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悪役令嬢殺人事件①
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王子に連れられ中央棟の客室に入ると、そこには先客がソファに腰かけていた。仕立ての良い服を身に着けた紳士だ。
「彼はアップル伯爵だ」
「あ、どうも初めまして。レア・ホームズと申します」
「貴方が……お噂は娘からよく聞いていました。あえて光栄です」
アップル伯爵が立ち上がり、握手を求めてくる。渋くて好みのロマンスグレーだったので私は迷わずその手を握り返す。
しかし噂をよく聞いていました……か。
過去形なのがすごく気になるんだけど。
「伯爵は先日娘さんをなくされてね。君と同じ王立学院の生徒だよ」
嫌な予感がグングンと形になっていく。
「それはお気の毒に……」
殺人じゃありません様に。殺人じゃありません様に。殺人じゃありません様に。私は心の中で3度念じる。そしてその願いは――
「何者かによる毒殺らしい」
届かなかった。
「どうか犯人を見つけ出して上げて欲しい」
「お願いします」
アップル伯爵が深々と腰を折って首を垂れる。正直殺人とか殺伐とした物に余り関わりたくはないのだが、この状況では私に拒否権など無いのだろう。
「娘の名はマーガレットと言います」
まだ返事もしていないのに、アップル伯爵は事情を説明しだす。確かに断れない状況ではあるが、せめてこっちの返事位待って欲しいものだ。
「情けない話なのですが、私は娘を甘やかして育ててきました。そのせいか娘は鼻持ちならない正確に育ち、わがまま放題。周りからは嫌われ、ついたあだ名が悪役令嬢という不名誉な物でした」
あだ名が悪役令嬢ってどんだけ嫌われてるのよ。しかもその事を父親が認知しているとかよっぽどだ。余程性格が悪かったのだろう。不謹慎だが、関わるのが死んでからで出本当に良かったと思ってしまう。
ん?
あれでも、あたしの話を聞いてたって言ってわよね?
会った事あるのかしら?
「殺されても仕方の無い様な子でした。ですがそれでも私にとっては、大事な娘に違いありません。どうか犯人を見つけて頂きたい!」
アップル伯爵の目に涙が浮かぶ。まあ馬鹿な子ほどかわいいというし、伯爵にとっては目に入れても痛くない娘さんだったのだろう。
「まあ彼女の悪い噂は僕も色々耳にしてはいたが、だからと言ってこの国では殺人は容認されていない。王族だっておいそれとは許されない行為だ」
おいそれと……か。
裏を返せば、条件がある程度揃えば王族なら殺人は許されるという事だ。私も王子に首を飛ばされない様気を付けよう。
「どうか!どうか!!」
「分かりました。引き受けます」
返事をすると伯爵は私の手を取り「ありがとうございます」を連呼する。
「所で、容疑者とかはいるんですか」
「いるよ。それもびっくりする程大量に……」
うわぁ……本当に嫌われてたんだなぁ。
もうそこまで行くと、犯人をそっとしておいてあげた方が良い気がするのは気のせいだろうか?まあ引き受けた以上、そういう訳にもいかないだろう。
私は詳しい内容を伯爵に伺う。
「彼はアップル伯爵だ」
「あ、どうも初めまして。レア・ホームズと申します」
「貴方が……お噂は娘からよく聞いていました。あえて光栄です」
アップル伯爵が立ち上がり、握手を求めてくる。渋くて好みのロマンスグレーだったので私は迷わずその手を握り返す。
しかし噂をよく聞いていました……か。
過去形なのがすごく気になるんだけど。
「伯爵は先日娘さんをなくされてね。君と同じ王立学院の生徒だよ」
嫌な予感がグングンと形になっていく。
「それはお気の毒に……」
殺人じゃありません様に。殺人じゃありません様に。殺人じゃありません様に。私は心の中で3度念じる。そしてその願いは――
「何者かによる毒殺らしい」
届かなかった。
「どうか犯人を見つけ出して上げて欲しい」
「お願いします」
アップル伯爵が深々と腰を折って首を垂れる。正直殺人とか殺伐とした物に余り関わりたくはないのだが、この状況では私に拒否権など無いのだろう。
「娘の名はマーガレットと言います」
まだ返事もしていないのに、アップル伯爵は事情を説明しだす。確かに断れない状況ではあるが、せめてこっちの返事位待って欲しいものだ。
「情けない話なのですが、私は娘を甘やかして育ててきました。そのせいか娘は鼻持ちならない正確に育ち、わがまま放題。周りからは嫌われ、ついたあだ名が悪役令嬢という不名誉な物でした」
あだ名が悪役令嬢ってどんだけ嫌われてるのよ。しかもその事を父親が認知しているとかよっぽどだ。余程性格が悪かったのだろう。不謹慎だが、関わるのが死んでからで出本当に良かったと思ってしまう。
ん?
あれでも、あたしの話を聞いてたって言ってわよね?
会った事あるのかしら?
「殺されても仕方の無い様な子でした。ですがそれでも私にとっては、大事な娘に違いありません。どうか犯人を見つけて頂きたい!」
アップル伯爵の目に涙が浮かぶ。まあ馬鹿な子ほどかわいいというし、伯爵にとっては目に入れても痛くない娘さんだったのだろう。
「まあ彼女の悪い噂は僕も色々耳にしてはいたが、だからと言ってこの国では殺人は容認されていない。王族だっておいそれとは許されない行為だ」
おいそれと……か。
裏を返せば、条件がある程度揃えば王族なら殺人は許されるという事だ。私も王子に首を飛ばされない様気を付けよう。
「どうか!どうか!!」
「分かりました。引き受けます」
返事をすると伯爵は私の手を取り「ありがとうございます」を連呼する。
「所で、容疑者とかはいるんですか」
「いるよ。それもびっくりする程大量に……」
うわぁ……本当に嫌われてたんだなぁ。
もうそこまで行くと、犯人をそっとしておいてあげた方が良い気がするのは気のせいだろうか?まあ引き受けた以上、そういう訳にもいかないだろう。
私は詳しい内容を伯爵に伺う。
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