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9章 異邦人が生きるために
312 最強の能力とは
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各都市での用事を済ませ、ギルドの訓練場で手合わせをする。
正直俺たちはもう、迷宮探索での技術向上は期待できない。
だから仲間内で模擬戦を繰り返して、技術の向上を図るしかないのだ。
「はあぁっ!」
「ふっ!」
シンと木剣で打ち合い続ける。
お互い強くなったもんだと思うよ実際。
俺たち一緒にオーサンの訓練受けるまで、まともに戦うことも出来てなかったもんな。
シンと打ち合いながら、色々な事を考える。
ずっと一緒に戦ってきた。
ベイク2層の先に進むために、俺たちは手を取ることを選んだ。
迷宮鼠なんかに殺されかけていたシンは、今や1等級冒険者を遥かに超える実力を手にした。
『五感精度上昇』のおかげで、お互いの動きが如何に洗練されてきたのかが理解できる。
正直な話をすれば、訓練でシンに負ける気はしない。
しかし実践になると分からなくなる。
単純な剣術の技術は明らかにシンのほうが高いし、心緑の流刃がシンの剣術と合わさった時、ランドビカミウリすら1撃で両断できる威力を生み出せるのだ。
更に俺の小細工は初見殺しに使ってこそ、最大のパフォーマンスを発揮する技術だと思う。
逆にシンの真っ当な剣術の腕は、相手に知られても殆どデメリットなく戦うことが出来る安定した力と言える。
まずはシンのように、安定して揺らぐことのない実力を高めるのが大切だ。
小細工は、地力を高めた上での手札の1つとして扱わなければいけない。
決して小細工に頼ったり、小細工を切り札のように扱ってはいけないのだ。
基本性能の向上こそが、全ての基礎であり、究極的に到達すべき点だと思う。
レベル1のユニークスキル持ちよりも、レベル最高の通常キャラのが強いはず。
今回ボールクローグでの騒動を終えて、みんな1段階成長したように思う。
俺もうかうかしていられない。
レンジを見ていて思ったのだが、俺自身複合センサーに頼りすぎているところがある。
なので今後は訓練では複合センサーを使用せず、俺自身の五感を研ぎ澄ませることを目標にしていく。
そして複合センサーを使わないと、シンを圧倒する事は出来ないのであった。
やっぱシンは安定してるよなぁ。
「なぁシン。シンもかなりチート能力者と戦う機会があったよな。
そんなシンに聞きたいんだけど、リヴァーブ王国で最強を目指すとしたら、シンはどんなチート能力を手に入れたい?」
日本人だからこそ思いつける発想があるように、リンカーズの人だから思いつくような発想があるかも知れない。
そして日本人にとっては、リンカーズの発想こそが盲点になるはず。
「ええ? 考えたこともなかったよそんなこと。
ん~。パッと思いつかないなぁ。チート能力って、幅が広すぎるんだよねぇ……」
「ならこう言い換えようか。今のシンが俺を殺そうと考えるなら、どんな能力が必要だと思う?
異邦人の発想じゃなくて、シンの発想を聞いてみたいんだよね」
「なるほど。それならかなり能力が絞れそうだね。
少し考える時間をくれるかな」
仲間に俺を殺す方法を尋ねるのもおかしいけど、俺が今認識している最強のリンカーズ人はシンだからな。
お互い実力にも差がないし、具体的な意見を出してくれる気がする。
「まずトーマの戦闘能力なんだけど、この世界でも恐らく最大数のスキル取得数による、身体能力と魔力量の多さ、真面目な訓練に裏打ちされた戦闘技術、そして生活魔法による妨害が目立つよね。
あとは使用可能な魔法の種類なんかも挙げられるけど、やっぱり基本的な身体能力と戦闘技術に加えて、他の人が真似出来ない生活魔法の応用が厄介だよね」
なんでハルも未だに生活魔法を上手く使えないんだろうなぁ? 流石にリヴァーブ王国民と比べれば巧みな方なんだけど……。
「トーマが一番苦戦したのが速水とランドビカミウリだと思うから、単純に身体能力で圧倒するのが一番手っ取り早いよね。まずはこれが正攻法。
次に考えられるのが、スキルや魔法を封印する能力かな? 僕たちのスキル取得数って異常だし、もしも無効化されたら相当な戦力ダウンだよね。生活魔法による妨害工作も封じれるわけだし。これが搦め手かなぁ」
「基本性能で圧倒的な差があると、ほんとどうしようもないからなぁ。
そしてスキルや魔法の封印能力か。そう言うのはチートとしても定番っぽいから、今後現れてもおかしく無さそうだ。
でも1つしか能力がもらえない縛りで封印能力を選ぶ奴は、少ないかも知れないな……」
「それと今回のタケルの扱いみたいに、洗脳してしまうのもアリだよね。魅了系チートとか言ってたっけ?
敵に回すと厄介であるなら、敵と認識させなければいいんだし」
「あ~、確かに精神干渉系は厄介だよなぁ……。予防する方法とかないのかな?」
「そう言うのは王族貴族が知ってるかもね。権威ある人たちがタケルみたいなことになったら、影響力大きすぎるでしょ」
「ありそうだな。タケルの洗脳を解除する方法もあったわけだし。
しかもチートスキルも基本的に魔力消費型だから、対抗策は魔法と同じ扱いでいいんだよな」
しかも洗脳自体のハードルがめちゃくちゃ高い。
タケルを洗脳状態にするにも、3つも4つも状態異常重ね掛けしてようやく、だったみたいだもんな。
「僕の印象だと、トーマって敵と味方に対して対応が違いすぎるんだよね。だからトーマを殺そうと思うなら、まずトーマに敵として認識されないのが大事なんじゃないかと思うよ。
トーマを洗脳してしまえれば最高だけれど、アイソレーションを使った暗殺とか、味方の振りして警戒心を抱かせないとかかな?
特に警戒心を抱かせない能力って、能力的にも大したことがないし、チート能力の反動も少なそうでしょ?
それに、戦闘にも日常生活にも、意外と使い勝手が良さそうな能力じゃないかな? 生活魔法みたいで」
警戒心を抱かせない能力、か。
なんかそんな能力、なんかの作品で見た覚えがあるなぁ。
確かに認識阻害系や、認識操作系の能力はかなり厄介だよな。
そしてチート能力として、思考誘導はわりとポピュラーで、誰でも思いつく能力なんだよな。
しかし流石は真面目なシンだ。真剣に俺を殺す方法を解説してくれた。
俺は無敵なんかじゃないからな。
スタートダッシュでスキルを手に入れまくっただけで、今後迷宮探索の常識が変わっていけば、俺と同数のスキル取得者はいくらでも現れるだろう。
まさに時間の問題って奴だ。
王族の方々も、ただちょっとだけ成長が早いオッサンだって評価をしてくれると良いんだけど。
正直俺たちはもう、迷宮探索での技術向上は期待できない。
だから仲間内で模擬戦を繰り返して、技術の向上を図るしかないのだ。
「はあぁっ!」
「ふっ!」
シンと木剣で打ち合い続ける。
お互い強くなったもんだと思うよ実際。
俺たち一緒にオーサンの訓練受けるまで、まともに戦うことも出来てなかったもんな。
シンと打ち合いながら、色々な事を考える。
ずっと一緒に戦ってきた。
ベイク2層の先に進むために、俺たちは手を取ることを選んだ。
迷宮鼠なんかに殺されかけていたシンは、今や1等級冒険者を遥かに超える実力を手にした。
『五感精度上昇』のおかげで、お互いの動きが如何に洗練されてきたのかが理解できる。
正直な話をすれば、訓練でシンに負ける気はしない。
しかし実践になると分からなくなる。
単純な剣術の技術は明らかにシンのほうが高いし、心緑の流刃がシンの剣術と合わさった時、ランドビカミウリすら1撃で両断できる威力を生み出せるのだ。
更に俺の小細工は初見殺しに使ってこそ、最大のパフォーマンスを発揮する技術だと思う。
逆にシンの真っ当な剣術の腕は、相手に知られても殆どデメリットなく戦うことが出来る安定した力と言える。
まずはシンのように、安定して揺らぐことのない実力を高めるのが大切だ。
小細工は、地力を高めた上での手札の1つとして扱わなければいけない。
決して小細工に頼ったり、小細工を切り札のように扱ってはいけないのだ。
基本性能の向上こそが、全ての基礎であり、究極的に到達すべき点だと思う。
レベル1のユニークスキル持ちよりも、レベル最高の通常キャラのが強いはず。
今回ボールクローグでの騒動を終えて、みんな1段階成長したように思う。
俺もうかうかしていられない。
レンジを見ていて思ったのだが、俺自身複合センサーに頼りすぎているところがある。
なので今後は訓練では複合センサーを使用せず、俺自身の五感を研ぎ澄ませることを目標にしていく。
そして複合センサーを使わないと、シンを圧倒する事は出来ないのであった。
やっぱシンは安定してるよなぁ。
「なぁシン。シンもかなりチート能力者と戦う機会があったよな。
そんなシンに聞きたいんだけど、リヴァーブ王国で最強を目指すとしたら、シンはどんなチート能力を手に入れたい?」
日本人だからこそ思いつける発想があるように、リンカーズの人だから思いつくような発想があるかも知れない。
そして日本人にとっては、リンカーズの発想こそが盲点になるはず。
「ええ? 考えたこともなかったよそんなこと。
ん~。パッと思いつかないなぁ。チート能力って、幅が広すぎるんだよねぇ……」
「ならこう言い換えようか。今のシンが俺を殺そうと考えるなら、どんな能力が必要だと思う?
異邦人の発想じゃなくて、シンの発想を聞いてみたいんだよね」
「なるほど。それならかなり能力が絞れそうだね。
少し考える時間をくれるかな」
仲間に俺を殺す方法を尋ねるのもおかしいけど、俺が今認識している最強のリンカーズ人はシンだからな。
お互い実力にも差がないし、具体的な意見を出してくれる気がする。
「まずトーマの戦闘能力なんだけど、この世界でも恐らく最大数のスキル取得数による、身体能力と魔力量の多さ、真面目な訓練に裏打ちされた戦闘技術、そして生活魔法による妨害が目立つよね。
あとは使用可能な魔法の種類なんかも挙げられるけど、やっぱり基本的な身体能力と戦闘技術に加えて、他の人が真似出来ない生活魔法の応用が厄介だよね」
なんでハルも未だに生活魔法を上手く使えないんだろうなぁ? 流石にリヴァーブ王国民と比べれば巧みな方なんだけど……。
「トーマが一番苦戦したのが速水とランドビカミウリだと思うから、単純に身体能力で圧倒するのが一番手っ取り早いよね。まずはこれが正攻法。
次に考えられるのが、スキルや魔法を封印する能力かな? 僕たちのスキル取得数って異常だし、もしも無効化されたら相当な戦力ダウンだよね。生活魔法による妨害工作も封じれるわけだし。これが搦め手かなぁ」
「基本性能で圧倒的な差があると、ほんとどうしようもないからなぁ。
そしてスキルや魔法の封印能力か。そう言うのはチートとしても定番っぽいから、今後現れてもおかしく無さそうだ。
でも1つしか能力がもらえない縛りで封印能力を選ぶ奴は、少ないかも知れないな……」
「それと今回のタケルの扱いみたいに、洗脳してしまうのもアリだよね。魅了系チートとか言ってたっけ?
敵に回すと厄介であるなら、敵と認識させなければいいんだし」
「あ~、確かに精神干渉系は厄介だよなぁ……。予防する方法とかないのかな?」
「そう言うのは王族貴族が知ってるかもね。権威ある人たちがタケルみたいなことになったら、影響力大きすぎるでしょ」
「ありそうだな。タケルの洗脳を解除する方法もあったわけだし。
しかもチートスキルも基本的に魔力消費型だから、対抗策は魔法と同じ扱いでいいんだよな」
しかも洗脳自体のハードルがめちゃくちゃ高い。
タケルを洗脳状態にするにも、3つも4つも状態異常重ね掛けしてようやく、だったみたいだもんな。
「僕の印象だと、トーマって敵と味方に対して対応が違いすぎるんだよね。だからトーマを殺そうと思うなら、まずトーマに敵として認識されないのが大事なんじゃないかと思うよ。
トーマを洗脳してしまえれば最高だけれど、アイソレーションを使った暗殺とか、味方の振りして警戒心を抱かせないとかかな?
特に警戒心を抱かせない能力って、能力的にも大したことがないし、チート能力の反動も少なそうでしょ?
それに、戦闘にも日常生活にも、意外と使い勝手が良さそうな能力じゃないかな? 生活魔法みたいで」
警戒心を抱かせない能力、か。
なんかそんな能力、なんかの作品で見た覚えがあるなぁ。
確かに認識阻害系や、認識操作系の能力はかなり厄介だよな。
そしてチート能力として、思考誘導はわりとポピュラーで、誰でも思いつく能力なんだよな。
しかし流石は真面目なシンだ。真剣に俺を殺す方法を解説してくれた。
俺は無敵なんかじゃないからな。
スタートダッシュでスキルを手に入れまくっただけで、今後迷宮探索の常識が変わっていけば、俺と同数のスキル取得者はいくらでも現れるだろう。
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