異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
293 / 580
8章 異風の旋律

263 事態急転

しおりを挟む
「なんだ!?」


 宿の中も騒がしくなっている。
 こちとら地震大国日本から来た異邦人、地震自体には慣れているけれど、迷宮を狩り尽くしたと思われるタイミングでの地震発生は、関連性がない方が不自然だ。

 仲間と共に宿の外に出るが、外の人たちも不安そうにオロオロするばかりで、事態を把握している人が居るようには見えない。


「タイミング的には迷宮討伐に関連してると思うけど、どうするトーマ?
 事態の把握なら、冒険者ギルドか狩人ギルドに行くべきだと思う」
 

 シンはまず事態の把握が重要だという意見だな。
 全く持って正しいと思うけど、今すぐギルドに行っても情報が得られるとは考えにくいな。
 

「いや、俺たちは先にスキル神殿に行こう。
 なにが起こってるのかは不明だけど、今すぐギルドに行っても、恐らく混乱した人が溢れかえってるだけだと思う。
 祝福の儀を受けてからギルドに向かっても大差無いと思うんだ。
 それに事態によっては、迷宮討伐を成功させた冒険団、狩猟団で込み合う可能性がある」

「ん……、それもアリだね。でも事態が急を要する場合は、ギルドに顔を出さないのも危険だよね……。
 ごめんリーネ。1人で狩猟ギルドに顔を出して様子を見てきてくれないかな?
 もし一刻を争うような事態に見えたら、僕たちを呼びに来て欲しいんだ」

「は、はいっ。わかりましたっ……!
 狩猟ギルドなら知り合いもいるかも知れないし、スキル神殿の場所も分かってるし、大丈夫……!」


 なるほど。今回リーネは祝福の儀を受ける意味がないからな。
 流石シン。ファインプレーだ。


「では早速動きましょう。情報がありませんが、なるべく早くギルドに向かった方がいいことには変わりありません」

「だね。あ、ふわわとつららもリーネに付いてってあげてー!
 2人とも、リーネの事を守ってあげてね!」


 そっか。今回は2匹もほぼ迷宮に入ってないもんな。
 それに多少スキルの取得が可能だったとしても、2匹を戦力に数えることは出来ないし。
 
 2匹がフードから飛び降りてリーネに寄り添う。


「うん。それじゃ行こう。
 直接的に攻撃されてる感じじゃないけど、嫌な予感がするし」


 ハルの言葉を最後に、二手に分かれて動き出す。


「ハル。今SPはどのくらい貯まってる?」


 スキル神殿に向かって走る途中でハルに確認する。
 因みに俺のSPはギリギリ25万に届いたくらいだ。


「うん、ちょっと待って……。えっと、22万にちょっと足りないくらいかな」


 えっと、俺が持っててみんなが持ってないスキルってなんだっけ……。
 確か……、『魔力自然回復強化』だったはず。

 『魔力自然回復強化』が5万SP、『五感精度上昇』が8万。これは俺も含めて確定で取るべきスキルだ。
 遠見が戦闘スキルだとは思えないから、今回みんなは除外すべきか。

 く、ツリーの先が見えないってのは不便で仕方ねぇな!

 魔法の『発射速度上昇』が2万、『威力上昇』が5万、『発動速度上昇』が3万か……。
 みんなが全部を取るのはコストオーバーだとすると、優先すべきはどれだ?


「よし。今回みんなに取って欲しい戦闘向けスキルは4つ。
 『魔力自然回復強化』、『五感精度上昇』、『魔法威力上昇:中』、『魔法発動速度上昇:中』だ。
 恐らくみんな取れるはず」


 攻撃魔法の敵への着弾時間に今のところ不満はない。
 今回期待したいのは、威力の強化と発動時間の短縮による、緊急時の防御魔法の底上げだ。
 この2つは任意切り替え型なので、防御魔法に適用されるのは検証済みだ。

 ブレス1発で3人が魔力切れを起こすような事態を防止したい。
 全員が防御魔法覚えてるわけだしな。リーネ以外だけど。

 ち、魔力の多いリーネに防御魔法を覚えさせていないのがちょっと悔やまれるな。


 俺はそれらに加えて、『遠見』と『発射速度上昇:中』を取得することにする。
 もう持っている魔力回復の分浮いた5万SPを遠見につぎ込んで、魔法系スキルのコンプリートを目指す。
 恐らくは魔法系の『効果:大』スキルが開示されると思うんだが、どうかな?


 スキル神殿に到着。即手続きをして祝福の儀を始めてもらう。
 こんな時に!?みたいな顔をされたけど、こんな時もなにも、現状なにが起こってるかわからないからな。戦力を強化するほうが建設的だ。


 祝福の儀が始まって、いつも通りステータスが強制開示される。
 パパっと予定のスキルを一括取得。

 これで消費が23万SPとなり、ほとんどのスキルが取れなくなった。仕方ないね。

 無事NEW表示されたのでちょっと安心。
 何気にこの瞬間が一番緊張するな。



◆◆◆◆◆◆

『魔法範囲拡張:大』 (必要SP200000)
魔法の効果範囲を最大限拡張する。
任意切り替え型。

取得条件
全ての魔法影響効果:中のスキルを取得すること。



『魔法発射速度上昇:大』 (必要SP200000)
魔法を発動させた時、自身の魔力が対象に影響するまでの時間を最大限短縮する。
任意切り替え型。

取得条件
全ての魔法影響効果:中のスキルを取得すること。



『魔法威力上昇:大』 (必要SP350000)
魔法の威力を最大限強化する。
任意切り替え型。

取得条件
全ての魔法影響効果:中のスキルを取得すること。



『魔法発動速度上昇:大』 (必要SP500000)
魔法の行使速度を最大限短縮する。
任意切り替え型。

取得条件
全ての魔法影響効果:中のスキルを取得すること。



『身体能力強化:大』 (必要SP500000)
体内に魔力を同調させ、身体能力を最大限向上する。

取得条件
自然治癒力強化、魔力自然回復強化、五感精度上昇の3つを取得すること。



『魔力量増加:大』 (必要SP500000)
自身の保有できる魔力の量が最大限増加する。

取得条件
全ての魔法影響効果:中のスキルを取得すること。

◆◆◆◆◆◆



 えっぐ!えぐいわぁ!!
 必要SPが全部6桁突破してるのもえぐいけど、取得条件も大分えぐい。
 ミルズレンダでの襲撃や、今回の迷宮虐殺があっても届かない必要SPって……。

 まぁ効果が『最大限』って表記されてるから、これらって多分最上位スキル扱いなんだろう。
 全部取る事を想定されてない、好きなの取ってお好みのキャラメイクを!的な扱いなのかもしれない。

 よし、とりあえず戦力の強化は出来た。
 スキルツリーの果ても見えてきたかもしれない。

 識別で、全員が予定していたスキルを取得できた事を確認し、リーネと2匹が待つ狩人ギルドに急いだ。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...