異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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7章 更なる強さを求めて

207 耳長

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「そんじゃまぁ、マーサを連れて行くなら、どうせなら万端の状態のほうがいいよな?」


 転がったままのジジイの拘束を解く。


「さ、お爺ちゃん。今からマーサの職人等級戻して、素材の冷遇措置解除してもらうよ。
 それさえしてくれればお前は自由だ。今後も邪魔さえしなけりゃ好きにしろ。
 この期に及んでくだらねぇ真似してみろよ。その瞬間にお前の両腕はさようならってやつだ。
 加えて、トレポール工房もお前の代で滅亡させてやるよ。
 お前のせいだって大々的にミルズレンダ中に触れ回りながら、トレポール工房を破滅させてやる。
 歴史と伝統の工房が、お前1人のせいで一瞬で滅亡だ。
 恨まれるだろうなぁ。憎まれるだろうなぁ。今まで歴史を繋いできた先人達の業と教えが、お前たった1人のせいで潰えちまうんだ」


 無理矢理立たせて移動を促す。


「さ、とっとと動け。今言ったことが日没までに達成されなかった場合、トレポール工房と、工房が紡いできた歴史と技は今日で潰えることになる。お前のせいでな。
 一瞬だって待つつもりないから。お前の事情もミルズレンダのルールも関係ない。トレポール工房を潰したくなければ死に物狂いで達成するんだな。
 日没と同時に商工ギルドに確認に行くから。言い訳は一切聞かない。じゃ、がんばって」


 家の外に蹴りだす。ああ目障りだった。


「さて、じゃあ帰ろうか。日没頃に戻ってくればいいだろ。
 結果的に陽天の報せ前に終わったしな。迷宮行くか?」

「えっ!?ここで待つんじゃないのか!?」

「ここで待っても時間の無駄だろ。どうせゲートで行き来出来るんだから。
 マーサはリーネと相部屋かなぁ?
 あ、結果的にマーサが来てくれて良かったよ。ホムロに会わせなきゃいけなかったからさ」


 家の外に出てさっさとゲートを発動する。ジジイの姿はもう無かった。


「陽天の報せ前だし、日没までに2セットはいけるかな?トーマの魔力次第だけどどうかな?」

「多分いける。前衛は任せることになるけどな。マーサはホムロの店に置いていこう。会いたがってたからな」


 自分で使ってみて初めて知ったんだけど、別にゲートの発動中にお喋り禁止みたいな縛りは無いらしい。
 今までのゲート使いが発動中に喋らなかったから勘違いしてたわ。

  ゲートが開き、マーサを含めて全員でベイクに帰還する。


「そんじゃまずはマーサをホムロのところに連れて行くか。
 あ、そうだマーサ。恐らく日没のときはアルも出てくると思うからそのつもりでな」

「……ああ、分かってるよ。と、いうかよ。アイツもなんだろトーマ。
 アイツも、今回の件に1枚噛んでるんだよな……?」

「まぁ多分ね。恐らくジジイと何らかの取り決めでもあったんじゃないの?ま、あんな奴等どうでもいいよ。
 マーサがこれから会うのは、冒険者から見た最高の職人だぜ。職人共が身内で騒いでる等級に囚われない、冒険者のための武器屋だ。お前も先を見据えるなら勉強させてもらうんだな」

「ああ。トーマにそこまで言わせる職人だ。会うのが楽しみだぜ」


 マーサを連れてホムロの店へ。


「おっすホムロ。この人がこれからうちに来てもらうマーサルリシルだ」

「うっそだろテメェ!?トレポールの奇跡、生きるミルズレンダのマーサルシリルじゃねぇかっ!!」

「あ、知ってるなら話早いな。ちょっと店で預かっててくれる?日没前に迎えに来るから」

「いやいやいや!事情くらい説明しろって言ってんだよ!」

「それは本人に聞いてよ。じゃまた後でー」


 ホムロの店を出る。


「あっとトーマ。迷宮に入る話をしてたけど、狩人ギルドはどうするの?
 マ-サルシリルさんに関係なく、僕らは僕らで行く必要性があるよね?
 魔力の回復時間も取れるし、先に行ったほうがいいんじゃないの?」

「ん~……。いや、ミルズレンダにもう一度行かなきゃいけないし、探索直後にすぐ向かうよりは、狩人ギルドで気持ち休憩を挟んでから行った方が良くないか?あっちでなにがあるか、予想できないし」

「ん、そうか。確かにミルズレンダにはなるべく万全の状態で向かいたいね。じゃあトーマには負担をかけるけど、先に迷宮に行こうか。
 狩人ギルドに行くなら2セットは無理だね。残念だけど」


 ということで51階層へ向かう。

 1セット2回の探索を終えても、日没までにはまだかなり余裕がありそうだな。
 明日のために、52階層のフラグは立てておく。


 狩人ギルドに行く前に商工ギルドに寄って、ポポリポさんにウィルスレイア行きのゲートの予約と、家の近場でもう1軒物件を探してもらう。
 必要になるかはまだ不明だけど、どうせ金は余ってるしな。

 商工ギルドを出て、シンに狩人ギルドへ案内してもらう。
 当たり前だろうけど、迷宮じゃなくて街の出入り口に近い場所にあって、冒険者ギルドよりも建物がでかい。解体の必要性とかあるんだろうか。グロ注意?
 とりあえず中に入るか。


 内装は他のギルドと大差ないな。
 外観は広く見えたのに中の様子は変わらなく見えるってことは、やっぱ倉庫か何かがでかく作られてるのかね?

 冒険者ギルドに比べると人が多いな。比較的空いている受付に並ぶとするか。


「あ、あんたらここ初めてだろ?今日は何の用件だい?」


 受付は男性職員だった。人間にしか見えない。その横に長く伸びた耳以外は。


「ん?どしたの……って、この素敵な長耳を見たのが初めてなのか。いやぁ初々しいね。
 俺は狩人ギルド所属の『アートン』。このすらりと伸びた魅惑の耳を見れば分かると思うが『耳長族』だよ。
 よろしくな新人さん。狩人ギルドへようこそ」


 耳長族。そういうのもあるのか。

 人種扱いなのか亜人扱いなのか聞いてみたい。
 見た目的にはエルフって感じだけどな。いや、ハーフエルフかな?長身ってわけでもないし。
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