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11章 新たな都市の建設
443 神殿と救貧院
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「そう言えばダイバースさん。救貧院について伺いたいんですけど、救貧院ってスキル神殿と何か関係があるんですか? どこの街でも大体スキル神殿の後ろに救貧院があるので、以前から不思議に思ってたんですけど」
祝福の儀、識別の巨大儀式魔法陣の有効化に成功した事を、神殿奥のリーゼリア様、ラーゼリア様の神像に報告している時に、前々から気になっていた事を聞いてみた。
「ああ、あるんですよ。と言ってもスキル神殿と救貧院に直接の繋がりがあるわけではないんですけどね。
救貧院はその性質上、どうしても子供の利用者が多いでしょう? まだ戦う力を持たないほどの幼い子供なんかもいるわけです。
リーゼリア様、ラーゼリア様は人類に魔物と戦う力を授けてくれる、人の成長を司る神々と言っても良い方々ですからね。幼い子供たちが神々の恩寵によって健康に逞しく成長して欲しい、いつの頃からかそんな願いを込めて、スキル神殿の近くに救貧院を併設するのが慣習になったと言われております」
子供の成長を願って、か。
実際の救貧院はそんなメルヘンなことを言っていられる状況じゃなかったところばかりだったけど、子供の成長を願って神様に見守ってもらいたいと願うのは、異世界に来ても変わらないものなんだな。
今の俺たちの金余り状態を考えると、リヴァーブ王国の貨幣の流通量が全然足りてなかったみたいだし、大人たちも余裕がなかったんだろうな。
これからは世界的にも色々変わっていってくれるといいんだけど。
「そう言えばまだこのルイナスリームでは救貧院の建設が始まっておりませんね。
普段なら私ももう少し早く確認しているところだったのですけど、巨大儀式魔法陣の設置に気を取られてしまって、すっかり失念してしまいました」
「あ、ちょうど良い流れなのでこのまま聞かせてもらいますけど、救貧院の設立ってどこに許可を取ってくれば良いんですかね?
確か救貧院も国の管轄の建物だと聞いた覚えはあるのですけど」
「ええ。トーマさんの仰る通り、国の管理する組織で間違いないですよ。ただし、ギルドや神殿と比べると、国の管理が少し緩いところはあるかもしれませんね。建物の規格などは特に定まっておりませんし。
救貧院が国の管轄なのは、運営費が国から支給されているからですね。不正の無いように、救貧院の管理者は国から派遣してもらうか、その人に後任として指名してもらう必要があります。
ルイナスリームは新しい都市ですので、国から派遣してもらわないといけません。国に申請しつつ、建物は先に用意しておいていいと思いますよ。この都市での救貧院の仕事は当分ないでしょうし」
ルイナスリームにおいて救貧院はすぐに必要な施設ではない。でもなければ後々困ることになるし、住民の不安に繋がってしまう、って感じか。
さてどうするかな? 流石にヴェルトーガ規模の救貧院を作る予定はないけど、ベイクのものよりは大きい物を用意しておきたいところだけど。
まずはネヴァルドに行って、いつも通り冒険者ギルドから王に連絡しておく。
次にボールクローグに飛んで、明日黒猫たちに祝福の儀を受けさせたい事を銀の乙女に報告しておく。彼女達は迷宮に潜っていたので、冒険者ギルドに伝言をお願いしておいた。
次の日、ネヴァルドに顔を出すと、人を選定するから少々時間が欲しいという回答を貰えた。別に急ぎじゃないのでよしとする。
ボールクローグに移動して、銀の乙女を迎えに行くか。
「おはようさんトーマ。話は聞いてるよ。ペル達に祝福の儀を受けさせたいんだってね。
私たちも興味あるから立ち合わせてもらっても構わないかい?」
「勿論構わないぜ。ペルはお前らの家族だろうからな。
ただ……。ペル達と銀の乙女全員で、50人超か……。もしかしたら2回に分けて異動してもらう事になるかも」
なんて結構ビビッていたが、実際にやってみるとなんとか1回で全員をルイナスリームに連れて行くことが出来た。結構ギリギリだったけどな!
鱗運搬で鍛えてなかったら魔力切れてた気がする……。
「へぇ~。ここがトーマたちが作ってる都市なのかい。
ボールクローグは森林地帯だから、砂漠地帯は随分とまぁ殺風景に見えるもんだねぇ」
「砂漠が殺風景なのは普通だからな。
それじゃ早速スキル神殿に行こうか。スキル担当官が張り切っててな。待たせるのはちょっと申し訳ないんだよ」
待ってるのはスキル神殿のトップらしいけどな。
現地に赴く行動力もあるし、ペル達の担当を買って出る熱意もあるし、いい上司っぽいよなダイバースさん。
巨大スキル神殿に銀の乙女一行を案内する。
大きさに圧倒されている銀の乙女達を中に入るように促す。
中ではスナネコたちが既に魔法陣内に待機している。
ペル達と揉めたりしないかな? なんて思ったけれど、お互い特に思うことも無いようで、両者大人しく魔法陣の中でお座りをしている。
「皆さんよくぞおいでくださいました。私は本日のスキル担当官をさせていただくダイバースと申します。
人と寄り添う生物がスキルを取得する瞬間に立ち会えるなど、本当に夢を見ている想いですよ」
ダイバースさんはサリサリ達に挨拶しただけでは気が治まらなかったらしく、ペルたちとスナネコたちにまで挨拶して回っている。なぜかきなこだけ愛想よく対応していたのが面白い。
「異風の旋律のみなさん、銀の乙女のみなさん。そしてラーゼリア様。リーゼリア様。本日はこのような機会をお与えくださり心より感謝申し上げます。
人に寄り添う人ならざるこの者達を祝福することが出来て、私は本当に幸せ者ですよ。
――――それでは参ります!」
ダイバースさんが儀式魔法陣を発動させて、祝福の儀が始まった。
そしてそれが終わって、ダイバースさんが魔力回復休憩を挟んで識別に移行。
その結果、ついにペル達もスキルを取得する事に成功したのだった。
祝福の儀、識別の巨大儀式魔法陣の有効化に成功した事を、神殿奥のリーゼリア様、ラーゼリア様の神像に報告している時に、前々から気になっていた事を聞いてみた。
「ああ、あるんですよ。と言ってもスキル神殿と救貧院に直接の繋がりがあるわけではないんですけどね。
救貧院はその性質上、どうしても子供の利用者が多いでしょう? まだ戦う力を持たないほどの幼い子供なんかもいるわけです。
リーゼリア様、ラーゼリア様は人類に魔物と戦う力を授けてくれる、人の成長を司る神々と言っても良い方々ですからね。幼い子供たちが神々の恩寵によって健康に逞しく成長して欲しい、いつの頃からかそんな願いを込めて、スキル神殿の近くに救貧院を併設するのが慣習になったと言われております」
子供の成長を願って、か。
実際の救貧院はそんなメルヘンなことを言っていられる状況じゃなかったところばかりだったけど、子供の成長を願って神様に見守ってもらいたいと願うのは、異世界に来ても変わらないものなんだな。
今の俺たちの金余り状態を考えると、リヴァーブ王国の貨幣の流通量が全然足りてなかったみたいだし、大人たちも余裕がなかったんだろうな。
これからは世界的にも色々変わっていってくれるといいんだけど。
「そう言えばまだこのルイナスリームでは救貧院の建設が始まっておりませんね。
普段なら私ももう少し早く確認しているところだったのですけど、巨大儀式魔法陣の設置に気を取られてしまって、すっかり失念してしまいました」
「あ、ちょうど良い流れなのでこのまま聞かせてもらいますけど、救貧院の設立ってどこに許可を取ってくれば良いんですかね?
確か救貧院も国の管轄の建物だと聞いた覚えはあるのですけど」
「ええ。トーマさんの仰る通り、国の管理する組織で間違いないですよ。ただし、ギルドや神殿と比べると、国の管理が少し緩いところはあるかもしれませんね。建物の規格などは特に定まっておりませんし。
救貧院が国の管轄なのは、運営費が国から支給されているからですね。不正の無いように、救貧院の管理者は国から派遣してもらうか、その人に後任として指名してもらう必要があります。
ルイナスリームは新しい都市ですので、国から派遣してもらわないといけません。国に申請しつつ、建物は先に用意しておいていいと思いますよ。この都市での救貧院の仕事は当分ないでしょうし」
ルイナスリームにおいて救貧院はすぐに必要な施設ではない。でもなければ後々困ることになるし、住民の不安に繋がってしまう、って感じか。
さてどうするかな? 流石にヴェルトーガ規模の救貧院を作る予定はないけど、ベイクのものよりは大きい物を用意しておきたいところだけど。
まずはネヴァルドに行って、いつも通り冒険者ギルドから王に連絡しておく。
次にボールクローグに飛んで、明日黒猫たちに祝福の儀を受けさせたい事を銀の乙女に報告しておく。彼女達は迷宮に潜っていたので、冒険者ギルドに伝言をお願いしておいた。
次の日、ネヴァルドに顔を出すと、人を選定するから少々時間が欲しいという回答を貰えた。別に急ぎじゃないのでよしとする。
ボールクローグに移動して、銀の乙女を迎えに行くか。
「おはようさんトーマ。話は聞いてるよ。ペル達に祝福の儀を受けさせたいんだってね。
私たちも興味あるから立ち合わせてもらっても構わないかい?」
「勿論構わないぜ。ペルはお前らの家族だろうからな。
ただ……。ペル達と銀の乙女全員で、50人超か……。もしかしたら2回に分けて異動してもらう事になるかも」
なんて結構ビビッていたが、実際にやってみるとなんとか1回で全員をルイナスリームに連れて行くことが出来た。結構ギリギリだったけどな!
鱗運搬で鍛えてなかったら魔力切れてた気がする……。
「へぇ~。ここがトーマたちが作ってる都市なのかい。
ボールクローグは森林地帯だから、砂漠地帯は随分とまぁ殺風景に見えるもんだねぇ」
「砂漠が殺風景なのは普通だからな。
それじゃ早速スキル神殿に行こうか。スキル担当官が張り切っててな。待たせるのはちょっと申し訳ないんだよ」
待ってるのはスキル神殿のトップらしいけどな。
現地に赴く行動力もあるし、ペル達の担当を買って出る熱意もあるし、いい上司っぽいよなダイバースさん。
巨大スキル神殿に銀の乙女一行を案内する。
大きさに圧倒されている銀の乙女達を中に入るように促す。
中ではスナネコたちが既に魔法陣内に待機している。
ペル達と揉めたりしないかな? なんて思ったけれど、お互い特に思うことも無いようで、両者大人しく魔法陣の中でお座りをしている。
「皆さんよくぞおいでくださいました。私は本日のスキル担当官をさせていただくダイバースと申します。
人と寄り添う生物がスキルを取得する瞬間に立ち会えるなど、本当に夢を見ている想いですよ」
ダイバースさんはサリサリ達に挨拶しただけでは気が治まらなかったらしく、ペルたちとスナネコたちにまで挨拶して回っている。なぜかきなこだけ愛想よく対応していたのが面白い。
「異風の旋律のみなさん、銀の乙女のみなさん。そしてラーゼリア様。リーゼリア様。本日はこのような機会をお与えくださり心より感謝申し上げます。
人に寄り添う人ならざるこの者達を祝福することが出来て、私は本当に幸せ者ですよ。
――――それでは参ります!」
ダイバースさんが儀式魔法陣を発動させて、祝福の儀が始まった。
そしてそれが終わって、ダイバースさんが魔力回復休憩を挟んで識別に移行。
その結果、ついにペル達もスキルを取得する事に成功したのだった。
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