異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
426 / 580
10章 壁外世界

386 始まりの都市

しおりを挟む
「よし、とりあえずこんなもんでいいんじゃねぇか? 本格的に行うのはまた今度でいいだろ」


 1枚の鱗の外周を伸ばして、2メートルくらいの囲いを作った。
 正直言って外壁や城壁と呼ぶにはまだ低すぎるだろうけれど、スナネコたちがここで寝泊りしてくれるみたいなので、防衛戦力としては充分だろう。


「鱗同士の結合は、リモデリングの杖がもう1つ必要だな。これでユリバファルゴアの素材の有効利用も可能になったわけだし、私も出来ることが増えてありがてぇよ。
 戦えない分、私は都市建設に全力で尽力させてもらうぜ!」


 戦えなくてもマーサには大分お世話になってると思うけどなぁ。
 ま、やる気があるのはいいことだ。水は差すまい。


「じゃあトーマよ。ターミナルの台座もリモデリングで作っちまうから、お前は儀式魔法でターミナルの有効化が出来るか試してみてくれっか?」


 マーサは足元の鱗を変形させて台座を作り出す。流石本職と言うべきか。成型が早くて正確だ。
 そこに持ち込んだ台座を設置すると、ピッタリハマった。

 マーサがドヤ顔してるけど、これは降参せざるを得ない。いくら自分が作ったとはいえ、ターミナルの形を正確に記憶してたのかよ?


「それじゃトーマ。ターミナルに触れた状態で儀式魔法を発動してみてくれよ。有効化出来るかどうかは自分自身で分かるはずだからよ」

「了解。やってみるよ」


 固定されたターミナルに触れて、スキル『儀式魔法使用許可』を発動する。
 魔力が吸われて、ゲートが発動したような感覚を覚える。
 というか今さらだけど、儀式魔法ってどんな魔法なんだ? 多分ターミナルは有効化できたけど。


「多分成功したと思うけど、儀式魔法ってなんなんだ? 使用許可スキルだけでもいいの?」

「おうお疲れさん。流石はトーマだぜ。
 儀式魔法ってのも大別すりゃあ術式付与みたいなもんさ。ただし術式が特殊で、該当する魔法を使用できる者が、『儀式魔法使用許可』を取得している状態で、『魔法付加』をする必要があるんだよ。かなり難易度高えんだぜ?
 陽天の報せの鐘とかは『時報シグナル』っていう専用術式があって、魔力付与で作動させることが出来んだけどな。扱いが難しいものになるほど制限がきつくなるのは、儀式魔法も一緒ってトコか」


 陽天の報せはなきゃなくてもそこまで困らないからなぁ。扱いが雑。


「とりあえずトーマはゲートが使えんだからよ。ここにゲートを開けるかどうかを試しちゃくんねぇか?」


 いやお前も使えるやん! って思ったけど、シルグリイド夫妻が居るから俺に振ったわけか。
 素直にゲートを発動。発動できた時点で有効化出来てると思うけど、ちゃんとゲート開くまで試してみよう。


「お、ちゃんとゲートが開いたね。これでゲートが使えれば、いつでもここに来る事が可能になったわけだ。
 後は城壁で周囲を囲えれば、都市建設は本格化していくね。
 トーマさん。そろそろ都市の名前を決めてくれないかな? この場所を指し示す名前がないと、結構不便なんだよね」


 ファーガロン様に命名を催促されるものの、俺はネーミングセンスに自信がないからなぁ。
 出来れば俺が名前付けるのは避けたいところなんだが……。


「トーマ。すぐに名前が思いつかないのなら、ここをどんな都市にするかを考えてみて。迷宮都市とか探求都市とか、都市の名前は後回しにしても、ここだって分かる特徴があればいい」


 カンカンに言われて考える。俺はここをどんな場所にしたいんだ?

 異邦人を受け入れる場所として用意したいと思っているが、別に王国民を排除する気はない。というか異邦人だけで街作りとか、今の人数では厳しいだろうからな。

 それに異邦人都市なんて名付けると、将来的には訳が分からないことになりそうだ。砂漠都市なんて名付けると、他に都市が出来た時に困るし、ウィルスレイアも含まれてしまう。
 さて、なんて名付けるのが正解かな?

 この都市は、この先のリンカーズの発展に貢献して欲しいと思ってる。
 ここが終着点じゃなく、ここがスタートであって欲しい。

 俺が死んだずっと後でも、ここから冒険を始められる。そんな都市であって欲しい。


「そうだなぁ。もしも王国民の理解が得られるなら、でいいんだけど。俺はここを冒険者達の育成の場所にしたいな。ここで鍛えて、色んな場所に旅立っていく、そんな場所にしたい。
 だからここは『始まりの都市』。名前は思いついてないけど、始まりの都市と呼ばれるような場所にしたいと思うよ。
 ま、王国側から怒られたら考え直すけど」

「始まりの都市、ね。僕はいいと思うけど、一応ネヴァルドにもお伺いを立てるべきかな?
 僕に言わせれば、新しい時代の始まりの都市、という意味で、とてもしっくりくるネーミングなんだけどね。
 ま、めんどくさいことを言う人間はどこにでもいるから」

「今は始まりの都市でいいけど、なるべく早く都市の名前も考えて欲しい。やっぱり正式な名前がないと、色々と不便なままだから」

「了解。っつうか、王様やファーガロン様が命名してくれるわけには?」

「ん~、やめておいたほうがいいだろうねぇ。
 始まりの都市は異邦人が集う場所になる予定だ。そこの命名を王国貴族がしてしまうと、変に領地扱いしたがる貴族が出てくるかもしれないからね。
 それに変な勘ぐりを受けるのはお互い避けたいだろう?」


 勘ぐりか。特定の貴族と仲が良いと見られると、やっぱりあまり良くないのかな。
 しゃーない。あとでみんなと相談して決めてしまうか。

 ターミナルが有効化したので、ファーガロン様とカンカンをウィルスレイアに送り、俺たちもベイクに戻る。
 城壁さえ完成すれば都市建設も本格化するわけだ。

 まさか街を作ることになるなんてなぁ。

 ま、いつか別荘を作るためのノウハウを得るためにも、頑張ってみますかね。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...