~超能力探偵レア・ホームズは第三王子にロックオンされる~身分違い過ぎて周りの反応があれなので勘弁して欲しいんですけども?

manji

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婚約破棄の謎に迫れ②

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 私は車窓から外の景色を眺める。馬車は舗装された街道を疾走し、流れる街並みが刻一刻と変化していった。

 今私は王子と共にレード公爵邸へと向かっている最中だ。乗って居る馬車はかなり大型で、中には連結椅子が備え付けらている。私は中央列の座席に王子と向かい合って座っており。その前後の席に王子御付きの護衛や執事が4人づつ、計10人が馬車に乗り込んでいた。

「あの、王子?宜しいですか?」

 私は少し気になっている事があったので王子に尋ねて見た。

「ん?どうかしたのかい?」

「何で馬が後ろを走っているんです?」

 通常馬車は馬が前を走っているものだ。馬が走って荷車を引くのだから、本来それが自然な形となる。だがこの馬車は何故か馬が後ろを走っていた。それが私には不思議で仕方なかった。

「ああ、これは魔導車という新技術で出来た車なのさ。使っているのはまだ一部の貴族だけだから、君が知らないのも無理はない。何とこの魔導車って乗り物は、馬無しで走れるって優れモノなのさ」

「そうなんですか!?」

馬無しで走るとか凄い!
ん?でもおかしいな?
だったら何で馬が後ろを走ってるのかしら?
馬無しで走れるんだったら、馬いらないんじゃ?

「今まで馬が引いていた荷車。今度はそのお礼に荷車の方が馬を引いてやる。おしゃれだろ?」

 私は後ろの小窓から繋がれた馬の様子を覗き見る。馬達は明かに嫌そうに引っ張られていた。どうみても只の動物虐待にしか見えないのだが……王族の感覚とお洒落は私には一生理解できそうにない。

「と言うのは冗談。まだまだ新技術で不安定だからね。後ろの馬は故障した時用さ」

 只の冗談だった様だ。王子は楽し気に此方にウィンクしてくるが、正直反応に困る。

「そ、そうなんですか」

 馬達は凄く嫌々引っ張られている。どうせ困ったら馬に引かせるのなら、最初っから馬に引かせればいいのに。そう思ったが口にするのは止めておいた。

「もうじきの様だね」

 気づくと外の風景が変わっていた。先程までとは違い、馬車は閑静な邸宅街を進んでいる。そこから10分程で馬車はレード公爵邸前につき。門から邸宅へと馬車ごと向かう。

「おお!お忙しい中、よくぞお越しくださいました殿下!」

 メイドが2列にずらりと整列し、深々と頭を下げている。その間を抜けていくと、ロマンスグレーを地で行くような白髪の渋いグレースーツの紳士が両手を広げ王子を歓迎する。

「レード卿。態々出迎えて貰って悪いね」

「殿下ならいつでも大歓迎ですぞ」

 柔和な笑顔で迎え入れてはいるが、私には分かる。公爵の体温は明かに低い。これはかなり緊張している証だ。まあ王子様を迎えるのだから、多少緊張するのは別段おかしくないのだが。公爵家の当主ともなれば王家の接待など日常茶飯事の筈。そんな人物がこんなに緊張するのは明かにおかしかった。笑顔とは裏腹に、どうやら王子の事は余り歓迎していない様だ。

まあ娘が婚約破棄した相手と会うんだから、単に気まずいだけという線もあるけど。

「所で殿下、失礼ですがそちらのお嬢さまは一体……」

 公爵が私を見て、少し聞きづらそうに王子に問いかけた。他のお付きの者は全員制服や鎧を着用している。にもかかわらず、私はそこらの町娘の様な格好をしているのだ。訝しむのも尤もな話。いくら王子のお付きとはいえ、よく分からない怪しげな人間をあっさり通すのは流石に躊躇われるのだろう。

「ああ、彼女はレア・ホームズ。男爵家の令嬢で、今は私の政務を手伝って貰っている。不格好な非礼は僕の方から詫びさせて貰うよ。何せ今日は忙しくて、彼女は着替える暇も無かったものでね」

 その説明だと、普段からこの格好で政務のお手伝いをしている事に成ってしまうのだが……まあ王子の言葉に公爵が無粋な突っ込みを入れるとは思えないので、気にせず挨拶しておいた。

「初めまして公爵様。レア・ホームズと申します。以後お見知りおきを」

 お見知りおきとは言ったものの、今後もう2度と顔を合わせる事など無いだろう。所詮私は木っ端の男爵令嬢。公爵家当主と今後接点が出来るとは思えない。

「はっはっは、そうですか。嫌々お気になさらずに。余りにも美しい方だったので、つい気になってしまいましてな」

 自分で言うのもなんだが、私は結構美人だ。点数で言うなら95……いや90……85点は堅いと思う。だが公爵家の当主が目を見張る程の美貌かと言われれば微妙だ。公爵の言葉は、大義名分的理由を込めた只の社交辞令に過ぎないだろう。

「恐れ入ります」

「はっはっは、まあ立ち話もなんですからどうぞ屋敷へ」


 こうして私は王子の秘書的ポジションで公爵家へと乗り込むのだった。
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