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愛らしい聖女様
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明くる朝、城の門前は城下に住む多くの者達でひしめきあっていた。
アンリが聖なる水と、養分たっぷりの土を出現させた話は人づてに広がり、皆少しでもわけて欲しいと城まで詰めかけたのである。
アンリが召喚された時に火を灯すところを直接目にしていた者が多く、アンリの力を既に目の当たりにしていた為、噂の信憑性を疑う者は居なかった。
早い者は夜中のうちから並び出し、集まった人々から話を聞いた者が更に後ろに並び、気付けば明け方には城門前は騒然としていた。
予定外の人の集まりに、急遽昨日の配給計画は変更を余儀なくされた。
ディランは予定通りに集められた、城勤めの者に早々に指示を出していく。
「街への配給の前に、集まっている者たちを落ち着かせ、整列させる。暴動になっては元も子もない。予定外だが、ここはアンリにも出てもらうしかないだろう。アンリの警護を頼む。何があっても守れ!!」
「「「はい!!」」」
体調を崩していたが、アンリの水によってしばらくぶりに仕事に復帰した者も多い。
久々の命令に意気込む面々を見渡し、満足そうに頷くディラン。
「あの……」
その時、影から遠慮がちな小さな声がかかった。
アンリである。
まだディランから呼ばれてはいなかったが、アンリの部屋まで喧騒が聞こえていた為、じっとしていられず、今までひっそりと様子を伺っていたのである。
「私ならここに居ます」
おずおずと人波から出てきたアンリに、ディランは驚きを隠せない。
「アンリ!?もう起きていたのか?昨日は疲れただろう。まだ休んでいて良かったのだが。朝食は摂ったのか?」
心配そうに矢継ぎ早に質問をするディランに、ずっと床に臥していた者は目を疑った。
『噂には聞いていたが、こんな国王は見たことないぞ!』
『実は細やかな心配りが出来る方だったのだな』
『そんなの聖女様限定に決まっているだろ!!』
こそこそとそんな会話がそこかしこで囁かれ、アンリは益々体を小さくしていた。
ううっ、身の置き場がないわ。
どんどん皆さんの勘違いが大きくなっていってる気が……。
疲れは残っていないこと、朝食は済んだことを伝えたアンリだったが。
「今日のその服、華やかでなかなかいい。アンリによく似合っている」
まさかの台詞がディランから飛び出し、アンリは顔を真っ赤にした。
ひぃぃぃ、公衆の面前でなんという破壊力!
嬉しいけど恥ずかしいから止めて下さい!!
「あ、ありがとうございます。これは聖女っぽく見せることも必要だと言われて、ミーシャさんが用意してくれて。でもこんな綺麗な色のワンピースは初めてで……」
しどろもどろに言い訳っぽくなるアンリを、ディランがふっと笑い、納得している。
「確かに、群衆の前に出てもらう予定だからな。その愛らしい姿で、皆の荒んだ心も慰められるだろう」
あ、あ、あ、愛らしい!?
今、愛らしいとか仰いました??
アンリは身体中が沸騰しそうだった。
これ以上は羞恥で死んでしまうと、アンリが走って逃げようかと画策を始めた頃ーー。
「ディラン様、ご報告が!!」
司祭のクラウスが、慌てて駆け込んできた。
いつも優雅な彼にしては、珍しいことである。
「おや、アンリ様も。おはようございます。お二人にお知らせしたい事が。アンリ様が出現させた水と土ですが、昨日井戸や、畑に少しだけ混ぜておいたのです。今確認したら、井戸と畑の隅々まで全て浄化されておりました!」
「なんだと?時間が経つと辺りに作用し、効果が拡散するということか?」
「おそらく。まだ確証はありませんが、もしそうなら、配給計画の予定も変わってきますね」
「量も少量で足りるし、どんどん増やせるから、人員が少なくて済むな。遠隔地が問題だが……」
えーと、何か喜ばれてる?
クラウスさん、色々工夫してくれてて流石だわ。
アンリは元々自分の出した水や土しか扱ったことがなかった為、他の土と混ぜるなど、試したことも考えたことすらなかったのである。
もちろん、効果も知らなかった。
二人の話を耳にした者も活気付き、盛り上がっていく。
「聖女様のお力はやはり素晴らしいな!」
「これで今後は水や農作物に困ることはないのか」
明るい声が広がる中、ディランがアンリに向き直ると、頭を撫でながら言った。
「伝承は正しかったな。想像より随分可愛い聖女様だったが」
「ふふっ、そうですね。優しい光ですね」
いまだ一人状況を理解出来ず、喜ぶ人々を眺めていたアンリだったが、ディランとクラウスに微笑まれ、恥ずかしそうにはにかんだのだった。
アンリが聖なる水と、養分たっぷりの土を出現させた話は人づてに広がり、皆少しでもわけて欲しいと城まで詰めかけたのである。
アンリが召喚された時に火を灯すところを直接目にしていた者が多く、アンリの力を既に目の当たりにしていた為、噂の信憑性を疑う者は居なかった。
早い者は夜中のうちから並び出し、集まった人々から話を聞いた者が更に後ろに並び、気付けば明け方には城門前は騒然としていた。
予定外の人の集まりに、急遽昨日の配給計画は変更を余儀なくされた。
ディランは予定通りに集められた、城勤めの者に早々に指示を出していく。
「街への配給の前に、集まっている者たちを落ち着かせ、整列させる。暴動になっては元も子もない。予定外だが、ここはアンリにも出てもらうしかないだろう。アンリの警護を頼む。何があっても守れ!!」
「「「はい!!」」」
体調を崩していたが、アンリの水によってしばらくぶりに仕事に復帰した者も多い。
久々の命令に意気込む面々を見渡し、満足そうに頷くディラン。
「あの……」
その時、影から遠慮がちな小さな声がかかった。
アンリである。
まだディランから呼ばれてはいなかったが、アンリの部屋まで喧騒が聞こえていた為、じっとしていられず、今までひっそりと様子を伺っていたのである。
「私ならここに居ます」
おずおずと人波から出てきたアンリに、ディランは驚きを隠せない。
「アンリ!?もう起きていたのか?昨日は疲れただろう。まだ休んでいて良かったのだが。朝食は摂ったのか?」
心配そうに矢継ぎ早に質問をするディランに、ずっと床に臥していた者は目を疑った。
『噂には聞いていたが、こんな国王は見たことないぞ!』
『実は細やかな心配りが出来る方だったのだな』
『そんなの聖女様限定に決まっているだろ!!』
こそこそとそんな会話がそこかしこで囁かれ、アンリは益々体を小さくしていた。
ううっ、身の置き場がないわ。
どんどん皆さんの勘違いが大きくなっていってる気が……。
疲れは残っていないこと、朝食は済んだことを伝えたアンリだったが。
「今日のその服、華やかでなかなかいい。アンリによく似合っている」
まさかの台詞がディランから飛び出し、アンリは顔を真っ赤にした。
ひぃぃぃ、公衆の面前でなんという破壊力!
嬉しいけど恥ずかしいから止めて下さい!!
「あ、ありがとうございます。これは聖女っぽく見せることも必要だと言われて、ミーシャさんが用意してくれて。でもこんな綺麗な色のワンピースは初めてで……」
しどろもどろに言い訳っぽくなるアンリを、ディランがふっと笑い、納得している。
「確かに、群衆の前に出てもらう予定だからな。その愛らしい姿で、皆の荒んだ心も慰められるだろう」
あ、あ、あ、愛らしい!?
今、愛らしいとか仰いました??
アンリは身体中が沸騰しそうだった。
これ以上は羞恥で死んでしまうと、アンリが走って逃げようかと画策を始めた頃ーー。
「ディラン様、ご報告が!!」
司祭のクラウスが、慌てて駆け込んできた。
いつも優雅な彼にしては、珍しいことである。
「おや、アンリ様も。おはようございます。お二人にお知らせしたい事が。アンリ様が出現させた水と土ですが、昨日井戸や、畑に少しだけ混ぜておいたのです。今確認したら、井戸と畑の隅々まで全て浄化されておりました!」
「なんだと?時間が経つと辺りに作用し、効果が拡散するということか?」
「おそらく。まだ確証はありませんが、もしそうなら、配給計画の予定も変わってきますね」
「量も少量で足りるし、どんどん増やせるから、人員が少なくて済むな。遠隔地が問題だが……」
えーと、何か喜ばれてる?
クラウスさん、色々工夫してくれてて流石だわ。
アンリは元々自分の出した水や土しか扱ったことがなかった為、他の土と混ぜるなど、試したことも考えたことすらなかったのである。
もちろん、効果も知らなかった。
二人の話を耳にした者も活気付き、盛り上がっていく。
「聖女様のお力はやはり素晴らしいな!」
「これで今後は水や農作物に困ることはないのか」
明るい声が広がる中、ディランがアンリに向き直ると、頭を撫でながら言った。
「伝承は正しかったな。想像より随分可愛い聖女様だったが」
「ふふっ、そうですね。優しい光ですね」
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