最後の人生、最後の願い

総帥

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第2章 アカデミー1年生

30 騎士団見学ツアー(強制)

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 俺たちの視線に気付いた男性が向き直る。

 「ごめんね、挨拶が遅れた。私はジークリンド・クロム。宮廷魔法師だよ。」

 ...ホワイ?クロムとな?


 「...王弟殿下ですわよ。」
 ボソッと隣から聞こえた。ブーゲンビリア様の好感度が上がると同時に俺の体温は急降下した。




 危なっっっ!!「誰ですかこのおっちゃん」とか言わなくて良かったー!
 つか王族かよ!我が父が迷惑かけまくった陛下の弟さんか。...逃げるか。


 「お前逃げようとか思ってないか?」

 「何を仰いますか先生。さ、詳しくお聞かせ願えませんか。」
 キリリと言い放つ俺。やっちゃった。先生カン良すぎない?とにかくおとなしくしていよう...。




 「じゃあ説明するね。まず君達が体調不良になった訳だが、これは魔法の適性が高いという事なんだ。
 あの祝福の光を浴びると、四大元素の主から「使ってもいいよ」と言われたようなものだ。これにより君達も扱えるようになった。まあ大体は受け取ってハイ終わり、なんだけどね
 君達のように適性が高いと、深い所まで繋がってしまう。それが身体に親和するのに時間がかかるんだ。」


 ほう。つまり俺たちは魔法使いの才能があるという事ですね?ヒャッフウウゥゥゥ!!!イィエエーーーイ!!

 俺が脳内でフィーバーしてる間にも説明は続く。



 「私も当時立ちくらんで膝をついたよ。少ししたら治ったけどね。確かゼルブルーク殿は1時間くらい昏睡状態だったとか。」

 「え?」
 急に父さんの名前が出たもんだから反応してしまった。へー。そうだったんだ?


 「ああ。よく憶えているよ。あいつは光を浴びた途端、直立不動で後ろに倒れたんだ。
 そして目を覚ましたと思ったら急に炎の魔法を出して...「ホントに出た!すっげー!!」と言っていた...。拳骨食らわしといたが。」


 「ご迷惑おかけしました...。」
 俺は理事長に深々と頭を下げる。理事長は微笑みながら君のせいじゃないよと言ってくれた。その通りなんだけど、ついノリで。



 「まあ、その息子であるシャルトルーズ君も倒れたみたいだね。何か夢を見なかった?」

 「...見た気はするんです。ただ内容はさっぱり覚えてなくて...。」





 またまた大人達は考え込んだ。そのまま話し合いを始めてしまったので、こっちも勝手に話し始めた。


 「私達はすごい魔法使いになれるという事ですよね!」

 「そのようですね。あくまで可能性...ですけども。」

 「どっちにしろ、騎士団や魔法師団への就職に有利になりそうだ。」

 「あれ、セイルってそっちに就職希望?」

 「まあな。」

 「シャルトルーズ様は違いますの?」

 「うーん...未定...ですね。」
 
 うむー。特待生として国の金でこの学校に通わしてもらってるし、そっち方面も視野に入れておかないとな。
 しばらく3人で語り合った。




 「あ、すまん。忘れてた。」

 ジル先生が俺たちの存在を思い出したようだ。



 「あ、ごめんね。で、なんで私が来たかというと。もちろん説明する為に。
 もう一つ。勧誘するためだよ。」

 「スカウト...ですか。」

 「そう。優秀な魔法使いを確保する為にね。勿論無理強いはしないが、選択肢に入れて欲しいな。君達は無数の可能性を持つ原石なんだから。
 なんだったら騎士団見学とかできるよ?」

 「へえ。俺、見学したいです。シャルはどうする?」

 「ん。興味はあるな。ブーゲンビリア様は?」

 「私は遠慮致しますわ。私、将来は領地を継ぐ予定ですので。」



 「じゃあシャルトルーズ君とセイル君。行ってみるかい?」

 「「はい。」」

 理事長先生の言葉に頷く。んー。騎士団に入るつもりはないけど、興味があるのは事実。俺騎士様って柄じゃないのよね。どっちかってっと魔法師団見学したいが...。後で聞いてみよう。






 「はい、じゃあ掴まって。」

 王弟殿下がにこやかに手を差し出す。2人揃って、え?と言ってしまった。


 「えーと、今から...ですか?」

 「そうだよ?さあ、善は急げ!さあさあ。」
 ちょ...!結構強引だな!流石おば様の...兄?弟?つか今からお城行くの!?

 
 「あのっ。僕ら制服姿ですがっ。」
 
 「いいからいいから。アカデミーの制服なんだから問題ないよ。さ、行こうか。」


 「あ、待っ」

 シュンッ




 「あら、転移魔法をお使いになりましたのね。では先生方、私も失礼した方がよろしいでしょうか?」

 「あ、ああ。今後一層励みなさい。」

 「はい、精進しますわ。」








 「...理事長、あの子ら行っちゃいましたけど。」

 「...大丈夫。多分。」

 残された2人は心の中で「聞いてねえよ...」と呟くのだった。








 

 「到着!」

 うおっ!着いたのか。やっぱ転移魔法すごいな。俺も習得しようかな?
 そしてここは、おお。周りに騎士様がいっぱいおるわ。訓練場か?やっぱテンション上がるなー。男子ですから。セイルも目ぇキラッキラさせてるし。
 ...なんかめっちゃ見られてる?


 「殿下。どうかなさいましたか?その子らは?アカデミーの学生のようですが...。」

 偉いっぽい騎士様が話しかけてくる。って、え?伝わってないの!?ちょっとー!


 「アカデミーの1年生だ。この子らは【宝珠】だよ。将来の事を考えて、見学に連れてきた。
 将来の同僚かもしれないよ?さあ、格好いい所を見せてあげなさい。」

 「「「「はいっ!!」」」」

 うお!かっけー!...【宝珠】って何?流れ的に魔法の適性が高い人間の事だろうか。まあいいや。

 

 騎士様の訓練はすごい迫力だった。ガキィン!ガンッ!ギィンッ!!と音だけでも威圧されそう。俺らは夢中で見ていた。

 「今は剣術だけなんだけどね。実戦では魔法と組み合わせたりするから、もっとすごいよ。」
 
 「そうなんですね!」


 ほほー。...お?俺の本が動いてる...。え、おい、まさか!?


 『私もやりたい。』
 刹鬼ーーー!!!待って待って待って!今は駄目だってば!

 「なあシャル。今何か聞こえなかったか?」

 「気のせいだっ!なっ!?」

 「お、おう...?」



 俺はセイルと少し距離をとり、小声で言う。

 (ちょっと待ってくれ!2学期になったら魔法生物の授業があるから、あと数ヶ月待って!)

 (数ヶ月後に彼等が相手をしてくれるのか?)

 (...交渉しておくから。)

 約束だぞ。と言って刹鬼は諦めてくれた。だがそんなやり取りを見ている人がいることに、俺は全く気付いてなかった。

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