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11章 新たな都市の建設
444 人ならざる隣人
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ギュギュー!
ペル達がスナネコたちと元気に遊びまわっている。
先ほどまでお互い大人しかったのは、単に空気を読んでいただけだったみたいだな。相変わらず賢い子達だ。
スキルの取得数はペルとガルムがツートップだった。
今まで壁外で魔物を狩って生きてきたガルムと、銀の乙女と一緒に、食べる以上の魔物を狩ってきたペル。ほとんどふわわとつららの2匹と同じくらいのスキルを取得してくれた。
その一方で、スナネコたちは前回の祝福の儀からさほど時間も経っていないこともあり、新規スキル取得者は誰もいなかった。
う~ん。食事は俺達が与えていたし、俺達が任せた仕事は鱗の運搬だけだもんなぁ。当然の結果だったか。
「本当にペルもスキルを取得出来る様になるなんてねぇ。流石はトーマだ。私らよりもペルにゾッコンなだけあるよ」
別にペルだけが好きなわけじゃないけどな。俺は動物全般が好きなだけだ。
その中でも特に、俺に懐いてくれる動物が嫌いになどなれるはずもないし?
それとペルとはまぁまぁ付き合いも長いから、そりゃ情も深くなるってもんだろ。
「実際にずっと一緒に生活している銀の乙女と比べて、俺はペルに対してあまり苦労することもなかったからな。いい印象しか持ってないよ。
それにエリアキーパーがでかい相手ばかりだったことを考えると、魔物じゃないもっと大きい生物が居ても不思議じゃないと思うんだよねぇ」
空を飛べる生物とかいるような気がするんだよな~。
俺とシンは運よく無限射程攻撃を開発することが出来たけど、ランドビカミウリもユリバファルゴアも、初撃は空を飛べないと空中からの超広範囲ブレスで一瞬で全滅させられるからな。
初手がブレスな辺り、やっぱりカラードラゴンはエリアキーパーの前哨戦として重要な気がする。
素材的な意味合いも強いけど、ランドビカミウリと戦う前にグリーンドラゴンと遭遇していなかったら、俺は魔装術の限界に気付けなかった。
シルバーライトと魔物武器を使っても傷が付けられない相手の存在が、魔装術の先の可能性を示唆してくれたと言思ってる。
エリアキーパーって下手すると心核武器じゃないと傷が付けられないかもしれないけど、恐らく翠緑の風クラスの魔物武器に『任意発動スキル強化』とフラジャイルを併用すれば、鈴音や心緑の流刃と同じ攻撃力が発揮できるんじゃないかな。
なので武器の素材という点でも、カラードラゴンを安定して狩れる場所が欲しい。
……迷宮でカラードラゴンが出るようになったとして、魔物素材が得られるかどうかはかなり運の要素が強いけど。
「サリサリさん。トーマさん。本日は貴重な体験をさせて頂きました。重ねて御礼申し上げます」
魔力回復のために休んでいたダイバースさんがやってきた。
「人ならざる生き物達とまた寄り添うことが出来るなんて、本当に夢のようです。今日の祝福の儀をきっかけに、沢山の生物と手を取り合っていけるようになると良いですね……」
ダイバースさんは猫達がじゃれあっているのを眩しそうに眺めている。
「あっはっは! 流石神殿の人は大袈裟な言い方をするねぇ!
でも感謝するのはこっちさ。今日はありがとう。私たちも、あの子にスキルを取得させることが出来て、本当に嬉しく思ってるよ。家族だからさ」
「はい。銀の乙女の皆さんとペルさんの在り方こそが、神が望んだ関係なのかもしれません。
彼らは人でこそありませんが、私たちの友人であり、家族になれる存在だと思っています。その姿を実際にこの目で見ることが出来たことが、何よりも嬉しいですよ」
……もしかして、こういう生き物たちの情報も広く公開したほうがいいのかなぁ?
でもなぁ。無理矢理従わせようと考える奴とか出てきてもおかしくないんだよなぁ……。
「あ、それと1つ気になってるんですけど、リヴァーブ王国の国境壁内にこういう生物って居ないんですか? 今のところ各エリアに1種類は見つけてるから、王国の領土内に居てもおかしくないと思うんですけど」
「悪いけど私は知らないねぇ。ペルと出会えたのだって偶然だし、魔物以外の生物が街の外で生きているなんて思ったこともなかったからさ」
「私も申し訳ありませんが存じませんね。むしろトーマさんがどうやってこれほどの生き物と出会えたのか、それすら理解できませんから。
今までも沢山の狩人たちが壁の外を探索していたはず。なのに外で生きている彼らのことなんて、聞いたことがありませんでしたよ?」
俺と他の狩人達の違い……。ってなんだろう?
音魔法による広範囲虐殺のせいで、俺達と接触せざるを得なかった、とかか?
ガルムと会った時は、焼肉の匂いで誘ったわけだけど……。
王国内にそういった生物が居たとして、1度も目撃されてないなんてありえるのか?
そこまで考えて、1つの可能性に思い至る。
無いとは思いたいが、可能性は低くない。というか結構高いんじゃないか?
だとすると一刻の猶予もないかもしれないな。
「今サリサリも言ったように、魔物以外の生物が都市の外に生息しているとは思われてないわけですよね?
ということは、王国内で彼女達のような生物と接触した狩人が居たとして、果たして友好的に接触できていたんでしょうか?
もしかして、魔物として扱われている生物の中に、彼らのような存在がいる可能性って、あるんじゃないですか?」
ダイバースさんとサリサリが息を飲む。
こりゃあ至急確認して、生きてるなら保護しないといけないな。
サリサリですら俺と出会う前は、ペルが魔物じゃないなんて意識をしていなかった気がする。
となると、何故か人に対する敵対心が薄い魔物、くらいに報告されていても不思議じゃない。
確か狩人ギルドの職員って、王国内の全ての魔物を把握してるんだったよな。
もし怪しい魔物が居るようだったら、ガルムの初任務になりそうだ。
ペル達がスナネコたちと元気に遊びまわっている。
先ほどまでお互い大人しかったのは、単に空気を読んでいただけだったみたいだな。相変わらず賢い子達だ。
スキルの取得数はペルとガルムがツートップだった。
今まで壁外で魔物を狩って生きてきたガルムと、銀の乙女と一緒に、食べる以上の魔物を狩ってきたペル。ほとんどふわわとつららの2匹と同じくらいのスキルを取得してくれた。
その一方で、スナネコたちは前回の祝福の儀からさほど時間も経っていないこともあり、新規スキル取得者は誰もいなかった。
う~ん。食事は俺達が与えていたし、俺達が任せた仕事は鱗の運搬だけだもんなぁ。当然の結果だったか。
「本当にペルもスキルを取得出来る様になるなんてねぇ。流石はトーマだ。私らよりもペルにゾッコンなだけあるよ」
別にペルだけが好きなわけじゃないけどな。俺は動物全般が好きなだけだ。
その中でも特に、俺に懐いてくれる動物が嫌いになどなれるはずもないし?
それとペルとはまぁまぁ付き合いも長いから、そりゃ情も深くなるってもんだろ。
「実際にずっと一緒に生活している銀の乙女と比べて、俺はペルに対してあまり苦労することもなかったからな。いい印象しか持ってないよ。
それにエリアキーパーがでかい相手ばかりだったことを考えると、魔物じゃないもっと大きい生物が居ても不思議じゃないと思うんだよねぇ」
空を飛べる生物とかいるような気がするんだよな~。
俺とシンは運よく無限射程攻撃を開発することが出来たけど、ランドビカミウリもユリバファルゴアも、初撃は空を飛べないと空中からの超広範囲ブレスで一瞬で全滅させられるからな。
初手がブレスな辺り、やっぱりカラードラゴンはエリアキーパーの前哨戦として重要な気がする。
素材的な意味合いも強いけど、ランドビカミウリと戦う前にグリーンドラゴンと遭遇していなかったら、俺は魔装術の限界に気付けなかった。
シルバーライトと魔物武器を使っても傷が付けられない相手の存在が、魔装術の先の可能性を示唆してくれたと言思ってる。
エリアキーパーって下手すると心核武器じゃないと傷が付けられないかもしれないけど、恐らく翠緑の風クラスの魔物武器に『任意発動スキル強化』とフラジャイルを併用すれば、鈴音や心緑の流刃と同じ攻撃力が発揮できるんじゃないかな。
なので武器の素材という点でも、カラードラゴンを安定して狩れる場所が欲しい。
……迷宮でカラードラゴンが出るようになったとして、魔物素材が得られるかどうかはかなり運の要素が強いけど。
「サリサリさん。トーマさん。本日は貴重な体験をさせて頂きました。重ねて御礼申し上げます」
魔力回復のために休んでいたダイバースさんがやってきた。
「人ならざる生き物達とまた寄り添うことが出来るなんて、本当に夢のようです。今日の祝福の儀をきっかけに、沢山の生物と手を取り合っていけるようになると良いですね……」
ダイバースさんは猫達がじゃれあっているのを眩しそうに眺めている。
「あっはっは! 流石神殿の人は大袈裟な言い方をするねぇ!
でも感謝するのはこっちさ。今日はありがとう。私たちも、あの子にスキルを取得させることが出来て、本当に嬉しく思ってるよ。家族だからさ」
「はい。銀の乙女の皆さんとペルさんの在り方こそが、神が望んだ関係なのかもしれません。
彼らは人でこそありませんが、私たちの友人であり、家族になれる存在だと思っています。その姿を実際にこの目で見ることが出来たことが、何よりも嬉しいですよ」
……もしかして、こういう生き物たちの情報も広く公開したほうがいいのかなぁ?
でもなぁ。無理矢理従わせようと考える奴とか出てきてもおかしくないんだよなぁ……。
「あ、それと1つ気になってるんですけど、リヴァーブ王国の国境壁内にこういう生物って居ないんですか? 今のところ各エリアに1種類は見つけてるから、王国の領土内に居てもおかしくないと思うんですけど」
「悪いけど私は知らないねぇ。ペルと出会えたのだって偶然だし、魔物以外の生物が街の外で生きているなんて思ったこともなかったからさ」
「私も申し訳ありませんが存じませんね。むしろトーマさんがどうやってこれほどの生き物と出会えたのか、それすら理解できませんから。
今までも沢山の狩人たちが壁の外を探索していたはず。なのに外で生きている彼らのことなんて、聞いたことがありませんでしたよ?」
俺と他の狩人達の違い……。ってなんだろう?
音魔法による広範囲虐殺のせいで、俺達と接触せざるを得なかった、とかか?
ガルムと会った時は、焼肉の匂いで誘ったわけだけど……。
王国内にそういった生物が居たとして、1度も目撃されてないなんてありえるのか?
そこまで考えて、1つの可能性に思い至る。
無いとは思いたいが、可能性は低くない。というか結構高いんじゃないか?
だとすると一刻の猶予もないかもしれないな。
「今サリサリも言ったように、魔物以外の生物が都市の外に生息しているとは思われてないわけですよね?
ということは、王国内で彼女達のような生物と接触した狩人が居たとして、果たして友好的に接触できていたんでしょうか?
もしかして、魔物として扱われている生物の中に、彼らのような存在がいる可能性って、あるんじゃないですか?」
ダイバースさんとサリサリが息を飲む。
こりゃあ至急確認して、生きてるなら保護しないといけないな。
サリサリですら俺と出会う前は、ペルが魔物じゃないなんて意識をしていなかった気がする。
となると、何故か人に対する敵対心が薄い魔物、くらいに報告されていても不思議じゃない。
確か狩人ギルドの職員って、王国内の全ての魔物を把握してるんだったよな。
もし怪しい魔物が居るようだったら、ガルムの初任務になりそうだ。
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