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10章 壁外世界
383 エリアキーパーの有効利用
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今日は丸1日休日に当てることになった。
昨日も大して動いていないので休養が必要な気はしていないのだけれど、ユリバファルゴアも倒したわけだし、差し迫ってやらなければならないことも特に無い。
ディオーヌ様のエリアキーパー討伐依頼や、ファーガロン様の砂漠外調査についても、特に期限が設けられているわけじゃないしな。
「そんで、ターミナルの作成は一瞬で終わったみたいだから、明日には設置しちゃって都市建設を始めたいと思ってるんだけどさ。とりあえずはターミナルの設置と、城壁の建設からでいいよな」
「と、とりあえずで都市建設って始められるものなんですか……?
始めるのは構いませんけど、城壁なんてそう簡単に作れる物じゃなくないですか?」
「いやぁ実はさ。ユリバファルゴアの鱗を、そのまま城壁に運用できないかなぁと思ってんだよね。大きさも強度も、そして量も有り余ってるから。
運搬と加工がどうなるか読めないけど、キャリーをかけたスナネコとマーサのタッグなら、恐ろしいほど簡単に城壁が完成するんじゃないかと思ってんだよ」
正確な大きさこそ分からないが、鱗1枚1枚がとてつもないでかさだったからな。量もとんでもない数があるし、むしろドンドン消化して行かないと大変だろう。
「加工できるかどうかは試してみないと返事は出来ねぇな。大きさと量は充分すぎるぐれぇだとは思うぜ」
「うん。というか確かにあのまま置いておく訳にも行かないもんね。ウィルスレイアの狩人達にも自由に持ってってもらってるけど、狩人達の1番人気はお肉部分なんだよね?」
「うんうん。お肉は絶対に売れる部分だし、いつ悪くなるか分からないからねー。みんな最優先で運搬してくれてるみたいだよー。実際美味しかったもんねっ!」
「でもトーマ。城壁は出来ても、地面の方はどうするの? ユリバファルゴア自体も砂に潜れたんだし、地面の方も対策しないと、砂漠都市の安全は確保できないんじゃないかしら?」
「そっすねー。ユリバファルゴアが地中深く潜れるくらい、かなりの深さまで全部砂だったわけっすよね? 地盤の沈下とかどうやって対処するっすか?」
う~ん。正直俺は建設に強いわけでもないから、あんまり突っ込まれても答えきれないところではあるんだけどな。地球でも砂漠地域に高層ビルとか建ってたわけだし、建設自体は可能だと思うんだよねぇ。
ただこっちで地盤固めとか出来るとは思わないから、ここはやっぱりエリアキーパーさんに活躍してもらいましょう。
「マーサが加工できるかどうかって話になるんだけど、都市の下にもユリバファルゴアの鱗を敷こうと思うんだよ。というか、鱗の上に都市を作るといったほうがいいのかな。鱗をくっつけられたなら、圧力が分散して沈みにくくなるかなって。
強度も充分だし、アイツの鱗ぶち抜いて都市を襲える魔物は多分居ないだろ?」
「う~ん、ちょっと行き当たりばったり感は否めないけど……。最終的にはマーサ頼みになっちゃいそうだね……」
「まあアイツの鱗は物凄い厄介だったからな。有効活用でもしないと気が済まないっていう。都市の床全面と、城壁の外側にも鱗1枚分くらい余分に敷き詰めれば、かなりの重さには耐えられるんじゃないかなぁ」
「あとは加工が出来るかどうか、だね。実際に苦しめられた僕も、あの鱗なら強度的にも使えるんじゃないかなと思うよ。エリアキーパーで四方を囲った都市っていうのも贅沢だけど、現在は素材が有り余ってるし。トーマの案でいいんじゃないかな」
殆どユリバファルゴアに頼り切ることになっちゃうけど、あいつの素材がそのまま都市建設に流用できるなら、建設にかかる時間が一気に短縮されることだろう。
「ねぇねぇトーマ。新しい都市が出来たら、活動の拠点はそっちに移すのー? それともここから各地に通う形になるのかなー?」
「ん~。そうだな。まだ何も考えてないから言うの控えてたけど、そろそろみんなにも言っておくか。
みんなも普通にゲート使えるようになったわけだしさ。将来的には人が来ない場所に自宅を構えようと思ってるんだよね。家族だけが来れるような感じで。
一応ターミナルの個人設置については、既に王様には許可貰ってるからさ」
「うん。それは悪くない考えじゃないかな? でも人が来ない場所ってどんな場所を想定してるの?
っとその前に、私とシンもちゃんと家族に入ってるんでしょうね?」
「入ってるよ。場所の想定はそうだなぁ。海側に無人島でも見つかったらそれでもいいし、そうでなかったら、それこそユリバファルゴアの鱗を使って、人工的に人が訪れにくい土地を作ってもいいと思ってる。ギアナ高地みたいな?」
「ユリバファルゴアの有効活用感が凄まじいっすね! でも人工的に作るほうが確実かもしれないっすねぇ。今後は冒険者たちも強くなっていくんでしょうっすし」
「魔法を使えば自然環境の整備もある程度簡単に出来る事を考えると、人工的に作り出すほうが面白そうね。
誰も人が来ない場所に家族だけで暮らすって、夢みたいな生活よね。ゲートがあるから買い物なんかで不便もないし」
「ふふ……。広い世界を見せてくれたあとに、家族だけの世界に戻ってくるって、なんだかおかしいね……。
でも、うん。とっても楽しみかな……!」
「何をするにもユリバファルゴアの鱗の運用次第ですね。マーサには負担をかけることになると思いますが、宜しくお願いしますね」
「おう任せとけ! 私もみんなとゆっくり暮らすのは楽しみだからよ! 腕の振るい甲斐があるってもんだ!」
ユリバファルゴアを倒した今、次に残ってる脅威はディオーヌ様に依頼されたザルトワシルドアくらいかな?
でも海の中かぁ~……。
砂は砂で厄介だったけど、海は海でヤバいんだよなぁ……。
昨日も大して動いていないので休養が必要な気はしていないのだけれど、ユリバファルゴアも倒したわけだし、差し迫ってやらなければならないことも特に無い。
ディオーヌ様のエリアキーパー討伐依頼や、ファーガロン様の砂漠外調査についても、特に期限が設けられているわけじゃないしな。
「そんで、ターミナルの作成は一瞬で終わったみたいだから、明日には設置しちゃって都市建設を始めたいと思ってるんだけどさ。とりあえずはターミナルの設置と、城壁の建設からでいいよな」
「と、とりあえずで都市建設って始められるものなんですか……?
始めるのは構いませんけど、城壁なんてそう簡単に作れる物じゃなくないですか?」
「いやぁ実はさ。ユリバファルゴアの鱗を、そのまま城壁に運用できないかなぁと思ってんだよね。大きさも強度も、そして量も有り余ってるから。
運搬と加工がどうなるか読めないけど、キャリーをかけたスナネコとマーサのタッグなら、恐ろしいほど簡単に城壁が完成するんじゃないかと思ってんだよ」
正確な大きさこそ分からないが、鱗1枚1枚がとてつもないでかさだったからな。量もとんでもない数があるし、むしろドンドン消化して行かないと大変だろう。
「加工できるかどうかは試してみないと返事は出来ねぇな。大きさと量は充分すぎるぐれぇだとは思うぜ」
「うん。というか確かにあのまま置いておく訳にも行かないもんね。ウィルスレイアの狩人達にも自由に持ってってもらってるけど、狩人達の1番人気はお肉部分なんだよね?」
「うんうん。お肉は絶対に売れる部分だし、いつ悪くなるか分からないからねー。みんな最優先で運搬してくれてるみたいだよー。実際美味しかったもんねっ!」
「でもトーマ。城壁は出来ても、地面の方はどうするの? ユリバファルゴア自体も砂に潜れたんだし、地面の方も対策しないと、砂漠都市の安全は確保できないんじゃないかしら?」
「そっすねー。ユリバファルゴアが地中深く潜れるくらい、かなりの深さまで全部砂だったわけっすよね? 地盤の沈下とかどうやって対処するっすか?」
う~ん。正直俺は建設に強いわけでもないから、あんまり突っ込まれても答えきれないところではあるんだけどな。地球でも砂漠地域に高層ビルとか建ってたわけだし、建設自体は可能だと思うんだよねぇ。
ただこっちで地盤固めとか出来るとは思わないから、ここはやっぱりエリアキーパーさんに活躍してもらいましょう。
「マーサが加工できるかどうかって話になるんだけど、都市の下にもユリバファルゴアの鱗を敷こうと思うんだよ。というか、鱗の上に都市を作るといったほうがいいのかな。鱗をくっつけられたなら、圧力が分散して沈みにくくなるかなって。
強度も充分だし、アイツの鱗ぶち抜いて都市を襲える魔物は多分居ないだろ?」
「う~ん、ちょっと行き当たりばったり感は否めないけど……。最終的にはマーサ頼みになっちゃいそうだね……」
「まあアイツの鱗は物凄い厄介だったからな。有効活用でもしないと気が済まないっていう。都市の床全面と、城壁の外側にも鱗1枚分くらい余分に敷き詰めれば、かなりの重さには耐えられるんじゃないかなぁ」
「あとは加工が出来るかどうか、だね。実際に苦しめられた僕も、あの鱗なら強度的にも使えるんじゃないかなと思うよ。エリアキーパーで四方を囲った都市っていうのも贅沢だけど、現在は素材が有り余ってるし。トーマの案でいいんじゃないかな」
殆どユリバファルゴアに頼り切ることになっちゃうけど、あいつの素材がそのまま都市建設に流用できるなら、建設にかかる時間が一気に短縮されることだろう。
「ねぇねぇトーマ。新しい都市が出来たら、活動の拠点はそっちに移すのー? それともここから各地に通う形になるのかなー?」
「ん~。そうだな。まだ何も考えてないから言うの控えてたけど、そろそろみんなにも言っておくか。
みんなも普通にゲート使えるようになったわけだしさ。将来的には人が来ない場所に自宅を構えようと思ってるんだよね。家族だけが来れるような感じで。
一応ターミナルの個人設置については、既に王様には許可貰ってるからさ」
「うん。それは悪くない考えじゃないかな? でも人が来ない場所ってどんな場所を想定してるの?
っとその前に、私とシンもちゃんと家族に入ってるんでしょうね?」
「入ってるよ。場所の想定はそうだなぁ。海側に無人島でも見つかったらそれでもいいし、そうでなかったら、それこそユリバファルゴアの鱗を使って、人工的に人が訪れにくい土地を作ってもいいと思ってる。ギアナ高地みたいな?」
「ユリバファルゴアの有効活用感が凄まじいっすね! でも人工的に作るほうが確実かもしれないっすねぇ。今後は冒険者たちも強くなっていくんでしょうっすし」
「魔法を使えば自然環境の整備もある程度簡単に出来る事を考えると、人工的に作り出すほうが面白そうね。
誰も人が来ない場所に家族だけで暮らすって、夢みたいな生活よね。ゲートがあるから買い物なんかで不便もないし」
「ふふ……。広い世界を見せてくれたあとに、家族だけの世界に戻ってくるって、なんだかおかしいね……。
でも、うん。とっても楽しみかな……!」
「何をするにもユリバファルゴアの鱗の運用次第ですね。マーサには負担をかけることになると思いますが、宜しくお願いしますね」
「おう任せとけ! 私もみんなとゆっくり暮らすのは楽しみだからよ! 腕の振るい甲斐があるってもんだ!」
ユリバファルゴアを倒した今、次に残ってる脅威はディオーヌ様に依頼されたザルトワシルドアくらいかな?
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砂は砂で厄介だったけど、海は海でヤバいんだよなぁ……。
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