~超能力探偵レア・ホームズは第三王子にロックオンされる~身分違い過ぎて周りの反応があれなので勘弁して欲しいんですけども?

manji

文字の大きさ
23 / 28

過去話③

しおりを挟む
 それはある日突然起やって来た。予想も出来ない悲しい未来。私は自分の目に映った物が信じられなかった。

 その日私は珍しく、彼女と二人カフェで紅茶を楽しんでいた。そこは彼女のお気に入りの店で、よくジョンと来ていると惚気られた。とりとめのない、それでいて楽しい時間。それは2杯目の紅茶が届いた事で終わりを告げる。


 彼女が……メアリーが私の目の前で血を吐いて倒れてしまったからだ。それが毒による物だと、私には直ぐに分かった。だが――救えなかった。私は彼女を。

「犯人はカフェの店員ですね」

 調査で直ぐに毒を盛った人物が割り出される。メアリーに一目ぼれした男が、彼女に恋人がいたので無理心中を図った結果だと、調査を担当していた憲兵は告げた。

 勿論そんな訳がない。一目惚れしたとはいえ、話した事も無い相手の飲み物に毒を混ぜ自分も同じ毒で死ぬ。いくら何でも話に無理がありすぎる。

「そんな馬鹿な話があるか!」

 霊安室に叫び声が響く。最愛の女性を失ったジョンの雄叫びだ。今の彼は冷静とは言い難い。そんな彼にだって、その話に無理がある事位は分かる。だから叫んだのだ。

「お気持ちは分かりますが、男のポケットから遺書が出てきてまして」

 事件は至って単純明快で、もう解決。だから捜査はもう打ち切りになる。憲兵はそう告げてその場を去って行く。いくら何でも捜査がずさん過ぎる。

 平民が犠牲者だとはいえ、伯爵家の人間が要請しているのだ。普通はもう少し、対面上だけでも調査を続ける筈だ。にも拘らず、あっさり捜査は打ち切られた。あれは恐らく……ううん間違いなく、どこかから圧力が掛かっているに違いない。

 つまり犯人は貴族という事になる。それも憲兵の捜査に口出しできるとなれば、最低でも伯爵家以上の力を持った。

「ホームズ……頼む。彼女を殺した犯人を……見つけ出して欲しい。彼女を殺しておいて……何食わぬ顔で生きて行くなんて……僕は絶対に許せない。絶対にだ……」

「分かったわジョン。でもあなたに一つ言っておくことがあるの」

 そして私は打ち明ける。ある秘密を。これはメアリー毒殺に関わる秘密だ。

「ああ……そんな……ほんとうに?」

「ええ、事実よ」

「う、うぅ……メアリー」

 彼は寝かされているメアリーに縋りつき、涙をぽろぽろと流す。暫くは二人っきりにしてあげよう。そう思い私は霊安室を出て行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

十二回の死を繰り返した悪役令嬢、破滅回避は諦めました。世界のバグである司書と手を組み、女神の狂ったシナリオをぶっ壊します

黒崎隼人
ファンタジー
十二回の死を繰り返した公爵令嬢オフィーリア。十三回目の人生で彼女が選んだのは、破滅の回避ではなく、世界の破壊だった。 「この世界は、女神の描いた三文芝居に過ぎない」 ループする度に歪む日常、完璧な仮面の下に狂気を隠した婚約者や聖女。全てが残酷な神の「物語」の駒でしかないとしたら? これは、筋書きを押し付けられた悪役令嬢が、同じく運命に抗う謎の司書と「共犯者」となり、狂った世界のシステムに反逆する物語。断罪の先に待つのは救済か、それとも完全な無か。真実が世界を壊すダークミステリーファンタジー、開幕。

逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子

ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。 (その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!) 期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません

由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。 破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。 しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。 外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!? さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、 静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。 「恋をすると破滅する」 そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、 断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。

【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。 過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。 魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。 そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。 これはシナリオなのかバグなのか? その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。 【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】

【完結】追放された大聖女は黒狼王子の『運命の番』だったようです

星名柚花
恋愛
聖女アンジェリカは平民ながら聖王国の王妃候補に選ばれた。 しかし他の王妃候補の妨害工作に遭い、冤罪で国外追放されてしまう。 契約精霊と共に向かった亜人の国で、過去に自分を助けてくれたシャノンと再会を果たすアンジェリカ。 亜人は人間に迫害されているためアンジェリカを快く思わない者もいたが、アンジェリカは少しずつ彼らの心を開いていく。 たとえ問題が起きても解決します! だって私、四大精霊を従える大聖女なので! 気づけばアンジェリカは亜人たちに愛され始める。 そしてアンジェリカはシャノンの『運命の番』であることが発覚し――?

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

処理中です...