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婚約者に誤解されました
しおりを挟む学院からの帰り道、今日も私はクロードと共に公爵家の馬車に乗り、屋敷まで送ってもらっていた。
乗り込み、向かい合って座り合い、ここまではいつも通りの光景だったのだが、さきほどからどうもクロードの様子がおかしい。
まあ、私も記憶が戻ってからは、クロードのイケメンぶりに度々狼狽え、そわそわしてしまうので、様子がおかしいのはお互い様なのだが。
「クロード?」
あまりにもしゃべらない上、ずっと俯いているクロードが心配になり、私は話しかけてみることにした。
多少は以前よりイケメンに免疫も出来てきたしね。
「具合でも悪いのですか?馬車に酔ったとか?」
するとクロードはガバッと急に顔を上げ、私を必死な表情で見つめながら言った。
「アメリア、お願いだ。正直に言って欲しい。」
なんだかとてつもなくシリアスな感じ。
もしかして、私が前世の記憶を取り戻したことがバレちゃったかな?
おかしな態度をとっていた自覚は山ほどあるしね。
バレているなら仕方ない。
正直にすべて話そう。
「実は・・・」「他に好きな人が出来たのではないか?」
ほえ?
好きな人?
他にってどういうこと?
不思議そうな顔で戸惑っているであろう私に、更に悲壮感を漂わせつつ、クロードが語り始めた。
「いや、だって、最近のアメリアは僕といても俯いている事が多いし、距離だって前より遠い。だいたい断罪劇なんてものをいつどこで知ったんだい?斬新な劇の終わり方だって、誰かに教えられたんじゃないのかい?アメリアの元婚約者だとか名乗っている男もいるようだし。もしかして僕との婚約を破棄したくて、あんな劇を提案したのかい?」
余程悩んでいたのか、一気に捲し立てられる。
まさかクロードがそんなことを考えていて、ここまで追い詰められていたとは。
悪いことをしてしまった。
驚いたけど、誤解は早めに解かねばならない。
本当に婚約破棄されてしまっては、洒落にならない。
「落ち着いてクロード。他に好きな人なんていないわ。私が好きなのはクロードだけだもの。知っているでしょう?婚約破棄なんて考えたこともないわ。」
面と向かって好きと言うのは恥ずかしかったが、今はそれどころではない。
真っ赤になっているだろうけど、ちゃんと目を見て本心をきちんと伝えなければ。
「でも最近のアメリアはよそよそしく感じる。」
うん、それは謝ります。ごめんなさい。
うっかり前世の記憶のボロが出たら困ると思ったら、上手くしゃべれなかったんです。
何より、クロードが格好良すぎるのに慣れなくて、近付けなかっただけなんだけど。
しっかし、ここでもアーサーが出てくるとはね。
本当にジャマオだわ。
『元婚約者』って。
『元恋人』にもビックリだったのに・・・。
どれだけ嘘を言いふらしてるんだか。
あいつ、本当に絶妙に邪魔なんだけど。
いつかギャフンと言わせたい・・・。
しかし、とりあえず今大切なのはクロードである。
誤解を解いて安心してもらう為に、私は前世の記憶を取り戻したことを、全てクロードに話す事にしたのだった。
どうか気味悪がられて嫌われませんように、と祈りながら・・・。
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