異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
546 / 580
12章 俺が望んだ異世界生活

501 空の旅

しおりを挟む
「おしっ! それじゃ今日から山岳エリアで空の旅が始まるな!
 余ってる心核をマーサに渡しておくから、常に1つはターミナルの在庫確保しといてくれよ」」

「おう。常に1つは用意しておくぜ。同時に複数使うモンでもねぇしな」


 空での移動に慣れたら、下手するとスナネコに乗って移動するよりも速い速度で移動できるようになるかもしれない。
 いやぁもう夢が広がるなぁ!

 ……夢と言うなら、全ての動物が一堂に会する場所とかあったら楽しそうなんだけどなぁ。
 う~ん、見世物には出来ないし、ちょっと難しいかねぇ……?


 ミルズレンダに転移して、国境壁の上からダイブして魔法グライダー移動を開始する。


「う~ん? 平地だと走った方が速い、かな?」


 恐らく時速40~60キロメートルくらいは出てるんじゃないかと思うんだけど、今の俺だと生身でもっと速く走れるもんな。
 でも山岳エリアを直線的に突っ切れるのはかなり大きい。魔力消費もさほどないし。

 そして改めて意識してみるとよく分かるんだけど、風を受けて滑空しているというよりも、魔力を揚力に変換して飛んでいるという印象の方が強い。
 おかげで感覚的な操作も可能だし、込める魔力を増やせば加速することも出来そうだ。魔法万能説?

 山岳エリアが見えてきたので、魔力を込めて上昇していく。
 加速も上昇も魔力操作で思うがままだ。

 自分の整備した登山道を目にしながら、雲を抜けて山頂を目指す。


「うわぁ……。こりゃあすげぇわ……」


 雲を抜けて山頂を飛び越える。
 山頂から見た景色も圧巻だったけど、更に上から見る景色も凄まじい。

 どこまで広がる岩山と、眼下に広がる薄い雲。
 なんとも幻想的な光景だと思う。グラメダワルケアさえ居なければの話だけどぉ!


 魔法グライダーの魔力消費は生活魔法よりもちょっと多い程度か。これなら1日中飛んでいることも恐らく可能だろうな。
 今のうちに細かい挙動や姿勢制御、素早い動きなどの練習をして、いつでも戦えるようにしておかないと。

 魔導具である魔法グライダーの制御は、やはり魔力操作で行うのが1番簡単で確実だ 。
 特に重要になりそうな急加速と急停止、鋭角的な曲がり方と同じ場所に留まるホバリングなどを練習しておく。
 意外にも魔力消費が多いのはホバリングのようだ。魔力だけで体を浮かせているからなんだろうな。

 そしてホバリングが可能って事は、この魔導具は滑空どころか飛行も可能だということだ。って今さらかなぁ?
 材料がランドビカミウリの素材で無ければ、一気に普及していたかもしれない。

 しかしあれだなぁ。グラメダワルケアが一切動かないせいで、逆に迷う心配がないっつうか。
 なんかこいつ、今までのエリアキーパーと扱い違くないっすかね?

 
 暫く飛んで、まだ全然日が高いうちにウミガメオブジェのあるところまで到達。
 ウミガメさんの隣りで小休止して、ここから先は未踏のエリア探索になるな。警戒していこう。

 なんて警戒したはいいんだけど、何も変化がなくて困ってしまう。
 いくら直線距離で近付いていると言っても、グラメダワルケアまでの距離はまったく縮まっているように感じられない。

 さてどうするかな?
 日没が過ぎても飛び続けて、ひとまずエリアキーパーの縄張りを確認してみるべきか。
 このままゲートで帰宅しても何も変化ないしな。

 魔法グライダーに魔力を通して加速していく。

 
 岩山の上を飛行しながら見る夕焼けというのも圧巻の光景だった。
 動かないグラメダワルケアもまるで自然の一部のようだ。
 エリアキーパーに感情なんてあるとは思わないけれど、眠っているような横顔が夕日に照らされているのは、どこか切ない感情を呼び起こさせる。

 こいつはこの世界が生まれてからずっと、今の状態で眠り続けていたのかな?

 こいつはこのまま永遠に眠らせておくのがいいのかもしれない。

 日が落ちても気にせず飛び続けるが、本当に距離感が掴めない。
 近づいているのは間違いないとは思うんだけど、全然近付いている実感が持てない。

 月明かりに照らされている穏やかな寝顔を目掛けて、ひたすらに飛び続けた。


 途中で1度休憩を挟んで魔力を回復し、1晩中飛び続ける。

 景色に変化が訪れたのは、日が昇ってから更に暫く飛んだ後だった。


「ここから先が、お前の縄張りって訳か? グラメダワルケアさんよ?」


 突然岩山が途切れた。
 雲の下はどこまでも平らな岩地になっている。
 
 まるで岩山を無理矢理均してしまったようだ。事実、そうやって出来た地形なのかもしれないが。


 岩山が途切れた先の魔力が異常な濃度を孕んでいる。
 この先は死地だ。軽い気持ちでは飛び込めない。

 エリアキーパーの領域をこの目で見れただけでも収穫だな。


 しかし帰るにしても、まだ日が高くて勿体無いな。
 ここまで来るにも1日がかりの作業だったし、ここは魔物狩りでもしていこうかね。

 5分程度後ろに飛行し、少し大げさなくらいに距離を取る。1度岩山の上で音魔法を最大射程で発動したけど反応なし。大丈夫だ。下で魔物を釣るとしよう。

 岩山の下で音魔法釣りを行うと、ちょいちょい見たことのない魔物が混ざっている。
 というか岩山が動いて襲ってきたのは流石にちょっとビビった。どうやら山に擬態した亀のような魔物らしいな。

 絶対にエリアキーパーに当たらないように気をつけながら、閃空で両断させてもらった。

 う~ん……。
 恐らく新種の素材にはなるんだろうけど、こいつを全部持ち帰るのはきっついなぁ……。
 そもそも俺の腕だと、解体にどれだけ時間がかかっちゃうのか見当もつかない。

 愚痴ってても仕方ないので、解体を進めていきますかぁ。
 解体が終わらないと帰れなかったりするんだろうか……?

 ゲンナリした気持ちで解体を進めること数時間、俺の陰鬱とした気分を吹き飛ばすような、甲高い声が響き渡ったのだった。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...