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11章 新たな都市の建設

483 断絶

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「はぁっ……。はぁっ……。はぁっ……。」

「さて? そろそろ降参かい?」


 誰もいない夜の砂漠で、ひたすらアラタをボコり続ける。


「なんでぇ! なんでなんだぁ! 僕は、取得できるスキルを全て取ったっていうのにぃ!」

「スキルだけで強くなれるなんて、それこそゲームかアニメの話だろ。
 お前自身が言ってたんじゃねぇか。ここは俺たちにとっては紛れもなく現実の世界なんだってよ」

「スキルだけじゃないってなんのことだよ……。魔法か? 装備か?」

「戦闘経験だよ。お前も訓練はしてるんだろうけどよ、格上と戦ってきた経験ないだろ?
 俺がこの世界に来てから戦った敵は、今回を除いて全部格上だったぜ? まともに攻撃したら、パーティ全員で斬りかかっても触れることすら出来ない相手とばかり戦わされてきたからな。
 格下とばかり戦って俺TUEEしてきたお前なんかに負ける要素がねぇよ」

「……そんなこと言ったって、もうこの世界で1番深い迷宮もクリアしちゃったし、格上って誰と戦えばいいのさ……!?」

「まずはカラードラゴンって呼ばれてる奴からだな。それを無事に倒せたらエリアキーパーに挑んでみるんだな。
 エリアキーパーも倒せないうちから、既に3体討伐してる俺に敵うと思うな。
 ていうか正直、カラードラゴンにすら殺される可能性あるからな? お前は」

「は、はは、ははははは! スキルさえあれば最強になれるって思ったのになぁ! くっそ! 失敗したよ!
 恐らく僕が最強になるには、時間が足りなそうだ。でも、だからこそ挑戦しがいがあるよ!」


 好きにしろよ。俺に絡んでこなければ自由に楽しめばいいんだから。

 まぁ嫁に手を出した事は絶対に許さないんで、徹底的にボコらせてもらうけどね。


 気が済むまでボコボコにして、アラタが完全に動けなくなったらネヴァルドに持っていく。

 老いぼれと違ってアラタは頑丈だから、少々無茶な扱いをしても問題ないのが良いね。


 城に着くと、俺が破壊した色々の掃除や修理が行われていた。
 俺の姿を見た王国民は、皆ぎょっとして距離を取る。

 兵士すら同じ反応とか、君ら城守る気あるの?


 センサーで確認すると、俺が破壊した会議室にまだ沢山の反応があった。
 今回は急ぎじゃないので順路を通って会議室へ。


「失礼しまーす。今回の誘拐の実行犯を連れてきましたー」

「と、トーマさんっ!?」


 会議室に入室すると王もいた。なんか俺を見て怯えてるな。知らん。


「コイツが今回俺の嫁を攫った実行犯ね。アラタっていう異邦人。
 取得可能なスキルを全部取得済みらしいから、戦闘力はかなり高いよ。
 城に置いていくから自由に扱っていいよ。今回の主犯とも知り合いみたいだしね。
 さて、俺は王国側が解決してくれるのをずっと待っていたんだけど、結局俺が動くことになって、それで俺が動いた途端終わっちまったんだけど? 王国側としてはなんか言いたいことある?」

「そこのアラタという異邦人をすぐに厳重に拘束してください。
 ……王国側としては、本当に申し訳ありませんでしたとしか言えませんわ。
 なにか……、トーマさんから要求はございますか……?」

「そうですねぇ。とりあえず今回の騒動の顛末は、リヴァーブ王国民全員にちゃんと告知してください。
 それを持って異風の旋律はリヴァーブ王国への関与を止めます。カンパニーは誰かに引き継いでもらいましょう。希望者がいなければ解散します」

「主犯がシルヴァール王女だったことも、王国解放軍に参加した者たちは身分を問わず情報公開することを誓うよ……」

「あとは未だに捕まっていない主犯の異邦人を、今から3日以内に確実に捕らえてください。1日送れるごとに、どこかの貴族の屋敷が吹っ飛ぶ事になるかもしれません。メーデクェイタ家の屋敷みたいにね」

「分かった……。どんな方法を使ってでも、必ず連れてくると約束する……」

「そんじゃ3日後にまた城に来ますね。流石にもう俺が気を遣ってやる事はないと、肝に銘じていただきたいもんです」


 これで王国とは完全に関係が切れたかな?
 融和、協調路線で行きたかったもんだけど、これじゃ完全に俺に依存してる状態だもんな。
 このままじゃ王国のためにだってならない。

 城を出たらすぐにゲートでベイクに帰った。


「ただいまー。全員帰ってる?」

「トーマお帰り。大丈夫、全員戻ってるよ。お疲れ様。
 それでなにしてたの? ずっとアラタを殴ってただけ?」

「いや、ネヴァルドに行ってアラタ渡してきた。そんで今回の事の顛末を全国民に開示、異風の旋律の王国への関与を止めること、主犯を3日以内に確実に拘束する事を要求してきた。
 カンパニーも引継ぎ手がいなきゃ解散だ」

「そっか……。院のみんな、残念がるだろうな……。みんなトーマのカンパニーに入るの、憧れてたから……」

「流石に王国が俺に依存しすぎてる状態だと思うよ。俺たちが手を引いてからが、本来の王国の姿って事になるだろ。
 もう散々色んなものも見せてやったし、用意してやったんだからな」

「それでも、今回の騒動さえなければそのまま回っていたでしょうに。だからこその情報公開なんでしょうけどね。私達は完全に被害者ですし」

「うん。流石に私たちが動いた途端に終わるような事を、今まで解決出来なかった王国が悪いよ。
 王女なんて一瞬で見つけちゃえたのに、今までそれすらしてなかったんだもん」

「私としても潮時だったと思うなー。トーマは色んな人を助けてきたけど、それを当然だって思われたら、いつかトーマだって限界が来ちゃうもんね。
 トーマが限界に達する前に支援を打ち切れたのは、私としては喜ばしいことだと思うよー」


 大体カンパニー参加者だって1000人越えとか、アホじゃねぇのかと。
 そんな人数、俺なんかが背負い切れる訳ねぇんだよ。

 俺は家族を背負うだけで精一杯だ。
 王国民の未来は、王国民で背負えっつう話だな。
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