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12章 俺が望んだ異世界生活
502 山岳エリアの住人
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まるで鳥のような高い鳴き声が響き渡った。カタカナで表すならクワアアって感じか?
それにしてもこの世界で鳴き声をあげる生き物? 声の主が魔物じゃないとしたら、魔物よりも戦闘力が高いってことになるかな?
こちらを見ながら上空の方で何かが旋回している。
旋回速度が速くて姿が視認しにくいが、空を飛びまわる生物の姿に絶句する。
こ、こういうパターンもあるの……?
やがて俺とは15メートルくらい距離を離した所に降りてきたのは、ライオンのような体に鳥の頭と翼を生やした生物だった。
えええ……。これってあれでしょ? グリフォンって奴でしょ?
ま、魔物じゃないの……? 襲ってくる感じしないんだけど……。
とりあえずコンタクトを取ってみよう。円滑なコミュニケーションは挨拶からだ。
「初めまして。俺はトーマ。そっちは俺が言ってること分かるか?」
話しかけてみると、こっちを見ながら首を傾げている。
うーん、顔は鷲とかの猛禽類っぽい?
首から下は茶色で、4本の足の先は真っ白な毛になっており、ふわわみたいに靴下を履いてるみたいな柄だな。
尻尾は普通か。先まで体毛に覆われていて、先っぽはフッサフサになっている。
尻尾だけ蛇とかそういう事はないようだ。
「食事しにきたのか? そこに転がってるのは自由に食っていいけど、他にも色々あるぞ?」
ストレージから野菜と果物を出して地面に並べてみる。
そして周りの魔物の死体を解体し、適当に肉を焼いていく。
さてさて、こいつはなにが好きなのかな?
クアア? とひと鳴きしてから、最初に食べ始めたのは焼いた肉だった。
見た目通りに肉食なのかな? 猛禽類に猛獣の体、何処からどう見ても肉食獣だしなぁ。
ま、この世界は肉が1番手に入れやすい食材だから、用意しやすくていいだろ。
果物と野菜はあまり食べず、焼いた肉と木の実ばかり食べてるみたいだ。
脂質とかタンパク質を重視してる感じなのかな。
「えーっとお前……。仮にグリフォンって呼ばせてもらうな。
グリフォンには仲間とかいるか? この肉持ってってもいいし、逆にここに呼んでもいいぞ?
もし呼びにいくなら、その間にこの辺の肉を焼いとくからさ」
「クアア」
俺の言葉に返事を返して飛び立って行った。という事はこっちに引っ張ってくるパターンか。
肉を焼いたり水を用意したりしながら待とう。
しかし……、グリフォンかぁ。
襲ってこないし会話も出来るし、動物枠の生き物に間違いはないと思うんだけど、こういうパターンもあるのかぁ。
思い返せば今までであった動物だって普通じゃ無かったんだけどさ。
こうも分かりやすく異世界生物って感じの動物は初めてじゃない?
それに普通に鳴き声をあげてる辺り、かなり戦闘力の高い生物なのかもしれないな。
魔物が集まってきても、返り討ちに出来る程度には。
「クァ」
短い鳴き声に顔を上げると、様々なサイズのグリフォンが3匹ほど降りて……、いや! 背中にちっちゃいのが2匹乗っておられるぞっ!?
う、産まれたてかっ!? く、背中に必死にしがみ付いている姿、100点満点ですっ!
「あっと、この辺の肉は適当に焼いておいたから好きにしてくれ。
それとここに水溜りを作っておいたから、良かったら飲んでくれよ」
「ククァ」
なんか返事してくれるのって嬉しいよね。
最初に寄って来た個体と思われる1番大きいグリフォンは、俺と大きさが同じくらい、いや俺よりちょっと大きいかな?
こいつはさっき食べたからか、水をガブガブ飲んでいて、他の4匹は肉を千切り千切り食べている。
クチバシの中に歯は生えていないようで、丸呑みが基本っぽい。
やっぱりどの子も肉を優先して食べているようだ。肉食決定だな。
「お前らってこれで全部? まだ居るなら連れてきて。食事を振舞うからさ」
ふむ、無反応。お仲間は居ないか。
「それじゃ焼いた肉運んでやるから、もし嫌じゃなかったらお前らの住んでるところに案内してくれないかな?
そこに水場を作ったり、地形を整備したりすることも出来るぞ?」
「クァ」
いいよ、みたいなニュアンスかな? なんとなく拒否されたような気はしない。
全員が満足するまで待ってから、グリフォンの巣に案内してもらった。
魔法グライダーで飛んだ俺の周りを、興味深そうに旋回していたのが面白かった。
飛行能力はグリフォンの方が圧倒的に高いらしく、最終的に大きなグリフォンの尻尾に捕まって引っ張ってもらう事になったのだが、スナネコやペル達が地上で疾走するよりも早いペースで飛んでいたように感じる。
多分俺の飛行能力では1時間以上掛かるような距離を、5分もかからず移動して、俺はグリフォンたちの住処に招いてもらえたのだった。
巣は岩山が少し窪んだ所に作られていて、高さは雲の中くらいで、巣の中には2つほど卵があって、地面にゴロンと転がされていた。
せめて木の枝とかは……、無いのかぁ。
「なぁ。ちょっと卵の周りを整えさせてもらっていい?」
「クァァ?」
なにすんの? って感じかな。了承というより興味って感じ。
土魔法を使って巣の一角の地面をフカフカにして、そこに卵を安置する。卵の転落防止だな。
しかし卵でかいな。ダチョウの卵ってこれくらいだっけ? 両手で持つくらいの大きさだぞ?
卵が転がらなくなったのを見て、俺が何をしたのか理解したらしい。
何度か卵を押して、転がらないかを確認した後、俺に体をすりすりし始めた。
よし、とりあえず外交は成功したようだな!
このままどんどん仲良くなっちゃいましょうね~?
それにしてもこの世界で鳴き声をあげる生き物? 声の主が魔物じゃないとしたら、魔物よりも戦闘力が高いってことになるかな?
こちらを見ながら上空の方で何かが旋回している。
旋回速度が速くて姿が視認しにくいが、空を飛びまわる生物の姿に絶句する。
こ、こういうパターンもあるの……?
やがて俺とは15メートルくらい距離を離した所に降りてきたのは、ライオンのような体に鳥の頭と翼を生やした生物だった。
えええ……。これってあれでしょ? グリフォンって奴でしょ?
ま、魔物じゃないの……? 襲ってくる感じしないんだけど……。
とりあえずコンタクトを取ってみよう。円滑なコミュニケーションは挨拶からだ。
「初めまして。俺はトーマ。そっちは俺が言ってること分かるか?」
話しかけてみると、こっちを見ながら首を傾げている。
うーん、顔は鷲とかの猛禽類っぽい?
首から下は茶色で、4本の足の先は真っ白な毛になっており、ふわわみたいに靴下を履いてるみたいな柄だな。
尻尾は普通か。先まで体毛に覆われていて、先っぽはフッサフサになっている。
尻尾だけ蛇とかそういう事はないようだ。
「食事しにきたのか? そこに転がってるのは自由に食っていいけど、他にも色々あるぞ?」
ストレージから野菜と果物を出して地面に並べてみる。
そして周りの魔物の死体を解体し、適当に肉を焼いていく。
さてさて、こいつはなにが好きなのかな?
クアア? とひと鳴きしてから、最初に食べ始めたのは焼いた肉だった。
見た目通りに肉食なのかな? 猛禽類に猛獣の体、何処からどう見ても肉食獣だしなぁ。
ま、この世界は肉が1番手に入れやすい食材だから、用意しやすくていいだろ。
果物と野菜はあまり食べず、焼いた肉と木の実ばかり食べてるみたいだ。
脂質とかタンパク質を重視してる感じなのかな。
「えーっとお前……。仮にグリフォンって呼ばせてもらうな。
グリフォンには仲間とかいるか? この肉持ってってもいいし、逆にここに呼んでもいいぞ?
もし呼びにいくなら、その間にこの辺の肉を焼いとくからさ」
「クアア」
俺の言葉に返事を返して飛び立って行った。という事はこっちに引っ張ってくるパターンか。
肉を焼いたり水を用意したりしながら待とう。
しかし……、グリフォンかぁ。
襲ってこないし会話も出来るし、動物枠の生き物に間違いはないと思うんだけど、こういうパターンもあるのかぁ。
思い返せば今までであった動物だって普通じゃ無かったんだけどさ。
こうも分かりやすく異世界生物って感じの動物は初めてじゃない?
それに普通に鳴き声をあげてる辺り、かなり戦闘力の高い生物なのかもしれないな。
魔物が集まってきても、返り討ちに出来る程度には。
「クァ」
短い鳴き声に顔を上げると、様々なサイズのグリフォンが3匹ほど降りて……、いや! 背中にちっちゃいのが2匹乗っておられるぞっ!?
う、産まれたてかっ!? く、背中に必死にしがみ付いている姿、100点満点ですっ!
「あっと、この辺の肉は適当に焼いておいたから好きにしてくれ。
それとここに水溜りを作っておいたから、良かったら飲んでくれよ」
「ククァ」
なんか返事してくれるのって嬉しいよね。
最初に寄って来た個体と思われる1番大きいグリフォンは、俺と大きさが同じくらい、いや俺よりちょっと大きいかな?
こいつはさっき食べたからか、水をガブガブ飲んでいて、他の4匹は肉を千切り千切り食べている。
クチバシの中に歯は生えていないようで、丸呑みが基本っぽい。
やっぱりどの子も肉を優先して食べているようだ。肉食決定だな。
「お前らってこれで全部? まだ居るなら連れてきて。食事を振舞うからさ」
ふむ、無反応。お仲間は居ないか。
「それじゃ焼いた肉運んでやるから、もし嫌じゃなかったらお前らの住んでるところに案内してくれないかな?
そこに水場を作ったり、地形を整備したりすることも出来るぞ?」
「クァ」
いいよ、みたいなニュアンスかな? なんとなく拒否されたような気はしない。
全員が満足するまで待ってから、グリフォンの巣に案内してもらった。
魔法グライダーで飛んだ俺の周りを、興味深そうに旋回していたのが面白かった。
飛行能力はグリフォンの方が圧倒的に高いらしく、最終的に大きなグリフォンの尻尾に捕まって引っ張ってもらう事になったのだが、スナネコやペル達が地上で疾走するよりも早いペースで飛んでいたように感じる。
多分俺の飛行能力では1時間以上掛かるような距離を、5分もかからず移動して、俺はグリフォンたちの住処に招いてもらえたのだった。
巣は岩山が少し窪んだ所に作られていて、高さは雲の中くらいで、巣の中には2つほど卵があって、地面にゴロンと転がされていた。
せめて木の枝とかは……、無いのかぁ。
「なぁ。ちょっと卵の周りを整えさせてもらっていい?」
「クァァ?」
なにすんの? って感じかな。了承というより興味って感じ。
土魔法を使って巣の一角の地面をフカフカにして、そこに卵を安置する。卵の転落防止だな。
しかし卵でかいな。ダチョウの卵ってこれくらいだっけ? 両手で持つくらいの大きさだぞ?
卵が転がらなくなったのを見て、俺が何をしたのか理解したらしい。
何度か卵を押して、転がらないかを確認した後、俺に体をすりすりし始めた。
よし、とりあえず外交は成功したようだな!
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