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11章 新たな都市の建設

469 ルイナスリームオープン

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 どうやら各地で、異風の旋律からの脱却を目指した運動が始まっているらしい。
 面倒なので、当分大人しくしておこうかな?

 ルイナスリームの迷宮も、始め発生した積層型は114階層、開放型は24階層、積層型は102階層になっているので、もうこれ以上成長させる必要ないな。
 本当はカラードラゴンまで発生させたかったけど、このままルイナスリームを閉鎖しておくと、またつまらない物言いが入りそうだ。もうオープンして手放そう。


「タケル。迷宮の成長促進切っていいよ。当初の目標階層は既に越えてるから、もう一般開放しちまうわ。
 迷宮ガチャは異界型が出るまで協力してくれよな」

「おう勿論協力させてもらうぜ。それにしても一般開放ってのはどういう意味だ? もしかしてルイナスリームの外からも人を呼ぶってことか?」

「まぁね。積極的に呼ぶつもりはないけど、ここが閉鎖的だとちょっと煩い方々がいるみたいでね。行き来できるゲート使いも少ないから、とりあえずは各都市のゲート使いを招待して、誰でもここまで来れるようにする程度かな」

「ちっ、くだらねぇことを言う奴はどこにでも居るもんだぜ。
 まぁ王国と仲良くやっていくためには仕方ねぇことか。とりあえず成長促進は切っちまうぜ。異界型が出たら成長促進かけに行くから、また呼んでくれよな!」


 これで迷宮関係もひとまずオッケーと。
 そしてゲート使いがここに飛べるようになれば、金の出入りも活発化して経済も動くようになるだろうな。

 とりあえず最短距離で突っ走って、各迷宮の最下層のフラグを立てておく。
 明日からはルイナスリームでSP稼ぎしないとね。


「マーサ。砂漠の上の別荘の方に、暇な時間を見つけて、少しずつ工房設備を整えておいてくれ。無駄になったら無駄になったで構わないし、素材まで運び込まなくていいからさ」

「了解だぜ。出来ればベイクの工房を使い続けたいところだがな。
 まぁ子供が産まれりゃあ別荘でゆっくりする機会も増えるだろうし、別荘側に工房を作るのは私も賛成だな」

「それじゃあみんな。明日以降はルイナスリームの迷宮に潜る事にしようか。俺とシンのソロ探索はドロップアイテムの回収を禁止しよう。スクロールは別だけど」

「了解。でも夜には自宅に戻ってくるんだよね? 僕としては、別にルイナスリームに引っ越しても構わないけど」

「いや、ベイクからの通いでも問題ないうちはベイクに住んでいようぜ。ベイクって俺達にとっては最後の砦だと思うんだよね。ベイクに住めなくなったら、もう王国中のどこにも住めないだろうから、いい指標になるだろ」

「そうだねー。もしベイクにも住めなくなっちゃうようだったら、カンパニーも父さん辺りに譲って、私たちは別荘辺りでゆっくり暮らしてもいいよねー」

「ゆっくり別荘で暮らすのはいいんですけど、別荘だとトーマが暴走しますからねぇ。長期間になると私たちの身が持つかどうか」


 サーセンね! 反省も自重もしないけど!


 次の日は朝からルイナスリームに移動して、俺は開放型迷宮の23階層で、シンは積層型迷宮の113階層でSP稼ぎを始めた。

 おーおーSPの貯まり方が凄まじいぜ。
 しかもドロップ回収の手間もないから、更にSP稼ぎが加速する!

 そして中央の迷宮も、今日第三者を連れた迷宮討伐隊で討伐してしまおう。


 シンが女性陣と非戦闘員を連れて2つの迷宮を踏破する間に、俺は各都市のゲート使いをルイナスリームに招き、ターミナルに触れさせていく。
 勿論ミルズレンダもネヴァルドでも、俺がゲートで行ける場所のゲート使いには、全てルイナスリームを登録させる。

 そして冒険者ギルドにルイナスリームの迷宮情報を公開し、あとはご自由にというスタンスで、ルイナスリームの情報を周知してきた。

 迷宮討伐の方も、明日以降は他の誰かにやらせようかな? もう心核使うこともねぇし。
 ちょいちょいターミナルで使うくらいか。


「それにしても、随分と一気に情報公開したっすね。これだとルイナスリームに人が殺到するんじゃないっすか?」

「むしろ人を集めさせて、逆に私たちから注目を逸らすつもりとか? それにしても開放型迷宮はなかなか勝手が違うわねぇ。SP的には効率悪いんだけど、戦闘訓練としては開放型のほうが訓練になりそう」

「うん。迷宮討伐も他の人たちにやらせるなら、私達はルイナスリームに張り付く必要なくなるよね。何をしていればいいのかな?」

「ああ、俺たちは保護区の環境整備に力を入れようぜ。木を植えたり畑を耕したりさ。ルイナスリームはもう俺たちが手を出す必要もねぇだろ。心核ももう要らねぇし、異界型迷宮も、無けりゃ無くても問題ねぇしな」

「そうだね。僕たちの不要論も出てるみたいだし、全部明け渡してしまえばいいよね。
 環境整備については、ダリッツさんにこまめに連絡を取って教えてもらおうよ」

「やったっ……。私、ルイナスリームではあんまり働けなかったから、保護区では頑張って役に立つからねっ……!」

「私は工房作りのほうを優先すっからな。それが片付いたら合流すっからよ。悪いけどよろしくな」


 よし、これでほぼほぼルイナスリームでやる事は片付いたかな?

 異邦人の街を作りたい、そう思ったときは凄く大変な気がしていたのに、実際に手をつけ始めてからはあまりすることがなかったかもしれない。

 ま、俺にとってルイナスリームの建設は異邦人と王国の為にやる必要があった事で、俺自身がやりたい事ではなかったんだろうね。


 次の日、ルイナスリームの開放型迷宮でSP稼ぎを終えて外に出てくると、冒険者ギルドから少年冒険者が出てきた。
 ベイクに居た異邦人じゃないよな? でもどっかで見たことあるような。誰だっけ?

 そんなことを考えていると、俺の視線に気付いた少年がニコニコと俺に近付いてきた。


「おはようございます! 異風の旋律のトーマさんですよね?
 初めましてでいいのかな? 俺、アラタって言います」


 アラタ……、って確か、ボールクローグのニューヒーローだっけ?
 へぇ、確かに爽やかでイケメンだなぁ。嫉妬する気にもなれないわ。
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