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12章 俺が望んだ異世界生活
498 和気藹々
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グラメダワルケアの見学が終わったら、予定通り要人の皆さんにはゲートでご帰宅頂いた。
最低限の護衛、各家から3名ずつの9名が残って馬車の回収を行う事に。
せっかくなので俺も同行して、トイレの使い心地やら階段の上り下りについて意見を伺う事にする。
ストレージに食べ物も入っているのでそれをみんなで齧りながら、護衛対象も居ないゆるくまったりした下山となった。
「いやあこの道を1日で作ったってのが信じられないですよ!
俺ずっと数えてたけど、8169段あったんですよ!?」
「お、数えてもらってたんですね。俺は数えないで作ってたから助かりましたよ。
その情報、良かったら公式記録にしといてください」
8000段越えてたかー。
となると、間違いなく2キロメートルは越えてきただろうなぁ。
スキルのおかげで気温や気圧の変化があまり感じられないから、変化に気付きにくい。
「私としては一旦下山した後トイレを設置しながら登ってきたのに、私たちにあっさり追いついたのが信じられませんよ……。
私たちだって決して遅い移動ではなかったと思うんですけどねぇ」
「そこはまぁ、スキルの差だと思ってくださいよ。
俺ってエリアキーパー級を3体倒してますからね。このくらい出来ないとって感じです」
「ははは……。ある意味良い指標となりそうですよ。
この岩山を1日以上かけて登っているようでは、エリアキーパーと戦うなんておこがましい、みたいな」
「そりゃあ違いないっ!」
多少休憩を挟みつつの下山だけど、皆さんの足取りも軽いし、エリアキーパーを目にして心折れている印象は一切無いな。
この人たちが一線級のエリートだというのもあるんだろうけれど、心さえ折れなければいつかエリアキーパーが倒される日だってくるだろう。
「そう言えば今回護衛に選ばれた皆さんは、全員が迷宮の踏破を経験している人たちなんですか?」
「そうですね。そうでない者はエリアキーパーを目にする事に心が耐えられないので、という報告を受けておりましたから」
「迷宮の踏破と言うとソロでですか? それとも集団で?」
「そこはまちまちですね。ただスキップオーブの登場以降は、我々は少なくとも自分の暮らす都市の管理迷宮くらいは1人で踏破出来るように推奨されております。
異邦人たちも増えてきましたし、なにより彼らの拠点であるルイナスリームには世界最大の管理迷宮がありますからね。チート能力に加えてスキルまで上回られたら、異邦人に対抗する術がなくなってしまいますから」
うーん、このままじゃちょっと危険かなぁ?
ルイナスリームの迷宮のSP稼ぎの効率がこの世界で最高の状態、しかも3つの迷宮全てが王国側の管理迷宮の全てを上回っている状態だ。
王国にも1つくらい深い迷宮がないと、王国民すらルイナスリームに流出し続けてしまうよな。
これはちょっとタケルに相談しておこう。アイツももうソロで114階層突破した、一流の冒険者だしな。
名実共に異邦人のリーダーになってしまった。
下山しながらも登山道の改善ポイントを皆さんに聞いてみる。
ここの休憩スポットにこれがあったら良かったなぁとか、この椅子の位置は野営の時少し邪魔になったとか。
完全に業者になってんじゃねぇか俺。
「トイレを設置していただけたのはかなりありがたいですよ? いくら洗浄があるとはいえあまり野外で用を足したくはありませんし、女性陣などはなるべく我慢をしていたんじゃないでしょうかね。
トイレ設置後はほぼ全員がトイレに殺到しておりましたし」
「このトイレの魔導具って、異邦人の世界のトイレよりも凄く便利なんですよ。俺もこの世界に来た当初は感動しましたし。
こんな風に山の途中に気軽に設置できるものじゃなかったんですよね、俺たちの世界のトイレって」
「へぇ。面白いですね……って、皆さんの世界には魔法が無いんでしたっけ。
いやぁ魔法があるのが当たり前の我々には、魔法がない世界のことは想像も出来ません。
きっと我々が異邦人の世界に転移したら、何も出来ないんじゃないでしょうかね」
「魔法もスキルもない代わりに、魔物も存在しない平和な世界とお聞きしております。
そんな平和な世界から突然この世界に来てしまった異邦人の皆さんは、よくこの世界に馴染むことが出来たものだなぁと感心しますよ」
いやぁ、魔法もスキルも魔物も居ないんだけど、ゲームや漫画でそういった概念は存在してるからなぁ。
俺なんかもそうだけど、日本にいるよりこっちの方が合ってる奴って、まぁまぁ少なくないんじゃないかな?
登山道でそれぞれ気になったポイントを手直ししながら、日没前に下山することが出来た。
下りの方が体への負担は大きいという話をよく聞くけど、スキル持ちの王国民には何の問題も無かったようだ。
俺の魔力なら馬車ごと転移させることも可能なので、俺がゲートを開いて馬車回収係の皆さんを各都市に送る。
現場で頑張ってる人って邪険には出来ないんだよなぁ。俺自身が出世できなかったからか、どうしても同情的になってしまう。
帰宅して確認すると、魔導具はまだ完成していないとの事。
それじゃ明日はタケルのところに行こうかな?
今度こそカラードラゴンが出るところまで、というか管理できるギリギリの範囲まで成長させたいところだ。
最低限の護衛、各家から3名ずつの9名が残って馬車の回収を行う事に。
せっかくなので俺も同行して、トイレの使い心地やら階段の上り下りについて意見を伺う事にする。
ストレージに食べ物も入っているのでそれをみんなで齧りながら、護衛対象も居ないゆるくまったりした下山となった。
「いやあこの道を1日で作ったってのが信じられないですよ!
俺ずっと数えてたけど、8169段あったんですよ!?」
「お、数えてもらってたんですね。俺は数えないで作ってたから助かりましたよ。
その情報、良かったら公式記録にしといてください」
8000段越えてたかー。
となると、間違いなく2キロメートルは越えてきただろうなぁ。
スキルのおかげで気温や気圧の変化があまり感じられないから、変化に気付きにくい。
「私としては一旦下山した後トイレを設置しながら登ってきたのに、私たちにあっさり追いついたのが信じられませんよ……。
私たちだって決して遅い移動ではなかったと思うんですけどねぇ」
「そこはまぁ、スキルの差だと思ってくださいよ。
俺ってエリアキーパー級を3体倒してますからね。このくらい出来ないとって感じです」
「ははは……。ある意味良い指標となりそうですよ。
この岩山を1日以上かけて登っているようでは、エリアキーパーと戦うなんておこがましい、みたいな」
「そりゃあ違いないっ!」
多少休憩を挟みつつの下山だけど、皆さんの足取りも軽いし、エリアキーパーを目にして心折れている印象は一切無いな。
この人たちが一線級のエリートだというのもあるんだろうけれど、心さえ折れなければいつかエリアキーパーが倒される日だってくるだろう。
「そう言えば今回護衛に選ばれた皆さんは、全員が迷宮の踏破を経験している人たちなんですか?」
「そうですね。そうでない者はエリアキーパーを目にする事に心が耐えられないので、という報告を受けておりましたから」
「迷宮の踏破と言うとソロでですか? それとも集団で?」
「そこはまちまちですね。ただスキップオーブの登場以降は、我々は少なくとも自分の暮らす都市の管理迷宮くらいは1人で踏破出来るように推奨されております。
異邦人たちも増えてきましたし、なにより彼らの拠点であるルイナスリームには世界最大の管理迷宮がありますからね。チート能力に加えてスキルまで上回られたら、異邦人に対抗する術がなくなってしまいますから」
うーん、このままじゃちょっと危険かなぁ?
ルイナスリームの迷宮のSP稼ぎの効率がこの世界で最高の状態、しかも3つの迷宮全てが王国側の管理迷宮の全てを上回っている状態だ。
王国にも1つくらい深い迷宮がないと、王国民すらルイナスリームに流出し続けてしまうよな。
これはちょっとタケルに相談しておこう。アイツももうソロで114階層突破した、一流の冒険者だしな。
名実共に異邦人のリーダーになってしまった。
下山しながらも登山道の改善ポイントを皆さんに聞いてみる。
ここの休憩スポットにこれがあったら良かったなぁとか、この椅子の位置は野営の時少し邪魔になったとか。
完全に業者になってんじゃねぇか俺。
「トイレを設置していただけたのはかなりありがたいですよ? いくら洗浄があるとはいえあまり野外で用を足したくはありませんし、女性陣などはなるべく我慢をしていたんじゃないでしょうかね。
トイレ設置後はほぼ全員がトイレに殺到しておりましたし」
「このトイレの魔導具って、異邦人の世界のトイレよりも凄く便利なんですよ。俺もこの世界に来た当初は感動しましたし。
こんな風に山の途中に気軽に設置できるものじゃなかったんですよね、俺たちの世界のトイレって」
「へぇ。面白いですね……って、皆さんの世界には魔法が無いんでしたっけ。
いやぁ魔法があるのが当たり前の我々には、魔法がない世界のことは想像も出来ません。
きっと我々が異邦人の世界に転移したら、何も出来ないんじゃないでしょうかね」
「魔法もスキルもない代わりに、魔物も存在しない平和な世界とお聞きしております。
そんな平和な世界から突然この世界に来てしまった異邦人の皆さんは、よくこの世界に馴染むことが出来たものだなぁと感心しますよ」
いやぁ、魔法もスキルも魔物も居ないんだけど、ゲームや漫画でそういった概念は存在してるからなぁ。
俺なんかもそうだけど、日本にいるよりこっちの方が合ってる奴って、まぁまぁ少なくないんじゃないかな?
登山道でそれぞれ気になったポイントを手直ししながら、日没前に下山することが出来た。
下りの方が体への負担は大きいという話をよく聞くけど、スキル持ちの王国民には何の問題も無かったようだ。
俺の魔力なら馬車ごと転移させることも可能なので、俺がゲートを開いて馬車回収係の皆さんを各都市に送る。
現場で頑張ってる人って邪険には出来ないんだよなぁ。俺自身が出世できなかったからか、どうしても同情的になってしまう。
帰宅して確認すると、魔導具はまだ完成していないとの事。
それじゃ明日はタケルのところに行こうかな?
今度こそカラードラゴンが出るところまで、というか管理できるギリギリの範囲まで成長させたいところだ。
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