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11章 新たな都市の建設
441 異世界建築事情
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ルイナスリームの建設現場を手伝いながら、魔力が回復する度に鱗を殴って運搬する日々が続く。
1つ変化があったのは迷宮の発生速度だ。
1日1つずつ討伐を行っていたので、途中で迷宮の発生が間に合わない日が出る予定だったんだけど、3つ目の迷宮を討伐した翌日、3日しか経っていないのに迷宮が発生していた。
「俺にも感覚的なことしか分からないんだけどよ。どうやら魔力還元を繰り返し行っていることで周辺の魔力濃度が上がって、迷宮の発生スピードが上がってるみたいなんだわ。
多分だけど、迷宮の成長速度にも影響が出てると思う」
そう言えばボールクローグでの1件の時、日が経つにつれて迷宮の発生数が増えていったな。あれってそういうことだったのか。
っていうか、そう考えると『迷宮操作』ってめちゃくちゃ悪辣な能力じゃない?
迷宮を発生させることが出来て、その迷宮を放置しておくと魔物が氾濫してくる。
だからそれを防ぐために迷宮を討伐すると、その影響で迷宮の発生と成長のスピードが上がる。
なんだこの無差別テロに特化したような能力は。
しかもタケル本人にもあまり制御権が無いのがヤバすぎる。そりゃコスト軽いわけだわ。リスクが高すぎ。
新たに発生していたのは開放型迷宮だったので、結局迷宮討伐は1日お休みになってしまったわけだが。
ガントレットで鱗を殴っていて思うのは、これってキャリーの効果乗ってるよなってことだった。
いくら心核の影響を受けているガントレットとはいえ、厚さも数メートル、面積に至っては数百㎡もありそうな鱗を天高く飛ばすことは無理……、だと思う。
俺が運搬のつもりで殴っているから、重量軽減効果が出ているんだろうか? 魔法ってほんと不思議で、その原理が理解しにくい。
強いて言うなら、物理法則よりも意思が効果に反映されやすい、そんな印象の力か。
2段目の壁部分の接合は終わり、3段目に取り掛かる。
位置が高くなって、ジャンプの回数が倍化、おかげさまで魔力をフル回復して行わないとキツい作業になってきた。
ふ……。エリアキーパー戦ですら、魔力切れ起こさなかったっていうのにな。
でも殴り飛ばす作業自体には慣れてきたので、1日2枚は運べそうかな?
表面の粗取りは後回しにして、まずは足場を完成させておきたい。
……これで、ジャンプでターミナル運搬出来なかったら、リモデリングで足場を作りながらのフリークライミングの必要が出てくるな……。うん、考えないことにしよう!
そして魔力回復中に建築現場を手伝っているんだけど、いやはや流石は異世界。地球とは全然勝手が違って面白い。
基本的には始めに設計図を用意して、その通りに組み立てていくだけなのだが、リモデリングがあるために釘や鉋みたいなものが必要ない。サイズの調整なんかも魔法の力で思うがままだ。
この世界に来て、いつも思っていたのは大工仕事の早さだったからなぁ。魔法を使って自由自在に素材の形を変えたり、接合できたりするんだから、作業スピードは地球の建築速度の比ではなかった。
異邦人の中に大工経験がある人が居たら、絶対反則だって思うだろうなぁこの光景。
おまけに大工連中の身体能力が半端じゃない。
『身体能力強化:大』が物凄く取得が大変なスキルなだけに忘れがちだが、『身体能力強化:中』に必要なSPって500なんだもんな。はっきり言って初歩スキルもいいところだ。
リンカーズのスキルシステムって、段階がはっきりしてる気がするよ。
取得SP200未満は基本スキル、1000未満は初級、1万未満は中級、10万までが上級で、それ以上はやりこみ要素って感じ?
スキルのおかげで人間の限界を超えた職人達には重機なんて必要ない。
重い建材なんかも簡単に運んでしまう。
パーツごとの建材をゲートでルイナスリームに運びこんで、それを大雑把に組み立ててから、リモデリングで接合と微調整という流れ。
ハンマーも鋸も使わずに、建物がどんどん作られていく。
特別な大工技術が要らず、魔法とスキルのごり押しでいけるなら、俺が別荘を1から建てるのもそんなに難しくないかもしれない。
「悪いトーマ。何とかなんねぇか?」
異世界の建築技術に感心していると、冒険者ギルドを建設中のスペイスが問題発生を告げてきた。
ベイクのギルドのように地下に訓練場を作ろうとしたが、ユリバファルゴアの鱗を加工できる職人が居なかったらしい。
流石は腐ってもエリアキーパー。やはり『任意発動スキル強化』なしでは加工できないか。
でもここで俺が加工できる事を見せると、めんどくさいことにしかならなそうなので却下。別の手を考えなければ。
「っていうか何で今さらなんだ? 冒険者ギルドの建物って、もう結構出来てなかったっけ?」
「あ~……。実は職人連中が躍起になってリモデリングに挑戦しててよ……。絶対に穴を開けてみせるからもう少し待っててくれってな……。
そんでとうとう建物部分が完成しちまったもんだから、流石にこれ以上は不味いと思ったのか降参してきたんだよ」
あー……。そういうチャレンジ精神は嫌いじゃないしな。なにか別の手を、って。
「そもそも地下に訓練場作らなくてもいいんじゃん? 普通に土地はまだ空いてるんだから、冒険者ギルドの隣りに訓練場を併設とかじゃダメなのかな?
恐らくだけど、今後国境壁外の開拓が進めば、色んな環境の場所にギルドを建てなきゃならなくなる。地下室が作れない環境なんてのは普通にありえると思うんだけど」
「あ~、これからはそういう可能性もあんのかー!
しゃーねぇ。ギルドの建物自体は出来てるんだし、こっちの状況を説明して併設の方向で申請してみるわ。
一応ギルドの共通規格だから、申請が通るまでは運営できないからな」
スペイスが嫌なフラグを立てていったけれど、申請の方は何の問題もなく通った。
今後はこういう状況も増えるかもしれないと説明したのが効いたみたいだぜ? と、スペイスは二カッと笑ってみせたのだった。
1つ変化があったのは迷宮の発生速度だ。
1日1つずつ討伐を行っていたので、途中で迷宮の発生が間に合わない日が出る予定だったんだけど、3つ目の迷宮を討伐した翌日、3日しか経っていないのに迷宮が発生していた。
「俺にも感覚的なことしか分からないんだけどよ。どうやら魔力還元を繰り返し行っていることで周辺の魔力濃度が上がって、迷宮の発生スピードが上がってるみたいなんだわ。
多分だけど、迷宮の成長速度にも影響が出てると思う」
そう言えばボールクローグでの1件の時、日が経つにつれて迷宮の発生数が増えていったな。あれってそういうことだったのか。
っていうか、そう考えると『迷宮操作』ってめちゃくちゃ悪辣な能力じゃない?
迷宮を発生させることが出来て、その迷宮を放置しておくと魔物が氾濫してくる。
だからそれを防ぐために迷宮を討伐すると、その影響で迷宮の発生と成長のスピードが上がる。
なんだこの無差別テロに特化したような能力は。
しかもタケル本人にもあまり制御権が無いのがヤバすぎる。そりゃコスト軽いわけだわ。リスクが高すぎ。
新たに発生していたのは開放型迷宮だったので、結局迷宮討伐は1日お休みになってしまったわけだが。
ガントレットで鱗を殴っていて思うのは、これってキャリーの効果乗ってるよなってことだった。
いくら心核の影響を受けているガントレットとはいえ、厚さも数メートル、面積に至っては数百㎡もありそうな鱗を天高く飛ばすことは無理……、だと思う。
俺が運搬のつもりで殴っているから、重量軽減効果が出ているんだろうか? 魔法ってほんと不思議で、その原理が理解しにくい。
強いて言うなら、物理法則よりも意思が効果に反映されやすい、そんな印象の力か。
2段目の壁部分の接合は終わり、3段目に取り掛かる。
位置が高くなって、ジャンプの回数が倍化、おかげさまで魔力をフル回復して行わないとキツい作業になってきた。
ふ……。エリアキーパー戦ですら、魔力切れ起こさなかったっていうのにな。
でも殴り飛ばす作業自体には慣れてきたので、1日2枚は運べそうかな?
表面の粗取りは後回しにして、まずは足場を完成させておきたい。
……これで、ジャンプでターミナル運搬出来なかったら、リモデリングで足場を作りながらのフリークライミングの必要が出てくるな……。うん、考えないことにしよう!
そして魔力回復中に建築現場を手伝っているんだけど、いやはや流石は異世界。地球とは全然勝手が違って面白い。
基本的には始めに設計図を用意して、その通りに組み立てていくだけなのだが、リモデリングがあるために釘や鉋みたいなものが必要ない。サイズの調整なんかも魔法の力で思うがままだ。
この世界に来て、いつも思っていたのは大工仕事の早さだったからなぁ。魔法を使って自由自在に素材の形を変えたり、接合できたりするんだから、作業スピードは地球の建築速度の比ではなかった。
異邦人の中に大工経験がある人が居たら、絶対反則だって思うだろうなぁこの光景。
おまけに大工連中の身体能力が半端じゃない。
『身体能力強化:大』が物凄く取得が大変なスキルなだけに忘れがちだが、『身体能力強化:中』に必要なSPって500なんだもんな。はっきり言って初歩スキルもいいところだ。
リンカーズのスキルシステムって、段階がはっきりしてる気がするよ。
取得SP200未満は基本スキル、1000未満は初級、1万未満は中級、10万までが上級で、それ以上はやりこみ要素って感じ?
スキルのおかげで人間の限界を超えた職人達には重機なんて必要ない。
重い建材なんかも簡単に運んでしまう。
パーツごとの建材をゲートでルイナスリームに運びこんで、それを大雑把に組み立ててから、リモデリングで接合と微調整という流れ。
ハンマーも鋸も使わずに、建物がどんどん作られていく。
特別な大工技術が要らず、魔法とスキルのごり押しでいけるなら、俺が別荘を1から建てるのもそんなに難しくないかもしれない。
「悪いトーマ。何とかなんねぇか?」
異世界の建築技術に感心していると、冒険者ギルドを建設中のスペイスが問題発生を告げてきた。
ベイクのギルドのように地下に訓練場を作ろうとしたが、ユリバファルゴアの鱗を加工できる職人が居なかったらしい。
流石は腐ってもエリアキーパー。やはり『任意発動スキル強化』なしでは加工できないか。
でもここで俺が加工できる事を見せると、めんどくさいことにしかならなそうなので却下。別の手を考えなければ。
「っていうか何で今さらなんだ? 冒険者ギルドの建物って、もう結構出来てなかったっけ?」
「あ~……。実は職人連中が躍起になってリモデリングに挑戦しててよ……。絶対に穴を開けてみせるからもう少し待っててくれってな……。
そんでとうとう建物部分が完成しちまったもんだから、流石にこれ以上は不味いと思ったのか降参してきたんだよ」
あー……。そういうチャレンジ精神は嫌いじゃないしな。なにか別の手を、って。
「そもそも地下に訓練場作らなくてもいいんじゃん? 普通に土地はまだ空いてるんだから、冒険者ギルドの隣りに訓練場を併設とかじゃダメなのかな?
恐らくだけど、今後国境壁外の開拓が進めば、色んな環境の場所にギルドを建てなきゃならなくなる。地下室が作れない環境なんてのは普通にありえると思うんだけど」
「あ~、これからはそういう可能性もあんのかー!
しゃーねぇ。ギルドの建物自体は出来てるんだし、こっちの状況を説明して併設の方向で申請してみるわ。
一応ギルドの共通規格だから、申請が通るまでは運営できないからな」
スペイスが嫌なフラグを立てていったけれど、申請の方は何の問題もなく通った。
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