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11章 新たな都市の建設
475 悪役
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「トーマ! お前にちょっと聞きてぇことがあるんだ!」
最近は朝によく絡まれるなぁ。
と、今回は知った顔だった。
「おはようタケル。なんでも聞いてくれ。答えるとは限らないけど」
「じゃあ聞くが! 昨日6人に異邦人が大怪我をした状態で、ルイナスリームのターミナル広場で発見されたんだよ!
これってお前がやったことなのか!?」
「んー。その6人に聞けばいいんじゃないの? 大怪我って事は生きてるんでしょ? その人たち」
「……完全に怯えきってて、まともに会話が出来ねぇんだよ……! だからお前に話を聞きに来たんだトーマ!
異邦人6人をあっさり返り討ちにして、ゲートも使える相手なんて、お前しか思い浮かばねぇんだよ!」
「仮に俺がやったとして、それを聞いてどうすんの? しかも返り討ちって何? まるであの6人が誰かを襲撃するのが分かってるみたいな口振りだけど。
まぁ俺がやったかもしれないし、やってないかもしれないね。被害者が生きてるなら根気強く聞き出せば?」
「別にお前を責めるつもりはねぇよ。ただ事情が知りたいだけなんだ……!
あの6人の素行は前々から問題になっててよ。そのうち問題を起こすんじゃねぇかって思われてたんだ……」
んー。はぐらかしても良いんだけど、別にはぐらかすほどの事でもないか。
というか、これをきっかけに、もっと悪評が広まるかもしれないな。
タケルが俺に疑念を持ってくれれば、俺の悪評が広まるのも早まりそうだ。
「そんじゃあタケルに免じて、1つは教えてやる。でもそれ以上は教えない。
あの6人をターミナル広場に捨てたのは俺だよ。そして俺はあいつらには何の口止めもしてない。だから事情はあいつらに聞けよ。
って、これじゃ2つ教えたことになっちゃうか? まぁいいや」
「な、なんでだよ!? そこまで教えてくれるんだったら、全部教えてくれたって……!」
「お前さぁ。俺の事を加害者だと思ってんなら、加害者の言う事を鵜呑みにしちゃダメだろ?
本当に真実が知りたいなら、両者に平等に話を聞かないと。俺はあいつらになに1つ強制しちゃいない。だからあいつらだって話が出来るはずなんだよ。あいつらが話さないのはお前が舐められてるからだよ。お前は甘いと思われてんの。タケルには喋らなくても大丈夫だと思われてんの」
「でもこのままじゃ、トーマがあいつらに大怪我をさせたってことしか分からない! ただでさえ悪評が広まってるってのに、これ以上悪評が広まっちまったら、旋律の運び手だって、脱退者が出ちまうかもしれねぇんだぞ!?」
「いや別に? 抜けたければ抜けて良いんだよ。元々脱退自由だったんだし。なんならカンパニー解散してもいいよ?」
「な、なんなんだよ……。なに考えてんだよ……。トーマがなに考えてるのか、全然わかんねぇよ……」
「なに考えてるって、自分のことしか考えてないよ俺は。カンパニーの支援だってもう要らねぇだろ。次に来る異邦人? 勝手にしなよ。
俺は王国と上手くやるために色々動いてきたつもりだがよ、王国側が俺なんか要らねぇっていうんだったら、別に俺だって王国側に気を遣うつもりはないんだって。ただそんだけ」
「お前はいつだって、誰かを助けてきたんじゃねぇかよ! 俺のことだって、助けてくれたじゃねぇかよぉ!」
「偶然な。俺は自分が無理してまで誰かを助けようとなんて思ったことねぇよ。お前みたいに見ず知らずの女のために命張れるほど、人間出来ちゃいない。
異風の旋律の悪評? 不要論? 大いに結構。俺も別に王国の支援なんて要らねぇし。
なぁタケル知ってるか? 俺がどれだけ一方的に王国に支援してきたかをさぁ。俺は自分で稼いだ金をどれだけ王国のためにつぎ込んできたか知ってる? その上で今の扱いなわけよ。
別に王国と争う気はねぇけどさ。付き合ってやる気もねぇよ。馬鹿らしい」
タケルがどういう人間を目指してもいいと思うけど、勝手なヒーロー像を押し付けてもらっちゃ困るってもんだ。
タケルの話も終わったようなので、今日も1日、保護区の整備を頑張るかなっ。
「へ~。トーマ、昨日遅かったと思ったら襲撃受けてたんだねぇ。
う~ん、ルイナスリームも少し危なくなってきたかな。僕達は平気だけど、アサヒとカンナは少し心配だよね」
「あの2人だって、そう簡単にやられたりはしないと思うけどな。ブルガーゾ程度だったら撃退できるだろ」
「あの人一応1等級なんですけど、トーマに1撃で沈められたから、1等級の面汚しみたいな扱いになってますよね」
「まぁ実際弱いから仕方ないねー。『身体能力強化:中』まで持っててあの程度じゃ話になんないよー」
「うん。身体能力系スキルだけなら同等だもんね。その割にトーマにワンパンでやられちゃうんだもん。何の作戦かなって思ったよ?」
こうやってブルガーゾを弄ってるのも悪評に含まれてたりしてな。
あ、でもこの話がもし聞かれていて拡散されてしまったとしたら、俺たちに対する悪評じゃなくて、ブルガーゾに対する悪評にしかならないのか。
しっかしハロイツァの件から、カルネジア家は評価を上げることはできずに終わってしまったなぁ。
どこが素晴らしい方なんだろう、ブルガーゾって。
最近は朝によく絡まれるなぁ。
と、今回は知った顔だった。
「おはようタケル。なんでも聞いてくれ。答えるとは限らないけど」
「じゃあ聞くが! 昨日6人に異邦人が大怪我をした状態で、ルイナスリームのターミナル広場で発見されたんだよ!
これってお前がやったことなのか!?」
「んー。その6人に聞けばいいんじゃないの? 大怪我って事は生きてるんでしょ? その人たち」
「……完全に怯えきってて、まともに会話が出来ねぇんだよ……! だからお前に話を聞きに来たんだトーマ!
異邦人6人をあっさり返り討ちにして、ゲートも使える相手なんて、お前しか思い浮かばねぇんだよ!」
「仮に俺がやったとして、それを聞いてどうすんの? しかも返り討ちって何? まるであの6人が誰かを襲撃するのが分かってるみたいな口振りだけど。
まぁ俺がやったかもしれないし、やってないかもしれないね。被害者が生きてるなら根気強く聞き出せば?」
「別にお前を責めるつもりはねぇよ。ただ事情が知りたいだけなんだ……!
あの6人の素行は前々から問題になっててよ。そのうち問題を起こすんじゃねぇかって思われてたんだ……」
んー。はぐらかしても良いんだけど、別にはぐらかすほどの事でもないか。
というか、これをきっかけに、もっと悪評が広まるかもしれないな。
タケルが俺に疑念を持ってくれれば、俺の悪評が広まるのも早まりそうだ。
「そんじゃあタケルに免じて、1つは教えてやる。でもそれ以上は教えない。
あの6人をターミナル広場に捨てたのは俺だよ。そして俺はあいつらには何の口止めもしてない。だから事情はあいつらに聞けよ。
って、これじゃ2つ教えたことになっちゃうか? まぁいいや」
「な、なんでだよ!? そこまで教えてくれるんだったら、全部教えてくれたって……!」
「お前さぁ。俺の事を加害者だと思ってんなら、加害者の言う事を鵜呑みにしちゃダメだろ?
本当に真実が知りたいなら、両者に平等に話を聞かないと。俺はあいつらになに1つ強制しちゃいない。だからあいつらだって話が出来るはずなんだよ。あいつらが話さないのはお前が舐められてるからだよ。お前は甘いと思われてんの。タケルには喋らなくても大丈夫だと思われてんの」
「でもこのままじゃ、トーマがあいつらに大怪我をさせたってことしか分からない! ただでさえ悪評が広まってるってのに、これ以上悪評が広まっちまったら、旋律の運び手だって、脱退者が出ちまうかもしれねぇんだぞ!?」
「いや別に? 抜けたければ抜けて良いんだよ。元々脱退自由だったんだし。なんならカンパニー解散してもいいよ?」
「な、なんなんだよ……。なに考えてんだよ……。トーマがなに考えてるのか、全然わかんねぇよ……」
「なに考えてるって、自分のことしか考えてないよ俺は。カンパニーの支援だってもう要らねぇだろ。次に来る異邦人? 勝手にしなよ。
俺は王国と上手くやるために色々動いてきたつもりだがよ、王国側が俺なんか要らねぇっていうんだったら、別に俺だって王国側に気を遣うつもりはないんだって。ただそんだけ」
「お前はいつだって、誰かを助けてきたんじゃねぇかよ! 俺のことだって、助けてくれたじゃねぇかよぉ!」
「偶然な。俺は自分が無理してまで誰かを助けようとなんて思ったことねぇよ。お前みたいに見ず知らずの女のために命張れるほど、人間出来ちゃいない。
異風の旋律の悪評? 不要論? 大いに結構。俺も別に王国の支援なんて要らねぇし。
なぁタケル知ってるか? 俺がどれだけ一方的に王国に支援してきたかをさぁ。俺は自分で稼いだ金をどれだけ王国のためにつぎ込んできたか知ってる? その上で今の扱いなわけよ。
別に王国と争う気はねぇけどさ。付き合ってやる気もねぇよ。馬鹿らしい」
タケルがどういう人間を目指してもいいと思うけど、勝手なヒーロー像を押し付けてもらっちゃ困るってもんだ。
タケルの話も終わったようなので、今日も1日、保護区の整備を頑張るかなっ。
「へ~。トーマ、昨日遅かったと思ったら襲撃受けてたんだねぇ。
う~ん、ルイナスリームも少し危なくなってきたかな。僕達は平気だけど、アサヒとカンナは少し心配だよね」
「あの2人だって、そう簡単にやられたりはしないと思うけどな。ブルガーゾ程度だったら撃退できるだろ」
「あの人一応1等級なんですけど、トーマに1撃で沈められたから、1等級の面汚しみたいな扱いになってますよね」
「まぁ実際弱いから仕方ないねー。『身体能力強化:中』まで持っててあの程度じゃ話になんないよー」
「うん。身体能力系スキルだけなら同等だもんね。その割にトーマにワンパンでやられちゃうんだもん。何の作戦かなって思ったよ?」
こうやってブルガーゾを弄ってるのも悪評に含まれてたりしてな。
あ、でもこの話がもし聞かれていて拡散されてしまったとしたら、俺たちに対する悪評じゃなくて、ブルガーゾに対する悪評にしかならないのか。
しっかしハロイツァの件から、カルネジア家は評価を上げることはできずに終わってしまったなぁ。
どこが素晴らしい方なんだろう、ブルガーゾって。
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