異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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10章 壁外世界

395 装備の次に必要なもの

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「海洋生物の調査に行きたいんだけど、迷わずに済む方法とかないかな?
 海中じゃゲートも使えないから、正直困ってんだよね」


 困ったときは仲間に相談。
 3人寄れば文殊の知恵。9人寄れば更に3倍ってね。


「僕も今日は流石に肝が冷えたよ……。スクリューのほうはまだしも、撃鉄のほうは気軽に使えないね……」

「う~ん。私たちは海に入ってないから想像しにくいけど、要は案内人無しで砂漠地帯を彷徨え、って言ってるようなものだよねー? 案内人無しじゃ今でも出来る気がしないのに、ゲートも使えないんじゃ危険すぎないー?」

「う~ん……。砂漠だって狩人たちも地形把握していたんだし、海底だって把握できるようにはなると思うけど……。時間かかりすぎるかなぁ……?

「地球みたいにGPSとかあるわけじゃないっすしね。方位磁石か灯台でもあればワンチャンっすか?」

「うん? 海から見たら東側に間違いなく陸地があるんだから、迷ったら東を目指せばいいんじゃないかな?」

「ああハル。東のウィルスレイアの国境壁で、砂漠エリアの向こう側に夕日が沈んでいったの覚えてるか?
 ちゃんと検証してないけど、この世界の太陽の浮き沈みって、多分一定じゃないっぽいよ?」

「はぁっ!? 東から登って西に沈んでいくわけじゃないって事!?」


 そうなんだよねー。
 だからこそ、方位磁石があったとしても、どこまで信じられるか分からないし。
 東西南北の概念はあるけど、あくまで王都を中心とした場合の位置関係でしかないんだよ。

 大体この世界に来て200日以上経っているのに、気候にも日照時間にも変化がないんだ。
 夜空に星だって浮いてないし、色々めちゃくちゃなんだよなこの世界。


「ああ、皆さんの世界ではそうなのですね。この世界では日が昇る方角も沈む方角も変化してますよ。
 一応法則はあるそうですけど、私は知りませんね」

「……ちょっと衝撃的だった、かな? 全く気付いてなかったよ……。
 やっぱり異世界、なんだね。ここは……」


 天動説で成り立つ世界でも不思議じゃないんだよなー。
 星もないから、海に出たら頼れる物が何もないんだよマジで。


「あーそんじゃあよ。シンもトーマもストレージが使えんだし、何か目印になるものを大量に持ち込んで、海底に設置でもするしかねぇんじゃねぇか?
 何か用意するのも、トーマはリモデリングが使えるから比較的簡単だろ?
 ま、どっちにしても地道な作業になっちまうけどな」

「う~ん。地道ではあるけど確実な方法だよねー。あ、例えば水面に船を浮かべておいて、帰るときだけ船の上でゲートを使うっていうのはどうかなーっ!」

「あ~。残念ながら、水上でもゲートを使用できなかったんだ。詳しい制限は分からないんだけど、ゲートは足場がしっかりしてないと発動してくれないらしいわ」


 ほんとゲートさえ使えりゃ解決する悩みなんだけどなぁ。
 海の調査は、砂漠エリアとは違った方向性の難しさがあるわ。


「ん~、八方塞ですか。となると面倒ではありますが、マーサの案を採用せざるを得ませんね。
 幸い2人とも移動速度は早いみたいですし、頑張ってください。
 今までの経験上、エリアキーパーに補足されるエリアには原生生物はいないでしょうから、スナネコが1日に走る距離を調査できればいいのですよ」

「うっわぁ……。それって凄まじい距離だよ、ね……?
 でも他に方法がないならやるしかない、のかな……?」


 う~ん。将来的にザルトワシルドアを倒しても、海洋調査には様々な困難が待ち受けていそうだなぁ。
 陸地さえあればゲートは使えるけど、船での移動にゲートが使えないんだから、漁業や貿易がかなり難しくなる。現状は貿易の可能性は無いけどさ。


「あ! サーチの魔導具はどうかな? 僕らがサーチの魔導具を携帯していて、ヴェルトーガの何かを探知できれば、ヴェルトーガの方向を見失う事はないんじゃないかなっ!」

「いや、サーチの魔導具にも有効範囲ってもんが……、いや? やり方次第か?
 ただ、海の底で魔導具が作動するかが問題か……? でもそれさえ確認できりゃあ手はありそうだぜ」

「お、マジかっ! 流石はマーサだ。頼りになるぜ」

「それを言うのはまだ早ぇよトーマ。礼は全部上手くいってからにしてくれや。今から手順を説明すっからよ。
 まず前提となるのが、サーチの魔導具が海中でも使えるかどうか。これは今すぐにでも確認してもらいてぇくれぇだが、まぁいい。
 サーチの魔導具が問題なく作動するなら、サーチの有効範囲毎に、海中に何か目印となる物を設置していけばいいんじゃねぇか? お前らの生命線になるわけだから、何を設置するかは慎重に選ぶ必要があるだろうけどよ。
 移動速度には問題ねぇんだろ? これでも地道な作業にゃ違いねぇが、稼げる距離は段違いになると思うぜ。どうかな?」

「マーサ。サーチの有効範囲はどの程度なのですか? 大雑把にでも知っておきたいのですが」

「ん~、そうだなぁ。私も自分でサーチ使った事はねぇからな……。
 ただ、少なくとも王都ネヴァルドの端から端までは、全部効果範囲のハズだぜ。それ以上となると、検証しなきゃわかんねぇかな」

「いや、とりあえず充分だ。この案を試してみよう。サーチの魔導具ってすぐ用意できるものか?」

「ああ任せな! 実際そんなに難しいもんでもねぇしな」


 海洋調査に行き詰りそうだったけれど、とりあえずの光明は見えたかな?
 これで海中で魔導具が作動しないとかは、マジで勘弁して欲しいわ……。

 スクリューも問題なく作動してるし、水中でも魔力が伝播していくのは間違いないから、恐らく問題ないはずだけどな。
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