8 / 28
悪役令嬢殺人事件①
しおりを挟む
王子に連れられ中央棟の客室に入ると、そこには先客がソファに腰かけていた。仕立ての良い服を身に着けた紳士だ。
「彼はアップル伯爵だ」
「あ、どうも初めまして。レア・ホームズと申します」
「貴方が……お噂は娘からよく聞いていました。あえて光栄です」
アップル伯爵が立ち上がり、握手を求めてくる。渋くて好みのロマンスグレーだったので私は迷わずその手を握り返す。
しかし噂をよく聞いていました……か。
過去形なのがすごく気になるんだけど。
「伯爵は先日娘さんをなくされてね。君と同じ王立学院の生徒だよ」
嫌な予感がグングンと形になっていく。
「それはお気の毒に……」
殺人じゃありません様に。殺人じゃありません様に。殺人じゃありません様に。私は心の中で3度念じる。そしてその願いは――
「何者かによる毒殺らしい」
届かなかった。
「どうか犯人を見つけ出して上げて欲しい」
「お願いします」
アップル伯爵が深々と腰を折って首を垂れる。正直殺人とか殺伐とした物に余り関わりたくはないのだが、この状況では私に拒否権など無いのだろう。
「娘の名はマーガレットと言います」
まだ返事もしていないのに、アップル伯爵は事情を説明しだす。確かに断れない状況ではあるが、せめてこっちの返事位待って欲しいものだ。
「情けない話なのですが、私は娘を甘やかして育ててきました。そのせいか娘は鼻持ちならない正確に育ち、わがまま放題。周りからは嫌われ、ついたあだ名が悪役令嬢という不名誉な物でした」
あだ名が悪役令嬢ってどんだけ嫌われてるのよ。しかもその事を父親が認知しているとかよっぽどだ。余程性格が悪かったのだろう。不謹慎だが、関わるのが死んでからで出本当に良かったと思ってしまう。
ん?
あれでも、あたしの話を聞いてたって言ってわよね?
会った事あるのかしら?
「殺されても仕方の無い様な子でした。ですがそれでも私にとっては、大事な娘に違いありません。どうか犯人を見つけて頂きたい!」
アップル伯爵の目に涙が浮かぶ。まあ馬鹿な子ほどかわいいというし、伯爵にとっては目に入れても痛くない娘さんだったのだろう。
「まあ彼女の悪い噂は僕も色々耳にしてはいたが、だからと言ってこの国では殺人は容認されていない。王族だっておいそれとは許されない行為だ」
おいそれと……か。
裏を返せば、条件がある程度揃えば王族なら殺人は許されるという事だ。私も王子に首を飛ばされない様気を付けよう。
「どうか!どうか!!」
「分かりました。引き受けます」
返事をすると伯爵は私の手を取り「ありがとうございます」を連呼する。
「所で、容疑者とかはいるんですか」
「いるよ。それもびっくりする程大量に……」
うわぁ……本当に嫌われてたんだなぁ。
もうそこまで行くと、犯人をそっとしておいてあげた方が良い気がするのは気のせいだろうか?まあ引き受けた以上、そういう訳にもいかないだろう。
私は詳しい内容を伯爵に伺う。
「彼はアップル伯爵だ」
「あ、どうも初めまして。レア・ホームズと申します」
「貴方が……お噂は娘からよく聞いていました。あえて光栄です」
アップル伯爵が立ち上がり、握手を求めてくる。渋くて好みのロマンスグレーだったので私は迷わずその手を握り返す。
しかし噂をよく聞いていました……か。
過去形なのがすごく気になるんだけど。
「伯爵は先日娘さんをなくされてね。君と同じ王立学院の生徒だよ」
嫌な予感がグングンと形になっていく。
「それはお気の毒に……」
殺人じゃありません様に。殺人じゃありません様に。殺人じゃありません様に。私は心の中で3度念じる。そしてその願いは――
「何者かによる毒殺らしい」
届かなかった。
「どうか犯人を見つけ出して上げて欲しい」
「お願いします」
アップル伯爵が深々と腰を折って首を垂れる。正直殺人とか殺伐とした物に余り関わりたくはないのだが、この状況では私に拒否権など無いのだろう。
「娘の名はマーガレットと言います」
まだ返事もしていないのに、アップル伯爵は事情を説明しだす。確かに断れない状況ではあるが、せめてこっちの返事位待って欲しいものだ。
「情けない話なのですが、私は娘を甘やかして育ててきました。そのせいか娘は鼻持ちならない正確に育ち、わがまま放題。周りからは嫌われ、ついたあだ名が悪役令嬢という不名誉な物でした」
あだ名が悪役令嬢ってどんだけ嫌われてるのよ。しかもその事を父親が認知しているとかよっぽどだ。余程性格が悪かったのだろう。不謹慎だが、関わるのが死んでからで出本当に良かったと思ってしまう。
ん?
あれでも、あたしの話を聞いてたって言ってわよね?
会った事あるのかしら?
「殺されても仕方の無い様な子でした。ですがそれでも私にとっては、大事な娘に違いありません。どうか犯人を見つけて頂きたい!」
アップル伯爵の目に涙が浮かぶ。まあ馬鹿な子ほどかわいいというし、伯爵にとっては目に入れても痛くない娘さんだったのだろう。
「まあ彼女の悪い噂は僕も色々耳にしてはいたが、だからと言ってこの国では殺人は容認されていない。王族だっておいそれとは許されない行為だ」
おいそれと……か。
裏を返せば、条件がある程度揃えば王族なら殺人は許されるという事だ。私も王子に首を飛ばされない様気を付けよう。
「どうか!どうか!!」
「分かりました。引き受けます」
返事をすると伯爵は私の手を取り「ありがとうございます」を連呼する。
「所で、容疑者とかはいるんですか」
「いるよ。それもびっくりする程大量に……」
うわぁ……本当に嫌われてたんだなぁ。
もうそこまで行くと、犯人をそっとしておいてあげた方が良い気がするのは気のせいだろうか?まあ引き受けた以上、そういう訳にもいかないだろう。
私は詳しい内容を伯爵に伺う。
1
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる