか。話をつける相手って、どこに話をつけに行くんだ?」
「ああ?挨拶にジジイのところに顔出して、商工ギルドで職人等級を返上してくるんだよ。
これをすっと、もう素材を卸して貰えなくなるんだがよ。今だって素材が回ってこねぇんだから同じだ。
どっちにしてもトーマにゃあ自力で素材を集めさせることになっちまってわりぃんだけどな」
「それは気にしなくていいよ。俺の作業量としては変わらないわけだし。
じゃあもしも明日尋ねてきた時にマーサが居なかった場合は、トレポール工房だったかと、商工ギルドのどっちかに居ると思えばいいんだな?」
「不穏なことを言うんじゃねぇよ。まぁそのどっちかに居るだろうぜ」
明日また来るということで、今日のところは退散することにした。
いやはや、まさかこんな展開になるとは、おっさんびっくりだよ。
なんかなぁ。さっきの話を聞いてしまうと、今までは気持ちよく聞いていた金槌の音も気分悪くなっちゃうよ。消音しちゃおう。
こんな街に長居してもしゃーないな、もうとっととゲート使ってみっか。実は初使用だしな。
ゲートを発動する。
うおおおお!?
これってゲートが開くまで結構時間かかるのに、その間ずっと魔力が消費され続けんのかよ!?
多分もつとは思うけど、結構な消費量じゃねぇのかこれは。
ゲートが開く。まぁ気持ち悪さを感じる手前くらいで開いたな。スキップ2回以上の魔力消費な気がする。
ここから更に通過するほど魔力減るってマジ?
意を決してゲートを通過する。
あ、あれ?思ったほどの消費じゃないな。攻撃魔法1発分以下だ。
確か通行人数が増えるほどに魔力消費も増えるんだったな。
1人で移動するのは問題なかったけど、パーティで移動するのはどうなんだろうなぁ……。
ま、そんなこんなでヴェルトーガに到着しました。
いきなりタイデリア家を訪れるのは失礼にあたりそうだからな。冒険者ギルドにいって連絡取ってもらうのがいいか。
「おお、トーマじゃねぇか!また来いよたぁ言ったけどよ。来るの早すぎだろ!」
がっはっは!と豪快に笑うピリカトさんに、タイデリア家への伝言を頼むことにしよう。
「ちょっと用事があってね。出来ればタイデリア家に連絡を取りたいんだ。訪問の約束を取り付けてもらえないかな?」
「その必要はありませんよトーマさん」
唐突な返事に目を向けると、なんとスカーさんが出てくるではないか。
センサーに引っかからないのはもういいとして、タイミング良過ぎだろ。
絶対監視されてたんだろうな。多分ターミナルに出た人間をチェックしてるんだろう。
「どうもスカーさん。ちょっとディオーヌ様にお願いがあってね。出来れば会う約束を取り付けたいんだけど、大丈夫かな?」
「シンくんが一緒じゃないと嫌がりそうではありますけどね。一応先に、どのようなご用件か伺っても?」
「ああ、ちょっと王国中の魔物素材を集める必要性が出てきてね。魔物の種類や分布に詳しい、研究者とか学者みたいな人を紹介してもらえないかなぁと思ってさ。
俺の知り合いの中では、ディオーヌ様が間違いなく一番顔が広いだろうって思ってね」
「魔物素材が必要ならば、ミルズレンダに行けば良いのでは?あそこには王国全土から最高級の素材が集まりますよ」
「いやいやそれがさぁ。聞いてくれる?」
スカーさんにマーサの話を簡単に説明する。
最高峰の腕を持っているのに、街に嫌われて素材を卸してもらえない一流の職人が居ると。
ちなみにスキルのためだとは言わない。
「そんな話があるのですねぇ……。
まぁ普通の冒険者なら自力での素材集めなんて無謀すぎますけど、トーマさんはゲートが使えますからね。むしろ欲しい素材があれば、入荷するよりも狩りに行った方が効率が良いかもしれませんね。
それではこれから一緒に屋敷へ参りましょうか」
「へ?流石に今日いきなり会えるとは思ってなかったんだけど?」
「いやそれがですね。トーマさん、ベイクで何かやってるでしょう?ディオーヌ様が関心を持っておられましてね。機会があればお話を伺いたいと仰っていたんですよ。
それに……、ちょっとトーマさんの耳に入れておいたほうが良さそうな情報もありまして」
最後の一言だけ、露骨に声を潜めて伝えてくる。
「うっへぇ……。絶対異邦人絡みの厄介事っしょ。
ただまぁ、俺が来るまで待ってたって事は緊急性は無いのかな?
ま、ディオーヌ様に会えるならこっちもありがたいし、お願いしていいかなスカーさん」
「ええ、まだ何かが起こっているという話ではありませんからね。私たちのほうで調査をしているという段階ですので、多分に予想も含まれる情報ですから。
現段階でトーマさんに動いて欲しい訳ではないですし、どう動いてもらうべきかも分かりませんから。
ですが一応、お耳にだけは入れておくべきかな、と。
では表に馬車がおりますので、早速向かいましょう」
連行する気満々じゃねーか!だったら普通にそっちから声かけてくればいいじゃんもう!
はぁ~なに聞かされるんだろうなぁ……。
馬車に乗る前にもう1回ジェネレイトかけ直しとこ。
バフが切れないように、無駄に上書きしまくるバッファーっているよね。俺です。
1
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる