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アレクシスの表情
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貴族たちが興味津々という顔でこちらを見ている。
しかし、もう後には引けない。
私は大きな声で最初のモノマネを紹介した。
「まずは……宰相様のモノマネ」
私の言葉に合わせて国王が背筋を伸ばし、あご髭を撫でる動作をしながら厳しい声を出した。
「それは看過できませんね。至急、速やかに対処せねば」
それは宰相の口癖だった。
いつも髭を撫でながら難しい顔で文官にそう告げるのだ。
城勤めをしている者なら誰もが聞いたことのある台詞に、主に男性を中心に大きな笑いが起きる。
よしよし、出だしは順調ね!
「続いて、騎士団長様のモノマネ」
胸を張って腕を横に少し広げて大柄に見せた国王が、近くで護衛をしている騎士に近付き、タンタンと片足のつま先部分で地面を鳴らしながら、周囲を指差している。
これも騎士団長が部下に指示を出す際によく見る光景で、警固中にも関わらず騎士たちからは笑いが漏れていた。
「続きまして、王妃殿下のモノマネ」
両手を合わせて左頬に付けた国王が可愛らしく高い声を出す。
「あら、まあ! それは楽しみだわ。ラララ~」
全てがオペラになってしまう王妃の鼻歌を再現した国王。
会場は拍手喝采である。
その後も先代の国王やら、辺境伯のモノマネが披露された。
よしよし、お茶目アピール成功ね!
威厳は……多少はなくなった気もするけれど、まあ大丈夫でしょう。
さて終わらせるかと、終了の言葉を述べようとした私を、何か面白いことを思い付いたような顔をした国王が制した。
「次が最後だ。息子、アレクシスのモノマネ!」
え?
そんなの見たことあったっけ?
アレクも怪訝そうにしているし……。
戸惑う私たちの前で、国王のアレクシスのモノマネが始まった。
「ああ、それでいいと思う。このまま進めてくれるか。ああ、そちらは……」
これは……いつものアレクよね?
執務中の様子だわ。
何度も見たことあるもの。
真面目な表情で側近の話を聞き、指示を出しているところだろう。
日常の普通のシーンなので、取り立てて似ているということもないのだが、さすが親子、声は似ているかもしれない。
「じゃあそういうことで、よろしく頼む。ん? ああ、セラ!!」
よくわからないまま眺めていたら、急に私の愛称を呼びながら満面の笑顔をこちらに見せる国王――
え、何?
なんで私を呼んだの?
あら、おじさまって、笑顔もアレクとそっくりね……って、そうじゃないわ。
「は、はい?」
思わず上擦りつつも返事をしてしまったが、私の声は若い令嬢たちの興奮した甲高い声にかき消されていた。
「キャーーッ、今のご覧になりまして!?」
「素晴らしい再現度でしたわよね! アレクシス殿下はセラフィーヌ様を見つけると、いつも輝くような笑顔になりますもの」
「わたくしたちでは絶対に引き出せない表情ですわ」
「まあ! アレクシス殿下が照れていらっしゃるみたいですわよ? ご自分でも自覚がおありなのでしょうね」
アレクが照れる?
確かにアレクシスが両目の辺りを右手で覆いながら俯いている。
耳も赤く見えるし、照れているのかもしれない――が。
え?
照れるってなんで?
おじさまはいつものアレクをモノマネしただけで、特に照れる要素はなかったわよね?
仕事はきっちり、プライベートは笑顔のよく見るアレクだったのに。
正直、みんなの熱狂している意味がわからないのだけれど。
はて?と首を傾げていると、遠くからグレースが呆れ顔で何かを訴えかけているのに気付いた。
「セラフィーヌ! あなた、鈍感もいい加減にしなさいよ!」
「え? グレース、全然聞こえないわ!」
「もうなんで陛下がここまでやってわからないのよ? というか、そもそも普段から殿下の顔を見ていれば一目瞭然でしょうが! こっちが恥ずかしいわよ!!」
「ごめんなさい、何を言っているの?」
周囲の盛り上がりで私たちが意思疎通できないまま、グレースはロイバーに肩を叩かれ、慰められているように見える。
意味がわからない。
結局、私だけが腑に落ちないまま、令嬢の部は終わった。
しかし、もう後には引けない。
私は大きな声で最初のモノマネを紹介した。
「まずは……宰相様のモノマネ」
私の言葉に合わせて国王が背筋を伸ばし、あご髭を撫でる動作をしながら厳しい声を出した。
「それは看過できませんね。至急、速やかに対処せねば」
それは宰相の口癖だった。
いつも髭を撫でながら難しい顔で文官にそう告げるのだ。
城勤めをしている者なら誰もが聞いたことのある台詞に、主に男性を中心に大きな笑いが起きる。
よしよし、出だしは順調ね!
「続いて、騎士団長様のモノマネ」
胸を張って腕を横に少し広げて大柄に見せた国王が、近くで護衛をしている騎士に近付き、タンタンと片足のつま先部分で地面を鳴らしながら、周囲を指差している。
これも騎士団長が部下に指示を出す際によく見る光景で、警固中にも関わらず騎士たちからは笑いが漏れていた。
「続きまして、王妃殿下のモノマネ」
両手を合わせて左頬に付けた国王が可愛らしく高い声を出す。
「あら、まあ! それは楽しみだわ。ラララ~」
全てがオペラになってしまう王妃の鼻歌を再現した国王。
会場は拍手喝采である。
その後も先代の国王やら、辺境伯のモノマネが披露された。
よしよし、お茶目アピール成功ね!
威厳は……多少はなくなった気もするけれど、まあ大丈夫でしょう。
さて終わらせるかと、終了の言葉を述べようとした私を、何か面白いことを思い付いたような顔をした国王が制した。
「次が最後だ。息子、アレクシスのモノマネ!」
え?
そんなの見たことあったっけ?
アレクも怪訝そうにしているし……。
戸惑う私たちの前で、国王のアレクシスのモノマネが始まった。
「ああ、それでいいと思う。このまま進めてくれるか。ああ、そちらは……」
これは……いつものアレクよね?
執務中の様子だわ。
何度も見たことあるもの。
真面目な表情で側近の話を聞き、指示を出しているところだろう。
日常の普通のシーンなので、取り立てて似ているということもないのだが、さすが親子、声は似ているかもしれない。
「じゃあそういうことで、よろしく頼む。ん? ああ、セラ!!」
よくわからないまま眺めていたら、急に私の愛称を呼びながら満面の笑顔をこちらに見せる国王――
え、何?
なんで私を呼んだの?
あら、おじさまって、笑顔もアレクとそっくりね……って、そうじゃないわ。
「は、はい?」
思わず上擦りつつも返事をしてしまったが、私の声は若い令嬢たちの興奮した甲高い声にかき消されていた。
「キャーーッ、今のご覧になりまして!?」
「素晴らしい再現度でしたわよね! アレクシス殿下はセラフィーヌ様を見つけると、いつも輝くような笑顔になりますもの」
「わたくしたちでは絶対に引き出せない表情ですわ」
「まあ! アレクシス殿下が照れていらっしゃるみたいですわよ? ご自分でも自覚がおありなのでしょうね」
アレクが照れる?
確かにアレクシスが両目の辺りを右手で覆いながら俯いている。
耳も赤く見えるし、照れているのかもしれない――が。
え?
照れるってなんで?
おじさまはいつものアレクをモノマネしただけで、特に照れる要素はなかったわよね?
仕事はきっちり、プライベートは笑顔のよく見るアレクだったのに。
正直、みんなの熱狂している意味がわからないのだけれど。
はて?と首を傾げていると、遠くからグレースが呆れ顔で何かを訴えかけているのに気付いた。
「セラフィーヌ! あなた、鈍感もいい加減にしなさいよ!」
「え? グレース、全然聞こえないわ!」
「もうなんで陛下がここまでやってわからないのよ? というか、そもそも普段から殿下の顔を見ていれば一目瞭然でしょうが! こっちが恥ずかしいわよ!!」
「ごめんなさい、何を言っているの?」
周囲の盛り上がりで私たちが意思疎通できないまま、グレースはロイバーに肩を叩かれ、慰められているように見える。
意味がわからない。
結局、私だけが腑に落ちないまま、令嬢の部は終わった。
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