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グループ名は『チェスターズ』!
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王宮からの帰り道、私は一人で馬車に揺られていた。
ほどよい疲労感を感じるが、それよりもはるかに達成感が勝っている。
今日はよく働きました。
王妃様とお話して、アイドルグループ結成の許可をいただいて、その後にルカリオのお部屋を訪ねて……。
三人からアイドルになる承諾も得られたし、ルカリオがリーダーに選ばれて、みんなのキャラクターとメンバーカラーまで決め終わりました。
こんなに順調でいいのかしら?
明日は再びルカリオの部屋に四人で集まる約束をしている。
デビュー曲について考えなくてはいけないからだ。
ああ、彼らの晴れ舞台が待ち遠しいです。
きっとキラッキラのアイドルがそこに!
鼻歌でも歌い出しそうになったその時、私はようやく大切なことに気付いた。
グループ名、決めるのを忘れていました!
大失態である。
正直、メンバーカラーよりも先に決めるべきことだったと思う。
なんてこと!
グループ名はアイドルグループの命とも言えるものではないですか!
私のバカバカ。
明日はとにかくグループ名から決めることにしましょう。
何か素敵な名前があればいいのだけれど……。
なーんて、帰り道では大いに反省していたのだが。
寝る前にベッドの中で冷静になって考えてみたら――
ここってチェスター王国よね?
だったらグループ名は『チェスターズ』でよくないかしら?
なんだかあっさり思い付いた名前が妙にしっくりと来てしまった。
だって、メンバーはチェスター王国の王子と、騎士と、魔術師ですよ?
もう他の候補すら思い浮かばないのですが。
よし! 明日、三人に意見を聞いてみましょう。
おやすみなさい。
私は反省していたことも忘れ、あっさりと眠りについた。
◆◆◆
あくる日、再びルカリオの部屋にて。
「ごめんなさい。昨日、何よりも大切なグループ名を決めるのを忘れてしまいました。何かいい名前はありますか? ちなみに私の候補は国名からとった『チェスターズ』です」
「うん、いいと思うよ」
「それでいいんじゃねーか?」
「僕も賛成です」
まあ、なんと雑なお返事!
そんな適当でいいのですか?
あなたたちの未来を左右するかもしれない名前ですよ?
せめていくつか候補くらい考えてくれてもいいのに。
自分自身も昨日は忘れていた上に、眠る前の一瞬の閃きで思い付いたのを棚に上げ、私は腹を立てていた。
その不満が顔に出ていたらしい。
「いや、真面目に考えていない訳ではなくて、僕たちは元々立場上、国に尽くすことを求められてきただろう? この国を背負っているという自負もある。だから単純に一番ふさわしいと思ったんだ。まあ、この国の借金返済の為のグループと考えると収まりもいいというか」
「ああ、響きもいいしな」
「もしファンが出来たとして、愛国心に繋がれば嬉しいですしね」
なんと、思いのほか熟慮した結果の返答だったようだ。
……キース以外は。
思っていたよりちゃんと考えていて感心しました!
この国を背負う彼らにはピッタリだし、愛国心が芽生えればこの国が乗っ取られそうになっている現状に対しても
、国民に危機感を持ってもらえるかもしれません。
もし周囲の国にまでアイドルとして売り出すことになっても、国名なら覚えてもらいやすいですし。
「私ってば、さりげなく最高の名前を考えていたのですね。さすが私です!」
急に自分を褒め出し、胸を張る私に呆れながらも、三人が「すごいすごい」「偉いぞ」「アイリスは凄いですね」などと言って頭を撫でてくれた。
昔から紅一点の私に対して、彼らはとても甘いのである。
こういう私だけしか知らない幼馴染の素晴らしさを、チェスター王国中に……いや、全世界に知ってもらいたいと、私は更に意気込んだのだった。
ほどよい疲労感を感じるが、それよりもはるかに達成感が勝っている。
今日はよく働きました。
王妃様とお話して、アイドルグループ結成の許可をいただいて、その後にルカリオのお部屋を訪ねて……。
三人からアイドルになる承諾も得られたし、ルカリオがリーダーに選ばれて、みんなのキャラクターとメンバーカラーまで決め終わりました。
こんなに順調でいいのかしら?
明日は再びルカリオの部屋に四人で集まる約束をしている。
デビュー曲について考えなくてはいけないからだ。
ああ、彼らの晴れ舞台が待ち遠しいです。
きっとキラッキラのアイドルがそこに!
鼻歌でも歌い出しそうになったその時、私はようやく大切なことに気付いた。
グループ名、決めるのを忘れていました!
大失態である。
正直、メンバーカラーよりも先に決めるべきことだったと思う。
なんてこと!
グループ名はアイドルグループの命とも言えるものではないですか!
私のバカバカ。
明日はとにかくグループ名から決めることにしましょう。
何か素敵な名前があればいいのだけれど……。
なーんて、帰り道では大いに反省していたのだが。
寝る前にベッドの中で冷静になって考えてみたら――
ここってチェスター王国よね?
だったらグループ名は『チェスターズ』でよくないかしら?
なんだかあっさり思い付いた名前が妙にしっくりと来てしまった。
だって、メンバーはチェスター王国の王子と、騎士と、魔術師ですよ?
もう他の候補すら思い浮かばないのですが。
よし! 明日、三人に意見を聞いてみましょう。
おやすみなさい。
私は反省していたことも忘れ、あっさりと眠りについた。
◆◆◆
あくる日、再びルカリオの部屋にて。
「ごめんなさい。昨日、何よりも大切なグループ名を決めるのを忘れてしまいました。何かいい名前はありますか? ちなみに私の候補は国名からとった『チェスターズ』です」
「うん、いいと思うよ」
「それでいいんじゃねーか?」
「僕も賛成です」
まあ、なんと雑なお返事!
そんな適当でいいのですか?
あなたたちの未来を左右するかもしれない名前ですよ?
せめていくつか候補くらい考えてくれてもいいのに。
自分自身も昨日は忘れていた上に、眠る前の一瞬の閃きで思い付いたのを棚に上げ、私は腹を立てていた。
その不満が顔に出ていたらしい。
「いや、真面目に考えていない訳ではなくて、僕たちは元々立場上、国に尽くすことを求められてきただろう? この国を背負っているという自負もある。だから単純に一番ふさわしいと思ったんだ。まあ、この国の借金返済の為のグループと考えると収まりもいいというか」
「ああ、響きもいいしな」
「もしファンが出来たとして、愛国心に繋がれば嬉しいですしね」
なんと、思いのほか熟慮した結果の返答だったようだ。
……キース以外は。
思っていたよりちゃんと考えていて感心しました!
この国を背負う彼らにはピッタリだし、愛国心が芽生えればこの国が乗っ取られそうになっている現状に対しても
、国民に危機感を持ってもらえるかもしれません。
もし周囲の国にまでアイドルとして売り出すことになっても、国名なら覚えてもらいやすいですし。
「私ってば、さりげなく最高の名前を考えていたのですね。さすが私です!」
急に自分を褒め出し、胸を張る私に呆れながらも、三人が「すごいすごい」「偉いぞ」「アイリスは凄いですね」などと言って頭を撫でてくれた。
昔から紅一点の私に対して、彼らはとても甘いのである。
こういう私だけしか知らない幼馴染の素晴らしさを、チェスター王国中に……いや、全世界に知ってもらいたいと、私は更に意気込んだのだった。
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