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リリーは王家のターゲット?
しおりを挟む「ラインハルト様はエスコートをして下さっただけよ。」
リリーは3日前の王宮での出来事を、淡々とジェシーに話してみせた。
ラインハルトの一連の行動が、模範的な王子の行いだと理解したリリーは、すっかり冷静さを取り戻していた。
しかしジェシーは疑わしげに、前のめりでリリーに質問を繰り出していく。
「本当に?手を繋いだ以外は何もなかったの?抱きしめられたとか。」
「それは『抱き留められた』が正しいわね。」
「え?抱き留められた?リリー、あなた王宮で何をしたの?」
ジェシーが勢い込んで訊いてくる。
「それはちょっと言いにくいんだけど、ジェシーには隠さず全部話すわ。お父様には内緒よ。お庭で木に登ったのよ。そしたらうっかり足をズルっとね。」
「「「木に登ったの!?」」」
急に声が重なった。
振り返ると、兄のアーサーと、ジェシーの兄のオーウェンが部屋に入ってきていた。
「リリー、王宮で木に登ったのかい?正直に話すんだ。」
アーサーが珍しく恐い顔をしながらリリーに詰め寄る。
「子猫が木から下りられなくなって困っていたの。王太子のご子息のハリー様が泣いていらして。私なら助けられると思って。ごめんなさい、お兄様。」
しゅんとしながら兄に謝る。
やっぱりバレて怒られてしまったわ。
普段優しいお兄様がこんなに怒るなんて。
もしかして、罰せられるくらいの失態だとか?
確かによく考えてみたら、木に登るなんて侵入者みたいに怪しい行為だわ。
リリーが青くなりながら自分の考えに没頭している間、他の三人も慌てていた。
「父上が速達で手紙を送ってきて、リリーが王家に目を付けられたかもしれないなんて書くから、まさかと思いながら急いで寮から戻って来てみれば・・・。あながち父上の勘も外れてなさそうだな。」
「ああ、ラインハルト様は今まで浮いた話もなく、令嬢に関心が薄そうだったが、リリーには積極的に関わってるみたいだな。」
「目の前でそんな破天荒なことされたら、第3王子だって興味を持って好きになっちゃうわよ!リリーのバカバカ!!せっかく領地から帰ってきたのに、もうお嫁に行くなんてそんなの許さないんだから。」
アーサー、オーウェン、ジェシーが口々に話し始める。
「そもそも、なんで急に王妃様とお茶会なんていう話になったのかしら?ね、リリー、聞いてる?なんでお茶会に出ることになったの?」
チョンチョンとジェシーに肩をつつかれ、リリーは我に返った。
「それは、お忍び中の王妃様と本屋でたまたまお話しをしたからよ。そうそうジェシー、『王子様との秘密の恋愛』に続編が出ているの知ってた?王妃様が貸して下さったの。」
王宮から戻った後、アイラがリリーにチーズタルトを入れていったバスケットを差し出して言ったのだ。
「お嬢様、返却されたバスケット、何やら重いのですが。」
リリーが開けてみると、『続 王子様との秘密の恋愛』と、小説に挟まった王妃からの手紙が入っていたのである。
手紙は簡潔で、「また連絡するからスープを作りに来てね」といった内容だった。
「続編なんてまだ売られてないはずよ。王妃様特権で入手されたのよ、きっと。面白かった?ってそうじゃないわ!リリー、王妃様と知り合いだったの?」
また興奮し出したジェシーに、リリーは本屋での出会いをかいつまんで話した。
「これはまずいわ・・・。リリーってば、王家に完璧に目を付けられてるじゃない・・・。」
「ああ、なんてことだ!!僕があの本屋をリリーに教えたせいで!!」
「まあまあ二人とも落ち着いて。普段はそんな簡単にお会いできる相手でもないから、しばらく時間が空けば平気かもよ?」
オーウェンが、ジェシーとアーサーをなだめようと声をかける。が、
「王妃様といえば、お手紙をいただいて次も誘われているの。」
リリーの言葉で撃沈した。
「え?もう次回の約束があるのかい?」
「王妃様、噂に違わぬ策士だな・・・。これはもうリリーがターゲットと見て間違いなさそうだ。」
「リリー、くれぐれも王妃様とラインハルト様には気を付けるのよ!?」
三人がそれぞれ心配する中、
「ふふっ、三人とも変なの。お二人ともとっても優しいのに。あ、でも木に登ったことは罰せられないといいな。」
リリーは一人で検討違いなことを心配していたのであった。
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