1 / 23
プロローグ
しおりを挟む
卒業パーティー当日、少しの緊張とそれを上回る高揚感。
生徒会副会長のアメリア・ハワードは、会場の様子を見渡しながら高まる気持ちを押さえ込んだ。
いよいよ私達の劇が幕を開けるのね。
この3ヶ月の苦労が走馬灯のように思い起こされる中、喉を潤すために果実のジュースに口を付ける。
アメリアがグラスを置いたと同時に会場中のライトが消え、辺りが驚きの声と悲鳴に包まれた。
始まったわ。
気付くとライトが会場前方のステージに当たり、光の中で寄り添う一組の男女が浮かび上がる。
明るいステージからは、暗いアメリアは見えにくいはずだったが、確かに一瞬彼らの視線は交差し、アメリアはお互いの健闘を祈りながら軽く頷いた。
さて、いっちょかましてやりますか!
会場の卒業生のざわめきと興味深げな視線の中、ライトを浴びた生徒会長で、アメリアの婚約者でもあるクロードが、よく響く声で言い放つ。
「アメリア・ハワード、私は運命の女性と出会ってしまった。ここにいるセレンだ。君は副会長でありながら、セレンを嫉妬でいじめ抜いたそうだな。そんな女とは婚約破棄だ!」
アメリアは驚き、ショックを隠せないという表情を作りながら立ち尽くす。
好奇心を隠そうともしない無遠慮な視線に囲まれるアメリアに、さらにクロードが追い打ちをかける。
「今から君の悪事を白日のもとに晒してやる。覚悟することだな。」
ピシッとアメリアに指を指しつつ、とりあえず台詞を言い切ったクロードは満足げだ。
彼に腕を絡めながら勝ち誇ったような表情を浮かべるセレン。
うんうん、出だしは上々ね。
やるじゃない、さすがクロードとセレン。
次は私の出番!
冤罪を着せられた哀れな悪役令嬢を演じてみせようじゃない。
アメリアは内心の沸き立つ闘志を隠しつつ、悲しみを込めた口調で話し始めた。
「そんな、わた・・」「では、アメリアは俺が貰ってやろう!」
・・・は?
何?何が起きたの?
誰かがアメリアの台詞に割り込んで来た。
台本にない台詞の登場に軽くパニックを起こしながら、アメリアは声がした方向へ顔を向けた。
そこに立っていたのは・・・
おーまーえーかー!!
何故かいつもチョロチョロと私の周りをうろつき邪魔をする男、アーサー!
彼が腕を組み、偉そうにふんぞりながらライトを浴びて立っている。
ちょっと待って!
もしかしてアーサーってば、この劇が生徒会メンバーによる、卒業パーティー恒例の余興だって気付いてないの?
それに、なんで彼にライトが当たっているのよ?
思わず照明係の方角を睨み付ける。
カイルってば、無駄にアクシデントに強いんだから。
きっとこの状況を楽しんでいるに決まってるわ。
照明係は、1年生のカイルが担当だった。
アーサーの方をよくよく見れば、彼の袖を一生懸命引っ張っている女の子がいる。
あらら、ライトから見切れちゃって。
多分、エスコート中の彼女よね。
彼女を放って、堂々と私を貰ってやる発言とは・・・
やっぱりあいつは、サイテーの男に違いない。
初台詞を邪魔され、出鼻をくじかれたアメリアは心の中で宣言した。
『アーサーのやつー!!劇を邪魔された恨みは必ず晴らすからね!!コテンパンにしてやるから覚えとけー!!』
こうして生徒会メンバー6人による余興の婚約破棄&断罪劇は、迷惑男アーサーの乱入により、始まって早々にアドリブを余儀なくされたのである。
生徒会副会長のアメリア・ハワードは、会場の様子を見渡しながら高まる気持ちを押さえ込んだ。
いよいよ私達の劇が幕を開けるのね。
この3ヶ月の苦労が走馬灯のように思い起こされる中、喉を潤すために果実のジュースに口を付ける。
アメリアがグラスを置いたと同時に会場中のライトが消え、辺りが驚きの声と悲鳴に包まれた。
始まったわ。
気付くとライトが会場前方のステージに当たり、光の中で寄り添う一組の男女が浮かび上がる。
明るいステージからは、暗いアメリアは見えにくいはずだったが、確かに一瞬彼らの視線は交差し、アメリアはお互いの健闘を祈りながら軽く頷いた。
さて、いっちょかましてやりますか!
会場の卒業生のざわめきと興味深げな視線の中、ライトを浴びた生徒会長で、アメリアの婚約者でもあるクロードが、よく響く声で言い放つ。
「アメリア・ハワード、私は運命の女性と出会ってしまった。ここにいるセレンだ。君は副会長でありながら、セレンを嫉妬でいじめ抜いたそうだな。そんな女とは婚約破棄だ!」
アメリアは驚き、ショックを隠せないという表情を作りながら立ち尽くす。
好奇心を隠そうともしない無遠慮な視線に囲まれるアメリアに、さらにクロードが追い打ちをかける。
「今から君の悪事を白日のもとに晒してやる。覚悟することだな。」
ピシッとアメリアに指を指しつつ、とりあえず台詞を言い切ったクロードは満足げだ。
彼に腕を絡めながら勝ち誇ったような表情を浮かべるセレン。
うんうん、出だしは上々ね。
やるじゃない、さすがクロードとセレン。
次は私の出番!
冤罪を着せられた哀れな悪役令嬢を演じてみせようじゃない。
アメリアは内心の沸き立つ闘志を隠しつつ、悲しみを込めた口調で話し始めた。
「そんな、わた・・」「では、アメリアは俺が貰ってやろう!」
・・・は?
何?何が起きたの?
誰かがアメリアの台詞に割り込んで来た。
台本にない台詞の登場に軽くパニックを起こしながら、アメリアは声がした方向へ顔を向けた。
そこに立っていたのは・・・
おーまーえーかー!!
何故かいつもチョロチョロと私の周りをうろつき邪魔をする男、アーサー!
彼が腕を組み、偉そうにふんぞりながらライトを浴びて立っている。
ちょっと待って!
もしかしてアーサーってば、この劇が生徒会メンバーによる、卒業パーティー恒例の余興だって気付いてないの?
それに、なんで彼にライトが当たっているのよ?
思わず照明係の方角を睨み付ける。
カイルってば、無駄にアクシデントに強いんだから。
きっとこの状況を楽しんでいるに決まってるわ。
照明係は、1年生のカイルが担当だった。
アーサーの方をよくよく見れば、彼の袖を一生懸命引っ張っている女の子がいる。
あらら、ライトから見切れちゃって。
多分、エスコート中の彼女よね。
彼女を放って、堂々と私を貰ってやる発言とは・・・
やっぱりあいつは、サイテーの男に違いない。
初台詞を邪魔され、出鼻をくじかれたアメリアは心の中で宣言した。
『アーサーのやつー!!劇を邪魔された恨みは必ず晴らすからね!!コテンパンにしてやるから覚えとけー!!』
こうして生徒会メンバー6人による余興の婚約破棄&断罪劇は、迷惑男アーサーの乱入により、始まって早々にアドリブを余儀なくされたのである。
25
あなたにおすすめの小説
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】転生令嬢が、オレの殿下を"ざまあ"しようなんて百年早い!〜"ざまあ王子"の従者ですが、やり返します〜
海崎凪斗
恋愛
公爵令嬢ロベリアは、聖女への嫌がらせを理由に婚約破棄された――はずだった。だが夜会の席、第二王子が「冤罪だった」と声を上げたことで、空気は一変する。
けれど第一王子の従者・レンは言う。
「いや?冤罪なんかじゃない。本当に嫌がらせはあったんだよ」「オレの殿下を"ざまあ王子"にしようなんて、百年早い!」
※ざまぁ系ではありますが、"ざまぁされそうな王子の従者が、それを阻止して悪役令嬢気取りの転生者をざまぁし返す話"です。主従モノに近いので、ご注意ください。
プロローグ+前後編で完結。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
【完結】旦那様!単身赴任だけは勘弁して下さい!
たまこ
恋愛
エミリーの大好きな夫、アランは王宮騎士団の副団長。ある日、栄転の為に辺境へ異動することになり、エミリーはてっきり夫婦で引っ越すものだと思い込み、いそいそと荷造りを始める。
だが、アランの部下に「副団長は単身赴任すると言っていた」と聞き、エミリーは呆然としてしまう。アランが大好きで離れたくないエミリーが取った行動とは。
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います
珠宮さくら
恋愛
ニヴェス・カスティリオーネは婚約者ができたのだが、あまり嬉しくない状況で婚約することになった。
最初は、ニヴェスの妹との婚約者にどうかと言う話だったのだ。その子息が、ニヴェスより年下で妹との方が歳が近いからだった。
それなのに妹はある理由で婚約したくないと言っていて、それをフォローしたニヴェスが、その子息に気に入られて婚約することになったのだが……。
無愛想な婚約者の心の声を暴いてしまったら
雪嶺さとり
恋愛
「違うんだルーシャ!俺はルーシャのことを世界で一番愛しているんだ……っ!?」
「え?」
伯爵令嬢ルーシャの婚約者、ウィラードはいつも無愛想で無口だ。
しかしそんな彼に最近親しい令嬢がいるという。
その令嬢とウィラードは仲睦まじい様子で、ルーシャはウィラードが自分との婚約を解消したがっているのではないかと気がつく。
機会が無いので言い出せず、彼は困っているのだろう。
そこでルーシャは、友人の錬金術師ノーランに「本音を引き出せる薬」を用意してもらった。
しかし、それを使ったところ、なんだかウィラードの様子がおかしくて───────。
*他サイトでも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる