ショボい魔法しか使えない私が、魔法のない世界に召喚されたら崇め奉られてます

櫻野くるみ

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誉められました

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司祭のクラウスが、この国、グランダースについて説明をしている。

どうやらグランダースは、飢饉や疫病、天候不良、他国からの侵略など、絶体絶命の危機にあるらしい。

魔法で火や水を出せる訳ではないこの国では、一度歯車が狂うと、すべてが悪循環により悪化していく。
水が汚れれば作物も、人の健康も損なわれ、国力が弱まれば他国から攻撃を受けてしまう……というように。

アンリが口にした紅茶とサンドイッチの雑味も、汚染された水や土地、作物が原因だったようだ。

そんな状況の中、古くから伝わる伝承が脚光を浴びたらしい。
何百年も前に記された、教会に代々伝わる書物に、聖女の召喚についての記載があったそうだ。

『異世界より召喚されし魔法を操る聖女、グランダースの光となる』

その言葉に望みをかけ、今日の召喚の儀式が行われたらしい。
儀式がどんなものだったかは教えてもらえなかったが。

「すまない。俺は召喚には反対だった。勝手に召喚される側も迷惑だろうし、魔法も半分は信じていなかった。何より、自分の手で国を何とかしたかった」

悔しそうにディランが語る。

それはそうだろう。
こんないきなり身元が怪しい、年若い女に国を託せと言う方がおかしい。

「しかし先ほどの火の魔法。あれは素晴らしかった。魔法とはもっと禍々しいものかと思っていたが、使い手にもよるのか、温かいものなのだな。国民も喜んでいた」

「そうですね。私もあの蝋燭の灯りを目にした時、国の明るい未来が見えた気が致しました。アンリ様、どうかこの国の為にその魔法の力を生かして下さいませんか」

ディランとクラウスの二人に力を誉められ、真摯に訴えられる。
国を思う気持ちもよく伝わるし、きっといい人達だと思う。

「あの、私はまだ蝋燭一本に火を点けただけで……。私が出来ることならお手伝いしたいとは思いますが、なにぶん私、弱」

「恩にきる」 

「ありがとうございます、アンリ様」

「私、弱いんです、魔法の力……」と続くはずの言葉は、二人の喜ぶ声に消されてしまった。

「アンリ様には、今日から王宮でお部屋を用意させますので、そちらでおくつろぎ下さい。今日はお疲れでしょうから、続きは明日にしましょう」

「俺が部屋に案内しよう。魔法というものがどれほど負担がかかるものかは知らないが、何かあればすぐに言ってくれ。くれぐれも無理はしないで欲しい」

至れり尽くせりです。
何度も言いますが、蝋燭に火を点けただけで!
家ではあんなに怒られていたのに……。

大切に思ってもらえることは、やっぱり嬉しい。

明日から出来ることは頑張ろうとアンリは思った。



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