異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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8章 異風の旋律

240 情報収集

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「つうわけで、今日からボールクローグへ向かおう。
 事態の解決までは基本的に向こうで滞在。メンバーは異風の旋律にリーネを加えた6名だ。
 マーサは何かあったらカンパニー資金でゲート利用して会いに来てくれ。
 一応5日程度ごとに、こっちに顔出しはする予定だ」


 朝食を食べながら、スカーさんとの会話をみんなに報告する。


「迷宮が急激に発生しているっていうのは、正直理解に苦しむところだけれど……。
 アリスの能力を考えれば、迷宮を人為的に発生させることも不可能ではない、っていう話にも説得力はあるよね」

「3等級以上に協力要請が出ているのに迷宮討伐が追いついてないってのも不安だねー。
 いったいどのくらいの速度で迷宮が増えているのか、しっかり把握しておきたいよねー」

「仮に人為的なものであったとして、原因の究明なんて出来るんでしょうか?異邦人を見つけたら片っ端から識別を受けさせる、とか?」

「うん。異邦人が原因だとしたら、特殊なスキルを持っている可能性が高いもんね。
 問題はどうやって異邦人を見つけるかだよね。黒髪とは限らないし」

「迷宮殺しでは役に立てないと思うけど、迷宮の外で手伝えることはあるよね……。
 一緒に行く以上、私もなにか役に立ってみせるからね……!」


 あとは現地に行ってみないとなんとも言えない所だな。

 迷宮殺しへの協力か。
 あまり他のパーティと連携するのって気が進まないんだけど、一体どうなることやら。


「じゃあご飯を食べたら早速出発だ。向こうに着いたらスカーさん辺りが接触してくるかもしれないけど、まずはスキル神殿に行ってスキルを取得しておこう。
 それが済んだら情報収集と現場への協力って感じかな。
 ヴェルトーガでの一件のこともある。異邦人が関わっているとしたら街中でも気を抜かないように」


 リーネに全員分のジェネレイトをかけてもらい、ゲートでボールクローグへ向かう。


「気をつけないと気付かないけど、少し街が騒がしく感じられるね」


 シンに言われて周りを見てみたけど、俺にはあんまり違いが分からない。シンはどこを見て騒がしいと判断したんだろ?


「確かに以前来たときと比べて武装している人が多いねー。それに迷宮じゃなくて街の外に向かっていく人も多いっぽいかなー?」


 あ、センパイ。解説ありがとうございます。


「うん。迎えとかはないみたいだね。なら忙しくなる前にスキル神殿に行っておきたいかな」

「そうですね。協力したあとは身動きが取れなくなる可能性もありますし、早速行きましょう」


 だな。それじゃあまずは予定通り祝福の儀を受けてこようか。




「やっぱり私は何も覚えられないかぁ……」


 識別まで終えたところでリーネがボヤいている。ま、リーネは前回の祝福の儀から魔物と戦ってないんだからしゃーない。


 皆は今回『攻撃範囲拡張:大』と『任意発動スキル強化』の2つを取得。ハルはそれに加えて『魔法薬作成』と『錬金術』も取得。仲間はずれは嫌なんだそうだ。
 
 俺は『攻撃範囲拡張:大』と『任意発動スキル強化』の2つに加えて、『魔力自然回復強化』と『魔法付加』の2つを取得。合計で220000SPが消し飛んだ。
 五感強化も気になるけれど、今回は他のスキルが必要すぎてSPが回せなかった。次回はぜひ狙って行きたい所だ。
 
 新しく表示されたスキルはこちら。



◆◆◆◆◆◆

『常時発動スキル強化』 (必要SP1000000)
常時発動型スキルの効果を高めることが出来る。
一部スキル対象外。


取得条件
自然治癒力強化、魔力自然回復強化、任意発動スキル強化の3つを取得すること。

◆◆◆◆◆◆



 必要SP100万ってのは流石に多すぎると思わなくもないけど、常時発動スキルの強化は強力すぎるもんなぁ。というか、最上位スキルみたいな位置付けになってそう。


 無事祝福の儀を済ませたので冒険者ギルドに向かう。そういえばボールクローグの冒険者ギルドって初めてだっけ。


「おう新顔か?ボールクローグに良く来たな。冒険者ギルドへは何の用だ?」

「俺たちは異風の旋律ってパーティなんだけど、俺たち宛てに依頼か伝言ないかな?」


 ムサい男性職員に確認してみる。


「じゃあちょっと身分証貸してくれ。
 ……ふむ、何もないみたいだな。待ち合わせかなにかか?」

「そんなところだよ。
 ボールクローグで人手が足りないから手伝ってくれって言われてきたんだけど、いったいなにが起きてるんだ?」

「お、応援の人員なのか。でも6等級かぁ。まぁ人手はいくらでも必要だわな。
 今よぉ。何故かボールクローグ近郊で、新しい迷宮が生まれまくってんだよ。
 だから迷宮を間引くために、多くの冒険者に力を貸してもらってるってぇわけだ。
 5等級、6等級の奴等は自由に動いていいぞ。上級の奴等が迷宮を殺しきるまでに、少しでも魔物を間引いてくれりゃあ充分だ」


 お、自由に動けるのはありがたいな。
 しかしあまり深刻そうな雰囲気を受けないな。切羽詰ってる感じじゃないのか?

 タイデリア家だけが危機感を募らせているのか、ボールクローグの住人の危機感が足りないのか。


「勝手に入ったら駄目な迷宮とか、優先して入るべき迷宮とかないのか?
 それと迷宮の位置情報とかも教えて欲しいんだけど」

「あぁん?外の迷宮は上級連中とカルネジア家のほうで対応してっから心配すんなって。
 6等級は大人しく街の中の迷宮で稼ぐんだな。欲をかくと死んじまうぞ?」


 ……自由に動いていいってそういう意味かよっ!


「そっか。まぁ俺を呼んだ相手を探してみるよ。じゃあね」

 
 これ以上話しても意味が無さそうだったので、会話を打ち切る。


「タイデリア家から依頼入ってると思ったんだけどな。冒険者ギルドでもこれ以上の収穫は無さそうだし、銀の乙女と連絡取ってみっか」

「そうだね。ここに居ても拉致があかない。
 銀の乙女は狩人3等級のメンバーもいるって言ってたから、詳しい話を聞いてるんじゃないかな。
 逆に言えば、拠点を留守にしている可能性もありそうだけど」


 んー、最悪なんの収穫もなかったら、ベイクに帰って迷宮に潜った方が良さそうだな。
 なんの情報も得られず動くに動けないのなら、時間の無駄でしかない。

 銀の乙女の拠点の場所は分かっているので、街を出て拠点に向かった。

 しかし街から結構離れてるよなぁ。ペルのためとはいえ、団員はそれなりに苦労してそうだ。


「ごめんくださーい!誰かいるー!?」


 音魔法で拡声までして挨拶したのに反応がない。どうやら留守っぽいか?


「んー銀の乙女も留守かなー?
 どうしようか。一旦街に戻るー?」

「無駄足でしたか。なんだか街にも緊張感がありませんし、あまり大変な状況になってるようには見えませんよね」

「うん。スカーさんの話だと一刻を争うってニュアンスだったのに、現地ではそこまで切羽詰ってないみたいだよね」

「んー、それじゃあボールクローグに戻って宿を確保して、銀の乙女に伝言を残しつつ、ボールクローグを観光でもするか。
 ぶっちゃけベイクに帰りたい気分ではあるけどな」


 ゲートを贅沢に使ってボールクローグにとんぼ返り。宿を確保して、冒険者ギルドと狩人ギルドに伝言を頼むことにする。


「ちょっと待ってくれ!あんたトーマさんか!?この前銀の乙女に依頼出した人だよな!?」


 前回来た時に銀の乙女を紹介してくれた狩人ギルドの職員さんが、俺たちに声をかけてきた。


「今ボールクローグは大変なんだよ!悪いけど話を聞いてくれないかな!?」


 あら?なんだか予想外の方向から話が進みそうな気配。

 迷宮関連だと思って冒険者ギルドにしか行かなかったのは失敗だったか。
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