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幼馴染みがお義姉さんになるみたいです。
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アーサーが隣家を訪ねると、すぐに顔馴染みの執事が現れた。
「アーサー様、オーウェン様はあいにく学院へ外出中ですが・・・」
怪訝そうな顔をしているが、それも当然である。
本来は、アーサーも一緒に学院に居るはずの時刻なのだから。
「今日はジェシーに用があってね。突然で悪いんだが。」
執事は納得すると、すぐにジェシーを呼んでくれた。
「アーサーお兄様?一体どうなさったの?」
すぐにジェシーが顔を出したが、なぜアーサーがここに居るのか不思議そうにしている。
話があると告げると、応接室へ案内された。
紅茶が目の前に置かれると、ジェシーが先に口を開いた。
「もしかして、朝の馬車の音と関係があるのかしら?」
「さすがジェシー、勘がいいな。リリーなんて、あの爆音に気付かず寝ていたよ。」
「あの音で?ある意味さすがだわ、リリー。」
二人で思わず笑ってしまった。
「それで?何があったのか、訊いてもいいのかしら?」
「もちろん。結論だけ言うと、ラインハルト様とリリーの婚約についてだった。」
「はあああ!?婚約?リリー、腹黒王子と婚約したの!?」
ジェシーが驚き、テーブルに強く手をついた為、カップが震えた。
「驚くよね。僕も昨日聞いて驚いたし、今日書類が届いて更に驚いたよ。」
ジェシーが呆れたように溜め息を吐くと、ソファーに身を沈めた。
「なるほどね。昨日おじさまが昇爵して、そのタイミングで婚約の打診をして、翌日にはさっさと契約を済ませようって魂胆ね。あの腹黒王子の考えそうなことだわ。」
あまりに見事に言い当てていて、アーサーは感心してしまった。
「本当にジェシーは賢いよね。まさにそのとおりだよ。今日中に提出って言われて、父上と僕は寝不足さ。」
その恨みもあって、アーサーにはジェシーの、『腹黒王子』の呼び方を咎める気は全く起きなかった。
「それは大変でしたわね。そんな時に私にまで説明に来てくださって、ありがとう。」
「いや、他にも話があってね。」
「他にも?」
さすがのジェシーも、アーサーの本当の目的まではわからないらしい。
アーサーはジェシーの目を見つめ、緊張ぎみに言った。
「ジェシー、突然言われても困るとは思うが、僕と結婚してくれないか?」
「え?」
ジェシーは驚き過ぎて、言葉が続かないらしい。
目をパチクリとしていたが、ようやく合点がいったのか、頷きだした。
「話が読めたわ。アーサーお兄様、これから殺到するお見合い話が面倒になったんでしょう?それに、やっぱり味方になる女性がリリーの近くに居たほうが、これから色々と安心出来るものね。」
「うっ、確かにその通りなんだ。でも改めて客観的に聞くと、ひどい話だな。やっぱり聞き流して・・・」
「アーサーお兄様と結婚するわ!!」
「えっ!?」
「私、まだリリーの婚約なんて認めてないもの。身内になれば、破談にさせるチャンスもあるかもしれないし。」
いや、確かにお互いのメリットはあるかもしれないが、果たしてそれだけで結婚していいものなのか?
アーサーは葛藤していた。
しかし、ジェシーは説得するように続けた。
「アーサーお兄様、私達の結婚が例え利害がからんでいなくとも、もともと私達は相性がいいと思うの。私、アーサーお兄様のこと好きよ。愛していく自信があるわ。お兄様は?」
アーサーは自分に問いかけた。
ジェシーを愛する自信・・・
「僕にもあるよ。ジェシーを愛して、守っていく自信が。」
アーサーは自信を持って言い切った。
なるほど、問題はなかったらしい。
「あら、じゃあ相思相愛ね。」
ジェシーが可愛らしく笑ったので、アーサーも笑った。
「早速、夜にでも父に伝えるよ。あ、あと出来ればもう一つ頼みたいんだ。」
「乗りかかった船というやつね。何でも言ってちょうだい。」
「王子とリリーが学院に入学するんだ。嫌じゃなければジェ」
「行くわ!!」
まだアーサーが言い終わらない内に、ジェシーが承諾していた。
「イチャイチャ学生生活なんて、私が阻止してみせるわ!」
その頃、王宮でリリーのお披露目の為のドレスを発注していたラインハルトは、クシャミをしていた。
「ん?リリーが僕のウワサでもしてるのかな?」
幸せ一杯のラインハルトは、この先ジェシーに邪魔される未来をまだ知らなかった。
「アーサー様、オーウェン様はあいにく学院へ外出中ですが・・・」
怪訝そうな顔をしているが、それも当然である。
本来は、アーサーも一緒に学院に居るはずの時刻なのだから。
「今日はジェシーに用があってね。突然で悪いんだが。」
執事は納得すると、すぐにジェシーを呼んでくれた。
「アーサーお兄様?一体どうなさったの?」
すぐにジェシーが顔を出したが、なぜアーサーがここに居るのか不思議そうにしている。
話があると告げると、応接室へ案内された。
紅茶が目の前に置かれると、ジェシーが先に口を開いた。
「もしかして、朝の馬車の音と関係があるのかしら?」
「さすがジェシー、勘がいいな。リリーなんて、あの爆音に気付かず寝ていたよ。」
「あの音で?ある意味さすがだわ、リリー。」
二人で思わず笑ってしまった。
「それで?何があったのか、訊いてもいいのかしら?」
「もちろん。結論だけ言うと、ラインハルト様とリリーの婚約についてだった。」
「はあああ!?婚約?リリー、腹黒王子と婚約したの!?」
ジェシーが驚き、テーブルに強く手をついた為、カップが震えた。
「驚くよね。僕も昨日聞いて驚いたし、今日書類が届いて更に驚いたよ。」
ジェシーが呆れたように溜め息を吐くと、ソファーに身を沈めた。
「なるほどね。昨日おじさまが昇爵して、そのタイミングで婚約の打診をして、翌日にはさっさと契約を済ませようって魂胆ね。あの腹黒王子の考えそうなことだわ。」
あまりに見事に言い当てていて、アーサーは感心してしまった。
「本当にジェシーは賢いよね。まさにそのとおりだよ。今日中に提出って言われて、父上と僕は寝不足さ。」
その恨みもあって、アーサーにはジェシーの、『腹黒王子』の呼び方を咎める気は全く起きなかった。
「それは大変でしたわね。そんな時に私にまで説明に来てくださって、ありがとう。」
「いや、他にも話があってね。」
「他にも?」
さすがのジェシーも、アーサーの本当の目的まではわからないらしい。
アーサーはジェシーの目を見つめ、緊張ぎみに言った。
「ジェシー、突然言われても困るとは思うが、僕と結婚してくれないか?」
「え?」
ジェシーは驚き過ぎて、言葉が続かないらしい。
目をパチクリとしていたが、ようやく合点がいったのか、頷きだした。
「話が読めたわ。アーサーお兄様、これから殺到するお見合い話が面倒になったんでしょう?それに、やっぱり味方になる女性がリリーの近くに居たほうが、これから色々と安心出来るものね。」
「うっ、確かにその通りなんだ。でも改めて客観的に聞くと、ひどい話だな。やっぱり聞き流して・・・」
「アーサーお兄様と結婚するわ!!」
「えっ!?」
「私、まだリリーの婚約なんて認めてないもの。身内になれば、破談にさせるチャンスもあるかもしれないし。」
いや、確かにお互いのメリットはあるかもしれないが、果たしてそれだけで結婚していいものなのか?
アーサーは葛藤していた。
しかし、ジェシーは説得するように続けた。
「アーサーお兄様、私達の結婚が例え利害がからんでいなくとも、もともと私達は相性がいいと思うの。私、アーサーお兄様のこと好きよ。愛していく自信があるわ。お兄様は?」
アーサーは自分に問いかけた。
ジェシーを愛する自信・・・
「僕にもあるよ。ジェシーを愛して、守っていく自信が。」
アーサーは自信を持って言い切った。
なるほど、問題はなかったらしい。
「あら、じゃあ相思相愛ね。」
ジェシーが可愛らしく笑ったので、アーサーも笑った。
「早速、夜にでも父に伝えるよ。あ、あと出来ればもう一つ頼みたいんだ。」
「乗りかかった船というやつね。何でも言ってちょうだい。」
「王子とリリーが学院に入学するんだ。嫌じゃなければジェ」
「行くわ!!」
まだアーサーが言い終わらない内に、ジェシーが承諾していた。
「イチャイチャ学生生活なんて、私が阻止してみせるわ!」
その頃、王宮でリリーのお披露目の為のドレスを発注していたラインハルトは、クシャミをしていた。
「ん?リリーが僕のウワサでもしてるのかな?」
幸せ一杯のラインハルトは、この先ジェシーに邪魔される未来をまだ知らなかった。
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