427 / 580
10章 壁外世界
387 都市の名は
しおりを挟む
自宅で夕食を取ったあとにみんなに相談する。議題は勿論都市の名前だ。
「みんなにも考えて欲しいんだけど、始まりの都市の名前、どうしようか?
異邦人のセンスで考えると、この世界では浮いちゃうような気もするんだよな」
「んー? 別に浮いちゃって構わないんじゃないのかな。逆に僕たち王国民の考えで名前をつけると、異邦人の人たちには違和感を感じる名前になっちゃうと思うし」
「別にトーマがつけちゃっていいんじゃないのー? トーマが作る都市なんだから、むしろ他の人が命名するほうが違和感あるよー?」
「私もリーンに同意しますね。別にリヴァーブ王国に合わせる必要はないんじゃないですか? 都市の目的だって、異邦人が優先されてるわけですし」
「あっ……。それなら異邦人のみんなに考えてもらえばいいんじゃないかな……? 100人近くいるわけだし……?」
「う~ん、俺が俺がー! って収拾つかなくなっちゃうか、みんな遠慮して発言しないかのどっちかになる気がするっすよ。異邦人がほぼ日本人しかいない事を考えると、後者っすかねぇ」
「うん。日本人的に考えると、他の人が建設している都市の名前を考えるって、ちょっと罪悪感みたいなものを感じちゃうかもしれないかな? 都市の名前ってなると責任重大だし、嫌がられそう?」
「異邦人の感覚は良く分かりませんねぇ。というか、私が見てきた異邦人って、あまり遠慮してる記憶がないんですけど?」
「だっはっは! 確かになぁ!? トーマは人の人生にもズカズカ踏み込んでくるし、ハルはシンに迫ってるし、アサヒとカンナは勢いだけでトーマに貰われちまったもんなぁ!? どこが遠慮がちなんだっつう話だぜ!」
「ううう、何も言い返せないわね……。というかヴェルトーガでの騒動とか、レンジさんとかアリスとか、リヴァーブ王国の人が抱く異邦人像って最悪じゃない……?」
俺は基本的には巻き込まれただけな気がするんだけどなぁ。
マーサ、アサヒ、カンナに関しては、言い返す言葉も思いつかないですけど。
「というか脱線してるっての。異邦人批判は後にしてくれたまえ。今は都市の名前を考えるんだってばよ。
各都市の名前ってどうやって決まってんだ? やっぱ各精霊家が名付けた感じ?」
「いや、場所によって様々みたいだよ。図書館でその辺も調べてみたけどね、特に決まりはないみたい。
ヴェルトーガは『水の流れ着くところ』って意味だし、ボールクローグは『森の脅威』みたいな意味だね。命名した人が誰かはあまり記録されてないみたい」
「あ、じゃあ始まりの都市って、どんな音になるんすか?」
「ああ、『カルノデフーザ』って感じかな? 聞こえた?」
「ああ、ちゃんと聞き取れたよ。カルノデフーザな。もうそれで良くね?」
始まりの都市カルノデフーザ。うん、響き的にも悪くないと思う。
「あのねー。異邦人には違和感がないかもしれないけど、私たちからしたら、始まりの都市『始まりの都市』って言われてるんだからねー? 違和感バリバリだよーっ!」
「うん。私たちは『リンカーズ会話理解』で別々の音に聞こえてるだけなんだね。でも方向性はいいんじゃないかな? 日本語で名前を考えて、それをリヴァーブ王国の音に変換してもらうって感じで」
「なるほどな。それじゃ異邦人組は名前考えてくれよ。変に横文字にする必要はないわけだし」
「あーっと、じゃあ鱗の街とかどうっすかね? あの街ってユリバファルゴアの鱗で成り立ってるわけっすし?」
「え~……? アサヒ、流石にそれは可愛くなさすぎでしょ。鱗の街に住みたいかって言われたらどう思うのよ?」
「だー! じゃあカンナっちはなんかアイディアないんすか!? ダメ出しだけなら誰でも出来るっすよ!」
「ん~そうねぇ……。砂の花、とかどうかしら? これなら意味的にも悪くないんじゃない?」
「うん。私も閃いた! 砂漠の雪、でどうかな? 地球じゃあまり起こらない現象だし、砂漠で雪の見える範囲にもう1つ都市を建設することもないでしょ?」
砂漠の雪か。なかなか洒落た名前を付けるもんだな。俺の中には絶対に生まれない発想だわ。
「砂漠の雪なら『ルイナスリーム』って所かな。砂の花は『サルタブリング』だね」
「音としてはどっちも悪くないな。特徴を考えるならルイナスリームか?」
「私も拘りがあるわけじゃないしルイナスリームで構わないわよ。砂漠の雪って表現も綺麗だし、文句ないわ」
「それじゃあそこは、始まりの都市ルイナスリームって呼ばれる事になるんすねー。うん。悪くないんじゃないっすかね?」
「うん。私の案が採用されるのは嬉しいんだけど、こんなノリで決めちゃって良いものなのかは、ちょっとだけ疑問が残るかな?」
「いいんだよ。こんなのは勢いが大事だ。
つうわけであそこは『始まりの都市ルイナスリーム』として、ネヴァルドにお伺いを立ててくるわ。
みんな協力してくれてありがとな。悪くない名前になったと思う」
「うんうん。サルタブリングは砂漠に農業都市を作ったときにでも使えばいいんじゃないかなー? 名前的に、砂漠の都市なら流用できそうだしねー」
「そうですね。まぁ私たちがそこまで関わるかは分かりませんけれど、砂漠に町はいくつか必要になるでしょうね。
かなり先の話になるかもしれませんが」
「そうだね……。これ以上広くするには、いまはちょっと人が足りない感じだよね……。
別に国境壁内も狭くなってたわけじゃないし……?」
そうだなぁ。砂漠に農地を! って話は面白そうではあったんだけど、根本的に人口が足りないかも。
貧困層がお金を持てるようになったわけだし、今後は出産ラッシュが始まる可能性はあるけどね。
うちも人口増加に貢献できそうですし?
「みんなにも考えて欲しいんだけど、始まりの都市の名前、どうしようか?
異邦人のセンスで考えると、この世界では浮いちゃうような気もするんだよな」
「んー? 別に浮いちゃって構わないんじゃないのかな。逆に僕たち王国民の考えで名前をつけると、異邦人の人たちには違和感を感じる名前になっちゃうと思うし」
「別にトーマがつけちゃっていいんじゃないのー? トーマが作る都市なんだから、むしろ他の人が命名するほうが違和感あるよー?」
「私もリーンに同意しますね。別にリヴァーブ王国に合わせる必要はないんじゃないですか? 都市の目的だって、異邦人が優先されてるわけですし」
「あっ……。それなら異邦人のみんなに考えてもらえばいいんじゃないかな……? 100人近くいるわけだし……?」
「う~ん、俺が俺がー! って収拾つかなくなっちゃうか、みんな遠慮して発言しないかのどっちかになる気がするっすよ。異邦人がほぼ日本人しかいない事を考えると、後者っすかねぇ」
「うん。日本人的に考えると、他の人が建設している都市の名前を考えるって、ちょっと罪悪感みたいなものを感じちゃうかもしれないかな? 都市の名前ってなると責任重大だし、嫌がられそう?」
「異邦人の感覚は良く分かりませんねぇ。というか、私が見てきた異邦人って、あまり遠慮してる記憶がないんですけど?」
「だっはっは! 確かになぁ!? トーマは人の人生にもズカズカ踏み込んでくるし、ハルはシンに迫ってるし、アサヒとカンナは勢いだけでトーマに貰われちまったもんなぁ!? どこが遠慮がちなんだっつう話だぜ!」
「ううう、何も言い返せないわね……。というかヴェルトーガでの騒動とか、レンジさんとかアリスとか、リヴァーブ王国の人が抱く異邦人像って最悪じゃない……?」
俺は基本的には巻き込まれただけな気がするんだけどなぁ。
マーサ、アサヒ、カンナに関しては、言い返す言葉も思いつかないですけど。
「というか脱線してるっての。異邦人批判は後にしてくれたまえ。今は都市の名前を考えるんだってばよ。
各都市の名前ってどうやって決まってんだ? やっぱ各精霊家が名付けた感じ?」
「いや、場所によって様々みたいだよ。図書館でその辺も調べてみたけどね、特に決まりはないみたい。
ヴェルトーガは『水の流れ着くところ』って意味だし、ボールクローグは『森の脅威』みたいな意味だね。命名した人が誰かはあまり記録されてないみたい」
「あ、じゃあ始まりの都市って、どんな音になるんすか?」
「ああ、『カルノデフーザ』って感じかな? 聞こえた?」
「ああ、ちゃんと聞き取れたよ。カルノデフーザな。もうそれで良くね?」
始まりの都市カルノデフーザ。うん、響き的にも悪くないと思う。
「あのねー。異邦人には違和感がないかもしれないけど、私たちからしたら、始まりの都市『始まりの都市』って言われてるんだからねー? 違和感バリバリだよーっ!」
「うん。私たちは『リンカーズ会話理解』で別々の音に聞こえてるだけなんだね。でも方向性はいいんじゃないかな? 日本語で名前を考えて、それをリヴァーブ王国の音に変換してもらうって感じで」
「なるほどな。それじゃ異邦人組は名前考えてくれよ。変に横文字にする必要はないわけだし」
「あーっと、じゃあ鱗の街とかどうっすかね? あの街ってユリバファルゴアの鱗で成り立ってるわけっすし?」
「え~……? アサヒ、流石にそれは可愛くなさすぎでしょ。鱗の街に住みたいかって言われたらどう思うのよ?」
「だー! じゃあカンナっちはなんかアイディアないんすか!? ダメ出しだけなら誰でも出来るっすよ!」
「ん~そうねぇ……。砂の花、とかどうかしら? これなら意味的にも悪くないんじゃない?」
「うん。私も閃いた! 砂漠の雪、でどうかな? 地球じゃあまり起こらない現象だし、砂漠で雪の見える範囲にもう1つ都市を建設することもないでしょ?」
砂漠の雪か。なかなか洒落た名前を付けるもんだな。俺の中には絶対に生まれない発想だわ。
「砂漠の雪なら『ルイナスリーム』って所かな。砂の花は『サルタブリング』だね」
「音としてはどっちも悪くないな。特徴を考えるならルイナスリームか?」
「私も拘りがあるわけじゃないしルイナスリームで構わないわよ。砂漠の雪って表現も綺麗だし、文句ないわ」
「それじゃあそこは、始まりの都市ルイナスリームって呼ばれる事になるんすねー。うん。悪くないんじゃないっすかね?」
「うん。私の案が採用されるのは嬉しいんだけど、こんなノリで決めちゃって良いものなのかは、ちょっとだけ疑問が残るかな?」
「いいんだよ。こんなのは勢いが大事だ。
つうわけであそこは『始まりの都市ルイナスリーム』として、ネヴァルドにお伺いを立ててくるわ。
みんな協力してくれてありがとな。悪くない名前になったと思う」
「うんうん。サルタブリングは砂漠に農業都市を作ったときにでも使えばいいんじゃないかなー? 名前的に、砂漠の都市なら流用できそうだしねー」
「そうですね。まぁ私たちがそこまで関わるかは分かりませんけれど、砂漠に町はいくつか必要になるでしょうね。
かなり先の話になるかもしれませんが」
「そうだね……。これ以上広くするには、いまはちょっと人が足りない感じだよね……。
別に国境壁内も狭くなってたわけじゃないし……?」
そうだなぁ。砂漠に農地を! って話は面白そうではあったんだけど、根本的に人口が足りないかも。
貧困層がお金を持てるようになったわけだし、今後は出産ラッシュが始まる可能性はあるけどね。
うちも人口増加に貢献できそうですし?
0
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる