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11章 新たな都市の建設
476 トーマの思惑
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今のところ、ベイクで異常は一切感じられない。
流石俺たちのホームグラウンド、ルイナスリームなんて目じゃねぇぜ!
「それにしても、トーマって今回流石に無抵抗すぎない? 普段だったら犯人の調査とか、第三者の協力とか、色々手を打ってる段階だと思うんだけど、今回に限っては、徹底して無抵抗を貫いてるのは何でなのー?」
「そうそう。リーンの言う通り私も気になってました。
トーマって敵対した相手には容赦しないじゃないですか。その割に、今回は随分大人しいなって思ってたんですよ」
「もしかして犯人の目星、もうついてたりすんのか? あんまり争いたくない相手だったりとかよぉ?」
「うん。王国側の有力者が関わってるのは間違いないんだろうけど、私にはそれ以上は分からないかな?
マーサの言う通り、もう目星はついてたりするの?」
「いや、流石に何も調べてないから、犯人について確証はないなぁ。
ただしカルネジア家とメーデクェイタ家が関わってそうだなぁと思ってるし、ネヴァルドに居る奴が関わってるなら、王族の中で俺に恨み持ってそうな奴って1人思い当たるかなぁって程度?
それに王国中から一気に悪評が広まったって事は、結構な事前準備をしていたはずなんだけど、カンパニーに一切引っかからなかったって事は、旋律の運び手が活動していない場所を狙って準備してたってことになる。そんで旋律の運び手が活動していない場所を決定したのもあの時だと考えると、まぁ誰が関与してるのかは大体予想がつくよな」
「ま、まさか……! 王女様が、異風の旋律の悪評を広めてるの……!?」
身分的にも襲撃者の釈放なんて簡単そうだし、精霊家だったり王家だったりが中々逮捕に踏み切らないのも納得がいく人物なんだよなぁ。なにより、納得出来る動機があるわけだし。
「勿論仮説でしかないんだけど、そこが発信源だと考えると、仲が良い貴族家って全部うちのカンパニーが活動してない場所を治めてるんだろうから、今回の事の準備を進めるのには都合が良かっただろうし、異邦人に悪評が広まったルートにも見当がついちゃうんだよなぁ」
「――――うん。ちょっと信じられないけど、悪評が広まった原因が王女だと仮定するのであれば、異邦人に繋がる情報伝達ルートも既に存在してるね……」
「でもさあ。あの馬鹿にこんな回りくどい事する知能あると思う? あの短絡的で何も考えてない馬鹿女の考えた事にしては、用意周到で回りくどい、どっちかと言うとロンメノに近い発想な気がするんだよね。
でもロンメノが最終的に行ったのは迷宮の氾濫。魔法的な方法で物理的にカルネジア家を滅亡させる方法だった。
悪評を広めて、俺達を孤立させて力を殺いでいくって発想は、リヴァーブ王国民らしくない。
ってことでだ。多分馬鹿女共のバックに、参謀役の異邦人がついてるってのが俺の見解だなぁ。あの馬鹿女どもに信用されるには、イケメンか同姓かのどっちかだと思う。
イケメンって意味ではアラタも怪しいんだけどな。俺と遭遇したタイミングも怪しいし。でもアラタは勝負するなら真っ向から来るタイプだろう。それすら演技だったらお手上げだけど。でも……」
ボールクローグでアラタと会ったときに感じた視線。あれが今回の相手だとしたら。
その視線に気付いた俺の注意を引こうと、あの時のアラタは必死に手を振っていたんじゃないのか?
そう考えると、アラタは関係者であっても主犯じゃない。
というかアラタ、普通にSP稼ぎに来てるようにしか見えないし?
「でも、なんっすか?」
「……悪い。なんでもない。
さて、少なくとも今回の相手は、俺達を完全に標的にしてるわけだろ? その為に俺たちの周囲を調査して、周到に準備をして、満を持して攻撃を開始させた。きっかけは多分動物保護区の設定だろうな。あれで異風の旋律は王国を乗っ取るつもりだと吹聴して回れるし、散々扱き下ろされたブルガーゾも仲間に引き込めそうな流れになった。
あの会議の時の情報が漏れていて、俺の事をしっかり調査したと考えるのならば、恐らくメーデクェイタ家の当主も既に黒幕に協力してるんだろうな」
「そこまで分かってるなら、なんであえて泳がせてるの? アリスなり王女なり、カルネジア家なりメーデクェイタ家なりを追い詰めてみればいいんじゃないの?」
「これってさぁ。いくら裏に異邦人が居るからって、王国の問題じゃないなんて言えないと思うんだよな。もう俺たちは王国の協力を必要としてないからさ。別に無理して王国と付き合う必要もないんだよ。
でも王国側は違うだろ? 俺に再三接触してきた辺り、王国は俺たちとまだ仲良くしておきたいんだよ。なのに王国民の制御もできねぇんじゃ話にならない。しかも、王女が動いてるのは絶対に分かってるはずだ。権力を使用してるのに、行動を隠し通せるわけがないからな」
「ん~……。じゃあなんでタケルの事は頑なに突き放してるの? トーマ、何か他に考えてることあるよね?」
シンとハルにはなんか色々バレるんだよなぁ。
この2人、俺を仮想敵に設定して夫婦円満を保ってないか……?
「ん……、まぁ言っちゃうか。
タケルにはこのまま、ルイナスリームを引き継いでもらおうと思ってな。俺達を悪役にしつつタケルに人望を集めてるんだよ。
俺に不信感が募れば募るほど、次に注目されるのはタケルだ。しかもルイナスリームはタケルがいないと成り立たない。細工は流々って奴だな。もう流れに乗っただろ」
俺にはルイナスリームの管理なんて、荷が重過ぎるんだよねぇ。
「それにさぁ。今回の黒幕って、多分俺たちにしか注目してないんだよ。だから俺たちから接触しなければ、その周囲には目がいってないと思うんだよねぇ。
王国側が解決するって意味でも、俺達はこのまま日常を過ごしておけばいいんだと思うよ。結果がどうなるかは知らないけどね」
いやぁ攻撃する時って、極端に視界が狭まっちゃうもんなんだよねぇ。
その攻撃に力を入れれば入れるほど、周囲が目に入らなくなっちゃうんだよ。
さて、俺に注目するのは構わないけど、王国側の動きはちゃんと把握出来てるのかな?
流石俺たちのホームグラウンド、ルイナスリームなんて目じゃねぇぜ!
「それにしても、トーマって今回流石に無抵抗すぎない? 普段だったら犯人の調査とか、第三者の協力とか、色々手を打ってる段階だと思うんだけど、今回に限っては、徹底して無抵抗を貫いてるのは何でなのー?」
「そうそう。リーンの言う通り私も気になってました。
トーマって敵対した相手には容赦しないじゃないですか。その割に、今回は随分大人しいなって思ってたんですよ」
「もしかして犯人の目星、もうついてたりすんのか? あんまり争いたくない相手だったりとかよぉ?」
「うん。王国側の有力者が関わってるのは間違いないんだろうけど、私にはそれ以上は分からないかな?
マーサの言う通り、もう目星はついてたりするの?」
「いや、流石に何も調べてないから、犯人について確証はないなぁ。
ただしカルネジア家とメーデクェイタ家が関わってそうだなぁと思ってるし、ネヴァルドに居る奴が関わってるなら、王族の中で俺に恨み持ってそうな奴って1人思い当たるかなぁって程度?
それに王国中から一気に悪評が広まったって事は、結構な事前準備をしていたはずなんだけど、カンパニーに一切引っかからなかったって事は、旋律の運び手が活動していない場所を狙って準備してたってことになる。そんで旋律の運び手が活動していない場所を決定したのもあの時だと考えると、まぁ誰が関与してるのかは大体予想がつくよな」
「ま、まさか……! 王女様が、異風の旋律の悪評を広めてるの……!?」
身分的にも襲撃者の釈放なんて簡単そうだし、精霊家だったり王家だったりが中々逮捕に踏み切らないのも納得がいく人物なんだよなぁ。なにより、納得出来る動機があるわけだし。
「勿論仮説でしかないんだけど、そこが発信源だと考えると、仲が良い貴族家って全部うちのカンパニーが活動してない場所を治めてるんだろうから、今回の事の準備を進めるのには都合が良かっただろうし、異邦人に悪評が広まったルートにも見当がついちゃうんだよなぁ」
「――――うん。ちょっと信じられないけど、悪評が広まった原因が王女だと仮定するのであれば、異邦人に繋がる情報伝達ルートも既に存在してるね……」
「でもさあ。あの馬鹿にこんな回りくどい事する知能あると思う? あの短絡的で何も考えてない馬鹿女の考えた事にしては、用意周到で回りくどい、どっちかと言うとロンメノに近い発想な気がするんだよね。
でもロンメノが最終的に行ったのは迷宮の氾濫。魔法的な方法で物理的にカルネジア家を滅亡させる方法だった。
悪評を広めて、俺達を孤立させて力を殺いでいくって発想は、リヴァーブ王国民らしくない。
ってことでだ。多分馬鹿女共のバックに、参謀役の異邦人がついてるってのが俺の見解だなぁ。あの馬鹿女どもに信用されるには、イケメンか同姓かのどっちかだと思う。
イケメンって意味ではアラタも怪しいんだけどな。俺と遭遇したタイミングも怪しいし。でもアラタは勝負するなら真っ向から来るタイプだろう。それすら演技だったらお手上げだけど。でも……」
ボールクローグでアラタと会ったときに感じた視線。あれが今回の相手だとしたら。
その視線に気付いた俺の注意を引こうと、あの時のアラタは必死に手を振っていたんじゃないのか?
そう考えると、アラタは関係者であっても主犯じゃない。
というかアラタ、普通にSP稼ぎに来てるようにしか見えないし?
「でも、なんっすか?」
「……悪い。なんでもない。
さて、少なくとも今回の相手は、俺達を完全に標的にしてるわけだろ? その為に俺たちの周囲を調査して、周到に準備をして、満を持して攻撃を開始させた。きっかけは多分動物保護区の設定だろうな。あれで異風の旋律は王国を乗っ取るつもりだと吹聴して回れるし、散々扱き下ろされたブルガーゾも仲間に引き込めそうな流れになった。
あの会議の時の情報が漏れていて、俺の事をしっかり調査したと考えるのならば、恐らくメーデクェイタ家の当主も既に黒幕に協力してるんだろうな」
「そこまで分かってるなら、なんであえて泳がせてるの? アリスなり王女なり、カルネジア家なりメーデクェイタ家なりを追い詰めてみればいいんじゃないの?」
「これってさぁ。いくら裏に異邦人が居るからって、王国の問題じゃないなんて言えないと思うんだよな。もう俺たちは王国の協力を必要としてないからさ。別に無理して王国と付き合う必要もないんだよ。
でも王国側は違うだろ? 俺に再三接触してきた辺り、王国は俺たちとまだ仲良くしておきたいんだよ。なのに王国民の制御もできねぇんじゃ話にならない。しかも、王女が動いてるのは絶対に分かってるはずだ。権力を使用してるのに、行動を隠し通せるわけがないからな」
「ん~……。じゃあなんでタケルの事は頑なに突き放してるの? トーマ、何か他に考えてることあるよね?」
シンとハルにはなんか色々バレるんだよなぁ。
この2人、俺を仮想敵に設定して夫婦円満を保ってないか……?
「ん……、まぁ言っちゃうか。
タケルにはこのまま、ルイナスリームを引き継いでもらおうと思ってな。俺達を悪役にしつつタケルに人望を集めてるんだよ。
俺に不信感が募れば募るほど、次に注目されるのはタケルだ。しかもルイナスリームはタケルがいないと成り立たない。細工は流々って奴だな。もう流れに乗っただろ」
俺にはルイナスリームの管理なんて、荷が重過ぎるんだよねぇ。
「それにさぁ。今回の黒幕って、多分俺たちにしか注目してないんだよ。だから俺たちから接触しなければ、その周囲には目がいってないと思うんだよねぇ。
王国側が解決するって意味でも、俺達はこのまま日常を過ごしておけばいいんだと思うよ。結果がどうなるかは知らないけどね」
いやぁ攻撃する時って、極端に視界が狭まっちゃうもんなんだよねぇ。
その攻撃に力を入れれば入れるほど、周囲が目に入らなくなっちゃうんだよ。
さて、俺に注目するのは構わないけど、王国側の動きはちゃんと把握出来てるのかな?
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