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息を吹き返した王宮
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アンリは目の前に置かれる様々な容器に水を満たしていく。
「アンリ、無理はするな?疲れたら止めるんだぞ?」
国王のディランが心配そうに見守っている。
その温かい眼差しで、更にアンリの魔法は強まる気がした。
私ってば本当に単純ね。
認められると魔法が強くなるなんて。
疲れを感じることもないほど、今のアンリは絶好調だ。
聖水で満たされた容器を、食堂から次々と運び出していく使用人達。
中にはクラウスと、先ほどまで寝込んでいたセガールの姿もある。
「セガールさん、さっきまで寝込んでいたのに急に動いて大丈夫なんですか?」
心配してアンリが問いかけてみたが。
「まだ床についている部下がたくさん居てな。早く元気にしてやりてぇんだ」
まだ病の面影を残しつつも、ニカッと笑い、力強い足取りで出ていった。
部下思いの団長さんなのね。
この水がどこまでの効能があるかわからないけど。
効き目がありますようにと祈りながら、水を出し続けていると、また足音が近付いてくるのに気付いた。
今度は集団で、中には女性のもののような軽い足音もある。
「失礼する!」「お忙しい中、申し訳ございません」「失礼致します」
色々な挨拶の声が聞こえ入り口を見ると、厳しい顔付きで上質な服を着た男性と、あらゆる制服姿の使用人らしき者達が立っていた。
突然どうしたのかしら?
見たことない人ばかりだわ。
不思議に思うアンリの前に、厳しい顔の男性を中心に、全員がずらっと横に広がった。
「聖女様、私共みんなあなたに命を救われました。謹んでお礼申し上げます」
厳しかった顔を一気に弛ませた男性が頭を下げると、
「「「ありがとうございました!!!」」」
他の者達も一斉に頭を下げた。
「いえいえそんな。回復されて何よりです。ご丁寧にありがとうございます」
アンリも一緒になってペコペコと頭を下げていると、「聖女様って腰が低いんだな」「バカ!謙虚って言えよ!!」という使用人の会話が聞こえ、たちまち辺りは笑いに包まれたのだった。
「アンリ、しかめ面の男が宰相のストーンだ。他の者もみな城で働いている。ストーン、お前が仕事に復帰してくれるのは助かる。人手が足りん」
「ご迷惑をおかけ致しました。ですが、私以外の大臣や政務官も続々と復調しているようです。近い内に以前の状態に戻れるでしょう」
「そうか……」
ディランは喜びを噛み締めているように見えた。
次々と頼りにしている部下が健康を崩し、心を痛めていたのだろう。
ディランから皆の意識を反らすように、アンリはわざと明るく言ってみた。
「飲む分が足りたら、次は作物に水をやってみましょうか?お野菜も元気がないですもんね」
全く根拠は無く、『野菜や花も元気になればいいな』くらいの気持ちで言ってみたのだが、人々は沸き立った。
「それはいいですね!最近不作なので」
「美味しい野菜が出来るといいな。でも土がな……」
なるほど、土自体に問題があるのね。
アンリは土壌に何が出来るか考え始めた。
「アンリ、無理はするな?疲れたら止めるんだぞ?」
国王のディランが心配そうに見守っている。
その温かい眼差しで、更にアンリの魔法は強まる気がした。
私ってば本当に単純ね。
認められると魔法が強くなるなんて。
疲れを感じることもないほど、今のアンリは絶好調だ。
聖水で満たされた容器を、食堂から次々と運び出していく使用人達。
中にはクラウスと、先ほどまで寝込んでいたセガールの姿もある。
「セガールさん、さっきまで寝込んでいたのに急に動いて大丈夫なんですか?」
心配してアンリが問いかけてみたが。
「まだ床についている部下がたくさん居てな。早く元気にしてやりてぇんだ」
まだ病の面影を残しつつも、ニカッと笑い、力強い足取りで出ていった。
部下思いの団長さんなのね。
この水がどこまでの効能があるかわからないけど。
効き目がありますようにと祈りながら、水を出し続けていると、また足音が近付いてくるのに気付いた。
今度は集団で、中には女性のもののような軽い足音もある。
「失礼する!」「お忙しい中、申し訳ございません」「失礼致します」
色々な挨拶の声が聞こえ入り口を見ると、厳しい顔付きで上質な服を着た男性と、あらゆる制服姿の使用人らしき者達が立っていた。
突然どうしたのかしら?
見たことない人ばかりだわ。
不思議に思うアンリの前に、厳しい顔の男性を中心に、全員がずらっと横に広がった。
「聖女様、私共みんなあなたに命を救われました。謹んでお礼申し上げます」
厳しかった顔を一気に弛ませた男性が頭を下げると、
「「「ありがとうございました!!!」」」
他の者達も一斉に頭を下げた。
「いえいえそんな。回復されて何よりです。ご丁寧にありがとうございます」
アンリも一緒になってペコペコと頭を下げていると、「聖女様って腰が低いんだな」「バカ!謙虚って言えよ!!」という使用人の会話が聞こえ、たちまち辺りは笑いに包まれたのだった。
「アンリ、しかめ面の男が宰相のストーンだ。他の者もみな城で働いている。ストーン、お前が仕事に復帰してくれるのは助かる。人手が足りん」
「ご迷惑をおかけ致しました。ですが、私以外の大臣や政務官も続々と復調しているようです。近い内に以前の状態に戻れるでしょう」
「そうか……」
ディランは喜びを噛み締めているように見えた。
次々と頼りにしている部下が健康を崩し、心を痛めていたのだろう。
ディランから皆の意識を反らすように、アンリはわざと明るく言ってみた。
「飲む分が足りたら、次は作物に水をやってみましょうか?お野菜も元気がないですもんね」
全く根拠は無く、『野菜や花も元気になればいいな』くらいの気持ちで言ってみたのだが、人々は沸き立った。
「それはいいですね!最近不作なので」
「美味しい野菜が出来るといいな。でも土がな……」
なるほど、土自体に問題があるのね。
アンリは土壌に何が出来るか考え始めた。
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