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10章 壁外世界
384 砂漠エリアのその先へ
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休日にこれでもかと英気を養ったので、今日から本格的に都市建設に着手し始める事になる。
まずはターミナルの設置場所の選定と、砂漠エリアの果てを確認しておきたい。
「うん。まさかこんなに早く話が来るとは流石に予想してなかったよ?」
「トーマはせっかち。あんまり足踏みしたくないんだと思う」
ということで、シルグリイド当主夫妻を呼んで、砂漠エリアの果てを確認しに行くことになった。
ターミナルも持っていき、出来るだけ砂漠エリアの果て近い場所に設置する。
リヴァーブ王国との物理的な距離をなるべく広げるためだ。
「せっかちというか、昨日みんなで話をしていて、その流れで都市建設のある程度の流れが固まってきましたので、試してみたくなったんですよ。
この都市が完成すれば、あとは俺たちがなんだかんだと動き回らなくて良くなるでしょうしね」
「おやおや? 隠居するにはまだ早すぎるんじゃないかい?
ま、今日は宜しくお願いするよ。帰りはゲートで送ってもらえるんだよね?」
「それは間違いなく。スナネコ馬車の速度を考えると、3日以内には砂漠の果てまでいけると思いますよ」
「ああ、楽しみにしている。今回は宜しく頼むよ」
今回俺達に同行するのはファーガロン様とカンカンの2名だけ。
いくら信用してくれているといっても、これは流石に無用心すぎないか?
この2人、風のシルグリイド家の当主夫妻なんだよな?
「異風の旋律がその気になれば、真正面から屋敷に乗り込んできても止める術が無い。そんなこと考えるだけ無駄。
私達に危害を加える理由がトーマにあるとも思わないし」
う~ん。達観してるというか合理的というか。
嫌いじゃないけどな、こう言う考え方。
今回スナネコ馬車は1台のみ。他の6匹で鱗を1枚ずつ牽引してもらう。
ユリバファルゴアの鱗の強度は凄まじく、普通の魔装術では傷すらつけられない。だが俺とシンなら貫くことが可能だからな。
多分『任意発動スキル強化』とシルバーライト以上の品質の武器の両方が揃わないと、エリアキーパーには傷1つつけられないのだろう。
ちなみにグリーンドラゴンの鱗は、『任意発動スキル強化』とシルバーライト製武器でも切り裂けた。
鱗に穴を開けてロープを通して牽引する。スナネコたち、小さい体でよくあんなもん引っ張れるもんだよ……。
しかも別に無理してる風でもないんだよなぁ。ほんと優秀な子達だわ。
ただ移動するだけであれば、魔物と遭遇しにくい砂漠エリアは本当に快適だ。
陽が落ちるまでに相当な距離を稼ぐことが出来た。エリアキーパーがもう存在していないので、砂漠内では安心して移動が出来る。
「ふふふ。何百年、もしかしたらもっと長い時間シルグリイド家が追い求めた砂漠の果て。エリアキーパーさえ居なくなれば、本当に気軽に見に行けるものだね」
「トーマたちも凄いけど、スナネコたちも凄い。凄いし可愛い」
「今後の冒険者は、エリアキーパーとの戦いに身を投じていく時代になるのかもしれませんね。
ま、流石に俺みたいなオッサンの役割はここまでだと思ってますよ。場を整えたらあとは若い者が勝手に頑張ってくれるでしょう」
「う~ん。異風の旋律みたいな人たちって、そうそう表れない気がするけどねぇ……。
スキルさえ揃えば君たちと同じことが出来る、とは僕は思わないんだよなぁ」
「同感。トーマは自分を過小評価しすぎてる。もしくは、他の人を買い被りすぎ」
そんなことはないと思うんだけどねぇ。
俺のパーティって別にチート持ちがいるわけでもないし、スキルは誰でも取得できるものしか持ってないし。
装備面ではちょっと特別感あるかもね。
でもランドビカミウリの素材もユリバファルゴアの素材も王国に卸してるわけだし、他の冒険者達だってどうとでも出来る範囲のはず。
ランドビカミウリを倒した時は、グリーンドラゴンの素材武器が最強だったわけだし。心核使ってはいたけど。
次の日も、夜明け前に食事を済ませて出発する。
いやぁスナネコの事は完全に信用してるけど、砂漠って目印も何も無くて、迷ったらマジでどうしようもないな。
それでもウィルスレイアの狩人たちも迷うことが無かったんだから、地形を見分ける方法はあるんだと思うけれど、俺は自分の判断で砂漠を歩く自信はない。
「トーマ……。見て……? 前のほうの空が真っ暗になってるよ……?」
リーネを声を受けて前方に目をやると、雲1つ無い砂漠エリアとは違って、まるで線引きがされているように、分厚い雲が広がっているようだ。
エリアごとに天候も固定されているというのであれば、どうやら砂漠の果てが近付いてきたようだな。
「とりあえずあの雲の下辺りまでは行ってみようか。みんな、よろしく頼むな」
スナネコに指示を出して、エリアの境界に辿り着くのを待つ。
しかし、馬車は雲の下に辿り着く前に止まってしまった。
なぜなら馬車の前は、一面の雪で覆われていたから。
どうやらまだ地面は砂のままなので、砂漠エリアを抜けたわけではないらしい。
リヴァーブ王国の東に伸びる砂漠地帯の更に東には、視界を覆うほどの雪原エリアが広がっているようだった。
まずはターミナルの設置場所の選定と、砂漠エリアの果てを確認しておきたい。
「うん。まさかこんなに早く話が来るとは流石に予想してなかったよ?」
「トーマはせっかち。あんまり足踏みしたくないんだと思う」
ということで、シルグリイド当主夫妻を呼んで、砂漠エリアの果てを確認しに行くことになった。
ターミナルも持っていき、出来るだけ砂漠エリアの果て近い場所に設置する。
リヴァーブ王国との物理的な距離をなるべく広げるためだ。
「せっかちというか、昨日みんなで話をしていて、その流れで都市建設のある程度の流れが固まってきましたので、試してみたくなったんですよ。
この都市が完成すれば、あとは俺たちがなんだかんだと動き回らなくて良くなるでしょうしね」
「おやおや? 隠居するにはまだ早すぎるんじゃないかい?
ま、今日は宜しくお願いするよ。帰りはゲートで送ってもらえるんだよね?」
「それは間違いなく。スナネコ馬車の速度を考えると、3日以内には砂漠の果てまでいけると思いますよ」
「ああ、楽しみにしている。今回は宜しく頼むよ」
今回俺達に同行するのはファーガロン様とカンカンの2名だけ。
いくら信用してくれているといっても、これは流石に無用心すぎないか?
この2人、風のシルグリイド家の当主夫妻なんだよな?
「異風の旋律がその気になれば、真正面から屋敷に乗り込んできても止める術が無い。そんなこと考えるだけ無駄。
私達に危害を加える理由がトーマにあるとも思わないし」
う~ん。達観してるというか合理的というか。
嫌いじゃないけどな、こう言う考え方。
今回スナネコ馬車は1台のみ。他の6匹で鱗を1枚ずつ牽引してもらう。
ユリバファルゴアの鱗の強度は凄まじく、普通の魔装術では傷すらつけられない。だが俺とシンなら貫くことが可能だからな。
多分『任意発動スキル強化』とシルバーライト以上の品質の武器の両方が揃わないと、エリアキーパーには傷1つつけられないのだろう。
ちなみにグリーンドラゴンの鱗は、『任意発動スキル強化』とシルバーライト製武器でも切り裂けた。
鱗に穴を開けてロープを通して牽引する。スナネコたち、小さい体でよくあんなもん引っ張れるもんだよ……。
しかも別に無理してる風でもないんだよなぁ。ほんと優秀な子達だわ。
ただ移動するだけであれば、魔物と遭遇しにくい砂漠エリアは本当に快適だ。
陽が落ちるまでに相当な距離を稼ぐことが出来た。エリアキーパーがもう存在していないので、砂漠内では安心して移動が出来る。
「ふふふ。何百年、もしかしたらもっと長い時間シルグリイド家が追い求めた砂漠の果て。エリアキーパーさえ居なくなれば、本当に気軽に見に行けるものだね」
「トーマたちも凄いけど、スナネコたちも凄い。凄いし可愛い」
「今後の冒険者は、エリアキーパーとの戦いに身を投じていく時代になるのかもしれませんね。
ま、流石に俺みたいなオッサンの役割はここまでだと思ってますよ。場を整えたらあとは若い者が勝手に頑張ってくれるでしょう」
「う~ん。異風の旋律みたいな人たちって、そうそう表れない気がするけどねぇ……。
スキルさえ揃えば君たちと同じことが出来る、とは僕は思わないんだよなぁ」
「同感。トーマは自分を過小評価しすぎてる。もしくは、他の人を買い被りすぎ」
そんなことはないと思うんだけどねぇ。
俺のパーティって別にチート持ちがいるわけでもないし、スキルは誰でも取得できるものしか持ってないし。
装備面ではちょっと特別感あるかもね。
でもランドビカミウリの素材もユリバファルゴアの素材も王国に卸してるわけだし、他の冒険者達だってどうとでも出来る範囲のはず。
ランドビカミウリを倒した時は、グリーンドラゴンの素材武器が最強だったわけだし。心核使ってはいたけど。
次の日も、夜明け前に食事を済ませて出発する。
いやぁスナネコの事は完全に信用してるけど、砂漠って目印も何も無くて、迷ったらマジでどうしようもないな。
それでもウィルスレイアの狩人たちも迷うことが無かったんだから、地形を見分ける方法はあるんだと思うけれど、俺は自分の判断で砂漠を歩く自信はない。
「トーマ……。見て……? 前のほうの空が真っ暗になってるよ……?」
リーネを声を受けて前方に目をやると、雲1つ無い砂漠エリアとは違って、まるで線引きがされているように、分厚い雲が広がっているようだ。
エリアごとに天候も固定されているというのであれば、どうやら砂漠の果てが近付いてきたようだな。
「とりあえずあの雲の下辺りまでは行ってみようか。みんな、よろしく頼むな」
スナネコに指示を出して、エリアの境界に辿り着くのを待つ。
しかし、馬車は雲の下に辿り着く前に止まってしまった。
なぜなら馬車の前は、一面の雪で覆われていたから。
どうやらまだ地面は砂のままなので、砂漠エリアを抜けたわけではないらしい。
リヴァーブ王国の東に伸びる砂漠地帯の更に東には、視界を覆うほどの雪原エリアが広がっているようだった。
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