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11章 新たな都市の建設
426 ルイナスリーム建設草案
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「それじゃ明日から本格的にルイナスリームの建設に着手するんだねー。
なんだかんだ言って色々あったねー。ようやくって感じだよー」
夕食後のゆったり雑談報告会。今日の出来事と明日の予定をみんなに伝える。
いやぁリーンの言う通り、新しい都市を作りたいって思ってから、実際にここまで来るのは相当大変だったなぁ。
「しかし新しい冒険者ギルドの職員が、全員オーサンの縁者っていうのも笑えるね。僕らは冒険者になった頃からずっと、オーサンにはお世話になりっぱなしだよ」
「うん。でもまぁ全然知らない相手よりも、知り合いの知り合いの方が信用できるかな。
別に私達が統治するわけでもないし、普通に運営してくれれば充分だよね」
「せっかく自分達で1から都市を作るわけっすし、こんな都市にしたいとか、これだけは絶対に入れるとか、そういうのってないんすか?」
「ああ、それは私も聞きたいわね。始まりの都市ルイナスリームは、他の都市とどういう所で差別化を図るつもりなかしら?」
「あー……。あんま事前に色々言っちゃうのもどうかと思うけど、まぁいいか。
とりあえず考えてることは、迷宮とスキル神殿だな。この2つは明確に差別化していきたいと思ってる」
「んー……? 迷宮はまだ分かるけど、スキル神殿の差別化ってなぁに……? 祝福の儀なんて、差別化の仕様がないんじゃないの……?」
「1つずつ説明するとして、まずは迷宮の差別化だな。俺達にはタケルっていう迷宮を呼び寄せられる知り合いがいる。だからある程度狙った迷宮を厳選できるはずだ。
将来的にはルイナスリームは積層型、高層型、開放型、異界型の4つの管理迷宮がある都市にしたいと思ってるんだよ」
特に異界型迷宮ってのは現存してないらしいからな。
上手く設置できれば、ルイナスリームのいい目玉になるだろう。
「タケルが居てこその発想だな。複数の管理迷宮がある都市って時点で珍しいけどよ、なんで迷宮の種類を増やす必要があるんだ? 管理が難しくなるだけじゃねぇのかよ?」
「マーサの言う通り管理は大変になるだろうけどさ。強くなる為に、なるべく多くの迷宮を用意してやりたいんだよな。積層型と開放型でも立ち回りはかなり変わってくるしな」
「ふむ。確かに迷宮の数が増えれば、それだけ鍛錬の場が増えますね。また迷宮素材の種類も豊富になりますし、冒険者のお金稼ぎも容易になりますか」
「それとなるべく深い迷宮を用意してやりたいと思う。
積層型なら100階層越え、開放型なら30階層ぐらいまでを想定してるんだ」
「んー、確かにスキル取得を目指すなら、深い階層を回るほうが効率がいいもんねー。
つまり本当に育成重視の都市にするつもりなんだねー」
「そゆこと。今の迷宮なんてエリアキーパーと戦う準備にはあまり役に立たないからさ。もうちょっと深い階層が欲しいって思ってんだよね」
出来ればカラードラゴン辺りと迷宮で戦えるようにしたいんだよなぁ。
カラードラゴンとの戦いを経験した冒険者なら、エリアキーパーにも立ち向かえるようになる可能性は充分にある。
「うん。迷宮に関しては分かったけど、スキル神殿の差別化の方はどういうことかな?
スキル神殿なんて差別化の余地あるの?」
「んー、これはまだ出来るかどうか分からないから確認しなきゃいけないんだけど、街の外側に大きなスキル神殿を建設したいと思ってんだよな。具体的に言っちゃうと、ペルでも利用できるくらいの奴を」
「あっ……! つまり人間じゃない巨大生物用の神殿ってことだね……!
確かにペルちゃん、今の状況だとスキル取得できないもんね……」
「そういうことっすか。確かにこの世界って人間以外にもスキルを覚えられる生物が、まだまだ沢山いそうっすからね。ペルやガルムもスキルを覚えたらもっと強くなれるし、必要な施設っす」
「というか……。今までのエリアキーパーって、彼らがいないと辿り着くことすら出来てないんだよね。僕達人間だけでこの世界を切り拓いていくのは、かなり難しいんじゃないかな。」
「もしかしたらもっと巨大な生物もいるかもしれないし、余裕を持ってペルが10頭くらい入れるサイズの儀式魔法陣を用意してやりたいんだよ。勿論ペルとガルム一家にスキルを覚えさせたいってのもあるが」
ウミガメさんはなーどうかなー。
あの人たちってあんまりスキルを必要とするような生き方してないよなぁ。
望んでいない、必要としていない生物にまで勝手に取得させるのは違うような気がするんだよな。
マーサみたいな悲劇に繋がりそうで怖い。
「あとは特に考えている事はないかな? 異邦人が色々しやすそうな制度を用意してやりたいってくらいか。
料理屋とかアパレル関係とか、そういうのやりたい異邦人は今後増えそうだからな。既にスキー場建設に燃えてる奴とか居るし」
「異邦人のやりたいことは分かりませんが、トーマたちの世界の文化には触れてみたいと思いますからね。異邦人の方たちが活動しやすい街にして欲しいです」
「うちらもウィンタースポーツはやったことなかったし、スキー場建設は普通に楽しみっすねぇ」
「うん。大量の雪のおかげで水も大量に使えるしね。魔法と魔導具を使えば公衆浴場なんかも作れそうかな?
まぁ『遠目』のあるこの世界では、露天風呂は危険そうだけどね」
「そうねぇ。公衆浴場で裸になるのは危険かしらね。ならまぁ海外みたいに水着で入浴する文化を広めてもいいかもしれないわね。なんにしても楽しみだわ」
「うんうん。みんなで色々作って、楽しい街にしたいねー! だってルイナスリームは始まりの街なんでしょー。始まりはやっぱり楽しくなくっちゃねー!」
リーンセンパイが割と核心めいたこと言ってるなぁ。
始まりは楽しくなくっちゃ、か。全くもってその通りだな。
ルイナスリームを訪れた異邦人が『リンカーズって楽しい世界だな』って思えるような街にしていきたいね。
なんだかんだ言って色々あったねー。ようやくって感じだよー」
夕食後のゆったり雑談報告会。今日の出来事と明日の予定をみんなに伝える。
いやぁリーンの言う通り、新しい都市を作りたいって思ってから、実際にここまで来るのは相当大変だったなぁ。
「しかし新しい冒険者ギルドの職員が、全員オーサンの縁者っていうのも笑えるね。僕らは冒険者になった頃からずっと、オーサンにはお世話になりっぱなしだよ」
「うん。でもまぁ全然知らない相手よりも、知り合いの知り合いの方が信用できるかな。
別に私達が統治するわけでもないし、普通に運営してくれれば充分だよね」
「せっかく自分達で1から都市を作るわけっすし、こんな都市にしたいとか、これだけは絶対に入れるとか、そういうのってないんすか?」
「ああ、それは私も聞きたいわね。始まりの都市ルイナスリームは、他の都市とどういう所で差別化を図るつもりなかしら?」
「あー……。あんま事前に色々言っちゃうのもどうかと思うけど、まぁいいか。
とりあえず考えてることは、迷宮とスキル神殿だな。この2つは明確に差別化していきたいと思ってる」
「んー……? 迷宮はまだ分かるけど、スキル神殿の差別化ってなぁに……? 祝福の儀なんて、差別化の仕様がないんじゃないの……?」
「1つずつ説明するとして、まずは迷宮の差別化だな。俺達にはタケルっていう迷宮を呼び寄せられる知り合いがいる。だからある程度狙った迷宮を厳選できるはずだ。
将来的にはルイナスリームは積層型、高層型、開放型、異界型の4つの管理迷宮がある都市にしたいと思ってるんだよ」
特に異界型迷宮ってのは現存してないらしいからな。
上手く設置できれば、ルイナスリームのいい目玉になるだろう。
「タケルが居てこその発想だな。複数の管理迷宮がある都市って時点で珍しいけどよ、なんで迷宮の種類を増やす必要があるんだ? 管理が難しくなるだけじゃねぇのかよ?」
「マーサの言う通り管理は大変になるだろうけどさ。強くなる為に、なるべく多くの迷宮を用意してやりたいんだよな。積層型と開放型でも立ち回りはかなり変わってくるしな」
「ふむ。確かに迷宮の数が増えれば、それだけ鍛錬の場が増えますね。また迷宮素材の種類も豊富になりますし、冒険者のお金稼ぎも容易になりますか」
「それとなるべく深い迷宮を用意してやりたいと思う。
積層型なら100階層越え、開放型なら30階層ぐらいまでを想定してるんだ」
「んー、確かにスキル取得を目指すなら、深い階層を回るほうが効率がいいもんねー。
つまり本当に育成重視の都市にするつもりなんだねー」
「そゆこと。今の迷宮なんてエリアキーパーと戦う準備にはあまり役に立たないからさ。もうちょっと深い階層が欲しいって思ってんだよね」
出来ればカラードラゴン辺りと迷宮で戦えるようにしたいんだよなぁ。
カラードラゴンとの戦いを経験した冒険者なら、エリアキーパーにも立ち向かえるようになる可能性は充分にある。
「うん。迷宮に関しては分かったけど、スキル神殿の差別化の方はどういうことかな?
スキル神殿なんて差別化の余地あるの?」
「んー、これはまだ出来るかどうか分からないから確認しなきゃいけないんだけど、街の外側に大きなスキル神殿を建設したいと思ってんだよな。具体的に言っちゃうと、ペルでも利用できるくらいの奴を」
「あっ……! つまり人間じゃない巨大生物用の神殿ってことだね……!
確かにペルちゃん、今の状況だとスキル取得できないもんね……」
「そういうことっすか。確かにこの世界って人間以外にもスキルを覚えられる生物が、まだまだ沢山いそうっすからね。ペルやガルムもスキルを覚えたらもっと強くなれるし、必要な施設っす」
「というか……。今までのエリアキーパーって、彼らがいないと辿り着くことすら出来てないんだよね。僕達人間だけでこの世界を切り拓いていくのは、かなり難しいんじゃないかな。」
「もしかしたらもっと巨大な生物もいるかもしれないし、余裕を持ってペルが10頭くらい入れるサイズの儀式魔法陣を用意してやりたいんだよ。勿論ペルとガルム一家にスキルを覚えさせたいってのもあるが」
ウミガメさんはなーどうかなー。
あの人たちってあんまりスキルを必要とするような生き方してないよなぁ。
望んでいない、必要としていない生物にまで勝手に取得させるのは違うような気がするんだよな。
マーサみたいな悲劇に繋がりそうで怖い。
「あとは特に考えている事はないかな? 異邦人が色々しやすそうな制度を用意してやりたいってくらいか。
料理屋とかアパレル関係とか、そういうのやりたい異邦人は今後増えそうだからな。既にスキー場建設に燃えてる奴とか居るし」
「異邦人のやりたいことは分かりませんが、トーマたちの世界の文化には触れてみたいと思いますからね。異邦人の方たちが活動しやすい街にして欲しいです」
「うちらもウィンタースポーツはやったことなかったし、スキー場建設は普通に楽しみっすねぇ」
「うん。大量の雪のおかげで水も大量に使えるしね。魔法と魔導具を使えば公衆浴場なんかも作れそうかな?
まぁ『遠目』のあるこの世界では、露天風呂は危険そうだけどね」
「そうねぇ。公衆浴場で裸になるのは危険かしらね。ならまぁ海外みたいに水着で入浴する文化を広めてもいいかもしれないわね。なんにしても楽しみだわ」
「うんうん。みんなで色々作って、楽しい街にしたいねー! だってルイナスリームは始まりの街なんでしょー。始まりはやっぱり楽しくなくっちゃねー!」
リーンセンパイが割と核心めいたこと言ってるなぁ。
始まりは楽しくなくっちゃ、か。全くもってその通りだな。
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