異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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11章 新たな都市の建設

480 誘拐事件

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「アサヒとカンナの2人が戻ってきてない?」


 夕食のためにベイクに帰宅すると、なにやら異変が起こってしまったようだ。
 やっぱあの時フラグを立ててしまったかもしれない。


「シンはサーチが使えるから、俺と二手に分かれて各都市を捜索しよう。
 本命ミルズレンダ、次点がボールクローグのカルネジア邸、よほど馬鹿ならネヴァルド、あとはカンパニーが活動してない街かルイナスリームは可能性があるって感じだ。見つけたらそのまま突入して全員皆殺しにして良いぞ。というか嫁に手を出した時点で皆殺しにするつもりだ」

「待って。サーチするのはいいけど、何を対象にすればいいの? アサヒとカンナは異邦人だから、血縁関係にある人なんていないでしょ?」

「おいおいシン。ちょっと慌ててないか? 俺たちにはこれがあるじゃないか」


 そう言って、指にはめてあるパーティリングを見せてやる。


「……そっか! ランドビカミウリの鱗! そんなもの、僕たち以外に身につけている人間がいるとは思えない!」

「まぁ研究のためにネヴァルドの迷宮研究院にも持ち込まれたりしてるけどな。ランドビカミウリとグリーンドラゴンの合成素材なんて、うち以外で持ってる奴が居るはずがない。
 あと一応全員リジェクトの魔導具を持っていくようにな。魅了、洗脳系の能力者が居ないとも限らない。
 俺はゲートでいける範囲を全部回ってみるから、他のメンバーで俺たちが行った事ない都市を探してくれる?」

「了解! すぐに行こう!」


 さて、どこにいるかなぁ。
 まずは2人が探索に行っていたはずのルイナスリームからいくか。

 詠唱時間も惜しいので魔導具で即時ゲートを開く。


 ターミナル広場ですぐにパーティリングの反応をサーチ。反応なし。

 ミルズレンダもハズレ、ボールクローグもハズレ。
 うーん、意外と正解が……って、待てよ? まさか迷宮内に連れ込まれてる可能性、あるんだろうか?
 まぁまずは各都市を回るとしよう。

 各都市を捜索しながら考える。
 アサヒとカンナの2人は、うちで鍛えているうえに戦闘系チート能力者だ。簡単に負ける相手はそう多くない。
 と考えると、実行犯はアラタの気がする。

 アラタ側の異邦人が何人居るかは知らないけど、恐らく魅了・洗脳系の能力者は居ないはず。扇動はしてるけど、ありゃチートでやってるようには見えない。

 
 ゲートで行ける都市には反応なし。
 カンパニー活動をしてない場所の可能性もまぁまぁ高いが、1番可能性が高そうなのは迷宮だ。

 異空間だからサーチが届かないし、1階層ごとに独立してるから捜索に時間がかかる。
 その上で114階層を踏破しているアラタがいれば危険もないからな。

 1度ベイクに戻り、ふわわとつららを受け取ってくる。
 2人の匂いが残っていたら教えてくれるはずだ。


 そして俺はネヴァルドに行き、城を落とすことにする。


「と、トーマ殿!? こ、このような時間になんの……」

「くだらない問答に付き合う気はない。今すぐ王を出さないと、ネヴァルドの人間根絶やしにするぞ」


 そう言いながら、修理済みの門を破壊して中に押し入る。


「と、トーマ殿ぉぉっ!? い、いったいなにを!?」

「かかってくるなら殺す。こっちは余裕がないんだ。被害を少しでも抑えたいなら、一瞬でも早く王に連絡をつけるんだな」


 待ってやる義理も余裕も無いけどなぁ!

 声をかけてきた門番を置き去りにして城に走る。閉じてる門をウェブクラフターで吹き飛ばして入城。

 複合センサーで城全体を確認。護衛の数で王の居場所を大雑把に判断して、壁と床を破壊して進む。

 上階の方でやたら人数が多い場所があるので、恐らくはそこだろ。

 
「おじゃましまーっす!」


 下の階から天井を破って入室する。
 砂埃を引き飛ばして部屋を確認すると、どうやら何度も訪れた会議室のようだ。


「と、トーマさん!?」


 改めて部屋の中を確認すると、ディオーヌ様、ファーガロン様、王の3人と、会議でよく見かけたメンバーが会議中だったらしい。


「ああ、こんな入室で失礼します。とりあえず用件だけお伝えしますね。
 アサヒとカンナの2名が家に戻っていません。今すぐシルヴァールの居場所を教えて頂けないと、リヴァーブ王国が明日の陽の目を見る事はないとだけ言っておきます」

「ちょ、ちょっと待って!? 落ち着いてトーマさん! まずは冷静に……!」

「くだらない問答をするつもりはありません。俺の嫁が狙われた以上、俺が王国に容赦をする事は一切無いと心得ろ。余計なことを言った瞬間死ぬと思え。
 シルヴァールの居場所はどこだ? 俺が誰も殺さないうちに話した方が賢明だぞ?」

「……済みませんトーマさん。まだ調査中ですの。シルヴァール王女の居場所はいまだ……」

「じゃあ王に付き合ってもらう。お前の魔力でサーチすれば隠れようが無いからな。
 各都市を回ってサーチして来たが、2人の反応はなかった。恐らく迷宮内に連れ込まれてるんだろう。
 シルヴァールが迷宮に入るとは思えないからな。アイツに吐かせる。立て王。非協力的ならこの城にいるお前以外の全員を殺すぞ」

「――――っ!
 私も、ですか……! トーマさん?」

「例外はない。俺の身内以上に優先するものなどない。2人が見つからない限り、呼吸する時間で王国民が死に続けると思えよ? 犯人が分かっておきながら、ここまで事態を悪化させた自分を恨め」

「わ、わかった! 私が同行する! だから怒りを収めてくれんかトーマよ!」

「あ? 同行するのは大前提だ。怒りを収めて欲しいなら、速やかに娘を見つけるこったな。
 夜明けまでに見つけられなかったら、俺の手で滅ぼしてやるぞこんな国」

「分かった! 分かったから落ち着いてくれぇ!」

「そんで? 最低でも絞り込み程度は出来てんだろ? いる可能性の高い都市は?
 王国の存亡がかかった質問だ。慎重かつ迅速に答えろ」

「ミルズレンダが怪しい、と報告を受けておりますわ……」

「根拠は?」

「カンパニーが活動していなくて、元々異風の旋律への悪感情が強く、反対勢力の中で最も大きいメーデクェイタ家が治める都市だからです……」

「わかった。行くぞ王。グズグスすんな」


 王の首根っこを捕まえて、ゲートでミルズレンダに飛んだ。
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