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悪役令嬢殺人事件②
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被害者の名はマーガレット・アップル。アップル伯爵家の御令嬢だ。
年齢18歳。性格は我がままかつ陰険。周囲からは相当嫌われており。付いたあだ名は悪役令嬢。死因は毒物による中毒死。彼女の口にしたと思われるカップの残りのコーヒーから、大量の毒物”ヘ素"が検出されている。その事から犯人はコーヒーに毒を持った人物で間違いないだろう。死亡推定時刻は深夜の0時半から1時半間までの間となっている。
「ふぅ……」
アップル伯爵の客室のソファーに腰を下ろし、溜息を吐く。容疑者の数は12人。全員このお屋敷で働く使用人だ。全員が悪役令嬢……じゃなかった、マーガレットに何らかの遺恨を持っており。動機は十分にあった。
ヘ素は良く暗殺に使われるとか使われないとか聞くポピュラーな毒物で、案外簡単に手に入るらしい。そして容疑者全員このヘ素を所持していた――だからこそ全員容疑者になったのだが。
……使用人20人中12人が毒持ってるとか、この屋敷の使用人達怖すぎ。
伯爵はこの事件が片付いたらその犯人は誰であれ、12人全員解雇するそうだ。まあ、そりゃそうなるわよね。
「お疲れ様。だいぶ絞れてきたね」
「ええ、なんとか」
まず私が最初にしたのはアリバイの確認だ。お嬢様の遺体――まだ埋葬されていない――から私は死亡時刻を割り出している。報告には0時半から1時半と聞かされているが、魔法による死亡時刻推定はどうしてもその幅が広くなってしまう。それに対して私の力なら、魂の痕跡の残り具合から10分程度のの誤差で納める事ができた。絞り込んだ推定時刻は0時50分から1時10分までの間だ。
聞く所によると、マーガレットは寝る前に必ず熱々のコーヒーを一気飲みするという意味不明な習慣があったらしい。つまり事前にコーヒーを運びこまれ、時間がたってから口をつけた可能性は低く。事件当夜も同じ行動をしている前提で考えるなら、この時間帯にコーヒーを運んだ人物が限りなく黒に近いという事だ。
「12人中9人はその時間帯他の仕事をしていた。犯行に及べたのは残り3人だけだね」
「ええ……」
どうやって時間を絞ったのか。それは企業秘密と答えてある。犯人を見つける上ですごく重要な事なので、普通は突っ込んできそうな物だが。驚く程すんなりと王子は引き下がってくれた。この情報が通るか通らないかで流れが変わって来るので、正直非常に助かる。
アリバイの無い容疑者はメイドのアリサ(失職予定・年齢・性別割愛)同じくメイドのアリッサ(以下同文)それに執事のパーガン(以下)の3人だ。
アリサは隠れて仕事をさぼっていたと証言していて、アリッサはマーガレットに命じられて書斎の掃除(お嬢様は嫌がらせで必要も無い掃除を真夜中に使用人にさせたりする)をしていたと言う。パーガンは伯爵邸周りをランニングで10週(これまたお嬢様の命で理不尽に走らされていた)だそうだ。
サボっていたアリサは兎も角、残り2人の証言からいかにマーガレットが周囲に理不尽な行動をしていたかが分かる。その為、この仕事を辞める者も多く。彼女のヘイトの高さが改めて浮き彫りになる。
「しっかし彼女、本当に嫌われてるねぇ。いくら嫌がらせが楽しいとは言え、ある程度ブレーキをかけるものなんだが。彼女の場合は常に全力投球だったみたいだ。まあ流石に立場が上の人間には、あからさまにはやってなかったみたいだけど」
弱者に超強く。強者にも裏で毒を吐く。その行動は徹底されており、そこまで行くとお見事としか言いようがない。
それよりも王子の「いくら嫌がらせが楽しいとはいえ」という言葉に私は引っ掛かる。その口ぶりから、王子も嫌がらせを楽しいと思っている事は確実だ。今王子の体温が上がり気味なのも、きっと私に対する嫌がらせ(殺人事件の捜査の押し付け)が楽しくてしょうがないからだろう。
ほんと良い性格してるわ、この人も。
垣間見えた王子の癖に辟易しながらも、私は捜査を続ける。
年齢18歳。性格は我がままかつ陰険。周囲からは相当嫌われており。付いたあだ名は悪役令嬢。死因は毒物による中毒死。彼女の口にしたと思われるカップの残りのコーヒーから、大量の毒物”ヘ素"が検出されている。その事から犯人はコーヒーに毒を持った人物で間違いないだろう。死亡推定時刻は深夜の0時半から1時半間までの間となっている。
「ふぅ……」
アップル伯爵の客室のソファーに腰を下ろし、溜息を吐く。容疑者の数は12人。全員このお屋敷で働く使用人だ。全員が悪役令嬢……じゃなかった、マーガレットに何らかの遺恨を持っており。動機は十分にあった。
ヘ素は良く暗殺に使われるとか使われないとか聞くポピュラーな毒物で、案外簡単に手に入るらしい。そして容疑者全員このヘ素を所持していた――だからこそ全員容疑者になったのだが。
……使用人20人中12人が毒持ってるとか、この屋敷の使用人達怖すぎ。
伯爵はこの事件が片付いたらその犯人は誰であれ、12人全員解雇するそうだ。まあ、そりゃそうなるわよね。
「お疲れ様。だいぶ絞れてきたね」
「ええ、なんとか」
まず私が最初にしたのはアリバイの確認だ。お嬢様の遺体――まだ埋葬されていない――から私は死亡時刻を割り出している。報告には0時半から1時半と聞かされているが、魔法による死亡時刻推定はどうしてもその幅が広くなってしまう。それに対して私の力なら、魂の痕跡の残り具合から10分程度のの誤差で納める事ができた。絞り込んだ推定時刻は0時50分から1時10分までの間だ。
聞く所によると、マーガレットは寝る前に必ず熱々のコーヒーを一気飲みするという意味不明な習慣があったらしい。つまり事前にコーヒーを運びこまれ、時間がたってから口をつけた可能性は低く。事件当夜も同じ行動をしている前提で考えるなら、この時間帯にコーヒーを運んだ人物が限りなく黒に近いという事だ。
「12人中9人はその時間帯他の仕事をしていた。犯行に及べたのは残り3人だけだね」
「ええ……」
どうやって時間を絞ったのか。それは企業秘密と答えてある。犯人を見つける上ですごく重要な事なので、普通は突っ込んできそうな物だが。驚く程すんなりと王子は引き下がってくれた。この情報が通るか通らないかで流れが変わって来るので、正直非常に助かる。
アリバイの無い容疑者はメイドのアリサ(失職予定・年齢・性別割愛)同じくメイドのアリッサ(以下同文)それに執事のパーガン(以下)の3人だ。
アリサは隠れて仕事をさぼっていたと証言していて、アリッサはマーガレットに命じられて書斎の掃除(お嬢様は嫌がらせで必要も無い掃除を真夜中に使用人にさせたりする)をしていたと言う。パーガンは伯爵邸周りをランニングで10週(これまたお嬢様の命で理不尽に走らされていた)だそうだ。
サボっていたアリサは兎も角、残り2人の証言からいかにマーガレットが周囲に理不尽な行動をしていたかが分かる。その為、この仕事を辞める者も多く。彼女のヘイトの高さが改めて浮き彫りになる。
「しっかし彼女、本当に嫌われてるねぇ。いくら嫌がらせが楽しいとは言え、ある程度ブレーキをかけるものなんだが。彼女の場合は常に全力投球だったみたいだ。まあ流石に立場が上の人間には、あからさまにはやってなかったみたいだけど」
弱者に超強く。強者にも裏で毒を吐く。その行動は徹底されており、そこまで行くとお見事としか言いようがない。
それよりも王子の「いくら嫌がらせが楽しいとはいえ」という言葉に私は引っ掛かる。その口ぶりから、王子も嫌がらせを楽しいと思っている事は確実だ。今王子の体温が上がり気味なのも、きっと私に対する嫌がらせ(殺人事件の捜査の押し付け)が楽しくてしょうがないからだろう。
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