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過去話④

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「それで?俺はどうすればいい?」

「貴方にはリーン・マクガイヤーの行動について調べて貰いたいの。お願いできる?」

 リーンは容疑者の一人だ。

 以前彼女はジョンと散々揉めている。その報復として、恋人のメアリーを手にかけた。十分あり得る話。だが一つ気になるのは、捜査に圧力が掛けられていた節がある事だ。

果たして子爵令嬢にそこまでの事が出来るだろうか?

 その疑問から、彼女の線は薄いと私は考えていた。とは言え、可能性は0ではないので一応ジョンに調べて貰う事にする。その間に私は本命について調査するとしよう。相手が相手だ。ある程度はっきりするまで私一人で調査したい。

「ああ、わかった。それで君はどうするんだ?」

「私は自殺した男の事を洗ってみるわ」

「頼む」

 そう言うとジョンはその場を立ち去り。私も彼の姿を見送った後、件のカフェへと向かう。

 カフェへ着くと店は閉店中だった。まあ客と従業員が死んで、しかもその従業員が犯人という事になっているのだ。当然の対応だろう。ひょっとしたらこのまま2度と開店しないという可能性もある。あんな凄惨な事件が起きたのだ。噂が広まって客足が絶望的になるのは目に見えていた。

 超能力で店の中を探る。どうやら誰も居ない様だ。私は周りに人影が無い事を確かめ、店内へと瞬間移動する。

 店内へと移動した私は辺りを見回した。残念ながら自殺した店員の遺体はもうない。まあ当たり前の話ではあるが。取り敢えず超能力とうしを使って片っ端から店内を物色する。

「呆れたわね……」

 思わず呟く。メアリーが口にしたカップ。それに、犯人が所持していたであろう毒の入った瓶がゴミ箱に捨てられていたからだ。遺書で解決を決め込むにしても、普通は証拠品ぐらい押収するものだ。にも拘らず、それをゴミ箱に捨てていくとか……此処迄ずさんだと開いた口が塞がらない。

 まあ捜査しやすいから此方にとっては好都合ではあるのだが、この国での平民の命がいかに軽いか思い知らされた様で、遣る瀬無い気持ちになってしまう。

いかんいかん。
干渉に浸るのは後にしよう。
今は捜査だ。

 意識を集中させ、毒瓶の痕跡を辿る。するとある場所で動きが止まったのが分かった。恐らく長期間保存されていたのだろう。そこを毒の出元と仮定して、私はその場所へと向かう。

「ビンゴ……か……」

 辿り着いた場所。そこに建つ建物をみて、私は呟いた。そこは私が怪しんでいたもう一つの容疑者候補の居る屋敷だ。

そう、そこは他でもないワトスン伯爵家の屋敷。
ジョンの家だった。
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