~超能力探偵レア・ホームズは第三王子にロックオンされる~身分違い過ぎて周りの反応があれなので勘弁して欲しいんですけども?

manji

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婚約破棄の謎に迫れ①

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「さて、ここなら邪魔は入らないよ」

 上等なソファーに身を沈め、王子が蠱惑的に微笑む。事情を知らない人間が聞いたら誤解してしまいそうなセリフ。だが残念ながら、これから始めるのは仕事の話だ。艶っぽい意味は含まれてはいない。

「あ、はい……」

 ここは学院の中央に鎮座する、中央棟。その最上階にある客室だ。基本的に生徒は1階部分までしか出入りできない場所で、こんな場所に来るのは初めての事だった。しかも目の前に座っているのは太陽の王子事、ストーキング・アーロッパ様。正直滅茶苦茶緊張している。

「実は君に相談したいのは、婚約者の事だ。まあ正確には"元"婚約者だけどね」

「え!?」

 思わず驚いて声を上げてしまう。王子が婚約しているのは知っていた。だがそれが破談になったとは聞いた事もない。王族の破談なんて格好の噂の的だ。直ぐ話題になる。にも拘わらず噂すら聞いた事も無いという事は、事情があってまだ未発表という事だろう。

そんなの軽々私に話さないで欲しいんですけど!?
いっかいの学生に過ぎない私に、未発表の情報とか流されても困る。

「それで君には、何故彼女が婚約破棄を言い出したのか調べて欲しいんだ」

馬鹿なの?
この王子様は?

 只の女学生。しかも男爵家の小娘如きが、公爵家の令嬢の素行なんて普通調べられるわけがない。明かなムリゲー臭漂う依頼を、王子は笑顔でサラリと頼んで来る。正気を疑うレベルだ。

 まあ超能力があるので、やろうと思えばできなくもないのだが。明らかに厄介そうな話に首を突っ込むのはごめん被る。

「王子、それは流石に――」

「名前はマーマ・レード。レード公爵家の令嬢さ。よろしく頼むよ」

 私の言葉を遮って、王子は笑顔で話を進める。王族と言うのは世間知らずなのが通例だが。どうやら彼もその例に漏れない様だ。

「……」

「ああ、心配しなくても良い。報酬なら弾むよ」

 開いた口が塞がらないとはこの事だ。私が呆れて固まっていたのを、報酬の心配だと王子は思った様だ。そんな問題じゃないってのに。

「じゃあ公爵家に行こうか」

「へ?」

「午後から婚約破棄の事で詳しく話を聞くため、公爵家に行く事に成っているんだ。君も付いて来てくれ」

「む、無理です!授業があるんで!」

 午後からは授業だ。いきなり付いて来いと言われても困る。そもそもそれ以前にまだ仕事を受けるとは言ってない。王子からの仕事を断るのは正直あれだが、出来もしない仕事を受けるのはもっと不味い。

「それにその……王子の御依頼は……私、やり遂げる自信がございません」

 私はソファーから立ち上がり頭を下げる。

「ですから……申し訳ないんですが……」

「ああ、別に解決出来ないなら出来ないで構わないよ。僕も無茶を言ってるのは分かっているつもりだ。それでも、一応でもいいから引き受けてくれないか?他に頼れる相手が居ないんだ」

 それまで笑顔だった王子の顔に少し陰りが見えた。色々と女性との噂の絶えない王子ではあるが、婚約破棄されて平気なわけがない。しかも王族の婚約破棄ともなれば一大スキャンダルだ。きっと周りの誰にも相談できず、藁にも縋る思いで王子は私に依頼したのだろう。そう思うと、なんだか放っておけなくなる。

「分かりました。気休め程度かも知れませんが、頑張って見ます」

「本当かい!ありがとう」

 王子はソファーから立ち上がると、私の手を取ってその場に跪き、その甲に口づけを落とす。

「おおおおお、王子!?」

「よろしく頼むよ。名探偵レア・ホームズ」


こうして私は第三王子、ストーキング・アーロッパに突きつけられた婚約破棄の謎に挑む事に成る。
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