異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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9章 異邦人が生きるために

345 迷宮研究院

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「という訳なんだよ。誰か魔物に詳しい人に心当たりないかな?」


 今日の砂漠探索は仲間に任せて、俺は1人でカンカンにコンタクトを取った。
 狩人ギルドで話をしたら、あまり待たずにカンカンがやって来てくれた。


「外の魔物に1番詳しいのか狩人だし、ブラクムール大図書館で調べてもダメ、ね。
 なら王都の迷宮研究院を訪ねてみるのがいいかも。魔物という括りでの研究なら、多分あそこが1番だから」

「迷宮研究院? って、どっかで聞いたな。あ、いつかディオーヌ様が言ってたんだっけ。
 俺が直接訪ねても対応してくれるかね?」

「普通は難しいと思うけど、中央農地見学を仲介した商工ギルド員なら対応してくれると思う。ファーガロン様の紹介状を1度目にしてるんだから、無下には扱われない、はず?」

「なるほど。ファーガロン様には足を向けて寝れないな。
 カンカンもありがとう。応対してくれて助かったよ」

「私の事は気にしなくていい。ファーガロン様に感謝の気持ちを忘れなければ充分。
 それじゃ頑張って。ファーガロン様は最近なんだか忙しそうだから、良い報告をしてあげたい」


 カンカンの忠誠心の強さに驚く。
 使用人としての忠誠心というよりは、親しい相手への配慮という感じだな。
 ま、下世話な想像はやめておくか。


 カンカンと別れネヴァルドへ。
 アドバイスに従って、商工ギルドであの時の職員を見つけて事情を説明する。


「今度は迷宮研究院に用事だぁ? アンタほんと何者なんだよ?
 まぁいいさ。俺に出来るのは取り次ぎだけだからな。それ以上は期待しないでくれ」

「助かるよ。俺1人じゃ門前払いかも知れないしさ」


 ギルド員が用意してくれた馬車に乗って移動する。

 どうやらさほど遠くにあるわけではなかったようで、思ったよりも早い到着だった。
 この馬車移動の無駄感よ。 

 
 外観は魔導具開発局と大差ない。
 周囲を外壁に囲まれ、建物自体も頑丈そうだ。正面から見た感じだと、魔導具開発局よりも広そうかな。
 
 そして魔導具開発局には居なかった、警備の兵士が結構目に付く。
 魔物の研究をしてるってことだし、建物内に生きた魔物でもいるのかも知れない。


 商工ギルド員が迷宮研究院の受付窓口で事情を説明してくれる。
 おかげさまでどうやら研究員に会うことが出来そうだ。
 取り次いでくれた商工ギルド員に感謝を述べると、彼はそのまま帰っていった。

 受付のおっさんに案内されて、中に通してもらう。


「それでここに何の用で来たの? 冒険者が用事のあるような場所じゃないはずだけど?」


 やってきたのは中年の女性だった。
 明らかに俺への応対を嫌がっているようだが、アポなしで来たこっちが全面的に悪いのでスルーしておく。


「冒険者だからこそ、魔物について詳しく知りたくてね。
 ウィルスレイアで聞いたら、魔物の研究ならこっちが1番だって言われてね。こうして訪ねさせてもらったってワケさ」

「ふん。余計な世辞は要らないわ。今ここはとても忙しいのよ。早く用件を言いなさい」


 お世辞だったのは否めないけど、嘘は言ってないんだけどなぁ。
 ま、確かに忙しい相手に言うべきことじゃなかったか。


「失礼。なら本題だ。
 ちょっと砂漠地帯で騎乗用の魔物を探していてね。砂漠地域に適応した、なるべく戦闘能力の高い魔物って分からないかな?
 アサルトドラゴンとデューンサラマンダーだと、ちょっとこっちの要求を満たせなくてね」

「はぁ……? そんなもの、それこそ現地の狩人にでも聞きなさいよ。
 ここに来てまで質問する内容だとは思えないわ、馬鹿馬鹿しい」

「残念ながら現地の狩人ギルドにはもう確認済み。国境壁外にも実際に行ったんだけど、あまり成果が上がらなくてね。だからここを訪ねたって流れだよ」


 まともに対応する気がないならチェンジしてくれないかなぁ。時間の無駄なんだよねぇこういうの。


「現地の狩人に心当たりがないなら諦めなさいよ。アサルトドラゴンでいいじゃない」

「あ~……。勝手に訪ねてきた俺が言うのもなんだけど、もう少し真面目に考えてくれないかな? それとも迷宮研究院って、狩人に魔物知識で負ける程度の職員しか居ないの?」

「――――アンタ何様? 突然訪ねてきて何その態度? 馬鹿にしてんじゃないわよ?」

「馬鹿にされたくないなら、馬鹿にされない程度の知識を披露してくれよ。今のアンタの評価は、ウィルスレイアの狩人よりも魔物に詳しくない研究員だぜ?」

「はっ! 挑発して乗せようとしても無駄よ。こっちはアンタに関わってる暇なんてないの。さっさと帰りなさい?」

「了解。無駄だったのは挑発じゃなくて、ここに足を運んだことだったな。じゃあな狩人ギルド以下の研究員さん。
 まさか魔物を専門に研究しておいて、その程度の知識しかないなんてびっくりだよ。迷宮研究院って必要あるの?」


 時間の無駄なので席を立つ。
 これ以上ここに居ても、得られるものは何も無さそうだ。


「所詮は冒険者ね? 悪口だけは達者なようで」

「研究者として賃金貰っときながら碌な魔物の知識がないような、どっかの恥知らずよりはマシだろ?
 これから研究する振りして昼寝でもするのか? 優雅なご身分で羨ましいよ」

「……研究する、振り? 振りって言ったの!? 私たちがどれだけ努力しているのかも知らないくせに、冒険者なんかが私達迷宮研究院を馬鹿にするのは許さないわよっ!!」

「冒険者に馬鹿にされたくないなら、真面目に研究してくださいよ給料泥棒さん。
 お前らがしてる努力なんて知るわけないだろ? 狩人以下の知識しかない研究員から、どんな努力を読み取れって?」

「真面目に研究しろですってぇっ!? 取り消しなさい!! 今すぐその言葉を取り消しなさい!!
 何も知らない冒険者なんかが、迷宮研究院を馬鹿にして許されると思わないで!!」

「いったい何を騒いでいるんだ!!」


 出て行こうと思っていた扉が開いて、年配の男が部屋に入ってきた。
 見た目は60代くらいに見えるな。

 女性研究員がギャーギャーと捲し立てているけど、別の人が来てくれたのは正直ありがたい。
 この男にもまともな対応が望めないなら、もうこの施設には用がなくなるな。
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