異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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7章 更なる強さを求めて

212 カンパニー活動報告

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 夕食も終わり、絶賛まったりタイム。
 今日から栄光の運び手は宿舎に移ったので、1階が広く感じる。


 毎日の夕食の時にカンパニー参加者から色々報告を受けるのだが、栄光の運び手はとうとう5階層の攻略を始めたらしい。
 キラーラットに少し戸惑っているらしいが、ホムロの助言に従ってしっかりと防具を調えてから進んだため、被弾することはあっても、殆ど怪我をすることがないらしい。

 新しく参加した子供たちは、3階層を回りながら少しずつ戦闘経験を積み、全身の防具を揃えて行く予定だそうだ。
 カンパニーの参加者が一気に3階層に駒を進めたため、2階層に人が減って競争率が激減したらしい。
 新規参加者の中で順番を作り、1階層と2階層に毎日1パーティずつ割り振ることで、3階層の競争の激化の緩和を図っているそうだ。これはジーンさんの提案とのこと。

 最終的に全員が4階層に進めるようになる頃には、各階層を回るパーティが分散して狩りの競争率は大幅に下がることだろう。


 大人組でポーターとして専属のパーティに参加していた3名は、スキルを覚えたことで正式にパーティ加入の運びとなり、近々カンパニーを退会する予定だ。
 魔装術と暗視を覚えれば迷宮では確実に戦力になれるのだから、この2つを覚えている冒険者をポーターとして雇うというのは宝の持ち腐れだからな。

 祝福の儀と識別の金貨6枚を回収する前に退会してしまうことになったが、こういうケースがあっても不思議ではないのだ。
 それに俺たちがスキル神殿を利用する時に便乗させただけなので、実質的には費用はかかっていないわけだし。

 大人組のソロ3人は未だにソロのまま、4階層でお金を稼ぎつつ、3階層で集団戦の戦闘経験を積んでいるらしい。
 音魔法で警戒しながら魔装術で戦うことにまだ不慣れなので、音魔法が安定して長時間使用できるようになるまでは、5階層に進むのはやめておくそうだ。
 流石にベテラン勢だけあって慎重だ。

 あの3人でパーティ組んだら面白そうだとは思うけれど、それは彼らの自由だからな。口出しはするまい。


 宿舎近くに購入してあった大きい物件も整備して、40人規模の受け入れが可能な宿舎になった。
 こちらはかなり収容人数が多いので、1つのパーティに使ってもらうのではなく、比較的若い年齢層の冒険者に共同生活してもらうことになった。
 ここでいう若い参加者というのは、まだ救貧院にお世話になっていた、冒険者になりたての10~12歳くらいの子供達だ。
 栄光の運び手も似たような年齢なので、大人組を除けばカンパニー全体の平均年齢は14歳を下回る。つうか俺がダントツで平均年齢引き上げてるんですよねぇ。


 栄光の運び手が5階層に進んだことにより、カンパニーに入る収入が1日に銀板を超えることになった。かなり順調な滑り出しだな。

 10歳を超えた子供たちを全て救貧院から引き取ることも出来たので、救貧院の運営状況も劇的に余裕が出たらしい。
 当初心配されていた人手不足も、まだ冒険者になることを許してもらえない子供達が積極的に手伝いに参加してくれるため、今のところ大きな問題にはなっていないそうだ。


 ベイクの宿泊施設や飲食店から苦情が入ることも想定していたのだが、意外なことにどちらも大した問題にはならなかった。
 飲食店からはむしろ感謝されていると聞いて驚いた。

 子供たちは今までお金が無かったので安宿に大人数で滞在していたため、人数の割には大した売り上げにはなっていなかったそうで、子供が多い宿を嫌うような客からは嫌がられていたらしい。
 安宿は常に誰かしらに需要があるそうで、洗浄も出来ない子供に大人数で宿泊されているのは悩みの種だったそうだ。それでも追い出したりしなかったのは素直に感心する。

 飲食店のほうは、お金の無い子供たちは今まで殆ど利用してくれなかったのだが、お金に余裕が出てきたことで頻繁に買い食いをしてくれるようになり、売り上げがかなり伸びたとのこと。
 食事を提供しているために飲食店の営業を妨害してしまったかな?とちょっと不安だったのだけれど、今まで子供たちは本当にお金が無くて何も出来なかったらしく、彼らにお金が回ることで、ベイク全体に新しいお金の流れが生まれつつあるらしかった。
 これがホムロの言っていた、ベイクの好景気の本質ってことか。


 こんなに景気が良くなるなら俺以外の誰かも真似してくれればいいものを、ベイクの、というかリヴァーブ王国の住人には将来性という概念があまり理解できないらしく、今現在戦う力を持たない子供達を育ててお金を生む、という考え方はかなり珍しいらしい。
 だからこそホムロのような考え方をする店は少なく、駆け出し冒険者は苦労する期間がとても長かったということだった。


 カズラさんから購入した各種上級ポーションは、3本ずつ俺のストレージに携帯しつつ、残りはカンパニー参加者に何かあったときのために自宅に置いておく事にした。
 緊急時にはカンパニー資金から魔法治療院を利用することも許可しているが、利用料金は使用したパーティに返済してもらうことになる。期限も利子も無いが、無料で利用させるのはかえって彼らのためにならないだろう。


 なんにしても、今まで貧困に喘いでいた子供達の生活水準を改善する事は、誰にも迷惑がかけることなく街全体の景気を好転させることが分かった。それにベイクはもう流れが出来つつある。
 ここはそろそろ別の街でもカンパニー活動の場を広めて行きたい所だ。
 カンパニーの活動が広がるほどにリヴァーブ全体の貧困層の状況が変わっていき、今までのパワーバランスが変化していくことだろう。
 忙しくて中々手が回せないが、なるべく早く色んな地域で活動を展開していきたいところだ。

 下地は出来つつある。後は発展させていくだけだ。

 これからはリヴァーブ王国に収まらない冒険の時代だ。
 

 その時代を楽しむためにも、着実に力をつけていかないとな。
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