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12章 俺が望んだ異世界生活
501 空の旅
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「おしっ! それじゃ今日から山岳エリアで空の旅が始まるな!
余ってる心核をマーサに渡しておくから、常に1つはターミナルの在庫確保しといてくれよ」」
「おう。常に1つは用意しておくぜ。同時に複数使うモンでもねぇしな」
空での移動に慣れたら、下手するとスナネコに乗って移動するよりも速い速度で移動できるようになるかもしれない。
いやぁもう夢が広がるなぁ!
……夢と言うなら、全ての動物が一堂に会する場所とかあったら楽しそうなんだけどなぁ。
う~ん、見世物には出来ないし、ちょっと難しいかねぇ……?
ミルズレンダに転移して、国境壁の上からダイブして魔法グライダー移動を開始する。
「う~ん? 平地だと走った方が速い、かな?」
恐らく時速40~60キロメートルくらいは出てるんじゃないかと思うんだけど、今の俺だと生身でもっと速く走れるもんな。
でも山岳エリアを直線的に突っ切れるのはかなり大きい。魔力消費もさほどないし。
そして改めて意識してみるとよく分かるんだけど、風を受けて滑空しているというよりも、魔力を揚力に変換して飛んでいるという印象の方が強い。
おかげで感覚的な操作も可能だし、込める魔力を増やせば加速することも出来そうだ。魔法万能説?
山岳エリアが見えてきたので、魔力を込めて上昇していく。
加速も上昇も魔力操作で思うがままだ。
自分の整備した登山道を目にしながら、雲を抜けて山頂を目指す。
「うわぁ……。こりゃあすげぇわ……」
雲を抜けて山頂を飛び越える。
山頂から見た景色も圧巻だったけど、更に上から見る景色も凄まじい。
どこまで広がる岩山と、眼下に広がる薄い雲。
なんとも幻想的な光景だと思う。グラメダワルケアさえ居なければの話だけどぉ!
魔法グライダーの魔力消費は生活魔法よりもちょっと多い程度か。これなら1日中飛んでいることも恐らく可能だろうな。
今のうちに細かい挙動や姿勢制御、素早い動きなどの練習をして、いつでも戦えるようにしておかないと。
魔導具である魔法グライダーの制御は、やはり魔力操作で行うのが1番簡単で確実だ 。
特に重要になりそうな急加速と急停止、鋭角的な曲がり方と同じ場所に留まるホバリングなどを練習しておく。
意外にも魔力消費が多いのはホバリングのようだ。魔力だけで体を浮かせているからなんだろうな。
そしてホバリングが可能って事は、この魔導具は滑空どころか飛行も可能だということだ。って今さらかなぁ?
材料がランドビカミウリの素材で無ければ、一気に普及していたかもしれない。
しかしあれだなぁ。グラメダワルケアが一切動かないせいで、逆に迷う心配がないっつうか。
なんかこいつ、今までのエリアキーパーと扱い違くないっすかね?
暫く飛んで、まだ全然日が高いうちにウミガメオブジェのあるところまで到達。
ウミガメさんの隣りで小休止して、ここから先は未踏のエリア探索になるな。警戒していこう。
なんて警戒したはいいんだけど、何も変化がなくて困ってしまう。
いくら直線距離で近付いていると言っても、グラメダワルケアまでの距離はまったく縮まっているように感じられない。
さてどうするかな?
日没が過ぎても飛び続けて、ひとまずエリアキーパーの縄張りを確認してみるべきか。
このままゲートで帰宅しても何も変化ないしな。
魔法グライダーに魔力を通して加速していく。
岩山の上を飛行しながら見る夕焼けというのも圧巻の光景だった。
動かないグラメダワルケアもまるで自然の一部のようだ。
エリアキーパーに感情なんてあるとは思わないけれど、眠っているような横顔が夕日に照らされているのは、どこか切ない感情を呼び起こさせる。
こいつはこの世界が生まれてからずっと、今の状態で眠り続けていたのかな?
こいつはこのまま永遠に眠らせておくのがいいのかもしれない。
日が落ちても気にせず飛び続けるが、本当に距離感が掴めない。
近づいているのは間違いないとは思うんだけど、全然近付いている実感が持てない。
月明かりに照らされている穏やかな寝顔を目掛けて、ひたすらに飛び続けた。
途中で1度休憩を挟んで魔力を回復し、1晩中飛び続ける。
景色に変化が訪れたのは、日が昇ってから更に暫く飛んだ後だった。
「ここから先が、お前の縄張りって訳か? グラメダワルケアさんよ?」
突然岩山が途切れた。
雲の下はどこまでも平らな岩地になっている。
まるで岩山を無理矢理均してしまったようだ。事実、そうやって出来た地形なのかもしれないが。
岩山が途切れた先の魔力が異常な濃度を孕んでいる。
この先は死地だ。軽い気持ちでは飛び込めない。
エリアキーパーの領域をこの目で見れただけでも収穫だな。
しかし帰るにしても、まだ日が高くて勿体無いな。
ここまで来るにも1日がかりの作業だったし、ここは魔物狩りでもしていこうかね。
5分程度後ろに飛行し、少し大げさなくらいに距離を取る。1度岩山の上で音魔法を最大射程で発動したけど反応なし。大丈夫だ。下で魔物を釣るとしよう。
岩山の下で音魔法釣りを行うと、ちょいちょい見たことのない魔物が混ざっている。
というか岩山が動いて襲ってきたのは流石にちょっとビビった。どうやら山に擬態した亀のような魔物らしいな。
絶対にエリアキーパーに当たらないように気をつけながら、閃空で両断させてもらった。
う~ん……。
恐らく新種の素材にはなるんだろうけど、こいつを全部持ち帰るのはきっついなぁ……。
そもそも俺の腕だと、解体にどれだけ時間がかかっちゃうのか見当もつかない。
愚痴ってても仕方ないので、解体を進めていきますかぁ。
解体が終わらないと帰れなかったりするんだろうか……?
ゲンナリした気持ちで解体を進めること数時間、俺の陰鬱とした気分を吹き飛ばすような、甲高い声が響き渡ったのだった。
余ってる心核をマーサに渡しておくから、常に1つはターミナルの在庫確保しといてくれよ」」
「おう。常に1つは用意しておくぜ。同時に複数使うモンでもねぇしな」
空での移動に慣れたら、下手するとスナネコに乗って移動するよりも速い速度で移動できるようになるかもしれない。
いやぁもう夢が広がるなぁ!
……夢と言うなら、全ての動物が一堂に会する場所とかあったら楽しそうなんだけどなぁ。
う~ん、見世物には出来ないし、ちょっと難しいかねぇ……?
ミルズレンダに転移して、国境壁の上からダイブして魔法グライダー移動を開始する。
「う~ん? 平地だと走った方が速い、かな?」
恐らく時速40~60キロメートルくらいは出てるんじゃないかと思うんだけど、今の俺だと生身でもっと速く走れるもんな。
でも山岳エリアを直線的に突っ切れるのはかなり大きい。魔力消費もさほどないし。
そして改めて意識してみるとよく分かるんだけど、風を受けて滑空しているというよりも、魔力を揚力に変換して飛んでいるという印象の方が強い。
おかげで感覚的な操作も可能だし、込める魔力を増やせば加速することも出来そうだ。魔法万能説?
山岳エリアが見えてきたので、魔力を込めて上昇していく。
加速も上昇も魔力操作で思うがままだ。
自分の整備した登山道を目にしながら、雲を抜けて山頂を目指す。
「うわぁ……。こりゃあすげぇわ……」
雲を抜けて山頂を飛び越える。
山頂から見た景色も圧巻だったけど、更に上から見る景色も凄まじい。
どこまで広がる岩山と、眼下に広がる薄い雲。
なんとも幻想的な光景だと思う。グラメダワルケアさえ居なければの話だけどぉ!
魔法グライダーの魔力消費は生活魔法よりもちょっと多い程度か。これなら1日中飛んでいることも恐らく可能だろうな。
今のうちに細かい挙動や姿勢制御、素早い動きなどの練習をして、いつでも戦えるようにしておかないと。
魔導具である魔法グライダーの制御は、やはり魔力操作で行うのが1番簡単で確実だ 。
特に重要になりそうな急加速と急停止、鋭角的な曲がり方と同じ場所に留まるホバリングなどを練習しておく。
意外にも魔力消費が多いのはホバリングのようだ。魔力だけで体を浮かせているからなんだろうな。
そしてホバリングが可能って事は、この魔導具は滑空どころか飛行も可能だということだ。って今さらかなぁ?
材料がランドビカミウリの素材で無ければ、一気に普及していたかもしれない。
しかしあれだなぁ。グラメダワルケアが一切動かないせいで、逆に迷う心配がないっつうか。
なんかこいつ、今までのエリアキーパーと扱い違くないっすかね?
暫く飛んで、まだ全然日が高いうちにウミガメオブジェのあるところまで到達。
ウミガメさんの隣りで小休止して、ここから先は未踏のエリア探索になるな。警戒していこう。
なんて警戒したはいいんだけど、何も変化がなくて困ってしまう。
いくら直線距離で近付いていると言っても、グラメダワルケアまでの距離はまったく縮まっているように感じられない。
さてどうするかな?
日没が過ぎても飛び続けて、ひとまずエリアキーパーの縄張りを確認してみるべきか。
このままゲートで帰宅しても何も変化ないしな。
魔法グライダーに魔力を通して加速していく。
岩山の上を飛行しながら見る夕焼けというのも圧巻の光景だった。
動かないグラメダワルケアもまるで自然の一部のようだ。
エリアキーパーに感情なんてあるとは思わないけれど、眠っているような横顔が夕日に照らされているのは、どこか切ない感情を呼び起こさせる。
こいつはこの世界が生まれてからずっと、今の状態で眠り続けていたのかな?
こいつはこのまま永遠に眠らせておくのがいいのかもしれない。
日が落ちても気にせず飛び続けるが、本当に距離感が掴めない。
近づいているのは間違いないとは思うんだけど、全然近付いている実感が持てない。
月明かりに照らされている穏やかな寝顔を目掛けて、ひたすらに飛び続けた。
途中で1度休憩を挟んで魔力を回復し、1晩中飛び続ける。
景色に変化が訪れたのは、日が昇ってから更に暫く飛んだ後だった。
「ここから先が、お前の縄張りって訳か? グラメダワルケアさんよ?」
突然岩山が途切れた。
雲の下はどこまでも平らな岩地になっている。
まるで岩山を無理矢理均してしまったようだ。事実、そうやって出来た地形なのかもしれないが。
岩山が途切れた先の魔力が異常な濃度を孕んでいる。
この先は死地だ。軽い気持ちでは飛び込めない。
エリアキーパーの領域をこの目で見れただけでも収穫だな。
しかし帰るにしても、まだ日が高くて勿体無いな。
ここまで来るにも1日がかりの作業だったし、ここは魔物狩りでもしていこうかね。
5分程度後ろに飛行し、少し大げさなくらいに距離を取る。1度岩山の上で音魔法を最大射程で発動したけど反応なし。大丈夫だ。下で魔物を釣るとしよう。
岩山の下で音魔法釣りを行うと、ちょいちょい見たことのない魔物が混ざっている。
というか岩山が動いて襲ってきたのは流石にちょっとビビった。どうやら山に擬態した亀のような魔物らしいな。
絶対にエリアキーパーに当たらないように気をつけながら、閃空で両断させてもらった。
う~ん……。
恐らく新種の素材にはなるんだろうけど、こいつを全部持ち帰るのはきっついなぁ……。
そもそも俺の腕だと、解体にどれだけ時間がかかっちゃうのか見当もつかない。
愚痴ってても仕方ないので、解体を進めていきますかぁ。
解体が終わらないと帰れなかったりするんだろうか……?
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