【完結】田舎育ち令嬢、都会で愛される

櫻野くるみ

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王家の方々と庶民の味。

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リリーの作ったミルクスープとパン、他にも城のコックが作ってくれた肉料理とサラダがテーブルに並んだ。

「じゃあ温かいうちにいただきましょうか。」

王妃が促し、皆が食事の席に着いた。
スープが気になるのか、それともリリーを気遣ってか、皆スープから手を付け始める。
反応が気になるリリーは、ドキドキしながら様子を伺っていた。

いつも通りに作ってしまったけど、こんな田舎料理、高貴な方々のお口に合うのかしら?
コックさん達の評判は悪くなかったけど。

思わず自分の両手をギュッと握りしめていると、

「美味しい!!」

最初に感嘆の声をあげたのはハリーだった。

「すごい美味しいの。僕、これ大好き!!」

子供用に冷ましてあったミルクスープを、大人よりも早いスピードで食べ進めていく。

「ハリーがこんな勢いで食べるのを初めて見たよ。余程気に入ったんだね。」

王太子が息子の食べっぷりを嬉しそうに見つめながら言うと、

「リリー、このスープとっても美味しいよ!優しい味で、いくらでも食べられそう!」

ハリーと競うようにほおばりながら、興奮した口調でラインハルトが賛辞を送り、他の者も口々に誉めてくれた。

「ありがとうございます。」

安堵し、力を抜きながらお礼を告げるリリー。

すると、誰よりも先にパンにとりかかろうとしていたハリーから悲しそうな声が漏れる。

「リリーお姉ちゃん、このパン固いね。食べられない・・・。」

確かにこのハードなパンを、小さな子が齧るのは難しそうだ。

リリーはパンを小さく割って、ハリーに差し出した。

「このパンはスープにつけると柔らかくなるんです。スープをたくさん吸うので美味しいですよ。」

にっこり笑って言うと、パンを受け取ったハリーが早速パンをスープにつけている。
一口食べて、顔が輝いた。

「うわぁ、ジュワジュワなの!スープがもっと美味しくなったよ!ママ、もっとパンちょうだい!」

慌ててパンをちぎってあげながら、ソフィアが驚いている。

「いつもパンを全然食べてくれなくて心配していたのに。スープにひたせば食べてくれるのね。勉強になるわ。」

「リリーちゃんのおかげね」と感謝され、ふと気付いてしまった。

あら?もしかしてパンをスープにつけるのって庶民の食べ方なのでは?
私ったら、王族相手にとんでもないことを!

リリーは立ち上がった。

「あの、も、申し訳ございません。うかつにも庶民の食べ方をハリー様に伝えてしまいました!」

勢いよく頭を下げるリリーに、皆がポカンとしている。
一瞬静寂に包まれたが、それを破ったのはやはり王妃だった。

「ふふふっ、リリーちゃんったら突然謝り出すから驚いてしまったわ。頭をあげてちょうだい。あなたは何も悪くないわ。リリーちゃんが心配したのはパンをスープにひたしたことかしら?」

「だったら何も心配いらないよ。今までやらなかったのは、そういう食べ方を知らなかっただけだから。」

「他国では王族でもつける国もありますわよね?」

「おいしければ問題ないよ。僕も早速試してみるね。」

王妃の言葉にノアとイザベラ、ラインハルトが続き、スープを染み込ませたパンを口にし、ラインハルトも顔を綻ばせた。

「このパンも美味しい!こっちの肉料理のソースをつけても合いそう。」

他の皆もパンと食べ方を気に入ってくれたようだ。
城のコックに明日から早速作ってもらおうとか、他のスープでも美味しそうじゃないかなど、会話が弾んでいる。

リリーが皆の反応に安心し、気が緩んで油断していた時だった。

「リリーお姉ちゃんは、木に登るのも上手だし、スープも美味しいし、すごいねー!」

満面の笑顔で、ハリーが王妃並みの爆弾を落としてきた。

そうでした!
木登りの口止め、ハルト様にしかしてませんでしたー!!

これはマズイと焦るリリーの耳に、「うん、やっぱり僕が言わなくてもそうなるよね」というラインハルトの呟きが虚しく響いていた。


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