異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
547 / 580
12章 俺が望んだ異世界生活

502 山岳エリアの住人

しおりを挟む
 まるで鳥のような高い鳴き声が響き渡った。カタカナで表すならクワアアって感じか?
 それにしてもこの世界で鳴き声をあげる生き物? 声の主が魔物じゃないとしたら、魔物よりも戦闘力が高いってことになるかな?


 こちらを見ながら上空の方で何かが旋回している。
 旋回速度が速くて姿が視認しにくいが、空を飛びまわる生物の姿に絶句する。

 こ、こういうパターンもあるの……?


 やがて俺とは15メートルくらい距離を離した所に降りてきたのは、ライオンのような体に鳥の頭と翼を生やした生物だった。

 えええ……。これってあれでしょ? グリフォンって奴でしょ?
 ま、魔物じゃないの……? 襲ってくる感じしないんだけど……。

 とりあえずコンタクトを取ってみよう。円滑なコミュニケーションは挨拶からだ。


「初めまして。俺はトーマ。そっちは俺が言ってること分かるか?」


 話しかけてみると、こっちを見ながら首を傾げている。

 うーん、顔は鷲とかの猛禽類っぽい?
 首から下は茶色で、4本の足の先は真っ白な毛になっており、ふわわみたいに靴下を履いてるみたいな柄だな。
 尻尾は普通か。先まで体毛に覆われていて、先っぽはフッサフサになっている。
 尻尾だけ蛇とかそういう事はないようだ。


「食事しにきたのか? そこに転がってるのは自由に食っていいけど、他にも色々あるぞ?」


 ストレージから野菜と果物を出して地面に並べてみる。
 そして周りの魔物の死体を解体し、適当に肉を焼いていく。

 さてさて、こいつはなにが好きなのかな?


 クアア? とひと鳴きしてから、最初に食べ始めたのは焼いた肉だった。
 見た目通りに肉食なのかな? 猛禽類に猛獣の体、何処からどう見ても肉食獣だしなぁ。

 ま、この世界は肉が1番手に入れやすい食材だから、用意しやすくていいだろ。

 果物と野菜はあまり食べず、焼いた肉と木の実ばかり食べてるみたいだ。
 脂質とかタンパク質を重視してる感じなのかな。


「えーっとお前……。仮にグリフォンって呼ばせてもらうな。
 グリフォンには仲間とかいるか? この肉持ってってもいいし、逆にここに呼んでもいいぞ?
 もし呼びにいくなら、その間にこの辺の肉を焼いとくからさ」

「クアア」


 俺の言葉に返事を返して飛び立って行った。という事はこっちに引っ張ってくるパターンか。
 肉を焼いたり水を用意したりしながら待とう。

 しかし……、グリフォンかぁ。
 襲ってこないし会話も出来るし、動物枠の生き物に間違いはないと思うんだけど、こういうパターンもあるのかぁ。

 思い返せば今までであった動物だって普通じゃ無かったんだけどさ。
 こうも分かりやすく異世界生物って感じの動物は初めてじゃない?

 それに普通に鳴き声をあげてる辺り、かなり戦闘力の高い生物なのかもしれないな。
 魔物が集まってきても、返り討ちに出来る程度には。


「クァ」


 短い鳴き声に顔を上げると、様々なサイズのグリフォンが3匹ほど降りて……、いや! 背中にちっちゃいのが2匹乗っておられるぞっ!?
 う、産まれたてかっ!? く、背中に必死にしがみ付いている姿、100点満点ですっ!


「あっと、この辺の肉は適当に焼いておいたから好きにしてくれ。
 それとここに水溜りを作っておいたから、良かったら飲んでくれよ」

「ククァ」


 なんか返事してくれるのって嬉しいよね。
 
 最初に寄って来た個体と思われる1番大きいグリフォンは、俺と大きさが同じくらい、いや俺よりちょっと大きいかな?
 こいつはさっき食べたからか、水をガブガブ飲んでいて、他の4匹は肉を千切り千切り食べている。
 クチバシの中に歯は生えていないようで、丸呑みが基本っぽい。

 やっぱりどの子も肉を優先して食べているようだ。肉食決定だな。


「お前らってこれで全部? まだ居るなら連れてきて。食事を振舞うからさ」


 ふむ、無反応。お仲間は居ないか。


「それじゃ焼いた肉運んでやるから、もし嫌じゃなかったらお前らの住んでるところに案内してくれないかな?
 そこに水場を作ったり、地形を整備したりすることも出来るぞ?」

「クァ」


 いいよ、みたいなニュアンスかな? なんとなく拒否されたような気はしない。

 全員が満足するまで待ってから、グリフォンの巣に案内してもらった。
 魔法グライダーで飛んだ俺の周りを、興味深そうに旋回していたのが面白かった。

 飛行能力はグリフォンの方が圧倒的に高いらしく、最終的に大きなグリフォンの尻尾に捕まって引っ張ってもらう事になったのだが、スナネコやペル達が地上で疾走するよりも早いペースで飛んでいたように感じる。

 多分俺の飛行能力では1時間以上掛かるような距離を、5分もかからず移動して、俺はグリフォンたちの住処に招いてもらえたのだった。

 巣は岩山が少し窪んだ所に作られていて、高さは雲の中くらいで、巣の中には2つほど卵があって、地面にゴロンと転がされていた。
 せめて木の枝とかは……、無いのかぁ。


「なぁ。ちょっと卵の周りを整えさせてもらっていい?」

「クァァ?」


 なにすんの? って感じかな。了承というより興味って感じ。
 土魔法を使って巣の一角の地面をフカフカにして、そこに卵を安置する。卵の転落防止だな。
 
 しかし卵でかいな。ダチョウの卵ってこれくらいだっけ? 両手で持つくらいの大きさだぞ?

 卵が転がらなくなったのを見て、俺が何をしたのか理解したらしい。
 
 何度か卵を押して、転がらないかを確認した後、俺に体をすりすりし始めた。

 よし、とりあえず外交は成功したようだな!
 このままどんどん仲良くなっちゃいましょうね~?
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...